第四話 僕の友達 その二人目
流れ星に願いを
「相変わらずしけた顔をしているな?わんこくん。」
いきなり僕にそんな無礼な言葉をかけてきたのは同じクラスであり、僕の友達の中では割とまともな部類に属される稲光流星という女の子。
「残念なことに休日にあったごたごたのせいで碌に勉強ができなかったからね。再テスト、いわゆる補習を受けて今から帰るところなんだよ。稲光さんは?」
「ぼくは部活の帰りだよ。大会が近いから練習がきつくてもうへとへとだよ。」
うちの高校は運動部が割と強いことで有名であり、確か彼女は陸上部に在籍していたはずである。
「何なら一緒に帰らないかい?どうせ一人さみしく帰るところだったんだろ?」
「確かにそうだけど、まるで友達がいないような言い方はやめてくれ。」
「何をいまさら言っているんだい?友達より知り合いの方が多いような人間だろう?わんこくんは。」
あらためて人に言われるとショックだなぁ。なんて割と真剣に落ち込みながら歩いているとまるで漫画のように目と鼻の先に工事現場の鉄骨が落ちてきた。
「ぬわぁ!?」ズドン
「大丈夫かい?なんとまぁ、無駄なところでドラマを起こす人間だね?きみは。」
いや、ちがう。なんとなく犯人はわかった。
「隠れてないで出てこいよ。いるんだろう?」
「どうしたんだい?いきなり。あまりの恐怖に頭のネジが飛んだのかな?」
僕をかわいそうな人を見る目で見ないでくれ。こういう時は大体あいつが近くにいるんだ。僕の経験でわかる。
「わんこさんが女の子と一緒にこんな遅くに帰ってる・・・せっかく赤井君が入院してるから二人でいちゃいちゃできると思って待ち伏せてたのに・・・また違う人をくわえこんで!この浮気者!尻軽!不幸になれ不幸になれ不幸になれぇ〜〜〜」
うん。やっぱり変態がいたか。
「僕はお前と付き合ってなんかいないし、第一稲光さんとはそこで会ったばかりだよ。」
「ふぇ?本当ですか?流星さん。」
「本当だよ?それにぼくから一緒に帰ろうと誘ったんだ。わんこくんは何もわるくなんかないよ?」
おー。みるみる顔色が変わっていくな。見てるだけなら本当におもしろいなこいつ。
「ご・・・ごめんなさい!わんこさん!魔がさしただけなんです!ちょっと懲らしめようと思ってやっただけなんです!お・・・おねがいだから・・・・・・嫌いにならないでぇ〜」
「うわっ!?やめろお前マジ泣きすんなすがりつくなどさくさに紛れてズボンを下ろそうとするな気持ち悪い!!」
この変態早く捕まらないかなぁ・・・
「で?結局一緒に帰ることになったわけだが・・・瑠歌はどこまで付いてくる気なんだ?」
「無論、死ぬまで!」
「帰れ!お前の家はとっくに過ぎてんだよ馬鹿野郎!!」
「いいえ、それは違います!私にとってのホームは例え地獄であってもわんこさんのいる場所です!!」
「無駄にかっこいい!?」
「まぁまぁ。いいじゃないか?別に一人や二人増えたところであまり変わらないだろう?それに人数は多い方が楽しいじゃないか?」
「それはそうなんだが・・・こいつといると僕の身が危ないんだよ。」
「えっ!わんこさん誰かにねらわれてるんですか?大丈夫です!私の力でいつでもどこでもお守りいたします!」
「お前に襲われそうで怖いつってんだよ!」
「大丈夫ですよ?あくまで合意というのが私のポリシーです!」
そのわりにはスキンシップが激しいんですけど?なんなの?この子。いつかマジに襲われそうで怖いんだけど・・・
「あぁ。いつになったらわんこさんは私に心を許してくれるんでしょうか?もう胸が張り裂けそうですよ・・・」
「まぁ。そう落ち込むことはないよ?逆に考えるんだ。あれはツンデレなんだと。」
「この対応がツンデレに思えるんだったらそいつは精神を病んでるかドMだな。」
「はぁ。なかなかロマンチックな展開にもならないし・・・」
「ロマンチックな展開なんかお前とは絶対にならない自信があるけどな。」
というかそんなもんあってたまるか!
「む〜!わかんないじゃないですか!」
「いーや無理だね!もしなったらなんでも一つ願いを聞いてやるよ。」
「本当ですね!絶対ですよ!?」
なんとでもいえよ絶対にならんから・・・
そんなくだらない話しをしていると稲光さんとお別れする場所まで来ていた。
「それじゃ、ぼくはこれでリタイアだ。あとは二人仲良く帰りたまえ?」
「じゃあね稲光さん。」
「ばいばーい!」
はい、ストッパーがいなくなりました。ガチで怖いです。
「じゃあもう少し歩いたら私も帰りますね?」
「いますぐ帰ってくれても僕は一向にかまわん」
「嫌です!少しでもロマンチックになるんです!」
・・・まだあきらめてなかったのかこいつ。
そうして二人で無言で歩いていた時に事は起きてしまった。
「あぁ!?見てくださいわんこさん!空がすごいです!!」
そう言われて空を見てみるとまるで世界を引き裂かんばかりの数の流れ星が流れていた。
「・・・・・うわぁ」
「すごいですね!」
「・・・」
「きれいですね!」
「ああ・・・」
「ロマンチックですね!」
「うん・・・・・・・・・うん?」
やっちまった。
「ひゃっほう!わんこさんとロマンチックになれました!願い事が一つ叶います!!」
「くそっ・・・神様はどこまで僕に試練を・・・」
そこまで考えてふと気付いた。稲光流星の能力を・・・
稲光流星・・・彼女の守護はリントブルム・・・
大空を舞う竜の守護。その能力は稲光を出せる事。
そして・・・流れ星を操れること。
その後、僕は瑠歌の願い事として、僕の家に瑠歌を一晩泊めることになったのだが・・・
これは僕の中で「悪夢の一夜」と呼ばれることになる日の始まりだった。