哀愁のカシミア
本編のほう、私のなかではある程度まとまったのですが、
余り面白い展開にはなっていないため毎回ボツとなっております。
<プロローグ>
やはりか・・
中央スーパー前の行列・・
ばばあども、もとい、行列の手練れどもは既に並んでおるな・・
次元世界の覇者であるこのマスターでさえ先を越されてしまうのが、中央スーパータイムセールに於ける行列争奪戦である。
当店オリジナル「カシミア15%柔らかトイレットロール16入」
※先着20名様、おひとり様2個まで
私があらゆる次元世界のあらゆる商品のなかで唯一ケツ拭き用と認めるそのトイレットペーパーは、先んじて行列を成すおばはんたちにより本日の限定数全てが購入されようとしていた。
はうぁ・・ほぉぉぉう・・ぶへぇっ・・
声にならない悲鳴が私のなかで炸裂し、ムンクの「叫び」のような表情で呆然とおばはんたちの勝ち鬨に虚しく身を捩るのみであった。
私はこの身に降りかかる強烈な喪失感を幾何でも緩和すべく、貴重な在庫があと何日分残っているのかを思い出しながら、次回のタイムセールに向け、ポジティブな気持ちを取り戻す作業に没頭した。
ようしわかった。
今後厠に入るときは、時間が被らぬよう気をつけるべし(ぉぃ
己の至らなさをしみじみと味わいながら、
私ことマスターパペットは閃いた。
そうだ、こんなときは闘技場に行こう。
この梅雨のど真ん中のような鬱憤を晴らせるのは、
やはりあそこしかない。
そんなわけで、中央スーパーとは何の繋がりもなかったが、
私は闘技場にいくことにしたのである。