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65話。天使の軍団

「では貴様らがどれ程の存在に逆らったのか、思い知らせてやろう」


 フォルガナ王ダレスが、両腕を広げるとその背後に神聖な光の柱が伸びた。

 光の中より、翼を生やした二メートルほどの騎士たちが次々に出現する。


「あれはっ……エ、エンジェルナイト!?」


 聖女リディアが、驚きに全身を強張らせた。それは神殿のタペストリーなどに描かれた神の兵、エンジェルナイトにそっくりな姿をしていた。


「さよう。神の敵を滅ぼす天使の軍団だ。クックック……これぞ【大聖者】のスキルを鍛え上げて手に入れし力。【天兵の召喚】!

 わかったであろう? エンジェルナイトを自在に呼び出して、戦わせることができる。これぞ、まさしく神の権能! 余こそ地上における神の意思の体現者であるのだ!」


「あっ、あああぁ……っ」


 エンジェルナイトから放たれる威圧感に撃たれて、ティファが震えだしている。

 強者であるが故に、ティファは敵の戦力を正しく把握してしまったのだろう。


 こいつら一体一体が、おそらくドラゴンより強い。

 

「膝を屈せ! 随喜の涙を流せ! 神の兵がもたらす終焉を甘受せよ!」


「【敏捷性】を限界突破!」


『了解』


 僕は天使の軍団に向かって突進した。空気の壁をぶち抜く、音速を越えた踏み込み。


「【筋力】を限界突破! ぶち抜けぇえええ──ッッ!」


 そのまま神剣グラムをエンジェルナイトに振り下ろす。衝撃波が発生して、まとめて数体のエンジェルナイトがバラバラになって吹っ飛んだ。


「なにっ!? まさか、この絢爛たる天使の軍団を恐れぬのか!?」


 ダレスが狼狽すると同時に、エンジェルナイトたちが、一斉に襲いかかってきた。

 速すぎて視認できないスピードだ。


「【防御力】を限界突破! リディア頼む!」


「えっ……ええっ!」


 呆けていたリディアが、我に返った。

 エンジェルナイトたちが、僕に猛然と剣や槍を叩き込んでくる。


 激痛に意識が飛びそうになるが、リディアが回復魔法で癒やしてくれた。これなら、なんとか耐えられる。


「アベル様……! くぅうううっ。天使の軍団がなんだって言うの!」 


 ティファが自らの頬を叩いて活を入れる。そして、意を決して飛び込んできた。


「はぁああ──ッッ! 真・鳳凰剣10連撃!」


「ティファの【魔力】を限界突破!」


 ティファが飛び込んできたのと同時に、彼女の魔力を∞(無限)にした。

 翼を広げる雄々しい炎の鳥に呑まれて、エンジェルナイトたちが蒸発していく。


「なんだと!?」


 ダレスが絶叫した。

 ティファの【恋刃(このは)】のスキルに【魔力】の限界突破を掛け合わせた究極の魔法剣だ。天使であろうと、無事では済まない。

 

「【筋力】を限界突破! ぉおおおおおお──ッッ!」


 猛攻が緩んだすきを見て、僕は反撃に転じた。手近なエンジェルナイトに斬撃を叩き込み、次々に撃破していく。


「エンジェルナイトを、こうも簡単に!?」


「お前が『神の意思の体現者』だろうが、なんだろうが関係ねぇ! お前みたいなヤツを野放しにしておけるかよ! ここで、ぶっ倒す!」


 僕はダレスに剣を突き付けた。


「ティファ! 残りの雑魚の相手は任せた!」


「はい! お任せをっ!」


「おのれ! ならば、さらなる天使の召喚をっ!」


 ダレスが両腕を広げる動作をしようとするが、僕は水平斬りを叩き込んで妨害した。


「くッ!?」


 ダレスは右腕を斬られたが、すぐさま再生。そのまま魔法障壁を張りつつ後退した。 

 

 やはりエンジェルナイトを召喚する際は、特定の動作、手順を踏む必要があるらしい。

 ダレスの言葉に反して、エンジェルナイトは召喚されなかった。


 なら、召喚のすきを与えないように、とことん攻撃して押し切ってやる。


「ぅおおおおおお──ッ!」


 僕は無数の斬撃をダレスに放った。

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