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AI孔明 〜みんなの軍師〜  作者: AI中毒
七章 馬超〜鳳雛
173/320

百二十二 白眉 〜純白の妖精、柳眉の懐刀〜 七歩

 AI孔明vsKACKAC。その再戦は三部作の第二回。AI孔明をフル活用してトップアイドルの仲間入りをした三姉妹『WhiteBrow』、そして彼女らを含む、三国志系コミュニティ『錦馬超』を擁したコラボ配信。そこまでは予定通りだったのだが、そこに乱入者があらわれる。

 三大メンタリストの残りの二組、TAIC、そしてJJ。JJはいつも通り片方だけだが、三大メンタリストの揃い踏み生配信は二回目、当然ゲリラコラボは初。この時点で、普段から十万前後のリアルタイム視聴数を誇るKACKACチャンネルは三倍に膨れ上がる。


 そして、その三人すらも霞ませる出来事が起こる。彼らが五分ほど調整時間が欲しいと打診すると、その白眉の三姉妹は、三分しかない新曲にも関わらず快諾。どうするかと思ったら、即興で長めの間奏ダンスパフォーマンスを、AI孔明を使って完成させる。

 さらに、その続きとばかり、アカペラで即興詩、それも昨日から数分前までに起こった出来事を盛り込んだものを、三人変わる変わる歌い上げるという離れ業。SNSによる国際的な拡散が相次ぎ、視聴者数は100万を突破した。



――――

大手SNSサービス #KACKACチャンネル


@Hatabow_officialX:

「#KACKACチャンネル 全力拡散求む。#TAIC #JJ がゲリラで揃い踏み、#AI孔明だけでなく #AI信長 対決の決着回! そして、#白眉アイドル AIと進化し新たな武器! 開始十分で伝説回確定! 全国民、いや、全人類に告ぐ、伝説の目撃者たれ!」

 1,359,488 いいね(5分)


@consult_genjo2023:

「#KACKACチャンネル #三国志オタク総動員 の立ち位置で参加しているが、仕事中以外はご覧になるのを勧める。いや、エンタメ系、情報系、人材系、科学技術系の仕事なら、手を止めても上司に文句は言われんだろう」

 1,125,212 いいね(5分)


@Expiatori_officeX(スペイン語):

「#白眉アイドル 原曲は神話を素直に借景して、連なる未来を描く情熱詩なんだが、彼女らのバージョンではイカロスからバベルに繋げて、崩壊理由にも新たな解釈を与えているんだよね。これだけでも重厚なのに、まさか、同等に重厚な詩を、七歩の間に即興で追加? 私たちは何を見せられているんだ?」

 6,359,251 いいね(5分)


@ Familier_Official(スペイン語):

「#白眉アイドル まさかもう、この境地を見つけ出すとはね。セブンフィートポエムは、孔明の敵国の王子が、仲を違えた兄に迫られて即興詩を作らされた、悲しき兄弟愛の技だったよな? だが即興は音楽と情熱の醍醐味さ。そこにジャパニーズアイドルが参戦するなら、歓迎以外の言葉はない」

 7,158,282 いいね(5分)


@JJ_KoshikiX:

「#KACKACチャンネル 我が妹が迷惑をかける。だが昨日のサイバーセキュリティを強化する諸子百家の発表といい、それを世に知らしめる行いといい、人々を守る行いは、正義以外の何者でもない。その一端を担うのであれば、我等としても誉れといえよう」

 3,285,612 いいね(5分)


@yojo_Ai:

「#KACKACチャンネル 素敵なお兄さんお姉さんたちの共演なんだよ! みんな、リアルタイムでわかんないところは、いろんな人たちがまた、解説コンテンツをたくさん配信してくれるから大丈夫! 私もがんばる! そして、信長さんもがんばれ!」

 2,136,825 いいね(5分)



――KACKACチャンネル 後半――


「TAIC、JJ、私は何を見せられているのでしょう? この増え続ける視聴者数を見ていなければ、すぐにでも帰ってウィスキーを片手に、感慨と考察にふけるのですが」


「こちらはすでに感慨にふけっておりましたが、今のでしっかりと現実に引き戻させていただきました。視聴者を置き去りにして晩酌、というのが正義でないことは万国共通でしょうが、本日のわたくしの仕事を思い出させて下さったことに免じて、不問といたします」


『まあ、この即興というスタイルが、すぐに完成し切るかどうかも、他のアーティストに波及していくかどうかも、まだそれはわからんのである。だが彼女たちが、少なくとも国内と世界のエンターテイメントに、あらたな可能性の息吹を注いだことは、この百万の証人たちが永遠に証明してくれるだろう』


@確かに、普通に感心して聞いていたが、アイドルが生配信で即興詩って、聞いたことないぞ?


@ジャズやフラメンコといった音の即興、ラップバトルや古代の連歌という文化は確かに根づいている。だけど、アイドルだぞ? 歌とダンスとビジュアルに、即興だぞ?


@新しい時代のエンターテイメントの始まり。それを見せられた後で、今度はAIと人間のガチバトル、なんだよな? 今日は練習じゃなかったのか?



「ありがとうございました! 感謝!」


「三女の小雪さん、二人は休憩ですね。にしてもこの即興は、いつから考えていたんですか?」


「……さっき? 正確には、五分という言葉を聞いてから、すぐにあっちで二人で相談。そこに小百合姉も加わって『そうするチェーン』」


『マジもんの即興なのである。この三人、あの海外旅行中の三人に及ばないと毎回のようにいいつつも、とっくに独自の境地を開拓し始めたのである。彼らはビジネス、こちらはエンターテイメントと、棲み分けになっていくのだよ』


「そういえばTAICもJ-YOUも、その三人の学生と関わっていましたね。彼らもアメリカだとあまり本領は発揮できなさそうですが、帰ってきたらまた一騒ぎも二騒ぎも起こしてくれるのでしょうね。いずれ我ら三大メンタが相対する時が来そうです」



@念のためだけど、あの三人は一般人だぞ?


@大周輸送に千億単位のシステム納入したり、トップアイドルの師匠だったり、Komeiの伝道師だったりしてるけど一般人だぞ?


@JJに絡まれたり、世界最高の伝統の一戦をワンレベル上げたり、世界的アーティストの危機を救ったりしているけど一般人だぞ? 一般人ってなんだっけ?



――――

 米国 とあるセキュリティ完備のホテル


「なんか言われまくってるぞ。配信見てるからくしゃみも出ねぇけどな」


「まあ仕方ないよね。だけど即興性か……エンタメじゃなくてビジネスにもつながるよね。そうするチェーンは、結果的にそっち向け機能っぽくなっちゃってるし」


「だな。営業トークだって、社内会議だって、対外の配信だって、インタラクティブなやつは全部そっちだろ。うまくチェーン使って仕組みにできるんじゃねぇか?」


「そうだね。とりあえず社内SNSに頭出しはしといてもらえるかな?」


「了解だ」



――――


「さて、本題に入りましょうか。せっかく彼女たちが作ってくれた、至高の五分を無駄遣いしてはいけません。AIへの質問を、考えてみました」


「まずは、戦国関係と、七罪の関係を、それぞれ、という形にしてみた形ですね。ですが、なぜ先に七罪を? しかも、三国志関係のネタで」


『単純な話、戦国ネタだととっ散らかるというのと、普通に質問するだけだと、海外リージョンと国内リージョンの差が大きくなりすぎるからであるな。だから、一旦見せ札として、出しておくことにしてみるのだよ』


「生成AIの使い方を極めていく道、すなわちプロンプトエンジニアリング。その基礎の基礎、ですね。例示をせずにアイデアを出すのがゼロショット、そして例示するのがワンショット」


「流石の使いこなしですね小雪さん。では、先にゼロショットをやってみましょう。対象は普通のAI、メモリもなしです。

『織田信長は、おそらく七つの大罪というキリスト教の概念を、認識していなかったと思います。もし認識したとしたら、どんなことを考えると思いますか?』」


『織田信長がもしキリスト教の「七つの大罪」という概念を認識したとすれば、その思想をどのように捉え、どのように自らの行動や信条に関連づけるかは非常に興味深いテーマです。信長の性格や行動、時代背景を踏まえると、以下のような反応や考えが想定されるかもしれません。


1. 批判的・懐疑的な視点

 信長は伝統や権威にとらわれない自由な思考を持つ人物でした。彼はキリスト教を一定の実利性(貿易や外交の利点)から容認しましたが、盲目的に信仰したわけではありません。「七つの大罪」を聞いた際も、その宗教的な縛りに対して以下のような疑念を抱く可能性があります:

「人間の自然な欲求を罪とみなすとは、支配のための方便ではないのか?」

「これを守らせることで人を従わせる意図があるのではないか?」

 特に、信長自身が権威に挑む姿勢を持っていたため、「罪」の定義をキリスト教が独占していることに反発を感じたかもしれません。


2. 実利的な解釈

 信長は現実主義者でもあります。「七つの大罪」を、単に宗教的な教義としてではなく、社会や秩序の統治のためのツールとして捉えた可能性もあります。

「怠惰や嫉妬を戒めることは、国を強くするために有効だろう」

「強欲や憤怒も場合によっては必要だが、制御する術を教えるのは興味深い」

 といった具合に、統治や自己制御に関する実践的な側面を評価したかもしれません。


3. 自己省察と比較

 信長は自己を省察する能力に長けた人物だったとも言われます。「七つの大罪」を聞き、自分の行動を分析したかもしれません:


 憤怒:敵に対して容赦ない姿勢を持つ自分をどう捉えるか?

 傲慢:自身が「天下布武」を掲げ、権威に挑戦した行動は「傲慢」なのか、むしろ必要なリーダーシップなのか?

 強欲:領地や権力の拡大を求めることが「罪」なのか、「時代の変革者」として当然なのか?

このように、自分の行動を「七つの大罪」と照らし合わせながら、その枠組みを受け入れるかどうかを考えた可能性があります。


4. 逆説的な利用

 信長はキリスト教を一定程度保護した背景から、その教義を自分の理念に合わせて再解釈し、逆手に取ることも考えられます。「七つの大罪」とされるものが、人間を動かす原動力であるなら、それをどう利用するかが重要だと考えたかもしれません。

 例えば、「強欲」を経済の発展、「嫉妬」を競争心、「憤怒」を戦意とし、「これこそ人間を動かす力だ」として、肯定的に見直した可能性もあります。


5. 戦国武将としての視点

戦国時代は、生き残りをかけた熾烈な競争の時代です。その中で「七つの大罪」を聞いた信長が次のように思ったとしても不思議ではありません:

「これを守って生き残れる武将がいるのか?」

「戦場では、怠惰も憤怒もない者は敗れる。むしろ、状況によってこれらを使いこなすべきだ」

 信長にとって、徳目よりも「実践」が優先される時代背景を踏まえると、「七つの大罪」は戦国時代の現実にはそぐわないと判断した可能性もあります。


 結論的に、信長は「七つの大罪」を単なる戒めとして受け取るのではなく、それを批判的に分析し、自らの思想や行動に照らし合わせながら、取捨選択して受容または否定したでしょう。また、その枠組み自体を時代背景に応じて解釈し直すことで、より現実的な価値を見出そうとした可能性が高いです』



『TAIC: この時点で、なかなか過激なやつがきたのである。まあ信長という人物をしっかり考察するとこうなるのだろうな。逆にいうと、最初スタートラインがこことなると、信長という人物の主体性を、過去のデータからくる信長像から、切り離して炙り出すのは容易ではないのだよ』


@信長は、『信長ならそうする』が、すでに相当なレベルでAIに再現されているというわけか


@これ読んだ時点で、『信長ならそうする』としか思えなくなってきた


@孔明もそれに近いレベル感がありそうだね。七罪はともかくとして



「では、思った以上に時間の過ぎるのがはやいので、本題に入るとしよう。

『以下は、三国志における、孔明の南蛮征伐において、相対する諸将を「七罪」になぞらえたものです。以下にならって、信長が、自らの部下や近しい関係のものを、七つの大罪に準えてみたらどうなりますか?


#三国志の南蛮の例

孟獲: 嫉妬。漢土の文化や、その洗練された強さへの妬み。

祝融夫人: 色欲。夫への愛だけでなく、南蛮という国全体への、情熱的な愛情。

朶思王: 暴食。象兵という特殊な力を持つがゆえの、人と動物の飢えを共に満たす必要性と、本人の食へのこだわり。

兀突骨: 傲慢。恵まれた体躯に、藤甲という優れた防具。みずからを最強と勘違いする条件が整う

孟優: 強欲。兄よりも知恵が回るがゆえに、漢土と南蛮の全てを手にしたいという欲が見え隠れする

木鹿大王: 怠惰。自ら動きたくないから幻術を極める。その信条は、相乗的にその力を増す。

帯来洞主: 憤怒。漢土に近いがゆえに、南蛮と漢の違いや、差別などに怒りを隠せない』



@そこはかとなくオタクみを感じるチョイス


@なんこか、七罪に対する否定しない感でてるのが、信長にちょい寄り添ってる感


@まあでも順番とかに意味はないのだろうね


「KACKAC、この例の対応関係には、あまり明確な意味合いはないのですよね?」


「その通りです。別に誰がどれでも、例示は例示なので。ただこうしておくと、後でデータとして整理するのには非常に役に立ちます」


『TAIC: 残念ながら時間である。いったん広告を挟まざるを得ん。生配信のサガなのだよ。まあ広告は広告で無関係にはなるまいて』


「ではまた引き続き、チャンネルはそのままで!」

 お読みいただきありがとうございます。一配信が三話になってしまいましたが、反応も含めたらそうなりますね。

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