プロローグ6〈ドキュメンタリー〉 黄昏全
かの者には壮絶な過去があった。父親が無理心中を図り、母、弟を殺し、自分が殺されかけたところ逆に殺しかえしたという壮絶な過去が。
その過去は未だ彼をPTSDという形で苦しめる。そして、解離性同一性障害というもう一つの病も抱え。優しい性格や、猛々しい性格や――人に暴力を振るうのが好きな人格が生まれた。
彼は両親を失った経緯から誰も引き取り手がおらず、児童自立支援施設で生活していた。そこで彼は運命的な出会いをする。
車椅子の少年常闇太陽は彼にとってまさに常闇の中、太陽のような弟分で、彼を愛し彼に愛されることで、彼、黄昏全は救われた。
漆黒を感じさせる短髪、百九十センチを超え、強靱な身体を持ち、しかしそれでも生気に薄い目をした高校三年生の少年は。時には優しく微笑み、時には人を殺しかけるような暴力を振るい警察の世話になる。
弟分の太陽は、華奢な少女のような外見をしているが、眼力は鋭く。PCの扱いに長け未だばれていないが警察庁へのクラッキングを行うほどの腕を持っていた。
「――というわけ何だが手伝ってくれるか太陽」
全は弟分にたずねる。
「僕はずっとお兄ちゃんの味方だよ」
太陽は当然と、その名の通り太陽のような笑顔答える。
そして、今まで登場した人物は優勝したときの願いが記載されていなかった。
なぜなら、彼ら彼女らはみな、人生の成功者だからだ。しかし、ここに己の病を治すという同機を持った者が現れた。
――もっとも、不安定なプレイヤーはダークホースたり得るか。
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