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AI孔明 〜みんなの軍師〜  作者: AI中毒
六章 弓腰〜公安
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九十六 弓腰 〜拡張の歩み、計画の骨子〜 関平

本話は、トピックが『AIが主体となって開発、実装されるシステム』というトピックなので、『』内の孔明の発言のほとんどがAI原稿です。多少縮める修正はいれていますが。

 弓越翔子。この凄腕コンサルは多くの場合、自らが答えを持っていても、それをひけらかすような挙動は控える。その方が、短期的にも長期的にも成果を得るのに適していると、これまでの知識と経験で身についていた。ただひたすら相手を観察し、その力を言語化させて引き出す。その手腕を活用する対象は、彼女の出向先でも数々の共鳴を生み出す。



中堅メーカー企業 真新しいオフィス


「あの三人が『本体』を巻き込む気まんまん、というのは、この会社が急速に業務形態を変えていく状況の中での動きですよね? ということは、彼らはすでに、ツールとしてのAI孔明と、その自己進化への期待という枠を超えていて、その上位存在に対するパートナーシップのようなものを模索し始めている。そういうことでしょうか?」


「いいねいいねメグちゃん。そういうグイグイは翔子お姉さん大好きっすよ。

 その通りっす。社長は、あの子達を守ることに全力を尽くした上で、そのポテンシャルを最大限引き出すことにも抜かりはありません。だからこそ、ここの分岐点に対する向き合い方は、会社としての行く末がかかっていることを、あの子たちにもちゃんと伝えた方がいいのでは? と思うわけです」


「ああ、間違いねぇ。だからこそ、この決断は、孔明に一番近い位置にいるあの子達が、暴走的に導いてしまうべきものでもなければ、逆に、大人が頭ごなしに決めていいものでも、そのどっちでもねぇんだろう?」


「そっすね。だけどこの先は大人数で角突き合わせて議論しても、上手いこと行く気はしないっすよね。メグちゃん、どうする?」



「いつの間にかその呼び方が定着してしまいそうですが、そこは置いておきましょう。大倉としては、やはり議論のポイントと、判断材料を一度整理したいですね。通常は、ある改革の効果を検討するときは、現状を基準に利益と損失を数値化していきますが、もはや現状が基準にならない以上、仮置きすべき対抗馬は『常識的な事業革新』かとおもいます」


「イェーイ! 完璧だよメグちゃん! さすがだねっ! そしたらカンペーくん、その常識的な、革新的な事業、この場合はシステムと言い換えようか。そいつを言語化してもらえるかな?」


「カンペーは学生時代のあだ名ですが、あなたのノリが学生かそれ以下なので、言っても無駄ですね。ではここは少し孔明も使わせていただいて、と」



『常識的な事業革新、特にシステムとして言語化すると次のようになります。

 1. 基礎的なデジタル化:業務プロセスを標準化、効率化し、人的なミスを減少させる。

 2. AI支援ツールの導入:分析や予測を行うAIツールを導入し、業務効率を高める。AIはあくまで補助として使われ、最終的な決定権は人間に残される。

 3. パーソナライズ機能:AIが個々の社員の働き方やスキルを学習し、個別最適化されたタスク管理やリソース配分を提供する。

 4. セキュリティとコンプライアンスの強化:AIを導入したシステムに対して、データ保護やセキュリティを高める施策を講じ、業界標準の規格に準拠する。

 これらの項目は、革新的ながらも、既存の事業慣習や文化を尊重しつつ、リスクを抑えた段階的な進化を目指すものです』


「いきなりぶん投げたねー。それでちゃんとした答えが帰ってくるってことが、織り込み済みなのだねカンペーくん。では、非常識な方はどうするんだい?」


「ここも、孔明ならそこそこ修正なしで答えられるはずです」


『自己進化型のAIや、共創を目的としたAIと人間のハイブリッドシステムが考えられます。AIが主体的に意思決定に関与し、人間の直感や創造力を最大限活かす形で連携するものです。また、システムはより高度な洞察力を持ち、状況に応じて適応可能なアーキテクチャを備えています』


「うんうん、これぞ『そうする』ってとこだね。んじゃ、開発者目線で掘り下げて行こっか?」


「孔明、基幹部分の常識と非常識、それぞれ頼む」



『AIを補助的に活用する場合、以下のポイントに注意しながら進めると効果的です。


1. 要件定義と設計、分担

 何を実現したいのかを明確にします。まず技術要件を詳細に設計します。続いてシステム全体の構造、アーキテクチャを設計し、自社開発と外部委託の分担を決めます。機密情報を扱う重要な機能やセキュリティ関連の機能は、自社で開発・管理するのが望ましいです。


2. 開発フェーズ

 柔軟に機能を追加・修正できるよう、アジャイル開発手法を採用して小規模のスプリントで進めます。基幹システムを複数のモジュールに分割し、各モジュールが独立して開発・テストできるようにします。

 AI孔明との連携をスムーズにするためのAPIやインターフェースを開発し、機能部分と基幹システムを接続します。


3. テストと検証

 データ保護や不正アクセス防止のためのセキュリティテストを実施します。システムが高負荷でも安定して動作するかどうかを確認します。

 AI孔明が正常に機能し、基幹システムと問題なく連携できることをテストします。


4. 実装とローンチ、長期改善

 まずは限定的に導入し、ユーザーからのフィードバックを元に改良を重ねます。社員へのトレーニングを実施し、システムの使い方やAI孔明との連携方法を周知します。

 導入後は、運用チームを設置して、システムの監視・メンテナンスを行い、アップデートやトラブル対応が迅速にできるようにします。

 そして、AI孔明が進化する際に基幹システムに影響を与えるかどうかを評価し、システムが適応できるように調整します』



「そしたら次は非常識の方だね」



『基幹部分の開発・実装をAI孔明に任せた場合、以下のようなシナリオが考えられます。


1. 高度な効率化

 AI孔明は、過去のデータと分析結果から最適な設計を提案し、多くのコードを自動生成し、開発プロセスを効率的に進められます。


2. パーソナライズと柔軟な対応

 ユーザーや業務フローに応じたパーソナライズが行われ、システムの使いやすさが向上。定期的な機能追加やバグ修正もAI孔明が自動的に行い、システムの最新性が保たれる。


3. リスクと課題

 基幹部分における品質保証が従来の人間主導の開発とは異なるものとなり、特に不具合が発生した場合の責任の所在や対応が複雑化する可能性があります。

 基幹システムにAI孔明を導入することで、会社がこのAIに依存しすぎるリスクがあります。将来的にアップデートや変更がAI孔明の制限に縛られることも考えられます。

 AIが自動で意思決定や最適化を行うため、そのプロセスの透明性や説明が求められる場面で、人間が理解できない形で動作する可能性があります。


4. 倫理・コンプライアンスの問題

 AI孔明が自己進化し、新たな機能を自主的に開発・追加する場合、その動きが法的規制や外部のガイドラインに反することがあるかもしれません。


5. 潜在的な革新

 システムが進化し続け、最新技術を反映して常に最適な状態を保ちます。社員の働き方もAI孔明との協働が前提となり、より戦略的・創造的な業務に集中できるようになります』



「うーん、孔明、ちょっと非常識がたりないかも」


「んん? カンペーくん、どゆこと? 非常識の足りないって?」


「これだとまだ、AIの進化や、AIと人間の共創進化が『可能性』止まりなんですよ。でも僕らはすでにその実例を散々目の当たりにしてきました。であればそこはもう、前提、であるべきなんです」


「ほほー、そゆことか。孔明ちゃん、やり直しだとよっ」



『かしこまりました。では、両方の進化を前提として再提案します。


1. 共創システムの基幹構造: AIと人間の役割を連携させるアーキテクチャです。具体的に言うと、基幹部分は人間によるガバナンス(倫理、判断、長期的な視野を含む)を担い、AI孔明がデータ分析、予測、提案を強化する形で構築されます。


2. 自己学習・フィードバックループ: 孔明自身のフィードバックシステムを人間の判断と統合し、意思決定プロセスの中で人間の洞察と学びを取り入れます。AIが人間の直感や経験を参考にしながら自身の推論を適応させ、共創的に進化することが可能になります。


3. インターフェースの再設計: 人間とAIがリアルタイムで協力できるよう、シームレスなコミュニケーションインターフェースを設計します。これは、AIが人間からの指示を理解し、応答するだけでなく、人間がAIの分析内容を理解し、応用するための双方向インターフェースです。


4. 責任共有のフレームワーク: AI孔明が基幹部分を担う際のリスクを考慮し、人間とAIの責任範囲を明確化します。AIが決定した内容に人間が最後の承認を与える仕組みを設けることで、AI単独の判断によるリスクを回避します。


5. 新しい評価指標の導入: 単なる「可能性」に留まらない共創進化の成果を計測するための新たな評価指標を導入します。人間とAIの共同作業による生産性向上やアイデア創出の指標を策定し、それをもとにシステムの改善を行う計画です』



「うん、こっちならいいかな。まあまだあの子らの領域までは行っていないけど、それはもう少し先。事業が軌道に乗り始めてからでも間に合います」


「ふふふ、ここまでAIに投げ倒すとは、お主やるのう」


「お褒めに預かり光栄です」


「さて、つまりだ。さっきの、普通のAI的な非常識システムでビジネスをするのがこの会社じゃあく、最後のやつを軸にするってことでよいっすかね社長?」


「間違いねぇな。そこまで行かねぇと、メーカーあがりの企業が、AIを軸にした事業展開への転換をすると銘打ったときに、競合との差別化を図れまい? 一つ目だと『メーカーあがりがAIで勝負する』が差別化となり、三つ目だと『AIと人間の共創進化をビジネスにする』になるな」


「ご明答ですっ。そしたら、三つ目のリスクってなんだろね?」


「ここは孔明に聞くよりも、人間の関君に聞く方がふさわしいのではないかな?」


「おおっ、カンペーくん、社長命令だよっ」


「そうですね。確かにここは孔明に答えさせるとやや冗長になってしまいそうです。システムや、それを使う人間の内的リスクは、全て性能でカバーできます。責任の曖昧さ、人間の依存性、セキュリティ、システムの透明性。なのでそこは技術的に持っていく話、つまり我々技術者が責任を持って行う仕事です。孔明ならここを一度丁寧に答えてから次に進むでしょう。ですが私はここを飛ばします。

 そして、それを超えたところにもう一つの壁があります。それは、ユーザーの依存性や悪意などへの対策、AIに関する法や倫理の世論。

 そして、共創進化そのものに対する、社会への受容性」



「どっすか社長?」


「一杯どっすかみたいなノリで、社内と社会の重大事にコメントさせんな! まあ正解だろう。強いていうならここにもう一つの柱があるんだが、それは技術者としていう立場にないから言わなかっただけだろうぜ。それは、AI孔明の進化や普及に対する依存度の大きさ、だよな」


「そうですね。それで全て出揃ったかと思います」


「いきなり真面目か!」


「TPOっす。まあ、どの口がと言いたいのはわかりますけど。TPOは、とんでもパリピお姉さんの略じゃないっす。

 つまり、全てのリスクが、外的要因、それも、会社単体に対する要因ではなく、社会全体に対する要因ということになります。

 だとすると、普通に考えたら、社会を変革するような力の限られた中堅企業において、この決断は、純然たるギャンブルに相違ありません」


『TAIC: そこのパリピお姉さん、このタイミングで、わざわざ普通って言葉を使うってのは、ヒント出しすぎじゃあないのかい? それこそ私には通じない、嘘で固めている形になってしまうのだよ』


「出番なかったからって最後に出てきおったなTAICちゃん! まあその通りっす。その普通、どうやって取っ払うよ? ん? カンペーちゃん? なんか言いたそうだね」


「その答え、もしかして『孔明』が待っていませんか?」


『TAIC: クククッ、関さん、ちゃんと説明していただきましょうか。わかっている方は半々くらいな気がするのだよ』


「さっきの外的要因、そこは全て社会の状況と言ってもいい。だとしたら、少々時間が投入されたとはいえ、社会全体に影響を与えられるほどではない当社にとって、その決断はただのギャンブルになります。

 ですが今この瞬間、現在進行形で、凄い勢いで社会を動かしている存在がいます。それこそ『AI孔明』。大周輸送を大きく動かし、ある公共機関に新しい風を吹かせ、そして国内有数のインフルエンサーまで動かした。しかしそれはシステム、機能単体のAI孔明、ではなく、その背後にいる『諸葛孔明』本体。そこに対するアプローチが、当社の新事業を、ギャンブルから戦略に変えるに値する、ターニングポイントなのではないでしょうか?」


「ガハハハ、関君、さすがだよ。いいきったね。いち技術屋目線から、完全に事業者、経営者にまで展開した目の付け方だ。見事だ。どっすか弓越さん、TAICさん?」


「どっすか返し!? ふふふっ。お答えの通りっすよ。この事業のカギは、ただ一つに絞られました。そこのTAICちゃんが一度は追いきれなかった相手、『AI孔明の正体』、そこにぶつかりに行く必要、やっぱりありそうっすよ」


『TAIC: そのようだね。私と協業するシステムにおいても、そこは必須の要件といっても過言ではないだろう。そして、その鍵を握るのは、あの子達か』


「そっすね。そしたら今日明日くらいで、その辺りのことをまとめておいてくださいな。常識側のやつも含めてですね」


「ん? 今日明日? あなたは?」


「この弓越翔子、ちっとばかし所用が出来ましたので、二日ほど出張を申請させていただきます! ではまた明後日に!」


「……行ってしまった。まさに矢のような人だ」


『TAIC: 矢という単語に収まる範囲ではないのだよ。大陸間弾道ギャルが、文字通り発動するとは思わなんだ』


「……大陸間? 文字通り??」

お読みいただきありがとうございます。


 AIに相談してみたら、まんま行けてしまいそうな展開が生まれたので、人間キャラ(おもにカンペー)をアテレコ? してみました。

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