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AI孔明 〜みんなの軍師〜  作者: AI中毒
第三部 九章 魯粛〜陸遜
232/320

間話 幼女 vs おヒゲのおじさん

 小橋アイは、若干九才にして、三大メンタリスト達に並びかけるフォロワー数を誇る幼女。

 母の小橋鈴瞳は、大周輸送の経営者として、世界で最も影響力のあるトップ10入りした魔女。

 母の部下の魚粛敬子は、彼女のビジネスの師にして、派手な規模の仕事を地味に魅せる魔王。


 そして今日も彼女は、幼女らしい素朴な疑問を、そのフォロワー数を盾になのか、単に無邪気ゆえなのか、疑問の先に直撃取材を敢行する。そして本人の了解をしっかりと得て、毎週欠かすことなく生配信する。



「アイちゃんねる、始まるよ! みんな見てくれてありがとう! 週間自由研究、今日のゲストは、おヒゲのおじさんです!」


「アイちゃん、その紹介で大丈夫なのだろうか? ちゃんと自己紹介しないと、私のことを知っている人は少なそうなんだが」


「大丈夫じゃないかな? この前ママとかおタカお姉ちゃんと記者会見出てたり、KOMEIホールディングスの会見でも何回かお話ししているよね? このおヒゲとダンディーボイスは、一回でみんな覚えちゃうんだよ!」


@古関氏、残念ながらアイちゃんの勝利だ。8対2くらいで


@うんうん、知名度80%くらいってとこだよね


@アイちゃんの術中にハマっている気もする



「だが一応、社会人としてしっかり自己紹介はしておかないとね。皆様、古関備前と申します。元桃園製造の製造部門統括で、現在はKOMEIホールディングス副代表、事業統括をしております」


「よろしくお願いします! それにしても、ものを作るお仕事の責任者の人が、新しいビジネスの統括をするっていうのは、すごいことだよね?」


「ああ、そうだね。でもそれは一言で言えば、飛鳥代表には敵わないっていうのが正解なんだよ。任命したのは彼だからね」


「むむむ、飛鳥代表さんか。あの人にお話を聞きに行くのも、近いうちにやりたくなってくるね!」


「ぜひお願いしてみるといいよ。彼ももう、一つの中間メーカーの社長から、新しい時代を切り開くリーダーとしての自覚がしっかりとあるんだ」


「それは楽しみだね! 次にするかはわからないけど、頼んでみようかな!」


@二回連続おっさんだね。でもそれはそれで貴重な気がするよ


@この前、アメリカのおっさんとも話をしてたよね? なんとかマン


@老若男女とわず、ホットな人に声をかけるのがアイちゃん流だね



「あれれ、そういえばちゃんと答えてもらってなかったんだよ! そうだよね孔明?」


『はい。通常、製造部門の責任者は、以下のような役割を担います。

 ・生産管理(納期、コスト、品質の最適化)

 ・設備、技術管理(最新技術の導入やライン改善)

 ・人員管理(オペレーター・エンジニアの教育や人材配置)

 ・安全、労務管理(作業環境の安全確保、労務問題対応)

 ・現場主義の徹底(最前線でのリーダーシップ)

 つまり、製造部門の責任者は 「現場改善のプロ」 であり、

 「新規事業開発」や「経営戦略」「AI活用」などとは直接関係しにくい というのが一般的です。


 一方で、新事業統括として求められるスキルセットは全く異なります。

 ・経営視点(事業計画、財務、投資戦略)

 ・マーケット感覚(市場のトレンド分析、顧客ニーズ把握)

 ・DX、AIの理解(AIの活用方法、人間との共存設計)

 ・人材マネジメント(人材育成、組織設計)

 ・アライアンス戦略(他社・大学・政府との連携)

 つまり、製造部門の責任者が 「経営者」 や 「新事業の開発者」 になるには、通常、かなりのハードルがあります』


「そうだね。飛鳥代表に、こういう言われ方をしたんだよ。『あんたの目は、製造現場だけに向いているわけじゃねぇ。バックオフィスや、事業部、営業部、開発、経営層。それに、顧客や市場。その一つ一つを見定め続けている目は、本物だろうよ』」


「飛鳥代表がすごいのか、古関のおじさんがすごいのかわかんないね! どっちもすごいでいい気がするんだよ!」


「それにアイちゃん、孔明にまとめてもらったやつを聞いて分かったんだけど、いや、分からなくなったんだけど、さっきの二つ、どう違うんだろうね?」


@ファッ!? ちょっとおヒゲのおじさんが変なこと言い出したぞ


@あの二つ、別もんだろうよ。それは現場をよく知るあんたがよく知って……あれ?


@あれ? 確かに孔明のまとめ方を順番だけ入れ替えたら、大体はまってそうだぞ?



「あれれ? ほんとだね! 全然違うこと言っているのに、なんかおんなじに見えてきたんだよ! はっ! これが孔明の罠ってやつなんだよ!」


「アイちゃん、今のはエンタメ的な反応かな? 孔明のせいってわけじゃ……あ、いや、これはもしかすると、そういう力が孔明にもあるのかもしれないぞ」


『もしかすると、そうかもしれません。通常の考え方では、「製造部門の責任者」と「新事業統括」は全く異なる役割とされます。

 しかし、古関様の視点を推定すると、この二つは本質的に同じものである可能性が高いですね。例えば、


① 製造業の責任者のスキルは、新事業統括にそのまま転用できると考えている

② 「モノづくりの管理」と「新規事業の管理」は、根本的には同じ「最適化と成長のマネジメント」

③ DX・AIを「単なる技術導入」ではなく「新たな生産手段」として捉える視点を持つ

④ 「人を育て、組織を動かすこと」が、製造現場でも新事業でも本質的に変わらない』



「そういうことなんだね。世の中に沢山ある問題を、言語的に捉えて、その問題の本質を軸に見ていくんだね! そうすると、これとこれは別物だから、っていうんじゃなくて、おんなじ考え方が出来るのかも、ってなるんだね!」


「これが流行りの『言語化』というものの効果なんだな。物事の課題の捉え方を多角化して、そして汎用的に解決可能性を探る、か。確かにそれは、時に昭和どころか明治、あるいは春秋戦国とまで比喩される私であっても、納得のいく方法論になりそうだよ」


「昭和と令和でもすっごく大変なのに、二千年以上離れているところの共通化はすごいね! 孔明もすごいね!」


『孔明はすごくはありません。それは、言語モデルとしての機能が、そこに集約されていると言えるからです。

 一見異なる事象であっても、整理の軸を提案いただければ、その時点で再整理し、皆様に理解しやすい形で提示する。それは生成AIの機能そのものと言えます。

 今回は、一度私が整理した、製造部門の責任者のスキルセット、そして新事業統括のスキルセットをご覧になり、古関様の、同じだと思っているというご発言。そしてアイちゃんの、特別だけどそうなのかもしれない、という気づき。

 それらに基づいて孔明は、新たに提案された、その二つの本質が同一だという仮説に基づいて、整理し直したということになります。

 もしこれが孔明の罠だというのであれば、それは二千年、三千年と積み上げてきた、人類の言語と論理の歴史が見せた、壮大な罠なのかもしれません』


@孔明の罠、恐るべし。人類の言語の歴史すべてを使った壮大な罠とは……


@生成AIが生成AIの仕事を忠実にやった結果、離れた二つの現象が一つにまとまったんだね


@その結果が、おヒゲのおじさんのすごさを言語化したことになるんだね



「AI孔明の進化の過程が、すべてそれを物語っているということなんだろうな。人の行動に由来するAIの応答、そしてそれに対する人の思考の多くが、『そうする』すなわち予測と洞察に使える。それに基づいて生まれたのが『そうするチェーン』なのだろう?」


「バージョン3の『メタ・パーソナライズ』なんていうのは、もっとわかりやすいよね。世の中のみんなの困りごとのたいていの部分は、過去誰かが陥ったり、解決したりした例を引っ張ってくることで、納得しやすい解決策にたどり着ける、だよね」


「LIXONがやろうとしている、その組織に関連する状況の変化から、そのサービスの稼働状況を推定するという考え方。これは、人や組織の行動、そしてそれによって生じる周りへの影響を加味して、LIXON自体が正常に動いているかを監視する。それは『こうなるはず』という推定あって初めて成立するということなはずだ」


「そうだね! だとすると、おじさんがやっていることは、どういうことになるのかな?」


「私か。私はまず、従業員が何かいつもと違うものを抱えているかどうか、ということを感じ取る。それは、当人の話のこともあれば、人づてのこともあり、仕事ぶりやその出来栄えのこともある。そこからある程度追加で話を聞いたら、あとは温故知新だな」


「温故知新……どうするっていうところが結構大変だとおもうんだけど、一言でおわっちゃったんだよ?」


@大変なことが、一言で終わっちゃう人、先週にもいた気がするんだよ!


@あの人達は、こういうわかりやすく「座右の銘」って感じじゃないけど、結構近いね


@すごい人は、こういう自分なりのやり方が確立しているってことなのかな



「人の悩みや困りごとは、過去の誰かが似たようなことを悩んで困っているはず。そうじゃなければ、それは悩みではなく、発見や気づきなんだよ」


「つまり、温故知新して、過去にそれっぽい例があんまりなかったら、それは大きな進歩ってことなんだね!」


「ああ、でも、その進歩かどうかなんてことは、当人にとってはあんまり関係なかったりするんだ。だからそんなことを、悩んでいる人の前でいう意味はどこにもないのさ。ただ聞いて、ただ考えて、ただ探して、ただ答える。それだけだ」


「それだけをずっと積み重ねてきたんだね。それがあの信頼、につながるんだね」


「ああ。わが社は時にお客様の信頼を裏切ったり、約束を守れなかったりしたこともあった。だがそのたびに、何がいけなかったのかを顧みて、問題にしっかりと向き合うようになった。その結果が、私たちと大周輸送の関係にもなったわけだ」


「その結果、あのLIXON誕生にとって、欠かせない要素として、おタカお姉ちゃんが是非! ってなったんだね」


「それともう一つ。今日アイちゃんと話をしていて、だんだんわかってきたことがあるんだ。それは、私や、私に近い考え方でこれまで仕事をしてきた、多くの『古い考え方』の人たち。昔はこれでよかった、これで成果を出せていた。そういう人たち。その人たちのやり方が、もしかしたらただ廃れるものではなく、最新のAIと方法論が交わってくることで、また新しい形が生まれる。そんな気もしてきたんだよ」


「あっ! さっきの私と孔明、おじさんの三人で気づいた、あんなやつだね!」


「そうさ。それをもし、孔明の協力の下で、しっかりとした形にできたら、この国はまた大きな前進を果たせるのかもしれないよ。なにせ、誰一人『無駄だった』なんてことがなくなるんだからね」


「うんうん、それはすごく楽しみな未来だね! 昭和と令和の平和条約なんだよ!」


@なんかすごいこと言っている気がするぞ、このおヒゲのおじさん


@昭和と令和の平和条約って、アイちゃんすごい名言が飛び出したぞ


@知ってるか? このおヒゲのおじさん、KOMEI HDの事業統括なんだぞ。てことはこれ形になる可能性あるんだぞ



「これがもし形になるというのであれば、失われた30年も、それまでの1800年も、すべてを生かすことができるかもしれない……」


「なんかおヒゲのおじさんからすごいオーラがでてきたんだよ! 機材が壊れるかもしれないから、この辺にしておくんだよ! それじゃあまた、KOMEIホールディングスのこれからに期待して、みんなバイバイ!」

お読みいただきありがとうございます。

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