プロローグ4 〈青春・学園〉 輝威音々
その者はアイドルだった。学園のアイドルだった。そして、日本中でもこれからアイドルとして花咲く蕾だった。彼女が通うのは〈私立天翔学園大学付属高等部〉。通称〈天才学園〉。
この学園のモットーは多種多彩の天才を集めること、彼女はアイドルの天才だった。
この学園ではあらゆる天才が集められる将棋の天才だけでも〈振り飛車の天才〉、〈居飛車の天才〉、〈ゴキゲン中飛車の天才〉、〈将棋盤技術者の天才〉と種類があり。変わった者では〈幼なじみの天才〉。中には、〈馬鹿の天才〉なども所属していた。
なぜならこの学園を中心にしたイベントがこの仮想空間で何度も行われてきたからだ。
場合によっては、プレイヤー全員がこの学校から選出されてもおかしくなかった。
さてそんな天才達が集まる中、すべてを魅了するアイドルはいかに戦うのか。
「ころしあいチャンネルかー、面白そうだにゃ♪」
その少女、輝威音々はみずみずしくなめらかで健康的な肢体、くりっとした大きな目に小さな鼻。愛らしい猫のような声。まるで子猫のような少女だ。
しかし、それが彼女の本当の姿ではない。お忍びができてこその本当のアイドル。
アイドルとして本気を出した彼女。その所作から目を離すことはできなくなり。彼女の奏でるメロディは脳を溶かしまるで麻薬のように響き。彼女にとらわれた者は偶像にすがる神の信徒となり得る。
「さぁーて、どの子を誘おうかなっと♪」
学園のプレイヤーは天才学園の生徒達を使い戦う。
――アイドルは動き出す。天才という最凶の信徒を携え。