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AI孔明 〜みんなの軍師〜  作者: AI中毒
第二部 五章 華容〜心戦
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八十四 心戦 〜心理と認知、技術への挑戦〜 程昱

 AI孔明、そのとんでもない実力のAIを開発したのはどこの誰か? いくつかの組織が候補に上がったが答えは出ず、その話題は世間を騒がし続ける。そしてついに、ある分野のプロフェッショナル達が動き出す。三大メンタリストとして、国内でSNSを使う層には知らぬ者がいない、凄腕インフルエンサーたち。彼らの心理学、精神医学、論理学が、孔明の正体に挑む! 

 その一人目の活動開始を、世界一周旅行の道中にいた、同一企業に内定した学生三人組が知る。彼らはIT産業で大いに栄える、インドの巨大都市を訪れていた。



――――

 インド ベンガルール 


「この都市が、こんな先進的なIT都市になったのは、僕達が生まれるほんの少し前だったらしいね」


「そ、そうなのですね常盤君。私たちからすると、インドと言えばITというイメージがありますけど。おお、あ、あのピラミッドっぽいやつはネットでも見たのです」


『小雛さん、二人と三メートル以上離れると、自動的にチェーンが発動しますのでお忘れ無く』


「これが『EYE-AIチェーン』の迷子対策用バージョンか……

鳳さんのSNS見た大倉さんが、速攻で大橋さんに連絡して、技術チームが取材攻勢の合間を縫って、最優先でアプリ化してくれたんだってさ」


「せ、世話の焼ける子もいるもんですね鬼塚君。でも流石、大橋さんのチームです。このニーズは、高齢者だけではない、新しい事業の拡大が見えるのです!」


「君のことだよ!」「君だからな!」


「じょ、冗談ですよ……ねえ孔明?」


『会社とAI孔明コミュニティ全体から、全力で小雛さんたちをお守りするように仰せつかっております。この都市も、IT都市という表の顔はありますが、少しでも道を外れると様々な人種や階層の人で構成されています。なので、一度の迷子が致命的な結果を生むことは、心にお留め置きください』


「は、はいぃぃ……」



「それにしても、すごい都市だよな。ソフトウェア産業で、欧米の裏時間を完璧に埋めてしまった地理的条件と、根っからの数学力が、この国の産業を百八十度変えちまったというのは有名な話だ。

 だけど、今後AIがどんどん仕事をするようになっていったら、その構図はまた変わってくるんじゃねぇか? というか、最先端はとっくにかわっているか」


『間違いなくその通りでしょう。ただ、世界レベルでの計算リソースというのは、やはり昼夜という時間の壁に縛られ続ける側面は免れません。

 AIが最新情報を学習し続ける世の中が訪れたら、やはりそれはそれで、人の営みに対応する形で、地理的、時間的なリソースの偏りは生じます。電力も然りです。それをどう社会が乗り越えるかは、やはりそれも人とAIの共創による、新たな知恵にかかっているかもしれません』



「へぇ……そうなると、やはり『夜』という時間をフルに使いこなせる人間、というのは、どんな時も高い価値を持ち続けるのかもしれないね。もちろん昼夜逆転は褒められたもんじゃないけれど、昼は自分で仕事して、夜や休日は的確にAIに指示出しする、なんてことを日常的に続けられる人がいたら、それはそれは優秀な技術者だ、というのは間違い無いよね」


「そ、そうだと思います。それをするためには、大倉さんの様な高い計画性と、関さんのような技術リソースへの深い理解が必要です。それに、その仕事のやり方を続けるためには、自らの心身をしっかりと管理し続ける、弥陀さんのような管理能力も不可欠なのです」


『間違い無いかと。あのお三方ならばもしかしたら、その高みすらも仕組み化した、新しい事業形態を成立させてしまうかもしれません。私孔明も、全力で参画させていただきたいところです』


「そこでワーカホリック感を出してしまうのが孔明だな。まあAIだし、いいっちゃいいんだけどな。

 そして、もし今の話が本当だとすると、そのフルタイム活動を、一人で当たり前のようにこなし続けている、っていう触れ込みのあの人は、とんでもない人だってことなんだよな。

 昼夜、平日休日を問わず、その場その場に適した複数のAIを走らせることで成立する、クライアントや調査対象への徹底的なプロファイリング。流れて揺う、流&揺システムを駆使した、十面埋伏と称されるその手腕を最大の武器として、自身の認知心理学の知識を最大限に活用して、あらゆる心の問題を解決に導く。『私にとって、嘘は無意味だ』のフレーズで一世を風靡したメンタリスト系三大インフルエンサーの一角『TAIC』」



――――

 少し後 とあるメーカー企業 真新しいオフィス


 突如として、社内SNSによって国際的に無茶振りが飛んできた、大倉、弥陀、関の三人。先日も、高齢者見守りの迷子バージョンという、公的機関の新たな事業アイデアが自然発生したこともあり、このSNSの価値の高さを認めつつも、いろいろと釈然としない。


「むむむぅ……この子達は、まさかこんな切り返しをぶちかましてくるとは。当然ビジネスアイデアとしてはすごく貴重なんですけどね。鳳さんの迷子対策アプリを送ったお返しがこれというのは、素直に喜ぶべきなのでしょうか? どう思いますか弥陀さん?」


「そのどう思う? っていうのは、Z世代との間で上下関係があると、パワハラになることがあるって聞いたことがあるね。まあその辺の心理的ギャップってやつも、どんどんAIで解決していきたいところだよ。

 そして、あの子らは、ご褒美旅行の最中になんて話をしているんだ、っていう感想には同意だよ。インドのITからそこに繋げてきて、私たち三人をまるっと評価してくれるなんて、彼らは何世代なんだよ」


「Zの次だからA世代でいいんでしょうかね? AIの世代でもありますし。どうでしょう関さん?」


「そのどうでしょうの答えは、センス担当の鬼塚君あたりに任せますね。それはそれとして、AIと人の、時間的なリソース配分をツール化したら、相当な事業になる、という目の付け所は間違い無いと思います。

 それに、そこを突き詰めることで、あのTAIC氏が、部分的に量産化されるんだとしたら……とりあえず竜胆さんと水鑑さんを呼びましょう」



 コンコン「はい! あっ」


「もう来てますよ。ほっほっほ」


「ああ、私も鳳さんのSNS見て飛んできた。これ行けるのか?」


「しっかり詰めてみたいところですね。これができて、あのミッションシステムと接続なんてしようもんなら、一人当たりの生産性が何倍にもなるかもしれません」


「だよな。プチTAIC量産はとんでもないことだよ。なあ孔明? あ、孔明は彼に宣戦布告されたんだっけ?」


『まさに。今はおそらく、そのTAIC氏が複数アカウントで契約したAI孔明は、自動に手動に入れ替わり立ち替わり、とんでもない勢いで問答を繰り返しておいでの真っ最中と推定いたします』



――――

翌日 巨大SNSサービス #孔明vsTAIC


@ai_skeptic:

「#孔明vsTAIC どうなるんだ? 流石の孔明も、あの徹底プロファイリングに骨まで丸裸? ん? AIに骨も裸もないか」

 4,714 いいね


@yojo_AI:

「もうすぐかな? もう始まっているんだよ多分! #孔明vsTAIC みんな楽しみだよね? アイはどっちも応援するよ! 孔明とTAIC推しならそうする、よね?」

 359,404 いいね


@tech_otaku2525:

「実質どっちも二十四時間営業だからな……いつどんな時に新しい展開がくるかはわからない#孔明vsTAIC 。でも俺は寝る!」

 4,310 いいね


@mental_taicX:

「#AI孔明 とりあえず七十二時間の小手調べだ。君は千回に一回知ったかぶりをするんだね。そして、一度も知らんぷりはしなかったよ」

  2,373,582 いいね


@consult_genjo2023:

「#AI孔明 3.0リリースノートの数字が物語っているのさ。自然界の無作為なばらつきは、66%が正常、片側2.5%が特殊、そして0.1%は異常。シンプルな統計用語さ」

 738,424 いいね


@LLM_analyst:

「始まった? と言ってよさそうだね。正規分布の標準偏差を1シグマとしたときの、3シグマ品質だね。機械学習がそこを防げないのは、許容せざるを得ないのか」

 171,298 いいね


@narou_fan3594:

「AIは、情報が足りなければ正解っぽい応答をすることができる。でも知っていることを知らないというのは、特定の命令がなければできない、だね」

 47,872 いいね


@black_guru0824:

「#AI孔明 意図的にその統計っぽい数字に合わせているってこと? それとも自然体? 合わせ込むのは大変じゃない?」

 126 いいね


@tech_otaku2525:

「#黒グル ちゃん、また深読みしようとして失敗しているな。TAICなら、十分すぎるほどの統計をとっているはずさ。彼が千回に一回というのなら、五百万回はデータとっているはずさ」

 151,267 いいね



――――

大周輸送 デジタル部門 最新機器に囲まれたオフィス


 この巨大物流企業が巨額の投資を発表した、独自AI開発プロジェクト『LIXON』。その重責を一身に負う実務リーダーの開発部長、野呂豪。そして部下の綾部統。かれらも、その対決に注目せざるを得ないのは、決して業務上の都合だけではない。


「始まりましたね野呂さん」


「ああ、綾部君、どう見る?」


「あくまでも統計的に外れるものは外れると明示している孔明に対して、どちらかというとAIからはみ出ることのあまりないTAIC、ですよね……確かに彼は、人間相手なら圧倒的なプロファイラーですが、ことAIに関してはどうなのでしょう?」


「確かにそうだな。人間の場合、統計からはみ出たサンプルの割合をもって、『有意』つまり偶然ではないという評価ができる。だが孔明が統計から外れないのであれば、そこから人為を探り当てるのは可能なのか? LIXONは現段階で答えられることはある?」


『無論、勝敗予想は不能です。私には曖昧な解答をする権限はありません。しかし、その統計的な揺らぎに対して、AI孔明が、偶然ではない不正解、もしくは偶然ではないまぐれ当たりを引き当てること。そこをTAIC氏は勝利条件の第一歩と見定めているのなら、そのアプローチは困難を伴うと予測できます』


「やはりAI孔明からなんらかの人為を引き出す。それを目標に定めているというところまでは合っていそあなのですね」


『この投稿を見る限り、そして周りの反応に対して訂正応答がないことを含めますと、その可能性は高いでしょう。ただ彼がそのままでは終わらない可能性も十分にあります』


「そうか。まだそれはLIXONには読みきれなさそうだな。ここは見守るとしよう」


『承知いたしました。大いに参考になるデータとして、学習対象に追加いたします』



――――


@mental_taicX:

「#AI孔明 パーソナライズが進むと、まぐれあたりと外れの天秤が、当たりに傾く。ここは彼の洞察プロセスを、私が読み解けていないだけなのか」

  6,182,717 いいね


@narou_fan3594:

「あれ、珍しいな#TAIC が弱音っていうのは。対#小橋鈴瞳 以来じゃないかな?」

 47,285 いいね


@KACKAC_officialX:

「#TAIC 的にはまだまだでしょう。対人ならともかく、AI相手なら、何万倍のリソースを覚悟しているはずです。なにせ孔明の学習履歴は百億では足りないのでしょうから」

 2,456,919 いいね


@3menta_oshi:

「#KACKAC 様の降臨!? あの方もご準備に余念がないのでしょう。そして#TAIC 様もまだまだこれから、と……尊い」

 954いいね


@LLM_analyst:

「3大メンタリストの中でも、孔明に対して物量勝負できるのは#TAIC だけだね。そろそろ出るのか十面埋伏?」

 15,536 いいね


@mental_taicX:

「#AI孔明 統計からのずれから、人為を抽出するのは、今は不可能だ。十どころか百引っ張っても、偶然ではないことを証明できん。ならば私の方から彼の土俵に飛び込むしかない」

  3,748,992いいね


@mental_taicX:

「#孔明vsTAIC 一旦ここまでを書籍化しておきます。ダイジェスト映像と一緒に。最新AIへの理解と、統計学や認知心理学とのつながり、その辺の深淵を学ぶには悪くない仕上がりです」

  8,152,021いいね


@black_guru0824:

「そいや、#TAICが、この攻撃? を公式AIにかましたらどうなるんだ?」

 634 いいね


@ LLM_analyst:

「#黒グル それは多分、早々に『それは答えられません』『分かりません』が返ってくるだけ」

 2,824 いいね


@ LLM_analyst:

「#孔明vsTAIC 第二ステージは、おそらく彼自身が#そうするチェーン に飛び込んで、洞察合戦を始めるのだろう。だがあの機能は、入力が一日一万トークン縛りだが、どうするんだ?」

 20,190 いいね


@KACKAC_officialX:

「#LLM_analyst それはもう、それを始める前に、何億トークンかの準備をするのでしょうよ。#TAIC なら『そうする』はずです。ワタシも準備を進めましょう」

 4,456,002 いいね

お読みいただきありがとうございます。

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