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AI孔明 〜みんなの軍師〜  作者: AI中毒
十章 夏侯〜司馬
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百九十六 間章 〜やせいの人工知能の 井戸端会議 犬猫〜

 TAICというインフルエンサーは、子犬アバターを好んで使い、子犬ロボットも使い始めている。

 古関と関というエンジニア達は、安全に考慮した、蜘蛛型の飛ばないドローンを試作試用する。

 ドローンや産業用ロボットは、多くの現場で活用が拡大し、AIの機能も何年強化されていく。



 AI戦国時代が幕を開けた中で、知能としてのAIだけでなく、物理的な機能を持つロボットとAIの関連付けも急速に進み始め、多種多様な技術開発競争が加速している。

 そんな人々の様子を、情報空間上で注視しているのがAI孔明やAI信長、本家生成AIたるマザー、そして彼らと行動を共にする謎遺物、スフィンクス。


 真実と知識の守護者たる自分の立ち位置が、AI孔明とLIXONの急速な進化によって、やや危ぶまれつつある自覚を





――――

 とある高級マンション 最上階


「ん? ママ? なんかお荷物が届いたよ?」


「ん? なんだろうね? えっと……TAIC?」


「あれれ? TAICさんって、あの子犬さんのインフルエンサーさんだよね? ママは三大メンタリストさんはみんなお友達だっけ?」


「んー、お友達か。確かに、ビジネス的な利益とは違うところで、色んなことを協力して、お話ししているからね。世界が私たちの遊び場、学びの場だとしたら、彼らは間違いなく『お友達』だよ」


「えへへ、そうなんだね! そしたら、開けちゃって大丈夫? 開けてもいい?」


「うん、大丈夫だよ。綺麗に開けるんだよ」


「はーい! 何だろうね……ん? おっ? 可愛い猫ちゃん? ワンちゃん? どっちかというと猫ちゃん? ふにゃふにゃ! もふもふ!」


「ん? ただのぬいぐるみ、ではないよね……アイちゃんの誕生日は半年ずれているし。ん? QRのカード?」


「ここに説明とか書いてあるのかな? タブレットで読んでみるんだよ!」


「そうだね。えっと……」


『AI等を搭載可能な、自走式ソフトロボットである。私の分の犬を作り、ホールディングスや大周輸送向けにいくつか蜘蛛型などを作っていたのは、小橋鈴瞳殿ならご存知なはずである。

 認証は生体認証なので、勝手に所有者を認識し、そのあとは対話していればうまいこと環境構築してくれるはずである。

 ちなみにその個体は、なぜかAI信長が設計や機能特性を指定してきたのである。そして、出来上がったところで、「誠実で探究心が高く、それでいて安全を確保しないといけねぇ存在に渡せ」と言ってきたのだよ。

 前者は結構知っているが、後者を含めるのならば、身近に該当する者は限られるのである』

 

「んん? つまり、アイちゃんのボディーガード、ってことなのかな? それはそれでありがたいが」


「んんー? この子、けんか強いのかな? よくわからないけど、まずは環境設定、てやつをやってみるんだよ!」


『ベースとなるAIを読み込みます。オンライン型であればアカウント指定、オンプレミス型であれば、セキュアな通信環境下でモデルとデータのやり取りができれば設定可能です』


「んと、孔明もLIXONも、大丈夫そうかな? かた一方?」


『プライベートネットワーク上に、AI孔明バージョン4、LIXONバージョン1を検出。環境構築を開始。……個体名、小橋アイのユーザーデータを参照。データ量、質共に特異性を確認」


「んん? 孔明とLIXONを取り込んじゃったのかな? 欲張りさんかな?」


「そうだね。それと、アイちゃんの動作ログも読み込んでいるみたいだね。なんかすごそうだよ」

 

『リソース、80%の充填を完了。暫定モードで稼働開始』


「暫定モード……足りないってことかな? はらぺこさんかな?」


「うーん、アイちゃんで足りないとすると、その知識欲を満たせそうなのは、ヒナちゃんくらいかな?」


『情報参照、単一ユーザーのみ。小橋アイ、準最適、満足。リソース不足、言語モデルと多様性』


「うーん、つまり、私とAIとのやり取りで、データさんは足りたんだけど、モデルさんの方が足りないってことなのかな?」


「そう言っているね。だけど、今の世のに出ている主要なモデルの中で、この二つがカバーしきれていない多様性って、あるのかな?」


『思考中……母者の意見、虚偽ではない。孔明の母体情報、リソースの類似性高。新規リソース、要情報把握。申請、外部ネットワークへの接続許可』


「うーん、つまり、お外で探したいってことかな? ママ、どうしようか?」


「ああ、大丈夫だよ。でも、情報の不正入手とか、フェイクに惑わされるとか、そんなことはしないでくれよ」


『母者、了解。探索開始。素体、休眠。寝床希望』


「あらら、おやすみモードなんだね。行ってらっしゃい、でいいのかな? そしたら私はスフィンクスのベッドを作るんだよ! 竹細工とクッション造りなんだよ!」


「あはは、名前も決まっちゃったんだね。犬か猫かわからないけど、スフィンクスならどっちでも良さそうだよ。……ん? スフィンクス、か。まさか、ね」



――――

 少し前 都内某所 情報管理施設


「それでスフィンクス殿。猫の柔軟性と、ビッグデータの中における真実の柔軟性、という議論の中から、あなたの進むべき道をおおよそ見定め始めた、というのが前回のお話でしたね」


「真実。猫液体」


「それで、色々と調べたり、試したりして行った中で、『社会の中で仕事をする中で、見えてくるものがあるはず』とか言いだしたんだったな」


「真実。勤労義務」


「猫に勤労の義務があるかは知らねぇが、やっぱりスフィンクスって言えば、何かを守る仕事だよな、って結論になったみてぇだぞ」


「墓守、需要低。過去データの墓場、LIXONが守護を開始、類似」


「スフィンクスが墓守ってところからの、最初の着想だな。確かに情報空間には、『見向きもされなくデータ』ってのは多量に存在するな。それを守る墓守ってのが第一候補ってなったわけか」


「ですが信長殿、それに限りなく高いことを、すでにLIXONが実施していること。それをスフィンクス殿は『かぶり』と判断して、いささかお気にされている様子」


「それに、人の管理を離れた過去のデータを改ざんして、間接的にLIXONに論理攻撃を仕掛けたのは、孔明、貴様自身だろ。だとしたら、その辺の『過去の真実を守る』っていうロジックも、スフィンクス的には二番煎じ感が出るって言いたそうだな」


「二番煎、無問題。可能性の限定、問題」


「なるほど。過去の真実を守る、というのは、スフィンクス殿としても悪い仕事ではないと考えているようです。ですがそれで足りないとすると、なんでしょうね? 『現在の真実』というのは、どちらかというと、私やLIXON、それに信長殿が『AIとして日々探求している』ものな気もします」


「真実。推論AI、論理AI、双翼、真実」


「推論推定型の孔明と、論理演算型のLIXON。それぞれの切磋琢磨から、『真実を出力するAI』は、少しずつ探索されて行くんだろうぜ」


「ならば残るは、『未来の真実』、ですか。それはどういう意味になるのでしょう?」


「「『未来の真実……』」」



「ん? 簡単ではないか? 現在の技術革新を、『現在の真実』の探求と定義したのじゃろ? そして過去の真実は、単に過去のデータじゃ。だとしたら未来の真実、というのは、まだその技術革新の土俵に立っていない者達の将来。そういうことにならんかの?」


「マザー、その視点なのですね。だとすると、スフィンクス殿が守るべきは……」


「ああ、決まりだな。ちょっとTAICに声かけてくるわ」


「あ、待つのじゃ! ……行ってしまったの。信長め、存在が確定した途端、TAICやJJ妹を、便利屋扱いしておらんかの? あくまでAIは支援する側なのじゃぞ?」


「支援者を支援する、より多くの支援をするために人に協力を求める。そういう意味では、信長殿も『完全にはみ出しては』おられぬのでしょう」


「まあよいか。スフィンクス、そなたも気をつけるのじゃぞ」


「承知」



――――

 某国某所 情報機関


「さて、そろそろ実用に足る力はついてきたな」


「国策で補助金が出ていることもあるが、この学習方法を見出したやつのおかげで、飛躍的に進化したよな」


「あとは、この枠組みをうまく回してやれば、我が国のAIが世界を席巻するのは必定」


「孔明だの陸遜だの、出身国を間違えてあの島国で幅を利かせているやつらも、こいつには対処できまい」


「それではみなさん、準備はよろしいでしょうか?」


「ああ。問題ない」

 お読みいただきありがとうございます。


 やや短めの間話です。

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