プロローグ3 〈感動・動物〉 犬塚しのん
その者は動物を愛していた。毎週動物園に通い。その姿は動物と会話しているようだと言われていた。
動物を愛する彼は当然動物である人間も愛していた。と、いうか彼にとって他の人間のように、人間とその他の動物。その垣根を感じておらず。少しずれていると周りには言われていた。
そして、特に飼っていた犬の八房とは命の半身のようだった。
犬を半身にしておきながら彼は猫っぽかった。
なんと言っても目立つのは身長143センチという低身長。猫耳ヘッドフォンをしている、猫耳ヘッドフォンといってもオタク的なファッションとは違い、猫耳型にヘッドが曲がってというスタイリッシュな物だ。
そし鈴のついた黒のチョーカー。腰のベルトには猫の尻尾をモチーフにしたアクセサリがついている。瞳も縦に裂けた瞳孔の猫目カラコンというそこまでこだわるか!
という見事な猫リスペクトである。性別は男だがこの格好が見事に似合ううような美少女顔だ、誰もが彼を男とは思わないだろう。美人系というよりは、猫っぽくかわいい。
彼、犬塚しのんは、アプリを起動する。そうすると、ただ雑種の大型犬だった八房は、狼のような姿に変身する。
「さぁ、動物を守りに行こう!」
――なんとも皮肉に、今回のバトルロイヤルでは殺し合いを拒否する者がふたりも現れた。
これはバグなのだろうか、さてどうなることやら――