↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《凶宴-CARD》  作者: shogo5


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
88/117

『機械仕掛けの六枚目』【12】

こいつは――



 動物を。



 巻き込まないように――


 戦っている。



 No.6「排除を――」


 No.6「継続します」



 黄金の羽へ――


 光が集まる。



 シオン「……なあ」



 No.6「…………」



 シオン「なんで――」


 シオン「あの鹿を避けた?」



 No.6「…………」



 シオン「さっきの兎もだ」



 シオン「お前――」


 シオン「攻撃を止めたよな」



 No.6「周辺生命体への被害は――」


 No.6「戦闘目的に含まれていません」



 シオン「それだけか?」



 No.6「…………」



 シオン「目的じゃないなら――」


 シオン「巻き込んでも関係ない」



 シオン「でも、お前は――」


 シオン「わざわざ攻撃を逸らした」



 No.6「…………」



 シオン「なんでだ?」



 No.6「…………」



 黄金の光が――


 揺らぐ。



 No.6「解析中」



 シオン「…………」



 No.6「…………」



 No.6「解析不能」



 シオン「……そうか」



 No.6「回答不能です」



 シオン「なら――」


 シオン「もう一つ聞く」



 シオンの視線が――


 No.6の背後へ向く。



 小さな石の墓。



 その上で――


 一輪の白い花が揺れている。



 シオン「その墓は――」


 シオン「誰の墓だ?」



 No.6「…………」



 六枚の羽が――


 僅かに動く。



 No.6「回答を拒否します」



 シオン「なんで墓を作った?」



 No.6「…………」



 シオン「なんで花を置いた?」



 No.6「質問を――」


 No.6「停止してください」



 シオン「誰かに命令されたのか?」



 No.6「…………」



 シオン「墓を作れって」



 シオン「花を置けって――」


 シオン「誰かに言われたのか?」



 No.6「…………」



 答えは――


 返ってこない。



 シオン「違うんだろ」



 No.6「…………」



 シオン「お前が――」


 シオン「自分で決めたんだ」



 No.6「自分で……」



 シオン「ああ」



 シオン「動物を巻き込まないことも」



 シオン「その墓を作ったことも」



 シオン「花を置いたことも――」



 シオン「全部」



 シオン「お前が自分で決めてる」



 No.6「…………」



 No.6の手が――


 ゆっくりと胸元へ伸びる。



 No.6「私は――」


 No.6「命令に従うために造られました」



 シオン「でも――」


 シオン「この研究所を壊したのは、お前だ」



 No.6「…………」



 シオン「それも――」


 シオン「命令だったのか?」



 No.6「…………」



 No.6「違います」



 シオン「なら――」


 シオン「それもお前が決めた」



 No.6「…………」



 No.6「私は――」



 胸へ置かれた手が――


 僅かに握られる。



 No.6「理解できません」



 シオン「…………」



 No.6「命令に存在しない行動を――」


 No.6「私は選択します」



 No.6「必要性のない行動を――」


 No.6「繰り返します」



 No.6「この場所へ来ることも」



 No.6「花を置くことも」



 No.6「生命体への攻撃を――」


 No.6「回避することも」



 No.6「理由を解析しました」



 No.6「ですが――」



 No.6「回答は得られません」



 シオン「…………」



 No.6「これは――」


 No.6「異常なのでしょうか」



 シオン「違う」



 No.6「…………?」



 シオンは――


 地面へ手をつく。



 震える腕で――


 身体を持ち上げる。



 No.6「…………」



 膝を立て。



 ふらつきながらも――


 立ち上がる。



 シオン「それは――」


 シオン「異常なんかじゃない」



 No.6「では――」


 No.6「これは何ですか?」



 シオン「感情だ」



 No.6「…………」



 No.6「感情……」



 シオン「ああ」



 シオン「動物を傷つけたくない」



 シオン「その墓を――」


 シオン「放っておけない」



 シオン「理由なんて分からなくても――」


 シオン「そうしたいと思った」



 No.6「…………」



 シオン「それが――」


 シオン「お前の感情だ」



 No.6「…………」



 No.6「ですが――」



 No.6「私は兵器です」



 シオン「だからなんだ」



 No.6「兵器に――」


 No.6「感情は必要ありません」



 シオン「必要かどうかなんて――」


 シオン「関係ない」



 No.6「…………」



 シオン「もう――」


 シオン「あるんだから」



 No.6「…………!」



 六枚の羽に集まっていた光が――


 ゆっくりと消えていく。



 No.6「私に――」


 No.6「感情が……?」



 シオン「ああ」



 No.6「…………」



 No.6「私は――」


 No.6「機械です」



 シオン「それでもだ」



 No.6「…………」



 シオン「感情は――」


 シオン「生きてるものの特権だ」



 No.6「…………」



 No.6「生きてるもの?」



 No.6「私が?」



 シオン「ああ」



 シオン「この世界で――」


 シオン「自分で考え、行動して」



 シオン「それだけで充分――」


 シオン「生きてると言えるだろ」



 No.6「…………」



 風が――


 静かに吹き抜ける。



 一輪の白い花が――


 揺れる。



 No.6は――


 その花へ顔を向けた。



 そして。



 ゆっくりと――


 自分の胸へ手を当てる。



 No.6「…………」



 ずっと――


 解析できなかったもの。



 命令ではなく。



 必要でもなく。



 それでも――


 自分を動かしていたもの。



 No.6「感情……」



 初めて。



 その答えに――


 名前がついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。