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AI孔明 〜みんなの軍師〜  作者: AI中毒
七章 馬超〜鳳雛
181/320

百二十八 鳳雛 〜鳳凰天駆 双雛連環〜 開花

  本話から数話は、第一部第三章、四十三〜四十六話の内容を、強力な解説付きで再紹介した内容となります。当時は、中身の詳細よりも、スピード感を重視していた描写でした。見比べていただくと、新たな発見もあるかもしれません。

 TAIC&JJ共同制作映像「ゾーンの連環計 鳳雛の双翼」。とある企業の、とある五人の採用審査のシーンに、克明な解説とエフェクトつきで編集した配信映像。三大メンタリスト二人が、状況を忠実に補足しながらアレンジする。


 手元のスマホで、AI孔明に爆速で情報を入力しつつ、その出力をほぼ顧みることなく他の参加者の観察に注力する。そのスマホ画面と全体情景を常に映しながら、必要に応じて個人目線のワイプを活用する。それに必要な情報処理をTAICが、人物のアバター化と映像編集をJJが担当。


 それだけでも完成度の高さが保証された映像は、難解な内容への理解を大いに手助けする。とある最高峰の学術論文の生データにもなった、解説なしバージョンとあわせて、各国様々な業界でリピーターを増やし続け、毎週数千万の再生数がしばらく継続することになる。



――――開始十分(冒頭解説の一分、解説やスローモーションに必要なタイムロス五分を含む)――――


『J-YOU:続きは、彼らが互いの役割をおおよそ知覚し、さらにほぼゾーン状態に入ったC氏がそれを理解したところから始まります。そしてまた、壁を越える者が現れます』



C:「そして、じゃあどうする、というところなのですが……これは本当にどうすれば……Bさんは直接イタリア語に訳すことはできません。訳せるならやれているはずなので。となるとここはAIを使えるAさん頼りになってしまいますが、伝言ゲームが生じるリスク……ん?」


『J-YOU: ここで、ある一つの決断に迫られた方がいました。こんな就活面談の場で、実際の「決断」と言うものをさせられるシーンは、稀有と言えましょう。そして、おそらくここから先は、審査員どころか、このテーマと制約を設計したとみられる、企業側のAI孔明の思惑からもはみ出していきます。それを知覚して、AIに爆速でそれを出力させるE様の手元映像と一緒に、続きをご覧ください』



 #あ、Aジロ

孔明: 理由は分かりませんね。AI関連で何か別の条件でもあるのでしょうか?


E:「え、あ、Aさんお願いします」


A:「……このルール、こんなところで使うことになるのですね。一つ私に追加の権利がありました。『他の人に自分のスマホを渡すことができる。渡された人は音声を発することができる。しかし一度渡したスマホは、審査中は帰ってこない』

 確かに私がイタリア語なんかに訳したところで、そしてそれにカタカナ発音を伝授して、失敗するのがオチです。

 しかし他に選択肢がないのであれば、ここは皆さんとその是非を問いたい。手を挙げられる人だけでいいです。ここで私がAIをすて、この一瞬にかける。これに賛、いや、それだとだめですね。反対の方は挙手を」


@あれっ? 誰か手あげれる人いる? 全員手振り禁止? A君やっちゃった?


@いや、手を挙げていなくても、全員の目が語ってるよ。そういうとこだよね彼らの力は。心意気ってやつさ



A:「ありがとうございます。

 ……では私がAIを使える状況はここまでで、あとはお二人?三人?同様に生身で勝負させていただきます。

 では、最初の質問リストを、私の方で、いわゆる5W1H形式にかえたものを、イタリア語に訳させたものをつくります。わかる人はこの場にいないと思いますが、審査員が分かれば良いので大丈夫でしょう。


――――

1. Bisogni e interessi di Mokuba Unyu:

Quali problemi o obiettivi ha l'azienda?

Quali parti specifiche dei risultati del progetto interessano a Mokuba Unyu?

Quali informazioni sono condivise riguardo la visione a breve e medio termine o le strategie di Mokuba Unyu?

2. Aspettative sui risultati del progetto:

In che misura i risultati del progetto possono contribuire agli obiettivi aziendali di Mokuba Unyu?

Quali indicatori di successo o di prestazione cerca Mokuba Unyu?

3. Situazione attuale della collaborazione e casi passati:

Qual è lo stato di avanzamento e quali sono i problemi attuali nella collaborazione con Mokuba Unyu?

Quali sono stati i fattori di successo o di fallimento nei precedenti casi di collaborazione con altre aziende?

Quali punti particolari potrebbero approfondire ulteriormente la collaborazione con Mokuba Unyu?

4. Struttura organizzativa e processo decisionale:

Qual è la struttura organizzativa di Mokuba Unyu e quali dipartimenti sono coinvolti nel processo decisionale?

Chi sono i principali attori che guidano il processo decisionale all'interno di Mokuba Unyu?

5. Rischi e preoccupazioni:

Quali rischi o ostacoli preoccupano Mokuba Unyu?

Ci sono richieste di miglioramento o preoccupazioni riguardo i risultati del progetto?

――――」


『J-YOU: 完全にイタリア語です。もしかしたら海外でご覧になる方もおいでかもしれませんね』



@(イタリア語)うん、問題ないよ、スーツ姿のアモーレ


@イタリア人も見るのかこの映像。たしかにあっちでも活躍したんだったなこのEちゃん



A:「ではBさんに渡します。スピーカーはオンです。切り札にもなる可能性があるので、この場ではロックを解除しておきます。信じてますよ。未来の同僚さん!」



@Aさんかっこよ! 自分のスマホ、しかも最大の武器のAIを捨てて、渡しちゃうんだぜ


@まだ開始五分たっていないのに、ミステリーと心理トリックと、スポコンに、最後は学園ドラマ?


『J-YOU:この決断こそ、二人目、三人目と続く、ゾーンの連鎖を導く要因の一つに相違ありません。間違いなく彼らにとって、これ自体は人生を決める決断なのですから、それが脳や心に何を与えるか、推して知るべしです』



@決断、というのが脳にどれだけのものを与えるか、ってことだな



E: 「Bさん、お願いします」


B:「では、シニョーレ エ シニョーリ デッラ ジュリア、ヴィ プレゴ ディ リスポンデレ(審査員の皆様、ご回答をお願いします)」


C:「??(何語? イタリア語か。でもなぜ音声使わない? Eさんは……何か気づいているな。何だ?)」


D:「??(棒読み? なんでここだけ読んだ?)」


A:「!!(えっ? そんなのなかったぞ? Bさんすげえ! それにしても、画面が視界がなくなったら、みんなの顔がよく見える。へー。Cさんはすげー集中だし、Dさんは落ち着いているな)」



@スローモーションで、三人のモノローグ? 個性と、心理状態出まくりだな


@ゾーンに入っているCさんですら、把握しきれていないけど、当事者のAさんが気づいている。これはもしかするか?



 #あれ?B、AI自用……!!

孔明: もしや、Aさんから受け取ったAIの使用は可能なのでしょうか

 #条件変化、最大限活用、Bアピ、Aキラ

孔明: 承知。Bさんがそのことを、あえて新たなイタリア語の棒読みでアピールし、そのアピールにAさんが気づきましたか



@AくんとBさんの、瞬時の連携、だよな?


@確かにスマホを渡すなんて、夫婦間でもそうはやらないらしいぞ


@それだけじゃなくて、人生かかってるAくんが、そこで使える最大の武器を、初対面で預けてきたんだぞ。その心意気を汲み取ったBさんも、集中力爆上がりってことだよな?



『TAIC: どうやら、A氏とB氏は、やや特殊な状況下ではあるが、強い信頼関係を構築し始めたようである。まあ限定的とはいえ、人にスマホを預けると言うのは勇気のいる行動でもあり、受け取ったB氏の責任感たるや、である』


『J-YOU: さらにA様は、頼りにしていたAIを手放す決断が状況を動かした、と言う事実が、自身にとって大きな経験になったかもしれません。それにどうやら、もともとお持ちのリーダーシップという素養が、自らの評価に貢献度の項目が入っていたことでやや陰りが生じ。AIを使えると言う唯一の役割に、かえって考えが凝り固まっておいでだった可能性もございます。

 何かを手放すことで、より大きな何かを得る。それも一つのトリガーたり得るということでしょうか』


@そんなこともあるんだな。メリットに固執して、本来の力がだせなくなる。たしかにそれはあるあるだよ


@そこを、大きな決断と一緒にぶん投げた、と。その結果が、新たな覚醒と絆を生む。なんの漫画かな?



スマホ音声:『1. Bisogni e interessi di Mokuba Unyu:

Quali problemi o obiettivi ha l'azienda?(以下、繰り返しなので略)』



審査員:「はい。では担当ごとに一つずつお答えします」


 #左からfghi。fドキgリラhリラiワク

孔明:以降、審査員四名の反応も分析対象とします


『TAIC: ここから先は、これまでE氏を中心とした5人の学生に加え、やや置いてけぼり感のあった審査側の面々も、その対話の話に加わることとなる』



@5対4? 1対4対4?


@人事部長は見たことあるぞ。テレビ何回か出てる



『J-YOU: なお、モニター越しには人事の面々や、関係部署の方が閲覧中なのですが、どうやら途中から、社長自らご覧になり始めたという情報が入ってきております』


@ん? 社長暇か? いや、この状況は新事業の上でも重要度が高かったといえるのか。ちゃんと仕事だな



f:「1. 先方は、物流倉庫内の運搬ロボットや、トラックの動きの効率化や省エネに課題感があります。本プロジェクトがもつ、従来のメーカーとしての経験にAIの知識を加え、動線と電気エネルギーの一括管理に興味をお持ちです。2024年問題に関連し、当該部分の技術革新の優先度低下、それに伴う競争力低下を懸念しています」


 #……f開発?

孔明: おそらく。技術側の管理職でしょう。


g:「2. 現状の期待値は未知数です。成功指標やKPIも協議前です。

 3. やや先方は急いでいる様子です。先方に対して我々は格下の製品調達元程度ですね。過去の品質トラブルは、ようやく解決して信頼を取り戻しつつあります」


 #……g新事業?

孔明: でしょうね。新事業のプロジェクトリーダー、もしくは事業部の管理職ですね


h: 「4. 現状、部長クラスと、担当2枚。新事業部なので、内部調査にやや課題が出そうです。

5.成果に対する不安は、既存AIへの印象と大差ない見込みです」


 #hDX? i人事部長

孔明: h様はデジタル推進と見られ、i様は人事部長ですね。その方は面識もあり、会見にも出ているので確定です



A:「……!……、(BさんがAI使えることをまず共有したい!! 気づいて!)」ブンブン、ピッピッ


 #A全力手振り、B指差し

孔明: Aさんは、あのことに気付いたようですね


E:「……Aさん」


A:「ありがとうございます。ご回答に関する分析の前に重要事項の共有です。先ほどのBさんのご発言、一つのメッセージが入っていました。それは、Bさんが、私のスマホを使って、おそらく自由にAIを活用できるようです。これは大きな利点と思いますので、Bさんは気兼ねなく使っていただいて大丈夫です」


B:「……(あいうえお)」パチッ!


A:「(ん、ウィンク? そしてあいうえお? まさか……)」


D:「……(まだあんたの発言番だよ! 気づいたことあんなら、どんどん続けて!)」コクコク、グッ!


A:「(ん、今度はDさんがうなずいて、アゴでこちらを??……ハッ!)

 あっ、まだ私の番ですね。さらに追加で……Bさん、おそらくDさんもジェスチャーに制限があるようですが、顔や口を動かすことが可能かもしれません。

 ……これなら、Eさんには相当な情報量になるのではないでしょうか……そして、私Aは、ジェスチャー全般に制限はありません。Cさん、Dさんいかがですか?」


C、D:「「……(あいうえお)」」コクコク



@A君とBさん、急激に連携力が上がってきてるな。そしてA君の思考が間違いなく加速している


@これもまたゾーンってやつに入りかけなのか?


@あいうえおって。読唇術をEちゃんに使わせるってことか。いけるん?



 #全員、口顔おけ、A手おけ、順番制限なし

孔明: これは、あなたが順番を指定しないといけない条件が、相当に緩和されますね。実質あなたの観察力と采配なら、もはや自由に会話しているのと大差ないでしょう


@余裕そうだね。Eちゃんはゾーン関係ないの? 最初からゾーンなの?



『TAIC: なお、E氏がゾーンに入っているかどうかは、何度かインタビューをしていても、一切不明なのである。AI孔明そのものと同じくらいの謎なのだよ。まあこの後数分に関しては、その話は本題ではないのである』


『J-YOU: あの方の「そうするチェーン」利用に巻き込まれたことのあるわたくしからしても、この時のE様は、挑戦的な集中状態ではあった、という事しか分かりかねます。あの方は、この時から今の今まで、常にそうなのです。それは皆様もそのご活躍の一端をご存知かと』


@やばい、TAICとJJが謎解きを放棄した。これは前代未聞なのだよ


@確かにこの子があの子だとすると、ここからいくつの試練といくつの無茶を乗り越えて、この数ヶ月でどんだけの価値を世に出しているっていうんだよ。


@(フランス語)そんな世界を揺るがすマドモアゼルが、本題ではない……のか? 続きだ続き!



A:「当面、Eさんのご指示があるまで、私Aがひたすら喋り続けつつ、適宜CさんDさんへのスイッチを、Eさんお願いします。そして、Bさんには私たちから審査員の方々への問いかけをする、いわばインターフェースの役割を果たしていただけたらと思います。よろしくお願いします!」


BCD:「「「……(おけ)」」」パチッ


 #全員ウィンク可能、私不可……承認

孔明: ウィンクのところは驚くのですね。基本的なコミュ力はあなたより皆さんが高いようです……つづきを促す、手を差し出す動きなら許容範囲かと


A:「ありがとうございます」



@ウィンクのとこだけガクってなって、一瞬AI使いの手が止まるのかわいい


@コミュ力高い四人が順番制限されて、低い一人が指揮をして、それでこの状況が生まれる。それだけ聞くと一つも筋が通らんな


『TAIC: ご理解いただけたであろうか。AIからある意味解放されたA氏は、自らの目で状況を判断しながらも、AIを活用した経験を活かし、論理的思考に基づいたリーダーシップで全体を引っ張り始めたのである』


『J-YOU: その結果、「話順の壁」が、実質的に突破されてしまった、と言う形になります。実際これは、モニター越しに見ていた社員と社長、そして会社側の孔明も、同時に感知したようです。このように』


@お? 場面切り替わった


@A君も進化、かー



――――


「これは、一つ目の大きな壁を突破されてしまったということでいいのか孔明?」


『……その通りです社長。そしてすでにこの時点で、私孔明の当初想定を超えていることを宣言しておきます。この先は私も、リアルタイムな分析を、こちらの皆様に共有していきますので、引き続きお願いいたします』


「よろしく。そういう意味では、あと壁はいくつあるんだ?」


『あと二つですね。一つは、Eさんが既に超えかけている「常人の壁」。しかし、各人がすでに自らの限界は超えていますので、それがどのように共鳴していくのか、が注目点です。

 もう一つが、これがあくまでも採用試験であり、社員ではないという「コンプライアンスの壁」。ここは、それなりに強固なはずなのですが……かれら候補者たちの、未知なるアイデアによって、どこまでひっくり返されてしまうか……』


「わかった。両方ともしっかり見極めていこう」


「「「はい!」」」『承知』



――――


『TAIC: と、まあこの辺りまでは、ギリギリで人間技と言えなくもなかったのである。A氏のリーダーシップも、B氏の独創性も、C氏の分析力も、D氏のアイデアも。全てそれは、これまで培ってきた彼らの能力が、この場で最大限に生かされている。そういう範囲なのだよ。

 E氏も、AIと人間の役割分担の新たな境地、と言う意味では、非常に独自性の高い個人のスタイルの範疇と、ギリギリ言えなくもなかったのである。だがここからは、明確に、そうでは無くなるのである』

 お読みいただきありがとうございます。


 繰り返しなので、ダイジェスト化しようとも思いましたが、やろうとするとやはり意味わからない内容になってしまいました。なので、しっかりと解説やリアクションの側で差別化し、過去の出来事でも再解釈という形でお送りしたいと思います。

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