大魔王、勇者、聖女そして魔界大て(ちょっとまて、それダメなヤツ)
大魔王を打倒した勇者アベルと聖女マリア。
人々を苦しめると言われる巨悪が盤踞する城までやってきた。
なろうラジオ大賞2、参加作品です
「下がれ聖女!コイツ強い!!」
「勇者さま!!」
ガッ!四天王の鋭い剣撃が俺の頭を直撃する!
グハッ!首にダメージ!伝説の勇者の兜が無ければ真っ二つだ。
ダメージ軽減の加護のある伝説の勇者の武具には何度となく助けられた。
聖女の回復と祝福が掛けられたが何時までも手間取る分けにはいかない。この先にボスが居る。
魔力回復薬もポーションも残量はあと僅か。その焦りと迷いが大きな隙を呼び込む!
四天王がニヤリと笑った気がした。態勢を崩した俺には躱しようも受け止めようも無い。
必殺致命の一撃が振り下ろされる。
ガシッ!!
その危険な痛恨の一撃は無く、眼前には漆黒の影が立ち塞がる。
ドカッ!
影は四天王を吹き飛ばしこちらに顔をむけ、静かに低く太い声を出す。
「マグレとはいえ、我を倒した勇者がこの程度の輩に手間取るとはな!」
「「大魔王!」」
「行け!アイツはヤバい。死ぬなよ、娘もそう願っている」
「礼は言わんぞ!死ぬな」
「ふん!お前を倒すのは我だ!忘れるな!」
「行こう」俺は聖女に頷いて奥に見える扉に駆け出した。その背中で大魔王が何か呟いた気がした。
「生きて帰れ。その時、我はこう言わねばならん『娘が欲しければ我を倒せ』とな」
◇
そこには本当にヤバいヤツがいた。
スケスケの黒地のレオタードを着た美幼女。それこそ憲兵さんに有無を言わさず連行される案件。
「よくぞここまで来た。妾は魔・界・大・て「ちょっと待った」」「なんじゃ?」「それはマズいので『てー!』でお願いします」
「まあよい。で、そこな巫女よ。なんぞ食べ物はないかの?城のモノが出払っていて空腹でのw」
困惑気味の聖女は、勇者をチラ見して魔法の袋から肉の串焼きを取り出し渡す。
はぐはぐと肉串を堪能すると魔界大てー!はキラキラした目で聖女を見詰めた。
「これは美味いのぅ!礼をせねばならん!ずぶしゅー」
「きゃっぁぁぁぁぁーーーー!!」
魔界大てー!はいきなり聖女の両目に右手を突き入れる!!
「聖女!!何をす・・る?」
指を抜くとそこには前の空色の瞳ではなくエメラルドグリーンの瞳が輝いていた。
「それは『真実の瞳』という『魔眼』じゃ。上手く使え」
陛下はそう言うと玉座に戻り残りの肉串にかぶりついた。
しばらく眼を瞬いた聖女は俺をキッと見詰める。
「勇者さま、ローリィとはどんな関係で?」
「え?あの・・」
「わたしの純潔を捧げただけでは満足出来ませんでしたか?そーですか」
勇者の本当の危機はこれからだ!
◇後書きで続き
マリアのプラチナ色のオーラがどす黒い漆黒のオーラへ変わっている!
まさかこれがオルタ!
「アベル、ローリィはどうでした?可愛い娘じゃないですか。お楽しみでしたね?」
「あの、マリアさん・・ええっとですね?」
「ここへ来る前の『パヨラッシュボクモウツカレタヨの街』では、わたしが旅の疲れで寝込んでいる間に娼館で随分頑張ったらしいですね?『俺は夜の大魔王さっ!』とか」
「な・・あ、あはは・・」
「サンドラさん、お気に入りみたいですね?」
「いや、あの、その・・」
「それに、陛下。気に入りました?ものすごく興奮してますね?胸の豊かなわたしより『ツルペタ』がお好きのご様子」
「・・・・・」
「おう、妾が好みか?勇者どの?種付けするか?(笑)」
ガシッと肩を掴まれる。振り向けない・・
「ほほぅ、うちの娘と?もう寝た、とな?」
痛い、大魔王いたいです・・
「お義父さんですか、あんなに『マリア愛してる』と囁いていたのに・・」
何処までも泥沼が続く・・ホントにここはヤバいところだ・・
明日、俺生きてるのかなぁ?