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「リョウは勘違いしているようだから説明しておく。

 まぁ、アトラス市民でも把握している者は少ないのだがな」



 ん?冗談じゃ無かったのか?

「どういうことだ?」



「本来、ファリラスは邪神などではない。……自由神なのだよ」



「ほう!愛と自由の使者ですかい!」

 某ロケット団みたいだな。



「至高神などと大層な名前で呼ばれとるファリイスも、実は法と秩序の神でな。

 ファリラスとは双子の兄弟だ」



「俺の鑑定でも、そこまでは言ってなかったな……」



「うむ、これは創世の頃の伝承でな……エルフやファリラス神殿等、一部の人間にしか知られていない」



 またもや新事実発覚……チート能力、マッドサイエンティストに負ける。


「なるほどな……ファリイス側にとっちゃ、自由……

 勝手気儘に行動されたらたまったもんじゃないからな」



「うむ、為政者達にとってファリイスの教えは本当に都合が良くてな。

 ファリラスの自由思想は邪魔な存在となる」



「で、国々の長い歴史の中で、いつの間にかファリイスは至高神、ファリラスは邪神とされたと」



「概ねそのような感じだな。正確には暗黒神等を経て、現在の邪神の長となったのだがな」



「聖書や世界の歴史の話は追々聞くとして、何故ファリラスに味方しようと?」



「リョウは自分の考えを自己完結させて、言葉足らずのまま話を進めることが多く、会話を理解するのにコツがいる。

 ……最高神とファリイス、どちらもいないのだろう?現在」



「あ、すまん。

 言ってなかったっけ?わりいわりい。

 そうなんだ。どっちも居なくて、ファリラスの勢力が増したって言ってた」

 俺のうっかりさん!

 ロシエラさんはジト目で見てますが……お茶に口を付けごまかしましょう。

うん、このお茶美味しいです。



「……それでこの剣の持ち主はバランスをとる為、過剰とも言えるリソースをお前に与えたと言う事だな」



「そうそう。だからちょっとムカついてる」

 激オコぷんぷん丸です!(死語)



「ならばこその意趣返しだ。

 ファリラスは至高神の兄弟なんだ。責任もって治めてもらおうではないか。このアトラスを」



「大丈夫か?

 方法云々は別として、アトラスの皆は納得いくか?」

 俺なら無理だぞ?

 昨日まで敵です!って言ってたのを、今日から味方だから仲良くしましょうっての。



「それも含めて頑張ってもらおうではないか、ファリラス自由神様に。

 とはいえ、無策で提案した訳ではないぞ。

 ついでにいえば保険まである」



「保険?」



「そうだ。さっきから部屋の隅で床に『の』の字を書いている、あれだ」



「あー納得。

 本人曰く、世界神並みの力はあるそうだよ」



「決まりだな。」




『え?何か?』




「「ふ、ふ、ふ。こっちの話だ」」





~…~…





 今、俺は旅支度をしている。C級試験を受けるという名目のもとに、ファリラス陣営の視察へ行く為だ。


 元々、C級の受験資格は持っていた俺。10年も冒険者をやっていたんだ、昇級に必要な依頼の達成や素材提出は済んでいる。

 ただそれに、自分が納得いくだけの実力(ジツリキ)が追っついていなかっただけだ。


 ってことで、ロシエラと相談の上、敵地に直接乗り込むこととなった。



 余談だが、相談中、剣霊のスペックが異常に鬱陶しかった。


 しょうがないから、ロシエラ先生監修のもと、力の制限を掛けさせて頂くことになった。

 勿論、剣霊さんは笑顔で快諾してくれた。

(当然、俺のボックスを開けて『2度と出さないぞ?』と言った後だけど……そこは気にしちゃいけない)


 まずは下処理の確認。

 ロシエラ先生曰く、所有権は自分、所持・使用はロシエラが行う、という方法は大変有効だ!とのこと。

 部屋を見つけた時、勢いで自分の剣にしてしまったが、処理は間違っていなかったことに安堵する。


 次に【漂流者】のみ使用可能になっている制限をどう克服するか。

 これをどうにかしないと、ロシエラの研究材料に出来ない。

 かといって、所有権譲渡は同じ【漂流者】にしか出来ないらしい(出来てたら新たな邪神を誕生させてたかも……)ので、杖や固い棒以外の使い道を模索。

 結果、俺の付与魔法と彼女の付与魔法を駆使し、どうにか魔力と知識の引き出しに成功。


 そう言う事で、ロシエラ先生の研究、古代魔法に関しては9割方終了してしまったとのこと。


 いっそ、その研究成果をひっ提げてS級冒険者とか建国の王にでもなればいいのに……

 研究の(ロシエラさん)は、目の前に最大最良の研究対象(剣霊さんだよね?こっち見てるけど……)が在るから死ぬまで研究者であると言い放った。

 この世界にノーベル賞があったら3回は受賞出来るよ、あんた。


「準備はいいか?研究に必要なモンはバンバン剣霊様に持たせてくれ」



「わかっている。既に2部屋分の資料と素材を渡している。

 しかしなんだな……ボックスと言うのは便利だな」



「確かにな。空間だけでなく、中の時間や温度まで調節出来るからな」



『本来、ボックスは時間と空間だけ調節可能なのですが……』


「「は?!」」



『はい……温度も調節させて頂きます……』




 剣霊さんには今回、荷物持ちという大役を担ってもらう。

 ボックスも転移も俺自身使用可能なのだが、道中一切そのような力を使うつもりはない。


 そして、研究対象(2体)が移動するのに、研究者が来ないはずがなく、研究資料と共に一緒に来てくれるそうだ。

 非常に助かる。


 なんてったって、人外2体のストッパー役がいないと何が起こるかわからない。(そのストッパー役もマッドサイエンティストっていう……この世界大丈夫か?)



 かくして、とんでも3人による世直し(間違ってはないよな?)の旅が始まりました。



 ……その前にギルドに報告だな。……なんて報告しよ……。





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