『バラバラ死体』
一度完結にしておいて申し訳ありませんが、記憶の引き出しからいくつか引っ張り出してきましたので、また連載を続けようと思います。
それでは『バラバラ死体』
お楽しみ下さいませ。
『バラバラ死体』
僕が小学校低学年だった頃の話。
当時の僕は生き物、とくにカブトムシやクワガタムシが大好きで、良く親父に田舎に連れていって貰い、昆虫採集を楽しんでいました。
その日も僕は、夏休みを利用して親父の会社の同僚の子供さん(…といっても20代後半のお兄さん)の別荘がある所へ泊まりにきていました。
親父の同僚のおじさん(以降Kさんとします)はとても厳格な方で、中々自由に遊ばせてくれなかったような記憶があります…
というかやくざみたいな方で、僕は事あるごとに怒られてた。
普通に昼間は庭でバーベキューをしたり親父と山に登りカブトムシ探しに夢中になったりして過ごしていたんですが、夜
庭にあるかなり明るいライトを点し、白いシートを下に引いて待っているとどんどん光に寄せられた虫達が集まってきます。
蛾やカナブンなどに混じって小さな名前も解らないクワガタや、2・3匹の大きなカブトムシ、あとヘビトンボが飛んできたのを覚えています。
もう感動ですよ。
都会では絶対見られなかった光景。
でも、当時は小学生ですから、8時くらいに寝かされるんですよ…。
今からが本番なのに!
そう訴えますがちっぽけな小学生の抗議など親父の拳で一瞬で潰され、泣く泣く部屋に布団を敷いて横になりました。
気になる。
気になる…
余りにも気になる!
という事で親父にお願いしてみました。
「虫が見える所で寝たい」
結構必死に頼んだので何とか許可を得ることができ、外が見えるようにガラス張りになっていた部屋から僕は虫達の飛来をずっと見つめてたんです。そしてうとうとしだした…夜の10時頃だったかな
突然
「バン!!!」
と硝子が大きな音をたてた。
えっ!?なにっ??!
焦って窓の方見ましたらね、
手が張り付いてたんです。
続いて足。
手
足
そして下半身
上半身………。
首は無かったですけどね。
それらがバン!バン!ってとんできたんです。
そして全部が硝子に張り付いてる。
恐怖の余り隣に寝ている親父に抱き着いて震えていたら、いつの間にか寝ちゃってたみたいで朝がきました。
窓を見ると、そこにはすでになんにもありませんでした。
そしてその日の昼間。
夜の恐怖を引きずりながら、僕はKさんと二人、徒歩で山を目指していました。
山の少し奥にあるどんぐりの木に、カブトムシの木があると案内してくれたんです。
そして僕とKさんは、家の裏にある川辺をコンクリートでかためた川…というより用水路かな?を渡って行きました。
「あ、カニ…」
それを目ざとく見つけた僕は、その用水路を降りてみることにしました。
でもそういうところってコケなんかでツルツル滑りますよね。
おまけに僕は大きな虫カゴを抱えてた。
だから僕も例外ではなく、小学生にしては深いその溝に転がり落ちてしまいました。
僕の愚行に気付き、慌てて駆け寄るKさん。
怒られるのが怖かったので、平気なフリをしてコンクリートを駆け登りました
ですがそんな所に落ちて無事でいられるはずがなく、足や腕からは夥しい出血が…
痛いけど、泣いたら怒られる!
そう思い、我慢していたんですが、山に向かうことは許されずKさんから自宅待機を命じられ、仕方なくすでに4匹のカブト、クワガタが入った虫カゴをKさんに預け、大きめのそのカゴ一杯にカブトムシを詰めてきてくれることを約束された僕は、親父のおんぶで別荘へと帰りました。
何しろ痛かったですから…
そしてしばらくして
親父やKさんの息子さんらが首を傾げ始めました。
そう、Kさんが帰って来ないんです。山に行ったきり一時間も
まだ驚く時間では無いと思いますが、その木は普通なら10分もすればつける場所だったらしく、Kさんは携帯電話を持っていませんでしたので、探しに行こうかと思っていた…
そのとき、別荘の電話が鳴りました。
「警察に借りたぁ!?」
少し驚いたように息子さんが電話でしゃべるのを不安そうに見守る僕ら。
そして何事か喋り、ホッとしたように電話を切る息子さん。
「一時間は帰れないって」
親父と息子さんが喋っているのを良く分からず聞いていましたが、どうやら無事らしいので僕は一安心。
携帯電話が無いので、警察に携帯電話を借りて連絡したとのことでした。
そしてその30分後くらいにKさんは帰って来ました。
そして衝撃の事実を口にします。
カブトムシの木を目指していて、人の死体を見つけた。と
親父とKさんとその息子さんが喋っているのを聞いて僕が口を挟むと、聞かせたくない話だったのか仕方ないな…て感じでしたが、僕も少しだけ話を聞く事ができました
山に入ってしばらくしてふと茂みの方を見ると、誰かの手や足や胴体が、ハエがたかった破れたごみぶくろから見えたのだそうです。
とりあえず警察に連絡しなければと山道を降り、ふもとからすぐの交番に駆け込み、その警官を含む何人かの警察を再び山に案内し帰ってきたという。
その死体はバラバラにされ、ごみぶくろに詰められていた
だが、首だけが見つから無かったという。
Kさんは
「川に落ちといてよかったなぁ。バラバラ死体なんか見たら、一生トラウマになるところやったぞ〜」
と言って笑っていましたが、『バラバラ』と聞いて僕はそれどころでは無かった。
もしかして……昨日の奴じゃないのか…?
首以外が硝子にバンっバンっと飛んでくる光景を思い出し、僕は一人震えてましたよ……
そしてその晩に…ショックからでしょうか
僕は体調を崩し、さっさと我が家へと帰宅しました。
だから今でもガラスを見ると思い出すんですよ
バンっ
バンっ
って飛んできた
あのバラバラな体達を
『バラバラ死体』
如何でしたか?
私のところにやってきた(飛んできた?)死体。
一体何を訴えたかったのでしょうね(ただビビらせたかっただけとか?)
ま、そんなこんなで再び連載をスタートさせます。今の所貯蓄が1話しかありませんが、恐怖体験が再び起こる事態にそなえ、完結はしないでおきます。
それでは、感想と評価よろしくお願い致します。