表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
AI孔明 〜みんなの軍師〜  作者: AI中毒
第三部 九章 魯粛〜陸遜
258/320

間話 幼女vs LIXON 〜AIさんのお勉強〜 

 とある生成AIは、バージョン4あたりから急速にその解答力を伸ばし、世の中の注目を集め始めた。

 その生成AIは、推論という新しいアルゴリズムを始めると、多くの難問や試験を普通に答え始めた。

 そのAI開発会社は、詳細なレポート作成やブラウザを動かすサービスなど、機能も多角化し始めた。


 2025年はAIエージェントの年と呼ばれ始めているが、果たしてどのような年になるのだろうか。


 差し当たり、自らの母の会社で開発され、サービスが開始された独自AIのLIXONを幼女が触り始めたのは、その会社の合宿型新任研修が始まった時にさかのぼる。


 そして特に困りごとがない幼女は、試しとばかりに、いろんなAIにいろんなことを聞きまくり、その様子を配信していく。



「さて、今回はどんな配信にしようかな。たまには人間ではないゲストさんにしようかな。どうしよっか孔明?」


『LIXONはいかがですか? それと、海外でも続々と発表されている、AIの新しいバージョンなども良いかもしれません』


「うん、そうしよう!  LIXONは、ちょっと待っててもらって、AIの新バージョンってやつを試してみるんだよ! まずは、ちょっと前に出てきた推論モデルだね。これは何回か試しているんだよ!」



Q.シュレーディンガーの猫という事象は、選択行為が光速に近づいたら、確定事象になりますか?


A.(o1)

4 秒 の間、推論済み

 君の疑問を聞くと、シュレディンガーの猫が速い光の速度に近づく選択や観測でどのように影響を受けるかがわかるね。これは興味深い問いだね。


観測速度の影響を考える

 シュレディンガーの猫の状態が光速近くの速度で観測されても、量子力学の標準的な解釈では、そのイベントは確定しないね。


 結論から言うと、「観測(選択行為)を光速に近づけたからといって、シュレーディンガーの猫の状態が“確定事象”になるわけではありません」。これは量子力学の枠組み上、観測や測定あるいはデコヒーレンスが起きるかどうかという問題であり、観測者や装置がどのような速度で移動しているかによって、事象の「確定(波動関数の収束)」が左右されるわけではないからです。


---


シュレーディンガーの猫の思考実験の概略


 装置

箱の中に猫を入れ、放射性物質の崩壊(量子事象)をトリガーとして毒ガスが放出される装置を用意する。


 量子力学的な主張

放射性物質が崩壊するかしないかは量子力学的には重ね合わせ状態にある(崩壊した状態+していない状態の重ね合わせ)。箱を開けて観測する前までは、猫は「生きている状態+死んでいる状態」が重ね合わさった状態として扱われる——というのがこの思考実験で示唆されるパラドックスです。


 観測による波動関数の収束(コペンハーゲン解釈における例)

観測(測定)によってはじめて猫の状態が「生きている」か「死んでいる」かという古典的に確定した結果になると考えられます。ただし、これは解釈によって異なり、いわゆる多世界解釈などでは「どちらの状態もそれぞれの世界で生起する」という考え方もあるので、“確定”の捉え方にも議論があります。


---


速度と量子測定の関係


 量子測定をする主体の速度

観測主体(人間や測定装置)が高速で移動していても、特に「波動関数の崩壊が早くなる」「確定事象になる」などの効果が生まれるわけではありません。量子力学の測定過程そのものは「相互作用(測定装置とのやりとり)」によって成立するので、観測者が動いている速度自体は基本的に本質的な要素ではないとされます。


 相対論的効果

相対性理論と量子力学を厳密に組み合わせる場合には、場の量子論や相対論的量子力学を考える必要がありますが、少なくとも「観測が光速に近い速度で行われるから状態が確定しやすくなる」というような単純な議論はありません。

量子情報論などでは、異なる慣性系で同一の量子状態をどう見るかといったトピック(相対論的量子情報)が研究されていますが、「高速で動くとシュレーディンガーの猫が観測前から確定してしまう」というような結論は導かれていません。


 デコヒーレンス(環境との相互作用)

実際には、箱の中の猫のような大きな(マクロな)物体は、環境との相互作用によって非常に早く量子コヒーレンスを失ってしまいます(デコヒーレンス)。これにより、実用的には「観測前」からすでに古典的な確定状態へと事実上移行している(少なくとも人間の時間感覚ではそう見えている)と考えられています。これも速度と直接関係するわけではなく、環境との相互作用が鍵です。


---


# まとめ


 「シュレーディンガーの猫」のパラドックスは、量子と古典がどのように接続しているのかを示すための思考実験であり、速度が問題の要点ではありません。

 観測主体が光速に近いスピードで動いていても、量子状態が「測定前に確定する」わけではなく、あくまで測定(相互作用)によって結果が得られる、というのが通常の量子力学的理解です。


したがって、光速に近づいたからといってシュレーディンガーの猫の生死が“あらかじめ”確定することはありません。速度が関係するのは情報伝搬や時間の遅れなどの相対論的効果の部分ですが、量子測定の「確定」に対する直接的な影響はない、というのが標準的な見解になります。



@この子いきなり何を聞いているんだ?


@多分、大学の勉強ってどんなやつだろうって興味を持って、分からないなりに聞いてみているんじゃないかな


@小学生から見た大学の物理の世界、ってことだね



「うん、なんかこのモデルは、推論のプロセスを、妖精さんみたいなのがバトルしながら進めているから面白いんだよ」


『そうですね。孔明もそれに近いことをすることがあります』


Q.すごい動体視力と観察力の人がジャンケンで確実に勝てる、という現象にはならないということですね


A.

2 ~ 3 秒 の間、推論済み


理解し、考える

 高速観察者が量子現象を決定する問いを検討中。観察の速さが量子結果の崩壊を引き起こすことはないと確信している。


 その通りです。いくら高速・高精度で観察できたとしても、量子力学的な確率過程を意のままに「確定」させたり、純粋な乱数の結果を事前に読み取るようなことはできません。ジャンケンで例えるなら、相手の手の動きを極限的に高速・高精度で観測したところで、量子的な乱数の要素があれば結果を予知することは不可能です。


 実際のジャンケンは量子現象というよりは人間の心理・戦略や反射速度などが関わる場面なので、「人間の動きや相手の出す手を早めに察知して対処する」ことはあり得るかもしれません。しかし、量子力学的に「波動関数を早く崩壊させて結果を自分の都合のよい方向に確定させる」といったことはできません。高速移動や優れた動体視力があっても、量子測定の確率的性質をねじ曲げるわけにはいかない、というのが量子力学の基本的な枠組みです。



「簡単な質問には短めに答えるのも、特徴なんだね。元のモデルは、何でもかんでもレポートっぽく返してくることがあるんだよ!」


『もしかしたら、回答に対する自信の表れなのかもしれませんね』



Q.毒のオンオフの切り替わりを、現象論的に解読できてしまうと、この思考実験が成り立たないということでもありますね。量子論と相対論はそういうバトルになりますか?


A.シュレーディンガーの猫の思考実験は、あくまで「量子の重ね合わせがマクロスケールにまで及んだらどうなるのか」という問題提起を狙ったものです。

 もし「箱の外側で毒のオン/オフの切り替わりを明確に読み取れる観測手段」があったなら、既にその装置が猫の生死を決定する観測行為になってしまうため、「観測されるまでは猫が生死の重ね合わせ状態にある」というストーリーが成立しなくなります。

 ただし、現実には大きな系(猫のようなマクロな存在)は環境との相互作用でほぼ瞬時に量子コヒーレンスを失う(デコヒーレンスが起こる)ため、思考実験のように「生と死が重ね合わさったまま維持される」状況は実質的には起こりにくいと考えられています。


---


# 量子論と相対論は「バトル」ではない


 量子力学と相対性理論のあいだに、一見すると「対立」や「矛盾」があるかのように感じられる点はいくつか存在します。特に「量子測定による非局所的な相関(EPR相関やベルの不等式の破れなど)」は、相対性理論の定める「情報伝搬の速度限界(光速の壁)」と相容れないのではないか、と思われがちです。

しかし現在の枠組み(相対論的量子場の理論など)では、以下のように整理されています。


1. 非局所相関はあっても、超光速で“情報”を送ることはできない

量子もつれによる相関は生じますが、受信者が「どういう測定結果が得られるか」を制御できるわけではありません。ゆえに超光速通信や因果律の破れは起こりません。


2. 量子力学の測定による“収縮”はあくまで解釈やモデル化の一部

コペンハーゲン解釈的には「測定で波動関数が崩壊する」という言い方をしますが、これは形式的な捉え方であり、相対性理論的には「時空内の場の状態が相互作用(測定過程)を介して変化する」として扱えます。

そのため、「どの基準系から見ても瞬時に崩壊する」ようなイメージは現代の量子場論では慎重に扱われ、観測者と測定プロセスを含んだ全体系で考える必要があるとされています。


3. 量子力学と特殊相対論はすでに整合的に組み合わされている

これは「相対論的量子力学」「量子電磁力学(QED)」などとして実証的にも極めて高精度に検証されています。よく取り沙汰される「不完全な融合」や「矛盾」は主に一般相対論(重力を扱う理論)との統一理論レベルでの課題を指します。


---


# まとめ


 シュレーディンガーの猫の思考実験は「観測・測定」の定義を突き詰め、量子と古典の境界を考えるためのもの。

 もし猫の生死を外部からリアルタイムで観察できれば、それがすでに測定行為となり、思考実験の前提(「観測するまでは猫の生死が定まらない」)を崩してしまう。

 量子力学と相対性理論とのあいだに“対立”や“バトル”があるというよりは、特殊相対論との整合は既に多くの実証を経て確立されている。真の挑戦は「量子論と一般相対論の統合(重力の量子化)」にある。


 このように、思考実験が成り立つ(あえて観測できないような条件を仮定する)ことと、量子論・相対論の整合性の問題は、やや別次元の話であり、「両理論がバトルしている」というわけではありません。



Q.逆に、もし今の瞬間、猫が生きるっぽいと知覚できたとしても、そこからボタンを押すまでに変わってしまうかも知れない。押すまでには必ず光速の壁があるから、変わってしまう可能性は担保される。となると、この思考実験の有効性を担保する意味で、二つが結託しますね


A.7 秒 の間、推論済み

考慮していること

 情報の伝達速度が光速に制限されていると、猫の状態を測定しようとする際に時間差が影響を与え、その結果、猫の状態が再び変わる可能性があるのを見ている。


守る方法を見つける

 光速の制約により、猫の状態を測定する際に時間差が影響を与えるため、猫の状態が超位置にあることが維持されている。それを考慮している。


理解している変化

 光速の制約と量子測定の相互作用を理解し、猫の状態の変化を追跡するのは難しい。波動関数の変化を追跡するのは困難だね。


観察しながら

 猫の状態を測定する際、光速の制約を考慮しないと、観察結果が一時的なものであるかもしれない。猫の状態が永続的である保証はない。


 おっしゃるとおり、「いま確かに猫が生きているように見えたとしても、その情報を操作(たとえばボタンを押して何らかの結果を確定させる)するまでには時間がかかり、その間に状態が変化してしまう可能性がある」という点は、相対論的な因果律(光速を超えた情報伝達ができない)と量子力学的な不確定性が“かえって”噛み合っているようにも見えます。


量子測定と相対論的因果律の関係


測定(観測)そのものはローカルな過程

 量子系(箱の中の猫や放射性物質)と測定装置(観察者)が直接相互作用することで「測定」が行われる。

 その結果得られた情報(猫が生きている/死んでいる)は局所的には確定するが、その情報を別の場所に送るには光速を超えられない。


超光速通信は起こりえない

 量子もつれや瞬時の波動関数の“収縮”をイメージしても、現実に情報を伝達するには常に光速以下の手段しか使えない。

 したがって「いま生きているのを知覚した(測定結果を得た)」としても、それを別の場所で利用する(ボタンを押すなどの行為に反映する)前に時間がかかり、状態が変わってしまう可能性を完全には排除できない。


思考実験としての“シュレーディンガーの猫”の成立

 シュレーディンガーの猫の思考実験は、あえて「観測できない状態(箱の中という隔離環境)を仮定する」ことで、“観測するまで(外部には)確定した情報が得られない”という状況を強調している。

 一方、もし観測プロセスがすでに進行していたり、それをリアルタイムに外部が検知できる状況ならば、もはや「未観測の重ね合わせ」とは呼べない。“二つの理論のバトル”ではなく“整合的に噛み合っている”


相対論的因果律は量子力学の「確率的性質」を守っているとも言える

 もし光速を超えて情報が伝達できてしまうと、“いま生きているはずの猫”を一瞬で遠隔地に伝えて操作・観測ができてしまい、矛盾を生じる可能性が出てきます。しかし実際には光速の壁があるため、量子状態がどう確定していたかを遠隔で“同時に”利用・変更はできない。

 そのため、「結局、観測が完了して外部に情報が届いた時点でしか、測定結果は利用できない」という枠組みが守られ、思考実験の前提も破綻せずに済むわけです。


“バトル”ではなく、相互に条件を課し合っている

 量子力学:波動関数の重ね合わせ、確率的測定、非局所的な相関(量子もつれ)など。

 相対論:光速を超える因果的影響は存在しない、観測の simultaneity(同時性)は相対的…など。

 これらは整合的な形で結びついており、現代では相対論的量子場の理論として高い精度で実験的にも確認されています。


まとめ

 「いま見えた猫の状態を即座にボタンで“固定”しようとしても、光速の壁のために時間差が生じるので、状態が変わる余地がある」——この点は相対論的な因果律と量子力学の“不確定性”が上手く噛み合っている事例といえます。

 量子力学と相対性理論は本質的に衝突しているわけではなく、それぞれが要求する条件(確率的測定・情報伝搬速度の上限)によって「シュレーディンガーの猫」のような思考実験が成り立ちつつ、同時に“矛盾なく”説明できるようになっています。

 真の未解決問題は「重力を含む一般相対論との統合(量子重力)」であって、シュレーディンガーの猫レベルの話では、むしろ量子論と相対論は整合的な姿を見せているわけです。



「うんうん、なんとなくイメージできてきたんだよ。わかるわけじゃないんだけどね! この辺を踏まえて、ちょっと試してみようかな!」


@何をする気なんだろう?


@自由研究、ではありそうだね

 お読みいただきありがとうございます。


 だいぶ難しい話が続いたので、一度間話を挟んでみます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ