表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/143

運命の赤い糸

 目覚めると、俺の小指に赤い糸が巻かれていた。

「おおっ!ついに俺にも!」

喜びの余りベッドから転がり落ちてしまった。

 普段ならゆーうつな通学も、今日に限っては天国への階段を登るようだ。ちなみに、赤い糸は、将来結ばれる二人にしか見えない。

 学校に着いた。赤い糸はどうも教室に続いているようだ。

「まさか、いや、そんな」

淡い期待。祈りながら、期待しながら、歩を教室に向かって進める。

 がらり。教室のドアを開ける。果たして、赤い糸の主はクラスメイトらしい。

 おれはぐるりと視線をめぐらし、赤い糸の主を、つまり、将来の妻を探した。そして本日二回目の喜びに出会った。

 佐藤あやね。学校一の、いや、この日本一の美少女。彼女の白く華奢な小指に赤い糸が巻き付いている。そしてそれは俺へと続いていた。

 ふたりの、将来結ばれることが約束されたふたりの視線が絡まる。

 俺の脳内では幸せの鐘の音が鳴り響く。そして、佐藤の、いや、「あやね」の桃色の唇から福音に似た言葉が紡がれる…



 



 「イヤだ!なんであんたなのよ!」

佐藤は赤い糸をすぽん、と勢いよく引き抜き、ゴミのように地に投げ捨てた。

 そんなのアリかよ!




 かくして桃色未来は失われた。もし、ふたりがお互いに将来結ばれることを知らなければ、あるいは現実となったのかもしれない。

しかしまぁ、今となっては覆水盆に帰らずだ。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ