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57話。バラン団長、ぶん殴られる

 リディアにかけたバフの反応がどんどん近づいてくるのを感じた。

 どうやら北の魔物の軍勢と合流される前に、バラン団長を補足できそうだ。


 ティファは僕の腕の中で、力無くうなだれていた。

 もう一刻の猶予もない。


「見えた!」


 やがて街道をひた走る騎乗したバラン団長の後ろ姿を発見した。

 リディアを抱きかかえたバラン団長が乗っているのはスケルトンホース。白い骨だけのアンデッドの馬だ。


 ティファ、すまない。すぐに片を付けるからな。少しだけ待っていてくれよ……


「【筋力】を限界突破! 神剣グラムを強化!」


『了解』


 僕は自分の筋力のステータスを∞(無限)にした。

 そのまま、バラン団長の前方に神剣グラムを投げつける。

 

 空気切り裂いて飛んだ剣は、地面をクレーター状にえぐり飛ばした。


「ぬぅあああ!?」


 前方で巻き起こった爆発に、バラン団長がスケルトンホースごと弾き飛ばされる。


「【敏捷性】を限界突破!」


 僕は神馬スレイプニールの背を蹴って、猛然と飛び上がる。空中で、投げ出されたリディアをキャッチして着地した。


「きゃああああっ! て、アベル!?」


「リディア無事か! 話は後だ。ティファがヤバい! リディアのスキルを【大聖女】に強化。ティファの【体力】を限界突破!」


『了解』 


 立て続けにバフ・マスターのスキルを使う。


 スレイプニールが僕の意を汲みとって、ティファを目の前に運んで来てくれた。


 リディアは目を瞬いたが、すぐに状況を飲み込んでくれたようだ。


「……ティファは【呪い】の状態をかけられて、瀕死の怪我をしているのね?」


「そうだ。回復を頼む!」

 

 リディアを地面にそっと下ろす。

 彼女にはめられた手錠を、強引に引き千切って壊した。


「任せておいて!」


 リディアがティファの腹部に手を当てて、呪いの解除と治療を開始する。

 大聖女となったリディアに任せておけば、もう安心だ。


 安堵感から力が抜けるようだった。


「あうっ……ごめんなさい。ごめんなさい、リディア様っ……」


「なに、謝っているのよ。あなたは?」


 すまなそうに身を縮めるティファの態度に、リディアはいぶかしげな顔をする。


「ティファ。あのことなら、気に病むなと言ったろ? それとリディアには……」


 ティファに近付いて、耳元で僕が寿命を20年失ったことは、黙っているようにささやいた。


 そもそもティファがあの時、守ってくれなかったら、僕は死んでいたかも知れないんだ。

 彼女が責任を感じる必要はない。


「おのれ! アベル、貴様ぁ!」


 バラン団長が立ち上がって、突進してきた。

 その手には、月明かりを鈍く反射する剣が握られている。


「リディアは……その女は俺の奴隷にするのだ! アンジェラ王女が三騎士がひとり、このバランの力を思い知っ……!」


 セリフを最後まで言わせなかった。

 僕はバラン団長の懐に一瞬で入り込むと、【筋力】のステータスを限界突破。腹にパンチをえぐり込んだ。


「ぶべぇらぁ!?」


 バラン団長は口から血煙を吐きながら、夜空を飛んで行った。


 まるで動きが遅い。

 アンジェラの騎士は、父上、ドラゴンゾンビと、いずれも強敵だったが……バラン団長はまったく歯応えが無かった。


 彼らに比べると、迫力や重圧という物が感じられない。

 薄っぺらい。それが、久しぶりに対峙したバラン団長の印象だった。


 いや、もうコイツは団長ではないか……


「バラン。リディアを奴隷にするだって?」


 僕は神剣グラムを拾い上げた。

 そして、はるか先まで、ボールのように弾んで転がって行ったバランを睨みつける。


「そんな奴は僕が許さない」


「ぐがぁ……バ、バカな。吸血鬼化した俺の筋力を……はるかに上回るだとっ?」


 バランは、這って必死に逃げようとしていた。


 僕は追いかけて行って、その首をはねようとするが。


 ゾッとするような殺気を感じて振り返ると、黒衣の騎士シグルドが……父上が立っていた。

お読みいただきありがとうございます。

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