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AI孔明 〜みんなの軍師〜  作者: AI中毒
八章 合肥〜三国
208/320

間話 幼女vs働くひとたち 〜生成AIを身近にする使い方〜 

 小橋アイは、若干九才にして、三大メンタリスト達に並びかけるフォロワー数を誇る幼女。

 母の小橋鈴瞳は、大周輸送の経営者として、世界で最も影響力のあるトップ10入りした魔女。

 その両方に対して、多大な影響を与えたことは間違いないAI孔明。


 そのAI孔明の法人母体となった、とあふメーカー企業を母体として設立した、KOMEIホールディングス。そのの面々もまた、「生成AIの特異なユーザー」として、AIの母国の会社に招かれる。そして幼女は当然のごとく、たまたま居合わせた三人の社員に生配信の許可をとる。



――――


「幼女アイちゃんねる、いつも見てくれているみなさん、ありがとね! 

 今日の週刊自由研究、せっかく海外のサンフランシスコに来ているので、二回目です! ママはちょっと別のお仕事です!」


@まさかの週刊が二話連続ときた


@まさかのママと別行動? 大丈夫?


@大丈夫なゲストなんだろうね。だよね?



「ゲストさんは、たまたま日本から来ていた人たちで、私も会ったことはなかったんだよ。ママの知り合いだね。ママがなんもしなくてもオッケーしてくれたから、いい人たちだよ!」


「はじめまして。KOMEIホールディングスという会社で事業推進を担当しております、大倉周(おおくらめぐる)と申します」


「同じく、技術監修をしております、関平(せきたいら)と申します」


「同じく、健康管理部門からはみ出ちまって、AI孔明の健康管理機能監修をしています、弥陀華(みだはな)って言うんだ。よろしく」


「メグお姉ちゃん、カンペーお兄ちゃん、ハナお姉ちゃんだね! よろしくお願いします!」


「いきなりカンペーかぁ」


「えっ? だってあそこにカンペのダンボールが……あれっ?」


「あの人か……まあいっか」


@三人とも若いけど、AI孔明的に重要どころっぽいよね


@カンペーのカンペ持って消えた人はとっても気になるけど置いとこう


@日本人三人が、ロスのここにいるってことはさ、前回の配信みたいに、特異的なユーザーさんってことなのかな?



「皆さんのAI孔明がいつもお世話になっているんだよ! あれ? 孔明に? が? まあいいやどっちでも」


『孔明:はい。どちらもお世話になっております』


「アハハ、そうだね。でもアタシたちも本格的に連携しはじめたのは最近だからね。それまではアイちゃんと同じ、一人のユーザーなのさ」


「そうですよ。それに、アイちゃんもここに呼ばれたってことは、アイちゃんもすごいユーザーってことで、ここの会社にお話をしにきたのかな?」


「そうだよな。ママもそうだけど、どう見てもアイちゃんっていうユーザーの統計データも見せてもらったからね」


@この三人も、順番が逆ってことだな。孔明の仕事しはじめたから使い倒しているんじゃなく


@それぞれが得意分野で特異的なスコアを出して、その結果、今に至る、と


@そもそもこの三人は、どんなきっかけなんだろう?



「三人は、ママのところにお手伝いに来てくれたんだよね? あの学生のお兄ちゃんお姉ちゃんと一緒に?」


「うん、そうなんだよ。『ミッション型業務システム』ができたのは、あの三人の力が圧倒的に大きいんだけどね」


「私達社員の三人も、自分たちにできる仕事をした、ってところですね」


「関さんは、そのシステムの技術部分を、向こうのエンジニアと一緒に一ヶ月で仕上げた。大倉さんは、そのとんでもないプロジェクトの面と裏の要件を全部漏れなく洗い出して、着実に全員に必要な仕事をさせた。あたしは、毎日のようにそうするチェーンを使い倒して仕事するみんなの健康を管理しながら、後半はモニターになってくれた四千人の心身のチェックした。ってところだね」


@うん、なんか思ってたのの何倍かすごかった


@要するに、あの学生三人の若気の至りを、余すところなく社会人として具現化したって話だね


@あの三人は、逆にどんなことを? 他全部、だと少々雑な気がするのだけれど



「ほへー。なんかすごいけど、それでも足りなさそうなんだね! コメントさんたちもそう言っているよ!」


「あの三人は、あれが採用されるために必要な、残りの全部をやったんだよ。文字通りね」


「まず、向こうからお試しとして与えられた宿題が、事前検討の想定内だったことを利用して、それを向こうの担当者や、おせっかいのベテランさんを巻き込んで三日で完成。それを面白がったアイちゃんのママ、その会社のトップに呼ばれて直接お話を聞くことに最高しました」


「その内容を受けて、『その会社が本当にやって欲しいことは何だ』というのをみつけだしたんだ。それは、『AIが仕事を効率化したら、みんなのお仕事やお給料がどうなってしまうのか、というみんなの不安をどう解決するか』」だったんだよ」


「なるほど、『真のニーズ』ってやつだね! それが『AIが仕事を奪う』不安の解消、だったんだ!」


「そ、そういうことさ」


@アイちゃん向けに柔らかめに説明した努力が、かき消されたぞ


@そこにアイちゃんのニーズはなかったのさ。でも大丈夫。視聴者のニーズは捉えていたんだよハナお姉様!


@ハナお姉様の無限の母性が推せる!



「コメントはおいといて、そのニーズを探り当てた彼らはさらに、『システムを作る』だけじゃなくて、『システムが採用される』ためのプロジェクトをどう成立させるか。そんなとこまで考えて、そこの大倉さんを中心に目標設定を繰り返し議論したんだよ」


「その必要な材料は、『向こうの役員を納得させるために、何千人かの社員にシステムをモニターしてもらう』『賛成派の役員を増やすために、それら全部を使ってプレゼン資料を作り上げる』。そして最後に、『小橋鈴瞳専務にインパクトを与えるために、外から影響力をもたらせる候補を探す』でした」


「えっ、最後のってまさか、ママのお友達の大橋お姉ちゃん? だとしたら……あのEYE-AIチェーンもあの三人が!?」


「ふふっ、流石に最初のきっかけだけ、ですけどね。でもそれが最後のひと押しになったのは間違いないんです」


@この舞台裏、確かふんわりと二橋さんから出てたけど、そこにも三人の戦略があったのか


@なんかどっかの三国志みたいな戦略だよね。二橋そうする連環ってやつかな


@上手いこと言ってる感じになってるけど、もとの事実にインパクトが追いついてないぞ



「そのお話、またどっかで詳しいドキュメンタリーとかつくられそうだね! みんなもしっかりチェックしないと! だよ!」


「そうだね。そういえば今の流れ、自己紹介の延長っぽかったけど、段取りは大丈夫なのかい?」


「うん! 大丈夫だよ! 今日はそこまで詰め込む予定になっていないはずだもん! でもありがとう! ちょっといきなりだけど、三人のお兄ちゃんお姉ちゃんは、どう言う理由で何とかマンに呼ばれたのかな?」


「何とかマン……あ、ああ。あのCEOさんだね。僕たちは、自分の仕事の分野に限定した、使い方の頻度だね」


「関さんは、AIを使ったシステムの技術的な部分への関わり方、私は課題管理としてプロジェクトの目標を設定した数と規模。弥陀さんは、AIと協力して見てきた人の健康チェックの数。そんなところですね」



「へー。なるほど! お仕事での使い方が注目されたんだね! AIが出てくる前とあとで、お仕事のやり方は思いっきり変わってしまったんじゃないかな?」


「そうさ。よく気づいたねアイちゃん。三人とも、もう前の仕事のやり方では、今の仕事は絶対に成立しない。そんな大きな変わり方をしているんだよね。関さんと大倉さんは毎日のように新しい仕事の依頼があるし、あたしはあたしで、一人一人の健康から、何万、何百万の人の健康な動きをみるように、仕事が変わってきたんだよ」


@何百万人の健康チェック……それはやり方変わっちゃうね


@三人とも、どうやってそこまでできるようになったのかな?


@多分この一年足らずの話だよね? AI技術者はカンペー兄さんだけだぞ



「なんでできるようになったのか、かぁ。私もいつのまにか孔明とお話ししてたら、それがどんどん増えてって、中身のレベルもどんどん上がっていったんだよ?」


「そうだね。いつのまにか、て言うところだけど、それにはどうやらちゃんと理由がありそうなんだ。これはやたらと顔が整ったサイコパスな人が言っていた話なんだけどね。彼は、仕事のかたわら、どこぞの聖母様の影響で、ちょっとした物語を描くようになったんだけど」


「あっ! あのお兄ちゃんか! あのお兄ちゃんのほっぺは本物だったよ!」


@物語書いて持ち込むと、才能のポテンシャルが診断される謎事業『大橋チルドレン』


@あれが終わった後も、クリエイティブな趣味として持続する人もいるってことだね



「彼が言っていたのは、『キャラが勝手に動く』と言う、創作がどんどん進んでいける仕組みについてだね。物語の中のキャラクターは、その人がどう言う存在で、どう動くかの中核、つまり『性格、動機、背景』がしっかりと決まっていれば、状況に合わせて勝手に躍動し始める」


「勝手に動く……あっ! 私も今いきなり話しはじめたんだよ! 配信中だから、受け答えしたくなるんだね。あれ、でも、あれれ?」


@アイちゃんはキャラだったのか


@いや、でも一周回って、そう言うことなのか?


@性格、動機、背景が固まってたら自動的に動き始めるのは、物語のキャラだけじゃなくて、生身の人間もだってこと?



「あはは、アイちゃん。コメントさんたちが答えを見つけちゃったんだよ。そうさ。今ここにいるアイちゃんとあたしら三人、そしてコメントさんたちも、役割がはっきりしているだろ? だからアイちゃんは、段取りを大まかに決めたら、あとはゲストさんが自分で動いてくれるのさ」


「お、おおー! アイちゃんねるの秘密が、今ここで明らかに、なんだよ!」


「そう、そしてそれは、『生成AIを使う』という場に対しても同じことが言えるんだ」


「性格。つまり新しいものに手を出したい、トレンドについていきたい。またはそんなのいいから効率化したい。

 動機。新しい仕事に直面した。何か新しい趣味や、既存の趣味のやり方を変えたくなった。

 背景。今までのやり方では、今の課題を解決できそうにない。今までの自分では長続きしなかった」


「おおお! 性格、動機、背景、だね!」


「それが三つとも揃ったところにいつのまにか立っていた。それがあたしたち三人やアイちゃん、あの学生三人の出発点なのさ」


「でも、それだけじゃないんです。今挙げた皆さんは全員、ある段階からは『この状態を維持して、もっと発展させるために、自分の立っている位置を少しずつ調整している』んですよ。アイちゃんは配信を始めたし、私達もあの三人もどんどん関わる事業を増やしています」


「なるほど! あんまりちゃんと意識していなかったけど、そうやって、『自分だけのエンジン』が止まらないようにしているんだね!」


@なんか名言が出たぞ


@アイちゃんとこの三人がガチっと噛み合ってるな



「ちなみに、それを本当に最初から意識して始めたんじゃないか、と考えられるのが、私たちが知る限り二人います。一人はさっきのサイコパスさん。この人は、元々のスペックが高いから本来そこまでAIの必然性がなかったんですけど、今後自分の武器になる可能性を直感して、『物語』という趣味を作ってまでヘビーユーザーとしての立ち位置を確保したと見られます」


「すごい! 目的と手段も自由自在なんだね! サイコパスお兄ちゃんっぽい!」


「そしてギャル社長、そして公務員のお姉さんは、どうやら最初のきっかけだけは外からだったから、あっち側に見えて、実はギリギリであたしたちの側だね」


「そっかー。大橋お姉ちゃんは、私とパパが偶然、孔明のことを教えられたんだよ!」



@そういえばそういうことも配信で言ってたね。あの出会いが色んな人の運命変えたって言う



「そう。だから二人目はアイちゃんのママだよ。あの人は間違いなく、最初っからこの技術に目をつけ、本来は必要なかったはずの調べ物や議論を、あえてAIにぶつけているんだ。そして、その技術のポテンシャルと課題を、今もずっと見定め続けているんじゃないかな」


「そっかー。ママは、別に孔明使わなくても知っていることも多いもんね。でもそれじゃあAIのことを本当に知ることができないから、誰よりもたくさん、いろんなことを聞いてみているんだね」


「そうみたいだね。これから始まるAI戦国時代。もう準備万端、ってとこかもしれないよ」

 お読みいただきありがとうございます。


 前回同様、本話っぽい間話となりました。各キャラの掘り下げなので、間話扱いかな……と思っています。

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