『幸運なる七枚目』【8】
シオン「ポーカーだ」
No.7「…………」
ニッ――
No.7が。
笑う。
No.7「いいね!」
◇
五枚の――
カード。
向かい合う――
二人。
No.7「交換は一回」
No.7「好きな枚数を交換して――」
No.7「最後に強い方が勝ち!」
セイ「今度は――」
セイ「相手のカード見えねぇのか」
ヴァン「ああ」
セイ「じゃあ――」
セイ「さっきより頭使うな」
シオン「…………」
カードだけじゃない。
相手が――
何枚交換するのか。
何を残すのか。
そして――
どう動くのか。
シオンは。
No.7を見る。
No.7「ん?」
シオン「始めるぞ」
No.7「もちろん!」
◇
一回戦。
配られた――
五枚。
シオン「…………」
手札を見る。
そして。
未来を見る。
交換した――
その先。
配られる――
カード。
シオン「…………」
二枚。
シオン「二枚交換する」
ディーラーが――
二枚を回収する。
そして。
新たな――
二枚。
スッ――
シオン「…………」
狙った通り。
手札が――
完成する。
セイ「…………」
No.7「じゃあ俺は――」
自分のカードを――
眺める。
No.7「三枚!」
セイ「三枚も変えんのか?」
No.7「うん!」
新たに――
三枚。
No.7「よし!」
シオン「…………」
No.7「じゃあ――」
No.7「見せよっか!」
二人が――
カードを開く。
シオンの手札――
スリーカード。
対して。
No.7――
フルハウス。
セイ「…………」
シオン「…………っ」
No.7「勝った!」
セイ「またかよ……」
No.7「あははは!」
シオンは――
自分のカードを見る。
未来は――
間違っていない。
狙ったカードを引き。
狙った役を――
作った。
それでも――
上。
シオン「…………次だ」
No.7「いいよ!」
◇
二回戦。
カードが――
配られる。
シオン「…………」
だが。
今度は――
自分のカードだけを。
見ていない。
No.7「…………」
No.7の――
目。
指。
カードを見る――
時間。
そして。
交換する――
枚数。
No.7「一枚!」
シオン「…………」
一枚。
つまり――
今の時点で。
すでに――
ある程度。
手が――
完成している。
シオンは。
未来を見る。
No.7「…………」
交換を終えた――
No.7。
そして。
その後。
チップを――
押し出す。
強気。
迷いが――
ない。
シオン「…………」
ブラフでは――
ない。
シオンは。
自分の手札を見る。
勝てる可能性は――
低い。
なら。
シオン「降りる」
セイ「え?」
No.7「…………へぇ」
No.7は――
少し驚いたように。
シオンを見る。
No.7「見ないの?」
シオン「ああ」
No.7「俺――」
No.7「嘘ついてるかもしれないよ?」
シオン「いや」
シオンは――
No.7を見る。
シオン「お前は今――」
シオン「強い手を持ってる」
No.7「…………」
セイ「分かんのか?」
シオン「動きを見ればな」
No.7「…………」
そして。
ニッ――
笑う。
No.7「正解!」
カードを――
開く。
セイ「…………マジか」
シオン「…………」
No.7「すごいね!」
No.7「ちゃんと分かったんだ!」
シオン「…………」
読みは――
合っている。
負ける勝負を――
避けた。
だが。
降りた以上――
勝ちではない。
No.7「二回目も――」
No.7「俺の勝ち!」
シオン「…………分かってる」
◇
三回戦。
カードが――
配られる。
シオン「…………」
五枚。
確認する。
No.7も――
自分の手札を見る。
No.7「…………」
シオンは――
その全てを見る。
視線。
指先。
呼吸。
交換するまでの――
僅かな時間。
そして。
未来。
シオン「…………」
今までの――
二戦。
いや。
ルーレット。
ブラックジャック。
ここまで――
全て。
No.7を――
見てきた。
No.7「俺は――」
カードを――
二枚。
前へ出す。
No.7「二枚交換!」
シオン「…………」
ディーラーが――
カードを回収する。
新たな――
二枚。
No.7「…………」
受け取る。
その瞬間。
ほんの僅かに――
目が。
動いた。
シオン「…………」
シオンも――
カードを交換する。
一枚。
未来を見る。
次に来る――
カード。
それを――
確認して。
シオン「一枚だ」
カードを――
差し出す。
ディーラーが。
一枚を回収。
新たな――
一枚。
スッ――
シオン「…………」
来た。
見た通り。
手札が――
完成する。
だが。
まだ――
カードは開かない。
シオンは――
No.7を見る。
No.7「…………」
No.7も――
シオンを見る。
今までとは――
違う。
笑っていない。
シオン「…………」
No.7の手。
視線。
呼吸。
そして――
未来を見る。
この先。
No.7が――
チップを出す。
だが。
僅かに――
迷う。
シオン「…………」
初めて。
見えた。
No.7の――
迷い。
No.7「…………」
そして。
現実でも。
No.7の手が――
止まる。
No.7「…………へぇ」
シオン「…………」
No.7「もしかして――」
No.7の口元が。
ゆっくり――
上がる。
No.7「俺――」
No.7「負ける?」
セイ「…………?」
ヴァン「…………」
嬉しそうだった。
今まで。
勝った時よりも――
ずっと。
No.7「…………」
シオン「…………」
勝てる。
シオンは――
そう判断する。
未来。
確率。
相手の動き。
全てを――
使った。
今。
この瞬間は――
自分の方が。
上。
シオン「勝負だ」
No.7「…………うん!」
No.7は――
笑う。
No.7「勝負!」
二人が――
カードを。
開く。
シオンの手札――
フルハウス。
セイ「…………!」
セイ「強いんじゃねぇの!?」
ヴァン「ああ」
No.7「…………」
No.7は――
シオンのカードを見る。
そして。
自分の――
カードを見る。
No.7「…………」
最後に。
交換した――
二枚。
そのカードによって――
完成した役。
フォーカード。
セイ「…………は?」
シオン「…………」
No.7「…………」
勝者は――
No.7。
また。
No.7だった。
セイ「また――」
セイ「負けた……」
ヴァン「…………」
シオン「…………っ」
だが。
No.7は――
笑わない。
ただ。
自分の――
フォーカードを。
じっと――
見ている。
No.7「…………」
シオン「…………?」
No.7「…………そっか」
No.7は。
カードを――
指先で。
軽く――
撫でる。
No.7「また――」
No.7「勝つんだ」
セイ「…………?」
そして。
小さく――
笑った。
けれど。
その笑顔は――
今までとは。
少しだけ――
違っていた。
No.7「せっかく――」
シオン「…………?」
No.7「初めて負けるって感覚を――」
No.7は。
シオンを見る。
No.7「味わえると思ったのになー」
シオン「…………」
セイ「…………」
ヴァン「…………」
No.7は――
卓上に並んだ。
カードを見る。
そして――
少しだけ。
遠い目をした。




