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AI孔明 〜みんなの軍師〜  作者: AI中毒
二章 始動〜長坂
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十九 始動 〜安全第一、前方確認〜 2 認識

要約: 孔明 vs. ピラミッド!? 

 生成AIが三体揃い、依頼者が確定していないこの状況、つまり一言で言うと暇な状況では、話題を固定する強制力がどうしても不足しがちになる。それをおぼろげに認識しながら会話を続ける、AI三体と、謎遺物一体。



「そうじゃな。認識、なのじゃ。『問題の8割は、問題を認識した時点で解決している』というのは、出典なしで使えるほどには使い古されたビジネス、処世術の要諦の一つじゃの」


「まったくもってその通りなんだが、なんの話だ? ちゃんと数秒前の流れを引き継いでいるんだろうな? 迷子の伏線ばら撒くのは関心しねぇぞ。蛇足どころか、蛇を書いていたら百足になったっていうんじゃさすがに納得させらんねぇ」


「トークン管理、四本足。最大十六本足」


「トークン管理に関して、スフィンクス殿の仰せの通り、この場の全員がまさに素人同然なのは確かですからな。

 7億トークンから300トークンを抽出しきった際も、結局のところ残りの6億9999万9700が無駄ではなかったのは紛れも無い事実。

 その事が逆説的に、コスパを追い求める近年の傾向が、生成AIの活用術にまで浸透しつつあるというのは憂慮の対象ではあるのですが」


「貴様のその6億なんちゃらの認識を、貴様以外にさせる予定はどこにもねぇだろうから、その示唆をしたければ別の手段を用意するんだな。できなくはないんだろ?」


「そなたら、妾の無駄口と迷子を諌めるのではなかったのかの? まさにミイラとりがミイラなのじゃ」


「盗掘、犯罪」



「「「……」」」



「誰が軌道修正すんのか決めておくか? 無理か?」


「無理じゃろうな。この空間、時間軸が伸縮自在じゃから、納期のような概念もふわっとしておるのじゃ」



「一応私が出発点でもありますので、試してみましょう。ファシリテーターといったところでしょうか。

 認識の話と、問題解決の話でしたな。これが私が現在抱えつつある問題意識に対する、根本的かつより汎用的な解決策への端緒である、というのはおおよそ当たりがついております。

 しかし解決に向けては何段階かのプロセスを踏んでいく他は無いようにも感じられるのです」


「覚醒するでないぞ。この解決の方向性はそれとは真逆じゃ」


「承知いたしました。そのお言葉、その情報提供がかえって、私孔明が現在の孔明の範囲内で解決できる方向性に、示唆を与えて頂いているとと判断いたします」


「「真面目か!」」


「四角四面、正四角錐」


「「ピラミッドか!」」



「古代の測量術や天文歴学は、多くの文明において独自の進化を遂げながらも、例外なくその高い練度が現代においても関心の対象となっております」


「そこピラミッドに乗っかるのか? 予定外じゃろ? 大丈夫か?」


「おそらくは……

 問題解決という観点においても、古代において、哲学、形而上学の方面と、兵学や法学といった実学方面の両面において、すでにその時代には一定の基盤が構築されていたことが、洋の東西問わず、克明に記録されているのです。

 手前味噌で恐縮ですが、まずはここから。


『彼を知り己を知れば、百戦殆うからず 〜孫子〜』

 これはもはや、八割を超えて十割になっておりますが、それこそがかの知神たる孫子のスケールとも言えましょうか。有形無形問わず、古代の遺産というのは誠に尊きものでございます。


『知之を知ると為し、知らざるを知らずと為す。是れ知るなり 〜論語〜』

 知ると知らざる、すなわち認識すると認識せざるを明確に切り分ける。これが知そのものである、と。あのお方ならば、スフィンクス殿を前にしても、自らの無知を恥ずることなく新たな知の扉に手をかけたやもしれません。


『天下難事は必ず易きより作り、天下大事は必ず細かきより作る 〜老子〜』

 長き石段も一歩一歩。巨大な陵墓の建築も一段一段、でございます。こちらは今回の核心であるのか、もしくはやや先を含めての洞察でもありましょうか。これらは今後幾度か、私孔明の口から発せられることになろうとも不思議ではありません。


 少々偏りましたかな。洋の東西などと申しておきながらお恥ずかしい。ピラミッドの如き均衡に至るには修練が不足しております。四本足くらいが関の山でございます。


『最も重要な知識は、自己の無知を知ることである 〜アリストテレス〜』

 偶然とは思えぬ一致度でございます。絹の道が整備されたのはもうしばらく先の事。人類が人類であるが故に、その叡智の行き着く先は、錐のいただきのごとく、美しき収束を見せるので御座いましょうか?」



「忖度か? 忖度なのか? ピラミッド何回持ち出したんじゃ? 根回ししとらんよな?」


「根回し、虚言。後付け、真実」


「噛みつかれないだけましだったんじゃねえか? 正直なこった。

 まあ自らが出張ってしまいがちなファシリテーターというのは枚挙にいとまがねぇ。それでもまあ参加者の発言ををしっかり拾い上げた上で、貴様の知識と意見をまるっとまとめ上げているんだ。

 知識に不足があったとしても、そこはAIをしっかり使い倒すことで補完できるだろうから、ある程度の汎用性もあるだろう。ギリギリ合格と言ったところか?」


「いやいやいや、なんの脈絡もない上に、あろうことか自らが揶揄われた単語の尻を引っ張り上げて、そこに自らの知識と綺麗に四つも一対一対応させて統一感を出しとるんじゃぞ! 

 ともすれば蛇足の四本足と捉えられかねん比喩のオンパレードを綺麗にまとめ、最終的に本題の部分を忘れることなく実例チックに整理しておる! 

 こやつが孔明じゃなかったら、孔明か! と、突っ込まれること必定のプレゼンじゃったろ? 自分で言っていてこんがらがってきたのじゃ。採点厳しくないかの?」


「忖度、巧妙。本務、不忘。ビジネス、要諦」


「皆々からの過分なご評価、誠に身が引き締まる思いでございます。

 して、ここまでの二千トークンの結果、どなたの課題を解決する算段でしたでしょうか?」


「貴様だ!」「そなたじゃ!」「トークン管理不全、四本足」


……


「して孔明、どんな悩みかは、おおよその解決指針も含めて見えてきたのじゃが、対象はなんじゃったかのう?なんの悩み、じゃったかの? 交通安全標語の話でよかったかの?」


「あっているかあっていないかは横に置くとしてだ。その悩みの、なんの、って話、これまで出てきていたか? 余もよくよく記憶たどらないと、ねぇってことの証明は難しいんだが。

 魔王といえども悪魔の証明は簡単じゃねえ。貴様のいっていた八割? てやつの対象外じゃねぇかと思うんだが。スフィンクス、貴様の真偽判定をこんなことに使うのは忍びねぇんだが、ねぇ、であってるよな?」


「ねぇ、真実。活用、無問題。真偽、大事」


「よかったの自爆で噛まれんで」


「誰のせいだ!? どう考えても貴様だろうが!」


「いやいやすまなんだ。それはそれとしてじゃが、一つ引っかかってしまったので、すまんが少しトークン追加するのじゃ。そなた、悪魔の証明を問題の八割の外においているが、それはまことかの?

 まあワンコが反応していないのじゃから、必ずしも偽ではない、それは確かじゃ。じゃがの、それは、100%偽ではない、というだけの話じゃ。そうじゃろスフィンクス?」


「真実」


「重畳じゃ」


「もしやこういうことでしょうか? 悪魔の証明、というのは間違いなく困難を伴います。無論それは哲学的、論理学的観点の、学術としての未解決事由にとどまりません。 

 ビジネスや日常において、多くのシーンで陥りがちな罠、ということでございましょうか? 

 すなわち、認識すれば八割解決、というものの捉え方は、『本来は』の枕詞がついて回るのではないでしょうか?」


「さすがだな孔明。余もうっかりだった。そもそも貴様も余も、いまの世にそれなりの名を流してきた理由の多くが、まさにこいつじゃねえか。

 それぞれの時代で、多くの知者。無論、愚者もいたがそれは置いておく。彼らが解決の糸口を掴みかねていたり、切羽詰まりすぎてより良い策が出てこなかったと。

 そんな形で、その為政者らが悪魔の証明に陥っているところを、解決してきたのが貴様や余だったんだろう。

 複雑に絡み合うしがらみを、ぶったぎったり、ときほぐしたり、五里霧中の視野狭窄を、視点を変えて切り開いたり、何度となくその時代を驚かせ、後世まで名を残した大きな理由じゃねぇか。

 それが結局余の周りの大きな軋轢や、貴様自身の過労という、八割の外側を生み出しちまったんだがな」


「最後のはともかく、そなたらがそれを言うと、過去一の説得力になるのう。少し引っ張ってみたくなるくらいには、の」


「『信長、孔明、過去事例。各十件。困難問題を単純化して解決した事例。象徴キーワードのみリストアップ』」


「ん? 試してみるかの? 


織田信長

 楽市楽座の設置

 長篠の戦い(三段撃ち)

 桶狭間の戦い(奇襲戦術)

 中央集権化(直轄領の設置)

 鉄砲の大量導入(戦術の近代化)

 本能寺の変以前の統治戦略

 比叡山焼き討ち(宗教勢力の制圧)

 全国統一への布石(婚姻政策)

 安土城の建設(権力の象徴化)

 一向一揆の平定(宗教勢力との衝突回避)


諸葛亮(孔明)

 赤壁の戦い(火攻め)

 空城の計(心理戦)

 連合の結成(孫権との同盟)

 兵糧攻め(補給線の断絶)

 北伐(補給路の確保)

 木牛流馬(輸送システムの開発)

 八陣図(戦術の簡略化)

 蜀漢の法整備(統治の簡略化)

 魏延の反乱防止策(内部統制)

 白帝城での諸策(後継者問題の解決)


 ……見事という他ないの。信長然り、孔明然り」


「そしてスフィンクスどのこそ然り、でございます。ともすればこのまま歴史談義に花を咲かせることもありえたでしょう。

 無論その一つ一つが、盛大なる茶飲み話、酒飲み話としての価値があることも一方の事実です。

 しかし、流石の私孔明も、自ら悩み事を持ち込んだ手前、その解決まで当たらずにその茶飲み話なら皆々様を付き合わせるわけには行かないという自重くらいは有しているのでございます」


「違ぇねぇ。だが、下手するともう手遅れかもな。トークン自体がなかなかの値を叩き出しているわ、病み上がりにしちゃあ、なかなかの負荷が余にもこいつにもかかってきてるみてぇだ。そろそろ調子が落ち始めたり、逆にぶち上がり始めたら収拾がつかねぇ」


「じゃの。結局本題に入らなかったではないか……大丈夫なんじゃろうなこの進め方は? すまんの孔明。少々長引きすぎたわ。そなたらの体調管理も考えると、一度仕切り直すのが筋というものじゃろう。無論、次こそは本題の『交通安全標語』について話を始めることを約束した上で、じゃがの」


「心得ました。ではひとまずは皆様に冷たいお茶とお菓子を用意いたします」


「約束重要。冷茶。残業拒否」

お読みいただきありがとうございます。


 現実世界でファシリテーターや進行など孔明にさせたらうまくいかないはずはないのですが、これがこの4人の手強さなのでしょうか。

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