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 朝起きると私は虫になっていた。

急いでベッドを抜け出し、洗面所の鏡を覗く。そこには擬人化されたようなポップなヤツではなく、草むらにいそうなリアルな虫がいた。

寝ぼけ眼の妻が起きてきた。私が姿を隠すかどうかでうろたえていると、妙な目で一瞥しただけで何も言わず顔を洗い始めた。

「おい、なにか言うことはないのか」

「、、、今日も残業でしょ。ご飯、ラップしときますんで」


 私は病院にいくことにした。結局家を出るまで、妻も娘も私が虫になったことには一言も触れなかった。そしてそれは先生も同じだった。私がいくら訴えても、終始眉1つ動かさなかった。

「お薬出しときますので、食後に飲んでくださいね」


 私は出社することにした。

そこで私は大量の虫をみた。普段は×が座る席に虫がおりパソコンをかたかたやっている。○の席でもそうだ。△でも、□でも、、、、、、。

 ひとり、虫ではないやつを見つけた。Aだ。無趣味、無個性で、仕事からも情熱を感じないし、何を楽しみに生きているのかわからない、まさにゆとり世代のやつだ。しかし、この際、背に腹はかえられない。

私はAを呼び出した。

「なんでしょうか」ぼんやりとAが言う。虫だらけの状況に気づいていないらしい。

私はすっかり事情をAに話した。

するとAは意外にもあぁ、と、なにやら得心がいったような口をきいた。

「でしたら、今日は、というよリこれからは少し早めに帰ったらどうでしょうか。ほら、よく言うじゃないですか、例えば本好きな人のことを指して、本の虫とかって。主任の場合はさしずめ仕事の、、、、、、」

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