遊んで怒られて懐かれてる。
注意!この物語にはバカしか出ません!
とにかくバカです!作者もバカです!
そんなのでもいいよ!って方はぜひ読んでいってください!あと少し読みづらいかもしれませんがご了承ください。
今回の登場人物
『同好会メンバー』
・九十九大地「つくも」
・鹿沼健人「らむ」
・咲音蒼香「咲音」
・日廻陽菜花「ヒナ」
・砂川優人「ゆう」
・関根友貴「トモ」
『生徒会』
・水城爽良「会長」
・小日向菜摘「副会長」
『先生』
・奥里弘樹「先生」
『会長妹』
・水城鈴音「鈴音」
一章 14話
『ハーイ!そろそろみんなお待ちかね!アクアスターの来る時間だよ!』
『言ってもわからねえようならよぉ…殴って分からせてやるよ!!』
『この子が会長の妹!?』
『鈴音です!助けていただきありがとうございます!』
『え、あ、うん、よ、よろしく?』
*
生徒会の仕事の次の日、月曜日の昼休みにて──
俺はらむ、ゆう、トモのいつもの3人と教室で昼飯を食べながら昨日の出来事を話していた。
「──ってことがあってさ、昨日は本当にわけがわからなかったよ」
俺は弁当の卵焼きを食べながら話す。
「会長の妹…やっぱり騒がしいのか?」
「会長の妹だもんね、控えめに言って元気いっぱいだろうね」
「会長の妹か、生涯病気にかからなそうだな」
3人は口々に言う、随分酷い口振りだな。
「お前らなぁ、それ会長が聞いたらブチ切れるぞ、あの人すごいシスコンだから」
(この世で一番愛してるとか言ってたしな)
「それでそれでつくも、どうなんだよその娘は」
らむがニヤついた顔で言う。
「どうって、なんのことかな……」
俺はらむから目を逸らし誤魔化すかのようにご飯を口へかき込む。
「とぼけないでよつくも、決まってるでしょ?」
「一番大事なことだよな」
ゆうとトモがここぞとばかりに追い討ちをかける。
「うぅ、お前らまでかよ……」
味方がいない…だと……!?
「……可愛かったよ、そりゃ、もうすごい可愛かった」
会長も顔が整ってるし、もうそういう血筋なんだろう、会長がシスコンになるのも分からなくもないくらいに。
「やっぱりか、そんな可愛い娘とお前は昨日知り合ったのか、そして仲良くなったのかぁ…!!」
らむは悔しそうに言う。
「まぁ、そうなるな」
そう言った瞬間、俺の目の前にいた3人の表情が豹変し──
*
違うと言ったら嘘になる、俺は真実をそのまま述べた、ただそれだけなのに!!
「なんで…なんでなんだよ!こんなのって…ないよ……」
空になった弁当箱のおかず、残された白米を呆然と見ながら涙を流す。
「お前だけ可愛い子と仲良くなるなんて不公平だ!」
「等価交換がこの世の摂理だからね」
「何かを得るには何かを捨てなければならないんだよ」
くそぉ、どこの錬金術師だよぉ
─3限目の授業─
「おーいお前らー、席につけー、授業始めるぞー」
現代文の授業、担当は我らが担任の奥里先生。
「うぃーす」と続々に席につく。
「はい、じゃあ始めるぞ、まず教科書開けー、前回の続きからだ」
俺は言われた通り教科書を開く。
「おい、鹿沼ぁ、口に入ってるのを出せ~」
「はーい、さーせん」
らむは口からガムを吐き出す。
「ったく、授業始まってんだよ、おい山鳥、お前はまず教科書を出しなさい」
「うす、了解っす」
山鳥は机から教科書を取り出し開く。
「よし、それでいい、授業続けるぞ」
*
「これがマイケルがくさやをプレゼントに送った理由だ、とりあえずここまでノート写しとけ」
黒板に書かれた内容をノートに写していく人達、そして──
「おい、野村ぁ!授業中に珈琲豆を挽くなぁ!」
「はっ!つい!すいません!!」
ガリガリと音を立てていた野村はコーヒーミルを鞄へ戻す。
教室の至る所からクスクスと笑い声が聞こえるが、これはもう仕方が無いと思う。
「授業中になんて事してんだお前は!そして山鳥、お前は筆箱を開きなさい」
「うす、了解っす」
*
「それでくさやを貰った齋藤の心境はここに書いてあることから……おい鹿沼ぁ!現代文の時間にカルメ焼き作ってんじゃねえ!!」
「すいません身体が勝手に……」
らむの机の上にはアルコールランプ、網、小さいフライパンのようなやつ、そしてその他もろもろが並べられていた、ちなみに今は現代文の時間だ。
「道具は後で理科準備室に戻しとけよな、そんで山鳥、シャーペンの芯を出しなさい、ノート何も書けてないぞ」
「うす、了解っす」
*
「マイケルと斎藤は一緒に仲良くくさやを食べてこの話は終わりなわけだけど、はい、ここからが大事な所──」
先生の口が止まる。大きく息を吸い……
「おい九十九ぉ!なんで大根を丸かじりしてんだァ!辛くないのそれ!ケチャップを取り出すな!絶対不味いぞ!絶対不味いからなそれ!」
「うえぇ、不味い何これ……」
「だから言ってんだろうが!!」
*
「少し早いけど今日の授業は終わり、残りの時間は少し話があるから聞きなさい」
授業終了時間の10分前、奥里先生はそう言いみんなの視線を集める。
「お前らなぁ、いくら何でも授業中に自由すぎじゃない?」
いつも基本気だるそうにしている奥里先生も流石に生徒達の自由すぎる態度に堪えたようで、大きく溜息をつきながら言う。
「しかも今日に限った事じゃないからな、前回お前ら何やってたか覚えてるか?」
奥里先生は顔を下に向け、首を横に振りながら声を出す。
「隣のクラスの人まで呼んで組体操だよ!!」
両の手で勢いよく叩かれた教卓はバンッと大きな音を立て、2~3cm宙を舞う。
戸惑う生徒、大爆笑する生徒、頬杖をつく生徒、様々な反応がある中、奥里先生は続ける。
「お前ら他の授業でもこんなことやってるのか?おい、九十九どうなんだ」
ビシィッと効果音が聞こえそうなほどに勢いよく指をさされる。
「いやぁ、奥里先生の授業だけっすね、他だとみんな静かっすよ?」
俺は正直に答える。
「だと思ったよ!だって全然苦情来ないもん!他の先生達に迷惑がかかってないなら良かったよ!!」
安堵しているのか、怒っているのか、きっと、と言うか絶対的に両方だし、こうなった原因である俺達が言うのも何だけれど……
「先生、一旦落ち着けよ……」
最初に口にしたのはらむ、それもバッグの中からガリガリ君を取り出しながらの状態で。
「落ち着けるかぁあ!!なんでガリガリ君出してるんだよ!!今説教中だよ!しかもなんで溶けてねえんだよ!いつ買ったんだよ!さっきから食ってばっかだなお前ら!」
─5分後─
「はぁ…はぁ……分かったか?次からは…しっかりと…授業を受けなさい……あと今日俺に怒鳴られた奴は放課後職員室に来なさい……」
あれからずっと怒鳴り続けた先生は流石に体力の限界を迎え、授業終了のチャイムとともに教室を出ていく。
*
─同好会にて─
「いやぁ、見事に大激怒でしたね、奥里先生」
「今まで見逃してた分一気に来たね」
放課後、らむと俺は職員室で説教を食らった後、少し遅れて旅同好会の部室へ入る。
「うぃーっす、お待たせ~」
「二人揃って説教食らってて遅れたわ」
部室に入ると俺ら以外のメンバーは一人残らず揃っていた。
「遅いよ!らむ!つくもっち!こっちはもう待ちかねて大富豪5戦目に入ってるんだからね!」
四つの机を向かい合わせにしたステージにヒナがキラキラと目を輝かせながらAを2枚出して言う。
「この5戦目も私の勝ちだけどね」
咲音は手札に残った残りの2枚を出す。ダイヤの2とスペードの2。
ヒナ、ゆう、トモの3人の手札はまだそれぞれ5枚以上ある。こいつらの表情は…もう言うまでもない。
「それはともかくつくも君、らむ、その手に持っている大量の紙束は一体何なのかしら?」
咲音が言っているのはきっと俺達2人が手にしている四百字詰め原稿用紙30枚の事だろう。
「今までの現代文の時間の反省文、最低15枚だそうです。」
「提出期限は1週間以内だってよ」
もはや現実逃避し、他人事の様に言う俺ら、目の前の紙束は間違いなく自分のだと言うのに。
「現代文って3限目?つくも達のクラスすごい騒がしかったよね」
「先生の怒鳴り声すごかったね!鹿沼ぁ!がこっちまで聞こえてきたよ」
ゆうとトモは俺達の隣の教室、ヒナに至っては2つ隣だ。
「自業自得もいい所よ、大根にケチャップなんてよく考えついたものね」
咲音は完全に呆れている様子で、それを聞いたヒナ達は頭の上に?マークがついている、状況が伝わっていない。
「お前ら、大根にケチャップはやめとけ、悪いことは言わないから生で齧るときは味噌かマヨネーズにするんだ」
*
「それでつくも、今日の活動は?」
あのどこか掴みようのない会話から数分、らむが口にする。
「おう、今日は…今日は……何する?」
夏休みの活動ももう話し合っている、それ以外に特にやることもないし、詰まるところ何もやることがない。
「おいおい、こっちが聞いてるのに疑問形で返してどうするんだ部長」
俺は数秒考え、答えを出す。
この場でできる最善の行為、この場に合った最良の活動。
「OK分かった、つまりこういう事だ、大富豪の続きをしよう、今度は俺とらむを入れてな」
*
「とりあえず4!」
「5」
「7」
「9」
「うぅ~、パス……」
「2、上がり!よっしゃぁ!俺が大富豪だ、さぁ、貢ぎ物をよこしなァ!」
1戦目、つくも大富豪、ヒナ富豪、ゆう平民、トモ平民、らむ貧民、咲音大貧民の結果になる。
「さぁ、2戦目に行こうか、まぁ、また俺が大富豪になって終わるだろうけどな!」
*
順番、つくも→咲音→トモ→ヒナ→らむ→ゆう
(初手は見事に全て7以上の神手札、負けることはまず無いな……)
「行くぜ!7!!」バァンッ!
勢いよく机にカードを叩きつける。
「初っ端から数字が大きい!あいつ引きが良かったな!?」
「いや、ハッタリの可能性も……」
「つくもっちのあの顔は絶対いい手札だよ」
「顔に出るタイプだね」
「トランプゲームで顔に出るのは致命傷ね」
咲音が続け様にカードを出す。
「8」
8、つまり八切り、今出ているカードを除け、初めからにすることが出来る。
「開始一周目で八切り……!?」
「嫌な予感がするぜ」
「後に出さないってことは……勝ちを確信してるのか!?」
1枚ずつ置かれるカード。
「9…」
「9の2枚目」
「9が3枚……」
「革命よ」
その台詞とともに放たれる4枚目、ハートの9。
「……馬鹿野郎!!」
「また咲音の勝ちパターンかよぉ!」
「いや、待て、トモの様子がおかしいぞ」
「何、トモ君、これを返せると言うのかしら?」
不敵に笑うトモ、その重く閉ざされた口が開き、声を出す。
「フフフ、ハーハッハァ!!……ごめん普通にパスだわ」
「「「「「何だよ!!」」」」」
その時、初めて一斉に皆の思いがシンクロした瞬間だった。
「いやぁ、楽しかったー!」
「まさかあのタイミングでヒナが咲音を王座から引きずり下ろすとは思わなかったな」
結局、今日の同好会は終始大富豪大会となり、あっという間に終了時刻を迎えた。
*
同好会が終わり、校門で自転車を取りに行っているらむを待っていると見覚えのある後ろ姿が目に入る。
(あれは…鈴音ちゃん?でもなんでうちの学校に?)
そう思ったが声をかけないことには謎は解けない、俺は鈴音に声をかける。
「こんにちは、鈴音ちゃん、会長を待ってるの?」
声をかけると鈴音ちゃんはスマホに向けていた顔を上げ、こちらを向くと、その顔はみるみると笑顔になる。
(なんだこの生き物すごく可愛い!)
「わぁ!大地さん!私お兄ちゃんじゃなくて大地さんを待ってたんですよ!」
鈴音は俺の両手を掴み上下にブンブンと振り回す。
「げ、元気そうで何よりだよ」
溢れ出る精気が何とも目が眩むくらいに眩しすぎる。
「元気は私の取り柄ですから!長所ですから!」
これはきっと兄譲りのものなのだろう。
「それで、俺を待ってたって何か用でもあったの?」
こんなわざわざ学校まで来る程の用事とは何なのか……
「いえいえ!用事なんて無いですよ!大地さんに会いたかっただけです!ただまぁ、強いて言うなら昨日助けてもらったお礼をしに!」
(いつの間に俺はこんな好かれてたの!?嬉しい!嬉しいけどこんな所らむにでも見られたりしたら……)
「おーいつっくもー!お待たせー!」
(ですよね!見られないはずがない!だって俺はこいつを待ってたんだもの!)
「うぇ!?つくも誰この可愛い子!お前俺に隠れてこんな可愛い子とイチャついてるとか!信じてたのに!」
謎のショックで泣き崩れるらむ、手で押してきた自転車も手を離されガシャンッ!と大きな音を立てて倒れる。
「イチャついてねえよ!この子は昼休みに話してた会長の妹さんだし、そもそも俺が誰と仲良くしてようがお前の許可なんていらないだろ!」
俺は地べたに這いつくばるらむに文字通り上から言葉を放つ。
「誰ですかこの騒がしい人は、そうですよ!イチャついてるだなんて!私はただ大地さんと仲良くしてるだけで……あ、でも、あわよくばそういう関係になりたいし、ゆくゆくは『イチャついてる』っていう表現も間違いでは無くなるかも……」
「鈴音ちゃんも何言ってるの!?」
「おい!つくもどういうことだ!?やっぱりお前抜け駆けか!?」
「休みの日には一緒にヒーローショーを見に行ったり美味しいご飯を一緒に食べたり手を繋ぎながら一緒に夜景を見たり……」
「鈴音ちゃん?ちょっと、話が飛躍し過ぎてるよ、おーい、戻ってきてー!らむは黙れ!」
「だ、黙れって酷くない!?ねえ!ちょっと、ちょっと聞いてる!?」
「大地さん!夢のマイホームは大きいお庭付きがいいです!あとはあとは!」
「お前ら二人共少し口を閉じなさい!!」
この時少し授業中の奥里先生の気持ちがわかった気がした。
*
「あ、この子が例の会長の妹さんだったのか!そうならそうと早く言ってくれよ!お前が年下の彼女作ったのかと……」
悪かったな、と謝るらむ、ゴメンで済んだら何とやらなのだが……
「いや、分かってくれたなら良いんだけどさ、それで鈴音ちゃんはどしたのかな?」
口の前に両手の人差し指でバツをつくる鈴音、ミッ〇ィーちゃんかな?
「んんん、んんんん、んんんんんん」
んーんーと言われても何を言いたいのかが分からない。
「鈴音ちゃん、お願いだからちゃんと喋って?」
そう言うと鈴音は両手を下ろし口を開く。
「ごめんなさい、口を閉じろって言われたので喋れませんでした!」
そういう意味で言ったわけじゃないし、ちゃんと謝るあたり偉いと思う。
「うん…なんかこっちこそごめん……」
「なぁ、つくもー、こんな所で立ち話するのもあれだからマック行こーぜ」
らむが自転車に跨りながら言う、もう行く気満々じゃねえか。
「って言ってるけど鈴音ちゃんは大丈夫?」
学校帰りだしあんまりこっちの都合で出歩かせるのは気が引ける、何より会長の妹だし。
「大丈夫ですよ!行きましょ行きましょー!」
あぁ、可愛いなぁ、俺もこんな妹が欲しかった!!
「ちょっと、いきなり撫でないでください!」
はっ!無意識に手が!?
「ご、ごめん!」
慌てて鈴音の頭から手を離す。
頭を抑え俯く鈴音。
「いや、嫌なわけじゃないんです、その…いきなりだと照れちゃいます……」
尊いっ!!
「お前らきっと良い兄妹になれるよ」
らむが横から俺らを見ながら言う。
「やめろ、会長から何されるか分かんないから」
あのシスコン割と本気で怖いから。
「大地さんはお兄ちゃんよりも出来ればずっと私と一緒にいてくれる彼氏さんになってほしいです!」
それこそ会長に殺されかねない、いやマジで。
「おい!つくもやっぱりイチャついてるじゃねえかよ!」
自転車で俺を轢きにかかるらむ。
「危ないならむ!これまたさっきの流れになるだろ!早くマック行くぞ!」
結局このテンションのままマックを目指し校門を出た──
今回も読んでいただきありがとうございました!
妹キャラ…これまた難しいジャンルですが出来るだけ可愛くあざとく書けるよう頑張ります!
次回もお楽しみに!!