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えぴそうど、その5〜性格の不一致

「だから、僕は勇者になんかならないよ。さっさと地球に返してよ。」

持参した本を読みながら勇者マサオは不機嫌そうに言った。


従者のタマちゃんが涙目になる。

「勇者様〜、そんなこと言わないでくださいよ〜。」

「僕が勇者になって魔王を倒すっていっても、何のために?」

「それは苦しめられている民衆を救うために。」

「僕、ここの住民じゃないし。仲間を守るんだったらここの住民から勇者を選べばいいのでは?」

「それは、、女神様が勇者は地球から呼ぶと決めていらっしゃいますんで。」

「そんなに力がある女神様なら自分で魔王を倒せばいいんじゃないの。」

「いや、あの、その・・・神さは地上のことに干渉してはいけないと。」

勇者マサオはにやりと笑う。

「じゃあ、僕を召喚することも干渉じゃない。そんなことしちゃダメだよねえ・・・・。」

「う・・・。」

会心の一撃、タマちゃんは死んでしまった(心が)。


勇者マサオの攻撃はさらに続く。やめろ、これ以上やるとタマちゃんが・・・・。

「だいたい、魔王だの魔物だのって存在自体が科学的じゃないよね。火を吐いたり瞬間移動したり。」

「仮にそういう魔物がいたとして、それにどうして勇者ひとりで戦うの?勝てるわけないじゃん。」

()()()、という言葉に反応し、タマちゃんはかろうじて立ち上がった。

「いや、ですから仲間を集めて・・・・・。」

「騎士とか魔法使いとか僧侶でしょ、弱そう・・・・。地球から軍隊を呼んでくればいいのに。それかアンドロイドとか人造人間を勇者にするとか・・・・・。」

「軍隊はともかく、アンドロイドは現実的ではないんですけど・・・・。」

「とにかく、どいてくれる。僕はあなた達の人形じゃないから・・・・。」


タマちゃんを押しのけて勇者マサオは出て行こうとする。

「勇者様〜〜〜。」

タマちゃんが袖を引っ張ると、本が落ちた。

本を拾い上げて中身をみる。”これは・・・・・”

タマちゃんにかすかな希望が生まれた。

ロボット、人造人間・・・・、そしてこの本は・・・・。

「ちょっとまってください・・・・。女神様に連絡しますんで。」

タマちゃんはスマホを取り出し、女神様に電話する。

「あ、女神様ですか・・・実は・・・はい、わかりました。」

交渉成立、タマちゃんは回復した。

ナニワの商人のように手もみをしながら、タマちゃんはマサオに取引をもちかける。

「マサオはん、この話、あんたはんにも悪い話やないとおもいまっせ・・・。どないだ。」


それから数日後のこと。

美少女がマサオの居住エリアに飛び込んでくる。

「大変よ、マサオ。魔王の第3の使徒が襲来してきたわ。私は弐号機で先に行くわよ。」

「わかった、僕もすぐ初号機で発進する。」


マサオが彼の機体にのって発進するのを見届けたタマちゃんはため息をつく。

「女神様も、ロボット系のアニヲタなんて勇者候補にしないでほしいですよ、本当に。」

タマちゃんは女神と魔王に根回しして、この世界を某アニメ系の世界観に作り変えたのだ。

女神も、新しい勇者候補を選び直すのが面倒だったので同意した。

魔王については、部下の魔物の呼び方を変えるくらいでさほど問題がなかった。

「まあ、ちゃんと最後にとどめだけさしてくれたらええんですけどな。」

「ご迷惑をおかけします。」

タマちゃんは魔王にお土産のカステラを差し出した。

「そんな気ぃつかってくれんでもええのに。タマちゃんとは古い付き合いやしねえ。」

「そう言っていただけると助かります。」

「しかし最近、変な勇者が増えてますなあ。昔みたいに単純な若者の頃が懐かしいですわ。」


希望通り、仲間も全員美少女で揃えた。巨大ロボットも彼の注文通り用意した。

マサオは「ロボット」と言うとムキになって「人造人間」と言いなおすのだが、この世界観をノリノリで楽しんでいる。


タマちゃんはつぶやいた。

「でも、あのロボットも魔法で動いてるんだけどなあ。」


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