第一:生徒会はまだ早い?
ども、始めてみました。
人を助けたい。
俺は昔っから、何かと人に迷惑をかけてきた。
家の窓ガラスを割ったり、ポイ捨てをしたり、悪戯をしたり……。
他人から見れば、俺はただの悪戯坊主。人の迷惑も考えない、クソガキ。
嫌なんだ、そう思われるのが。立派な高校生になるのに、まるで小学生見たいに見てくる大人達の目が嫌なんだ。
それに……なにより……俺は人を助けたい。
以上! このことを友達に話したら、大きな声で笑われた。
お前は今のままでいい、またやんちゃしようぜと……言われた。
それじゃ駄目なんだよ、俺は変わるんだ。
いつまでもガキ見たいなことしてらんねーよ。
俺は一緒に友達と行くつもりだった高校の受験を受けなかった。
もっと偏差値の高い、友達も入れそうにない高校へ俺は入学することが出来た。
そして、俺はそこで人を助けて見せる。
ふふふ……なーに、やり方は簡単だ。
生徒会に入ればいいんだろう?
「お呼び出しします! 生徒会長さん!! 今すぐ放送室前へ来て下さい!!」
学校が終わり、生徒たちが部活や勉強、はたまた遊びに使う時間。
そう放課後、俺は放送室へ勝手に入り生徒会長を呼びだした。
あ、今思えば先生に聞けば良かったんじゃないかな?
わざわざ会長さん呼び出さなくても……。
でも、呼び出したんだしここは仕方なく待つか。
―――そう、思ったその時。
「ななな、なんですか!!? 緊急事態ですか!!?」
勢いよく放送室の扉が開いたと同時に、男の声が聞こえた。
そちらを向くと、眼鏡をかけていて身長が180センチぐらいはあるノッポの人が、息を切らしながらこちらを見ている。
「あ、あの~~貴方は?」
「生徒会長の霜田です。さっき、放送で私を呼び出しましたね?」
「あ、あぁ、会長さんでございますか、成程」
確かに会長らしい顔をしている。
「あの、ご用件はなんですかね?私はこの後会議が……」
「いや、あの、いきなりですが俺を生徒会に入れて下さい!!」
「……は?」
「いやだから、生徒会に入りたいんです……会長さん、入れて下さいお願いしますー」
「……あのね、ボクは今忙しいんだ。生徒会に入りたいのなら先生に言え。それに募集もまだだ」
少し怒った口調で会長はそう言った。
そうだな、改めて考えよう。学校はまだ始まったばかりの4月。
部活にも所属してないし、生徒会もまだ募集していない。
……ということは、募集がくるまで待つのか。
仕方がない、今日は何をやっても無駄だ。もう帰ろう。
俺は放送室から出て、ゆっくりと下駄箱へ向かった。
はぁ、俺ってやっぱ馬鹿なのかな。いや、でも勉強はできるんだよな。
そう思いながら下駄箱まで向かっていると、不意にどこからか声が聞こえた。
誰かが喋ってるんだろと思いきや、違う。よく耳を澄ませてみると、その声はまるで……誰かを罵倒しているような声。
俺は早足で、その声が聞こえる方まで行く。
そして、物陰に隠れて様子を見る。
「だーかーら、金出せっつってんだよ」
「ひぃぃ……」
「ひぃじゃねぇーよクソが!! 金出すんなら許してやるよ」
「でも、ボク一円もない……」
「バッキャロ!嘘つくなやコラ!!」
「うぅ……」
おいおい……、これってまさかカツアゲってやつか?
身長が小さく、いかにも真面目!って生徒が、2、3人の明らか不良という奴等に絡まれている。
おかしいな、俺は確かに偏差値が高い高校に入ったんだが……。
まさかこんなヤンキー共がいるなんて、人は見かけによらないな。
「おい、やっちまうか?」
「はっ、どうせやったらやったでどうせこいつチクるだろ」
「もういいんだよ!チクられても……」
「あぁ、そうだな」
え?やっちまうって……リンチするの?
これからこの場でリンチすんの?弱い者によってたかって?
……い、いかんだろ。ここは俺もヤンキー側に行ってリンチをしたいところだが、それはいかん。
「そ、そんな、止めてよ」
「うっせーよ!! 金ださねぇのが悪いんだろう……が!!」
「うわっ」
茶髪の男が力一杯、真面目君の頬を殴った。
真面目君はそのまま地面に倒れる。
「おら、立てや!! まだこんなんじゃー終わらんぞ!!」
「……」
不良共は、倒れている真面目君に蹴りを喰らわす。
まるでサッカーボールを蹴るみたいに……。
「「「おらおらおらぁ!!!」」」
「くぅ……」
見てられない……。
だんだん腹が立ってきた……。
「……」
「おらおらっ―――ぐわっ!!?」
俺の手に、痛みが走る。
気がついたら、不良の一人を思いっきり殴っていた。