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願わくば、霧よ  作者: 晴間雨一
八章『薄墨の頃』
139/193

135. 不死性


「セレナディア女王。ねえ、ひとつ聞きたいことがあるのだけれど」


 ハインセル王国の地下深くを流れる暗い水路。黒々とした水の上を往く船の船首に立ち、腕組みをしたままでアーデルロールは言った。


 その背中は威風堂々たるものでいて、さながら経験豊富な船乗りのようだったが実際のところ彼女にはそんな肩書きは無かったし、船は風を受けていなければそもそもアーデルロールの所有する船ですらないことは言うまでもない。

 わたしたちが利用しているのは盗んだ……もとい借りものの船だ。


 水路の暗闇を睨みつづけるアーデルロールから質問を放られた女王は宙に浮かぶ水のボールの上に寝転がっていた。顔のすぐそばに浮かんでいる水のぶどうをひとつつまむと女王はのんびりとした調子で応じ、


「許す。申せ」

「以前の試練の直後の転移、どうしてあたしたちはハインセルにまで飛ばされたの?

 あたしはてっきり白霊泉のそばにでも出るのかと思っていたんだけど」

「ああ、そのことか」


 すっかり忘れていた用事をどうでもいい時に思い出したような何気ない声でセレナディアは言った。ついでにその返答も実に素っ気ないもので、


「あれは引きずられたのさ」

「何に?」

「うむ……やけにこだわるなあ」

「家の扉を開けたら戦場だったみたいな突拍子の無さだったんだから文句のひとつふたつぐらいは出るっての。違うわ。ええと……出ますってのよ」

「アルルちゃん、変に意識すると言葉が変になるねえ」

「精王にべたべた触るビヨンには言われたくないわね、もう」


 水のぶどうの皮がひとりでにスルスルと剥け、それをセレナディアが房ごとつかみ、小さな口を盛大に開いてあんぐと飲み込む。


 女王の返事を待つあいだ、アーデルロールはつまさきでパタパタと甲板を蹴っていた。早くしなさいよ、の意思表示だろうが精王相手にも構わずかますとは肝が太い。いや今更か。


「まあ良い、答えてやるのも契約者の務めよな。うむ……わらわは貴様ら……。

 ええと名は何と言ったか。アーデルロール! そう!

 そうだそうだ。わらわはな、貴様らを確かに我が王国の領内に出さんとしたのだ。

 しかしなあ……。我が術にとある力が割り込みおってな。

 口惜しい話だが余は競り負けた。以上」


「以上、じゃないわよ。詳しく教えなさい」

「なんだ貴様。暇なのか?」

「でたらめに暇よ」


「フハ、正直で良いな。よかろう、かいつまんで教えてやる。

 貴様らも知ってのとおり転移魔法は万能だ。

 が、しかし同時にひどく不安定な代物でもある。

 これは〝霧払い〟の時代の頃よりそうであったからな。

 文明それ自体が大幅に衰退した現代ではより顕著であろう。


 転移とはひとつの命を塵のようにほどき、指定した場でまた形を結ぶ術。

 例えるならば……そうさな……。

 浜で築いた砂像を異なる場所で砂つぶひとつひとつ、自分の手で寸分の狂いなく再現する、とでも言えばいいか? どうだ、今ので分かるかそこの槍男?」


 女王の言うところの槍男。コルネリウス・ヴィッケバインの返事はない。

 何故なら彼は普段の威勢の良さをすっかり失い、どころか船の甲板に残された木箱の隅で体育座りのまま丸くなっているからだ。

 亀がその顔をにゅっと覗かせるようにコルネリウスが顔をあげる。

 眉の外端は下を向いていて、なんというか物凄くげんなりとしていた。


「さっきまでは聞く気分だったが小難しくなってからは興味ねえ。

 それよか何か肌寒くねえか?まるであれが出るみたいじゃねえか。

 こええよ、マジで。無理だ。こんな国早く出よう。俺を連れ去ってくれ」


 吐き出すように一息で話し終えると彼は自分の膝のあいだに顔を突っ込み静かになった。今はそっとしておこう。幸いセレナディアも興味を失ったようだ。


「ふん。ま、この時の砂つぶの状態はひどく不安定でな。

 詳しい説明は省くがもっとも魔力的な干渉を受けやすい状態になっている。

 今回はそこを突かれた」

「誰がやったのか目星はついてんの?」


 船を包む水の膜に指を伸ばしてアーデルロールが言う。

 奇妙なことに水は彼女の指から逃れるようにゆがんだ。


「知れている。呼んだのはこの国さ」

「ほーん。ハインセルが呼んだってわけね」

「気づいていたのか?」

「当てずっぽうよ。それっぽく言っただけ。

 ま、こんな不気味な土地なら何をやらかしてもおかしかないか」

「今のルヴェルタリアも大概だろうがな。……ふふふ。

 ハインセルが貴様らをつかみ、引き寄せたのだ。

 精王を上回る力は想定外であったが、今更何を言っても後の祭りよな」

「僕たちが引き寄せられた理由は何ですか?」


 わたしは体の具合を確かめながら訊いた。疲労は相変わらずだが体は動く。

 紋章の使い方を工夫したのが幸いしたのか、以前の記憶にあるそれよりも負担は少ない。このぶんなら通常行動に問題はないだろう。


 女王がわたしに一瞥をくれる。

 それが努めてのものか、または自然のものかは分からなかったが感情を殺した冷たい視線だった。


「……そこまでは知らん。さて、語らいにも飽いたな。

 質問は終わりだ。せいぜい次の機会まで問いを貯めておくとよかろ


………

……


 暗い水路にぼんやりとした光が差し込み、霧の灰色が濃くなる頃に船はようやく外へと出た。

 ひんやりとした空気が熱した頬に触れると心地が良い。

 やはりあの地下の空気は相当によどんでいたのだろう。

 それこそ川底に沈殿する泥や澱のように。


 外気を吸うのが数年ぶりのことのようにも思える喜びにちいさく身震いをした。

 衝動のままに胸いっぱいに息を吸い込みたかったが、周囲の霧まで吸うのかと思いとどまった。


「雨は止んだみたいだね」


 手のひらを上向け、曇り空に顔を向けながらビヨンが言う。

 羽根のようにぴょんと跳ねた横髪がふわふわ揺れる。



「微妙に見える地面がぬかるんでる。豪雨だったのかな」

「霧があるってのによく見えるな。

 んん……っ! やっぱ外はいい。スッキリする」

「……そうだねえ」


 哀れなものを見るような目つきをビヨンがする。

 どこかの過去――体育座りの膝に顔をうずめるコルネリウスを思い出すように彼女は目を横一文字に細めた。


「ん? なんだよ?」

「いやいや。なんでもないよ」


 糸のようになった目のままで魔法使いは思わせぶりにタメを作り、答える。


「外はいいよねえ。あ、そういえば……。

 うちらがハインセルに入って今日で――何日だっけ?」

「だいたい10日ぐらいじゃない?」


 アーデルロールが腰に戻した〝聖剣〟に触れながら言う。

 鎖の鳴るしゃりしゃりとした音と声が混ざった。


「急がないとカナリアの言っていた滞在期間の上限にあっという間に届くわね。

 こんなとこで意味わからん死に方だけはごめんだわ。

 ていうか死ぬつもりなんてこれっっっっぽっちも無いけどね!」

「アルルに同意。ここの霧は害を及ぼす、って話だったかな?」

「ん。そうそう」


 山に囲まれたハインセルの国土は災害から20年が経過した現在、陸地すべてが濃霧で満たされていた。

 そのうえハインセルの霧は外のそれよりも数段に濃く、人体に害を及ぼすということをわたしたちは一時の道連れだった雌狼(カナリア)の口から聞かされていた。


 つまり、現在のハインセルに長居は出来ないということだ。

 並の人間では最長でも20日の滞在が限界だとカナリアは言っていた。

 それ以上は命の保証は無い。……これは旅にはつきものか。


「こんな辛気臭い場所からはさっさとずらかりてえがそうもいかねえよなぁ。

 好き勝手にぐねぐねと曲がる道が厄介なのは相変わらずだが、地上ではぐれちまったギュスターヴのおっさんもどこかで拾わなきゃいけねえだろ?」

「そうね、あいつが居ないと困るもの。まさか死んではいないんだろうけれど……でも相手は〝四騎士〟か……」


いやに神妙な顔をして言うがそれも当然か。

世に名高き大英雄〝王狼〟ギュスターヴは一行の中で――扱いに難があるにせよ〝紋章〟を所有するわたしを含めても――もっとも強い。


〝四騎士〟と真正面からぶつかりあうことのできる最大の戦力を失うのはあまりにも手痛い、どころか致命的だ。

 最悪、旅が成立しない状況に陥ることも十分に考えられる。


 しかしギュスターヴはルヴェルタリアの王家に忠誠を誓った男だ。

 きっと彼も彼のでこちらを放ってはおかないだろう。……おかないに違いない。


〝聖剣〟の担い手としての、ひいては彼の一族が仕えるアーデルロールがここに居るのだから、あちらもあらゆる手を使ってこちらを探すはず――、


「――オレのことなら問題ねえ、よっと」


 濃霧が揺らいだ。


 ぬっと灰色のカーテンから突き出たのは大きな足だ。

 勢いよくあらわれた黒のブーツが船首を豪快に蹴りつけ、船の進行を力ずく止めてみせる。こんな力技ができるのは――、


「どんな馬鹿力よ!?」

「あん? 勿論オレ様(ぢから)だが?

 ようし、合流できて良かったぜ。アルル姫」


 一際巨大な人影――胸を張り、力強い姿勢のままでギュスターヴが霧中よりあらわれた。

 両手をポケットに無造作に突っ込み、犬歯がちらりと覗く口にタバコを咥えたままで彼はニヤリと口の端で笑ってみせる。



「ギュス――、」


 挨拶の声をかけようとして、しかしわたしは言葉を飲み込んだ。

 少し観察をしただけで彼の屈強な肉体と装備がひどく傷ついていることに気がついてしまったからだ。


 そのためらいが顔に出ていたのか、ギュスターヴにとってよっぽどの違和感だったのか、あるいは何も考えてはおらず素のままでか。

 船が完全に停止し、わたしたちが岸に降り立つとほとんど同時に、


「メルグリッドの阿呆にしこたまやられたぜ。

 おかげで黒鋼狼のレザーメイルがボロボロだ、畜生。

 ルヴェルタリア王室お抱えの職人じゃなきゃあ作れねえ一品モノだってのによ」

「ギュスターヴ! メルを引きつけてくれて……」


 満面の笑顔で言いかけ、しかし縦穴を自由落下した記憶を思い出したのか顔と声が渋くなる。


「……ありが、とう、ね。んんっ!

 ちっ……ずたぼろになった分は褒めてあげるわ」


「そいつはありがたえけど舌打ちしなかったか?

 まあいいけどよ。

 オレはあの馬鹿の目を覚まさせたかったのもあるが、何より国への侮辱が許せなかっただけだ。

 私情の――まして感情のままの戦いなんざするもんじゃねえし、ましてや褒められたもんでもねえのは分かっちゃいたんだけどな。

……そうだ。情報の連携として一応言っとくが――」


 口元を手で隠し、パチッと紫電がまたたくとタバコに火がつく。

 彼は燻製の香りの立つ煙を吐き出しながら、


「あの街はもう更地だぜ。戻っても何にもねえからな。

 そっちにメルグリッドの奴が行ったろうよ。

 ありゃ肝が冷えたな、お前たちよく生きてたよ。

 どうしたんだ、ひたすらあいつからケツまくって逃げたのか?」


「一応はあたしに仕えてる騎士の言葉とは思えないわねぇ、あんたは……。

 全くもう! ふん! 聞いてみさらせ。こっちはこの――!」


 わたしはこの先どの道を進もうかと考え、めったやたらに図形の変わって行くハインセル地図に視線を落としていた。

 首根っこをグイッと引っ張られたのはそんな時だ。

 驚きのあまりに心臓が口から出るかと思った。


 何事かと思っているうちにアーデルロールの腕がわたしの首にぐるりと回る。掛け値無しの早業だ。


「じゃーんっ!

 あたしの(・・・・)ルヴェルタリア騎士がどうにかしてみせたわ!」

「物みたいに言わないで」

「後輩騎士が奇跡みたいなことをやってのけたってのに、天下の〝王狼〟閣下はどこで油売ってたのよ? さ、怒るから言いなさい」

「怒るんなら言いたくねえなあ。はっは」


 笑みをこぼしつつもギュスターヴは気だるげに自身のポケットを探り、地面の上にぽいっと薄汚れた一冊の本を放り捨てた。


 こんな物は持っていたくもない、とでも言いたげな動作。

 革製の表紙には黒いシミ――きっと血液だ――が浮いている。


 全員の視線が本に集まる最中、ギュスターヴは二本目のタバコに火をつけた。

 立ち込める霧に煙の匂いがかすかに混ざる。


「空からこうな。降ってきやがった――、」


 彼は片手をあげ、そのまま指先を下向けるとヒュッと勢いよく下ろした。


「ドラセナのお人形遊びに付き合わされてたんだ。

 数はざっと50人程度。

 第三・四階位の魔法使いしか選出されねえ、エリート揃いで鳴らしていたうちの《書架隊》の連中だった。

 魔法の手練れ揃いでも〝魔導〟がその気になりゃ、あっという間に操り人形になっちまう証明だな。まったく、無情だよ。

 まあいい。ユリウス、さすが姫が拾った……もとい見出(みいだ)した近衛だ。

〝四騎士〟を退けるたあやるじゃねえか」


「僕は僕のやるべきことをやっただけです。

 それに状況や戦力的にもひとりで戦り合う方が好都合でしたので。……でも、褒めは嬉しいです。ありがとうございます」


「はは、いやいやこれは間違いなく伝説だぜ?

 酒場で自慢出来る類のネタだ。

 まあ酒の席で信用されるかどうかっていうと、あからさま過ぎてちと怪しいがな。

 ところでこれ(・・)、使ったか?」


 両の目元に指をあて、とんとんと叩くジェスチャーをする。

 彼は〝紋章〟を使ったのかをわたしに訊いていた。

 一瞬、緊張と言いようのない後ろめたさを感じたが……大丈夫だ。

 結果を報告するだけだ。


「――はい。使っていなければ僕はここに立っていません」

「ところで! ギュスターヴ!

 あんた、メルグリッドとやり合ったにしてはいやに一方的にダメージ貰ってんじゃないの? どういうわけよ。地下で出会った彼女はぴんぴんしてたわよ」


 巨人公女と対峙を果たして生き延びた男はタバコの紫煙を吐き出した。

 気付けばあの灰色のタバコも三本目だ。


「そりゃあそうだろ。再生しやがったんだから」

「まさか? 正々堂々、力で勝負がモットーのメルグリッドはそんな能力持ってなかったじゃない」

「まさかも嘘もねえさ。

 あの野郎、肉体どころか鎧も含めての超再生の加護を与えられてんだよ」


 指折りひとつ、またひとつ。

 巨人と狼の戦いを紫煙の中に思い出しつつギュスターヴが過去を数える。


「片腕焼いて片目潰して首に半分切り込んで。

 それでも平気で再生しやがる。巨人が故に元々頑丈だったが、もうありゃ頑健だとかタフなんていう次元じゃねえよ」


「戦いの傷の帳消しなんて……メル姐が一番気に入らない力じゃない。

……再生、ね。だからあたしたちの前に現れた時には無傷だったのね」

「おうよ。大方あいつの言うところの王様――〝霧の大魔〟かドラセナのどちらかに弄られてんな。

 体に埋められた再生核か仕掛けた術者のどちらかを潰さねえとどうしようもねえのは確かだ。

 何故ってあれだけ試して死なねえなら、その二択しか思いつかねえ」


 片腕を上げると彼はもう片手の手刀で、手首や腕を何度か叩く。

 どうやらメルグリッドに加えた攻撃箇所を表現しているらしい。


 確かにメルグリッドはとんでもなく頑丈だった。

 自分の攻撃をそのまま喰らうようなカウンターを何度も受けながらも彼女は立ち上がり、闘志を炎と燃やして攻撃を仕掛けてきた。

 ただそれは彼女の体に流れる巨人の血の恩恵だと思っていたが、いやはや、まさか正真正銘の怪物とは。


 想像を超えられるとさすがに面食らう。

……致命傷を何度負おうとも立ち上がる相手を一息に殺すような技をわたしは持ってはいない。それこそ〝ウル〟でなくては不死の巨人殺しは果たせないだろう。


「今後ヤツに出会ったんなら当面は逃げるしか手はない。

 ところでユリウス。そっちはどう対処したんだ?」


 唸りにも似た声に興味深そうな色を混ぜて〝王狼〟が質問を放ってきたのが心苦しい。

 わたしと〝巨人公女〟との戦いの結末は正直に言ってちっとも華々しくなってなかったからだ。


 ああ、もう。

 二百年を生きる男がなんだって子供みたいに目を輝かせているんだ。


 紋章を使ったと言ったことで地下では激しい戦いがあったのだと想像しているのだろうが、成果といえばメルグリッドの手に傷を与えたぐらいのものだ。

 それも再生で塞がるような小さな傷。


 申し訳なさからわたしは顔を横向け、出来るだけの早口で真実を告げることにした。ここで話を盛るのは悪手である。


「僕と戦っているうちに床が抜けたので、彼女は地の底に落ちていきました」

「は?……はっ!はっははは!

 いいね、そりゃ最高だ!

 オレの時は逃げられた形だがそっちも同じとはな、笑えるぜ」

「ちっとも笑えないわ!

 あんた、自分まで落っこってたらどうするつもりだったのよ!?」

「ぐえ」


 どしり、とアーデルロールが人差し指を槍のように鋭く突き出し、わたしの胸を何度も小突く。

 三白眼気味の目の端をキッと釣り上げ、朝焼け色の瞳で睨まれると何か言い訳しなくてはならない衝動となんとも言えない恍惚感を感じるのはどうしてか。


 一撃食らうたびに後ろへ仰け反る中でわたしはふと、自分でも思いがけずに訊いてしまった。


「もしかして心配してくれてるの?

「んあっ!?」


 キツイ目がカッと見開かれ、白い頬に朱色が差す。


「馬鹿あんたそんなわけ、おま、こ、バ、バーカッ!」

「いたあ!? なんで本気の拳!?」

「若いねえ。がぁははっはは」

「あんたもわ、わらわ、笑ってんじゃないわよ!」


 みぞおちに拳を打ち込まれようともギュスターヴはまるで動じない。

 片手をポケットに突っ込んだまま、大地に根を張る大樹さながらに不動となった彼はタバコを挟む手で口元を覆い、悩ましげに煙を吐き出して、


「心配っていやあ、いい加減こっから出ねえとな。だがどうしたもんか。

 強行軍で抜けてもいいがメルグリッドとドラセナのアホに捕まったら厄介だ。

 んん……一か八かでアレを探してみるか」

「何をよ?」

「地上が面倒なら上を通るだけ。

 ここにはあるんだよ、空飛ぶ船が」

どなたがお読みになっているかは分かりませんが、晴間です。こんにちは。

更新をぼちぼちしております当作品ですが、なにやらモーニングスター大賞の一次選考を通過していました。

わーい。

読者はあんまり居ないだろうなーなどと思っていたところで、こういった評価をいただけたのは嬉しいです。モチベ回復です。

二次選考には通りませんでしたが、今回で得た自信をもって執筆に臨みたいと思います。

これからもどうぞよしなに〜。

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