36話。バフ・マスター、ティファを守りきる
ティファが炎の剣を構える。あれは、【真・鳳凰剣】を使うつもりだ。
疲れ果てている筈なのに、生命を削るあんな危険な技に頼るのか。
「行かせるかぁ!」
黒衣の騎士がティファに襲いかかろうとするが、上段斬りを叩き込んで妨害した。
これは父上から受け継いだ自慢の技だ。
これでティファを守ってみせる。
「あなたには笑われましたが……アベル様を想う心とシグルド様から受け継いだ技で、あなたを討ってみせます」
「ふんっ。借り物の力で調子に乗らないで、いただけるかしら? 私の騎士がシグルドだけだと思ったら大間違いよ」
アンジェラがステップを踏むと、月明かりに照らされた彼女の影が盛り上がる。
「させないわよ!」
すかさずリディアが【解呪】の魔法を唱えた。
アンジェラの影が弾けて、再び平面に戻る。
「あなたのソレは、影を媒介にした召喚魔法ね? 下僕のモンスターを喚ぶつもりだったのでしょうけど。パーティ会場で見せたのが運の尽きね」
「リディア、すごいぞ!」
僕は思わず喝采を叫ぶ。
壁役の僕と補助役のリディア、そしてアタッカーのティファ。僕たちの役割分担が機能しようとしていた。
「ふふふっ、これもあなたのお陰ね。魔法の詠唱速度も強化されているわ」
「くぅっ……!」
アンジェラが焦った顔を見せた。
「真・鳳凰剣!」
ティファが振り抜いた剣より、羽ばたく巨大な鳳凰が飛び出す。
炎の鳥はアンジェラに直撃して、爆散した。
「……あっ。ああっ!? お父様から頂いたドレスが!?」
アンジェラは驚いたことに、あまりダメージを受けていないようだった。
ただ、彼女の黒いドレスは、ところどころ炎に焦がされ破れていた。
最大の技があまり効果がなく、ティファが目を丸くしている。
「怒らせたわね。せっかくお友達になろうと思ったのに……あなたなんて、もう要らない!」
アンジェラが手を振りかざすと、その手には闇を凝縮したような漆黒の剣が握られていた。
「触れたモノすべてを滅ぼす虚無の剣【完全なる虚無】(ギンヌンガガプ)
塵ひとつ残さず消滅させてあげるわ」
アンジェラもティファに対抗するため、魔法剣を使用した。
しかも、かなりヤバい代物のようだ。
「消えて……!」
「えっ?」
リディアの叫びと同時に、アンジェラの漆黒の魔法剣が消滅する。
暗黒魔法であったため、リディアの【解呪】」で、無効化できたのだ。
「ありがとうございます、リディア様!」
ティファが好機と見て、踏み込む。
「私の想いをすべてここに! 真・鳳凰剣! 3連撃っ!」
3体の鳳凰が、アンジェラ王女に同時に襲いかかった。
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