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プロローグ2 〈スポーツ〉 春花芽生
その者はたぐいまれなる運動神経を持っていた。女性でありながら男性に負けるどころか勝る膂力、センス、眼力。
彼女は最初、サッカーや短距離走などを行っていたが。剣道を始めた頃から格闘技に傾倒していき、今では総合格闘技(MMA)女子の期待の星となっていた。そして力量は男子を超えていた。
しかし、彼女の芯はスポーツにあらず。彼女は幼少の頃見た特撮番組に大きな影響を受けていた。
すなわち、彼女、春花芽生の夢はスポーツを制覇することでなく、
――その力を持って、世界を護るヒーローになることであった。
「殺し合いなど、正義にあらず! わたしはこの茶番を止めてみせる・・・・・・」
赤いマフラーを巻き木刀を携えた大学三年の彼女は動き出す。その体は筋肉により引き締まっており身長も百八十センチを超え運動に邪魔な胸はないものの、凜とした美貌を携え。
最も殺し合いに適したアプリを持ちながら彼女は、決意する。
――誰の命も失わせないと。