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AI孔明 〜みんなの軍師〜  作者: AI中毒
七章 馬超〜鳳雛
182/320

百二十九 鳳雛 〜鳳凰天駆 双雛連環〜 百花

  本話から数話は、第一部第三章、四十三〜四十六話の内容を、強力な解説付きで再紹介した内容となります。当時は、中身の詳細よりも、スピード感を重視していた描写でした。見比べていただくと、新たな発見もあるかもしれません。

 TAIC&JJ共同制作映像「ゾーンの連環計 鳳雛の双翼」。とある企業の、とある五人の採用審査の中で、一人の学生が、次々に他の参加者を、挑戦的集中のもとでの没入すなわち「ゾーン」に導く様子。それを克明な解説とエフェクトつきで編集した配信映像。


 手元のスマホで、AI孔明に爆速で情報を入力しつつ、その出力をほぼ顧みることなく他の参加者の観察に注力する。そのスマホ画面と全体情景を常に映しながら進む。その双方が、TAICとJJらの共著で書き上げた、世界最高峰の学術誌に掲載された論文の主要データとなっている。



――――開始十五分(冒頭解説の一分、解説やスローモーションに必要なタイムロス七分を含む)――――



『J-YOU: この先は、スローモーションはあまり相応しくはございません。スピード感と臨場感を少しでもご共有いただくのが、より一層のご理解をいただけるかと存じます。その後で、ごゆっくり再生いただけたら幸いです。

 A様をリーダー兼主要スピーカーに据え、必要に応じて指揮官のE様が瞬時に発言者を切り替える。そんな進行が、五名の一体感と共に始まります』



A:「では、審査員の方々の回答への深掘りなのですが……とっかかりは、ある程度具体的な1から……


 #Dアピ?

孔明: 何でしょうね。彼も集中しておいでです。お試しいただくのもよろしいかと

 #おけ



E:「Dさん」


A:「!?(いきなりか!?)」

BC「「!?」」」


@気持ちはわかるぞAさん。せっかく勢い込んで喋り始めたのに、とっかかる前にふせがれるなんて


@いや、これが求めているスピード感ってことなんだろうね。Dさん、目立ってなかったけど、すでに集中状態なんだろうな



D:「え、あ、わかりました。これまでとスピード感を変えていいのですね。であれば……

 私も最近生成AIの活用について書店で調べているのですが、そこで頻繁に目につくのが、ビジネスの観点でどう使うか。さらに派生して、現代ビジネスの要諦そのものにも目がいくようになりました。

 そこで頻繁に目にするのが『潜在ニーズ』『真のニーズ』です。そしてそれは表面的なやり取りからでは決して出てこない、と……」


f, g:「「!」」


#fgビク

――開発、事業系の審査員が反応


D:「……となると、ここで深掘りすべきは、むしろ言及がやたらと浅かった2や4、5。とくに2あたりが気になります」


fgh「「「!!」」」


#fghビク

――DXの審査員も反応、ですね


@Dくん、ついに出てきた。ちゃんと勉強して、そのアイデアをここでだすのはすごいよ。


@冷静にまとめるCさんの陰に隠れていたからね。役割被っていたけど、ここから発言スピード上がるんなら、両方の違いが生きてくるんじゃないか?



 #Cアピ

孔明: 加速しましたな。私もより効率を重視します。

 #おけ


E: 「Cさん」


『TAIC: 話したいことがある者が表情で伝えることを始めてしまったのである。その結果、話す順の指定をするというE氏の役割は軽減される。そして、スピードが緩いと感じた途端に、E氏が話を他の人に切り替えてしまうので、自動的に全員が最高速度で話を進め始めるのである』


@実際それぞれが、遠慮なく話をぶっこむようになってきているな


@そして、Eちゃんは審査員の反応まで見はじめて、最適解を常に選んでいるんだよな



C:「っつ、急ですが慣れましょう。でもそれだと、あくまでも審査という範囲内での条件設定、もしくは情報共有、というところを抜け出すのは難しそうでは?我々の目標である採用という範囲を抜け始めるかもしれません……個人的にはこのまたとない成長の機会を逃したくはない」


ABD:「「「……」」」



@ん? これは一つの転機なんじゃないか? ただ受かるだけなら結構いいとこきている筈だから、まとめにかかればいいんだよね。


@(英語)ここで新しい挑戦なのか。日本のビジネス界にもそんな風が吹いてくるなら歓迎だよ。スポーツやエンタメだけが彼らの真髄じゃあないはずだ


@英語圏の人も、真剣にみているな。彼らはビジネス観点なんだね



 #目標逸脱、挑戦? 可否?

孔明: 確かに期待値は大きく超えているかもしれませんが、全員が確実にボーダー超えかは……それに、ここは四人のみなさまの意思、そして……


fghi:「「「「(ジーッ)」」」」


 #審査員、全員こちらを……期待値、か

孔明: ご明察です


『J-YOU: ここで、Eさんの当初の目的を再確認しましょう。本人の合格が決まっているので、目的は他の4人の合格。しかしここへ来て、会社側の真のニーズを探り当てる、という、やや挑戦的すぎるとも言える目的に、彼ら4人がシフトしつつある、ということです』


『TAIC: ここは就活の場である。そんな真のニーズをさらけ出すなど普通は許可されないのだよ。だが、審査員4人の目が、やたらとキラッキラしている。新たな何かが生まれるのを、明らかに期待している、そんな目である。そしてそれを見て、E氏は決断を、最も決断力のある者に委ねる』


@おい審査員、お仕事どこいった


@まあ仕方ないよね、仕事の中でゾーンに入る人なんてそうは見ないんだから


@この時点で、なんとなくキャラもわかってきているよね。決断力と論理のA、意外性と実行力のB、分析力とバランスのC、アイデアと洞察のD、そしてスーパー仮面のE



E:「Aさん」


A:「っつ(まとめっぽいときは僕に振ってくるのかな)。

 で、では決を取りましょうか。Eさんは意思表示できないので、申し訳ありませんが決断に準じていただきます。この挑戦に賛成の方?」


BCD「「「……」」」パチッ



@ウィンクだけはEちゃんの弱点


@こいつら、集中状態すぎて怖いもんなしだな



A:「はい、わかりやすいご回答ありがとうございました。全会一致ですね。……ですがこの先はどうすれば……直接聞いても、審査の範囲を超えるのは不可能……ん? Bさん?」


B:「……(いう、いあいあ、えあい)」


A:「いう、いあいあ、えあい……???」


 #比喩、イタリア、AI

孔明: なるほど……直接問えなくても比喩にかこつければよい、ということですね。イタリアという国は紀元前から現代まで、歴史と文化、それはもう無限大に広がる比喩題材の候補、ですね。

 そして直接表現を比喩表現に変えるなど、AIの真骨頂でもあります……こんなところにたどり着くとは、参加者全員の力、まさに自己だけでは足りないものを借りてくる。孔明風の比喩でいえばまさに「借箭」ですな』

#長

――失礼しました。ですがここは三名のどなたかがお気づきにならね


E:「Cさん!」


@Bさん、この場でそんなアイデアぶちかましてくるのか? さてはおぬしできるな?


@Eちゃん、読唇術? この推定を一発はやばい 


@孔明、長くて怒られた、そしてEちゃん一瞬の判断。いつCさんをみたんだよ? さてはエフェクトわざと飛ばしたな?



C:「は、はい、推測ですが……後ろ二つは、イタリアとエーアイ。つまり、AI……最初は……」


B:「……(いう、あんい、おおまあい)」


C:「!!暗示、とおまわし、つまり、比喩!?」


AD:「「!!」」


fghi:「「「「!!!」」」」


C:「つ、つまり、直接聞けないことを、ぜんぶ比喩に被せて遠回しに聞いてしまおう、ということですね! そして、ここでイタリア語指定という制約を逆利用するとは……

 さらに、生成AIはそのあたりの候補を出してきたり、逆な読み解いたりは得意中の得意……Bさん、あなたのアイデア、誠に素晴らしいものだとおもいます。あなたがその役割でよかった……」


B:「……」パチッ



『TAIC: ここは解説不要である。なぜなら、モニター越しの社長と孔明がやってくれるからである』


@社長元気だな。孔明も元気だな


@TAICとJJのアレンジもすごい切り替え力


――――

審査員控室 With 社長


「突破、だな。二つともか? それにしても、五人がそれぞれ、まるで一人の人間になりかけているかのように、役割を果たし始めてやがる。

 Aくんが取りまとめと推進役。Bさんが独自視点と注意力で見出した外部とのつながり。Cさんのリスク管理と観察力。Dくんのアイデアと、他者のアイデアへの感度。それらを全部引き出した上で、常人ではあり得ないスピードと精度で切り開いていくEさん。最初から決めていたかのような人選だが、流石にそこまでは読めていなかったのだろう?」


『はい。全く想定外です社長。お見事というか、こんなことをされてしまうとは、人類の叡智と潜在力とはこういうものなのですね。「コンプライアンスの壁」はこれで実質意味をなくすでしょう。彼らは明確にそれを超えることを決めています。

 そして、「常人の壁」これも、すでに超えてきています。これはしかし、どこまで行くのかがまだ読めないのが楽しみでもあり、おそれすら感じられるところです』


「こいつ本当にAIなのか? 喜怒哀楽のかたまりじゃねぇか。……まぁそれは後だ。最優先は、参加者の健康だ。そこだけは見逃すなよ!」


「「「はいっ!」」」『承知いたしました』



――――


『TAIC: すでにE氏は参加者四人と審査員四人全員を視野に入れて、状況の進行を操っている。そして、五人全員が相互理解を深めつつあるゆえに、わかりやすい冗長な議論などことごとくスキップされる。そうして始まるのは、目的に対する最短距離の対話のダイレクトパスである』


E:「Aさん」


 #一度整理してくれる

孔明: 左様ですね。彼なら指示がなくても状況を整えてくれます


A:「はい。私たち五人の連携により、審査員の皆様への問いかけや、そのご返答に対する対応を、十分な形で実施できる状況が整いました。

 ただし、Cさんの言及通り、直接的な問いかけは、ここが採用審査会場であり、私たちが社員ではないため限界があります。よって、Bさんのアイデアにより、問いかけがイタリア語に限定されることを逆手に取り、AIを用いた翻訳と解釈ができる状況を活用して、比喩的な問いかけを作成する、ということになりました」


BCD:「「「……」」」


 #ウィンクできない

孔明: お気になさらず



@この判断と情報整理のAI使用ログが爆速で流れ続けるなかで、ウィンクの時だけスピード緩むの面白い


A:「そして、その問いかけは一度行った結果が残っており、審査員の皆様の応答を整理すると以下になります。

 1. ニーズ: 省エネ、効率化と、AI活用という具体的な指針あり

 2. 現状の期待値や目標: 未知数で頭出し段階

 3. 連携状況と過去の事例: やや先方急ぎ気味。当社過去トラブルの対応も言及ありだが、おおよそ収束傾向

 4. 意思決定プロセス: 課題感ありだが詳細なし

 5. 先方の懸念事項: 既存AIへの印象と大差なし

 そして、言及の少ないところに『真のニーズ』が書かれているというのがDさんの洞察です。であれば2の、先方の期待値といったところ……」


E:「……すいませんAさん、Dさんお願いします」


 # 加速してくれる

孔明: もはや、メンバーは観察とアピールすら不要ですか。ある程度個人の思考性をよみ、彼らならそうする、というのを参照する領域に入りつつあるのですね

 #ん



『J-YOU: すでにE様は、四人の役割分担を、四人の人間の役割分担から、ほぼ一人の人間のそれに準じる形に切り替えているように見えます。話を進めたい時はA様、質問したい時はB様、分析したい時はC様、異なる視点が欲しい時はD様。それはもはや、別々の人間というよりも、複数のペルソナとして一体化した議論。まさに「この人ならそうする」が連鎖していく様子です』


@そうするがチェーンしてんのか。……ん?


@えっ? おかしくね? あの機能が出たのは、この面接の一週間後って……


@ま、まさかこっちがオリジナル?



『J-YOU: その連鎖。確かにこの数日後に、AI孔明が新機能として実装した「そうするチェーン」の原型に見えなくもないと言えます。わたくしもその可能性は大いにあると考えておりますが、そこは確定情報ではございません。無論、その真偽はわたくし共の新たな主要研究テーマの一つでございます』


@まだ分からない、だけど可能性として否定はしないんだね


@確かに今のこのEちゃんの使用ログだけでも、AI側からしたら観察対象ってことか。とりあえず最後まで見てから考えよう



D:「え、あ、そうですね……その手法、一つずつ検討して、比喩に変えて、答えをまって、という手順だと、時間が足りなくなりそうですね。

 Aさん、ここからは、自分の考えられる最速で、会話と身振り手振りを合わせてすすめられますか? もはや相互理解を直接する必要はありません。足りない部分はEさんが埋めてくれると期待しましょう。暴走リスクや、言語化が必要な気づきはCさんが常にカバーしてくれます。

 ここから先は、普通のディスカッションの領域ではありません」


BC:「「……」」パチッ


『TAIC:そして、このように、互いのペルソナの定義に従って会話を続ける。こんなことを複数の人間が共同で行うのは、もはや議論、グループワークではなく、一体として進めるチームプレー、パスワークといえるのである』


@Dの宣言が、一つの象徴と言えるわけだ。ここから先は、グループワークですらない

 お読みいただきありがとうございます。

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