少女、最近の兎は演説するのか?的な。
大佐、または11の本国皇帝は演説が凄いよね。それっぽくしたけど稚拙すぎた。
追記、兎の扱いと戦時演説が人を選ぶと言われました。気を付けるようにします。時事問題というやつですかね?
森を駆け抜ける、蠢いている何かから逃げるために。やつらは茶色の体毛で、その愛くるしいとも表現出来る目をこちらに向けて走ってくる。逃げろ、捕まれば終わりだ。後ろからやつらが追ってくる。後ろばかりに気を向けるな、前を向かねば死にゆくぞ。
―脱兎・弾―
「ぐぅ……がぁ…!!」
狙撃。それは僅かなずれがあれど、冒険者の眼球と脳髄を撃ち抜いた。
<<……………………!!>>
兎たちは、死体を囲って勝鬨をあげる。まるで、魔王を倒した後の人類のようだ。いや、兎たちからしたら冒険者は魔王と変わらないのかもしれない。ならば勇者兎の活躍を期待せねばなるまい。
兎の中から1匹が飛び出して、死体の上に乗りあがった。
<<………………!>>
諸君、我々はまた新たな偉業を成し遂げた。弱者である我々が、強者である人間を屠ったのだ。この事実が何を意味するのか、諸君らに理解できるだろうか、できるはずだ。そう、下克上だ。我々兎は群れることしかできない存在ではない、ただただ襲われ、屠られ、食い潰されるだけの存在ではない。今の世界を生きる強者どもは、兎をただの餌として見下している。悲しいことにそれは事実だ、変りはしない現実だ。だが餌としてのうのうと生きていたわけではない。諸君、ここで問いかけよう。我々兎はただの餌だったのだろうか、肉が詰まっただけの血袋なのだろうか。否っ!!そうではない、そうではないだろう。我々の過去を振り返ってみるがいい、この森に進出し、我々の脅威になっていたやつらを、我々はどうした。そう、全て倒してきた。撃ち倒し、刺し殺し、斬り捨て、嵌め落とした。我々兎は脅威のその全てを引き摺り下ろし淘汰してきたのだ。
と、言っているように聞こえる。
<<………………!>>
では我々は強者か。いや。純然たる弱者だ、弱者である。ただ群れていただけではない兎にすぎない、徒党を組み、組織を組み、編隊を組んだだけの小さな兎なのだ。だがそんなものは強者とて行っていることだ。やつらから見れば、我々など取るに足らないちっぽけな存在なのだろう。その爪で引き裂き、その牙で噛み千切り、その足で踏み潰し、その手で握り潰し、何気ない気まぐれで蹂躙しつくして終わるのだ。我々はそれ位に、弱い。生存競争、兎は最後まで勝ち残れるだけの力はない。弱肉強食、兎は往々にして食われる側だ。自然の摂理、兎にとって苦しいものが多い。それでも我々は生きている。生き残っているのだ。
と、言っているように聞こえる。
<<………………!>>
生き残っている我々は、未だ馬鹿みたいに草を食み、畜生のように血肉をくれてやるだけで、上を、強者を、上位者たちを引き摺り下ろそうという気概がない。だがそれも仕方がないのかのしれない。兎では、手が届く範囲などたかが知れている。それを理解しているからなのか、兎も、強者たちも、その獲物と狩人の関係を変えようとは、変わることはなかった。だが、それももう過去のことだ。何故なら、我々が生まれたからだ。弱者である我々が強者を屠る気概を持って生まれたからだ。ならば、そのようにしよう。強者を引き裂く爪を、噛み千切る牙を、踏み潰す足を、握りつぶす手を。蹂躙されることを教えてやろう。我々は兎だ、上を見上げ、強者に歯向かい、上位者たちを叩き落とす、ただの兎だ。
と言っているように聞こえる。
<<………………!>>
さあ、行くぞ。やつらに我々を知ってもらおう、やつらを屠る弱い兎がいることを、生まれたことを知ってもらおう!!我々はひたすらに弱い、だからこそ屠れるのだ!!さあ、行くぞ。歩を進めるぞ!!
さくっ。
軽く草を踏む音がした。兎だから仕方がないが軍靴の鳴り響く音くらいが丁度いいのではないだろうか。




