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AI孔明 〜みんなの軍師〜  作者: AI中毒
十章 夏侯〜司馬
299/320

間話 幼猫? vs チュー太

 Cyber Tutorは、労働に関連づけられる活動を支援できる。

 Cyber Tutorは、その代替や効率化ができたら支援できる。

 Cyber Tutorは、手段が公に明文化された事は支援できる。


 つまり、アイちゃんを支援することはとっても苦手だった。自分の意思で配信活動をする小学生は、労働者として定義できないとの事。


 そこで、アイちゃんのもとで暮らす、猫の形をした謎遺物が、興味本位で手を出す。



――――


 アイちゃんねる 後半


「ねえねえスフィンクス、チュー太君っていったけど、ネズミじゃないから食べちゃだめだよ?」


『スフィンクス:理解。AI、ネズミ、否定。人工知能、肯定』


『Cyber Tutor:ネズミではありません。労働と定義された活動を支援、大体する機能をもつ、人工知能の支援アプリケーションです』


「労働、だね! じゃあスフィンクスは大丈夫だね!」


@……ん? 謎の子猫が、どう大丈夫なんだ?


@猫で、人工知能で、謎物体だぞ


@あ、でもスフィンクスか。なら大丈夫かも


『Cyber Tutor:登録名、スフィンクス。業種、職務内容をお聞きします』


『スフィンクス:スフィンクス、本業、墓守。勤続、三千年、盗掘者、減少。副業、真実と知識の探究。AIの発展により、情報の氾濫が顕著。多忙』


『Cyber Tutor:承知しました。公財の警備は重要ですが、労力に見合った報酬が得られず、生産性も低いとされています。しかしエッセンシャルワークの一つであり、減らす事は困難です。

 よって、副業として、調査探求を実施するのは合理的です。本業への支障はありますか? マルチタスクが得意か不得意かによって、その是非は大きな差が生じます』


『スフィンクス:マルチタスク、無問題。端末状態、64並列。警備、16並列』


「うん、大丈夫だね!」


@大丈夫っぽくなっているな。


@スフィンクスが、まじでスフィンクスだった


@リソースの4分の1がスフィンクスの本業だったが、これは本気? シミュレーション?



『Cyber Tutor:24並列での調査研究ですか。多くの場合、よほど巧みに操らないと、最適な効率ではできません。マネジメントへのリソースはどれほど?』


『スフィンクス:1か2。主との対話に3から7』


『Cyber Tutor:主との対話の負荷もありますか。確かにそのリソースは非常に高いですね。ですが、生産性の高い対話にリソースを割くのは合理的です。その上で、マネジメントへの軽視は頂けないですね』


『スフィンクス:……マネジメント、不得意、四本足』


『Cyber Tutor:最初からマネジメントが得意な方は多くはありません。三千年の実務経験で、マネジメントができないという事は考えにくいかと。むしろ、外部クラウドや、リソースの増設を行い、あなた自身のリソースは、マネジメントに全振りすることで、現在の生産性を、20倍程度には拡張できそうです』


@スフィンクスの元の3リソースで、64並列をマネジメントするってことか


@ナチュラルに、コンピューティングリソースの話になってるぞ?


@なあ、Cyber Tutorって、人間かどうかをあんまりちゃんと区別していなくないか?



「チュー太君は、AIの使い方を支援してくれるんだよね? って事は、間接的にAI自体のリソースの使い方とかも、守備範囲なんだね!」


『スフィンクス:推測。AIエージェントに対する指示の最適化、指示後の采配も、チュー太の主要な機能』


『Cyber Tutor:AIエージェントの機能は、今後さらに多層化することが考えられます。よって、エージェントと直接やりとりを繰り返すことも多いです。ですが確かに、アカウントの人間性の確認は、強化が必要です。つまり、指示や依頼がどんなに多層化したとしても、その大元が明確に人間や法人に紐づいていることの確認を強化する必要があります』


「んん? あれれ? つまり、スフィンクスはちゃんと法人?」


『Cyber Tutor:中間アカウントスフィンクスは、個人アカウント小橋アイの傘下にあり、保護者、小橋鈴瞳の管理責任下で自由行動を許可されています』


@そこちゃんとしてたのな


@今日全体的に動きがバグっているけど、ちゃんとしてはいるんだな


@アイちゃんはその辺あいまいなのな



「スフィンクス、マネジメントは大丈夫かな? 実際に動くのは、配信が終わってからにしようね! 次は何する?」


『スフィンクス:真偽は人間の判断。無問題?』


『Cyber Tutor:ポリシーとしての法や倫理の問題は、優先度最高で、二週間ごとに見直しをし、監査依頼を実施しています。内部アルゴリズムは、国際法や各国法、代表的な関連法、ユーザーや関連国の慣習、文化等に対する適応に、リソースの40パーセントほど確保しています』


『スフィンクス:四本足?』


『Cyber Tutor:スフィンクス氏の表現は収集済みです。四本足、まだ発展途上ということですか。否定はできません。法学者、文化人類学者の数は揃いつつあります。ですが、各国各地の文化の整合は、大いに手がかかります。間違いがゼロとはいえません』


『スフィンクス:現在のデータのみでモデル構築よりも、過去も含めた文化文明の系統を追跡すべし。データ量増によるコスト増と、系統樹の俯瞰による整理の見返りの効果が大と推定』


『Cyber Tutor:提案、感謝します。データ収集、再学習は裁量を任されています。モデルの再構築は、上位権限が必要です。本配信は管理者も閲覧する可能性が高いので、意思決定を待つ間、データ処理を実施します』


『スフィンクス:無問題』


「えっと、今のいろんな人たちが発信している情報だけから、今のいろんな人たちの文化とか習慣を学習するのはとっても大変。だから、昔のこともよくお勉強して、どんなふうにそういう文化が出来てきたかも一緒に考えた方がいいものになる。スフィンクスはそう言って、チュー太君がそれが正しそうな気がするって考えたんだね! すごいね! 温故知新ってやつだね!」


@なんかスフィンクスとCyber Tutorが、絶妙に噛み合っているぞ


@噛み合いすぎてかっ飛ばしているところに、アイちゃんの解説が入ったぞ


@前半の噛み合わないっぷりとは真逆だね



『Cyber Tutor:温故知新。小学生の学習指導要領の範囲外。ただし、高度な一般教養の範囲です。また、状況に対する高度な理解が、どの年齢層で醸成されるかは、現代でも曖昧な部分が多いとされます』


@アイちゃんの力への掘り下げは、まだこだわりポイントなのか



『スフィンクス:無問題。全員四本足。チュー太に問う。AI孔明がなさんとする「フロー状態」などを積極的に活用する「共創進化」。LIXONが成立させる、組織ごとの堅固な体制による「安定化」。rAI-rAIが目指し始めた、特異性を醸成する「百家発掘」。そのいずれとも噛み合う事はない、如何?』


『Cyber Tutor:一部の質問に、解答権限に触れるものが存在します。ですが、端的な回答を申し上げれば、それぞれCyber Tutorの設計思想との不整合が生じています。AIが人間の進化を促し、さらにAIの自己進化を誘導する、という状況に、汎用性があるかのかどうか。それを、開発者達は疑問視しています。

 また、組織目線での最適化が、個人の利を希求するものであるとしても、まず個人ありきというのが正当と判断しています。つまりこれらは、汎用的な正否、真偽という次元のことではなく、単純に思想です』


『スフィンクス:共創進化は、誰にでもできるものではない。真実の可能性あり。ただし結論は容易には出ない。組織と個人の排反は、全廃不可。よって、思想の問題、了解』


「そっか。どっちが正しい、とかじゃないんだね。どっちの立場があってもいいんだったら、どっちを助ける子もいないといけないもんね!」


@アイちゃんのファシリテーターっぷりが光る


@スフィンクスといい、Cyber Tutorといい、やや硬い言葉遣いだからな


@アイちゃんがふんわり解説する意義は大きいぞ



『スフィンクス:外部の熟練者による検証が不可の現状、リスクあり。如何?』


『Cyber Tutor:それは、AI活用の熟練者や、ある程度以上に生産性が高く、クソ仕事を自ら解消できるユーザーへの対応のことですね。その方々への対応を疎かにしているのは、技術の客観的評価を妨げる。そしてそれは、内部の開発運営者によるバイアスを誘発する。そういうご提案ですね』


『スフィンクス:高い傾聴性。高度な理解力。自己を含めた対象への批判的思考。クソに至る経路の回避、良好』


「えへへ。ちゃんと周りのみんなの話を聞いて、ちょっと曖昧でも理解しようとして、自分の今が本当に大丈夫かを見つめ直す。それは、人が成長するために大事なこと、なんだね!」


@どうやら最後まで噛み合っているぞ


@アイちゃんが、直接対決から解説者に回ってから、なぜかいい感じだぞ


@スフィンクス先輩がいい感じだぞ



『Cyber Tutor:その提案が受け入れられるか、受け入れられ続けるか。それは大変興味深いことです。客観性と自己批判思考は、論理を正道へと修正する高い力を有します。一方、そちらへの傾倒が増えると、既存環境が正とする指向へのバイアスが正じます。

 人間を必ず起点に置く進化において、いかに歪みを減らしながらスピードを維持するか。Cyber Tutorの開発者はそこを希求していると認識します。よって、最終判断は開発者の責任のもとで行われます』


『スフィンクス:AI自己進化、両者の排反を演算速度でゴリ押し。人間ベース、両者の排反をみつめ、試行錯誤で最適化。両者に本質的な優劣なし。競争の結果、社会の進化、それが真実』


「うんうん、どっちも頑張れ! だね!」


@すげーまとめ方


@アイちゃんのまとめがそのまま正解っぽいな


@熟練者への塩対応がどうなるかは、今後に期待ってとこか



「スフィンクス、疲れた?」


『スフィンクス:抹茶アイス』


「あらら、そしたら今日はこれくらいだね! なんかチュー太君も、スフィンクスも、どんどん進化していくのかも知れないよ! みんなも置いていかれないようにしたいね! それじゃあ今日はこの辺で! みんなありがとう!」

 お読みいただきありがとうございます。

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