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第十三話 僕らの市街戦

金曜日の午後八時。

一般人だったら翌日が休日なので今日は夜更かしをして遊ぶ人が多い日である。

まぁ、そんな事情は社会人にはほとんど当てはまらないわけで……

「えっと今日が十一日だから、締め切りまでは……うわっ!?あとたった五日しかないじゃないか!やばいなぁどうしよう。まだ原稿全然書いてないよ……」

「こんな状況で仕事の話しですか。随分と余裕ですね?一応忠告しておきますが残りの日数はあと二日ですよ?三日間は私たちに付き合ってもらう予定ですから。」

どこから取り出したのかいつの間にかその手には弓が構えられていた。

「だからあんたじゃ私には絶対勝てないんだって。さっきから言ってるだろ?いいか、無駄なことは嫌いだから最後にもう一度言っておくけどお前じゃ絶対に私に傷をつけられないよ。」

コンクリートの地面に胡坐で座りながらため息混じりに言う海。

なんというか、路上でスーツ姿で弓を構える姿は誰が見ても不審者だし路上のど真ん中でエプロン姿で胡坐で座り込む姿もとても怪しいものである。

「そんな脅しは効きませんよ?私の弓は特殊なんです。当たったところの傷は一生治ることがなく徐々に腐っていきます。序列十四番のレラジェですからね?あなたが例えどんな能力だったとしてもできた傷は絶対に消えませんし治りません。女性の体に傷をつけるのは同じ女性としてあまり気分のいいものではありません。おとなしく捕まってください!」

そう言って狙いをつける。

「ふーん。できた傷は治らないねぇ。それでも私が負けるとは思えないね。なんなら試してみるか?一発私をその矢で射ってみろ。もし傷ができたならお前の言うとおりにしよう。そのかわりもし!傷がつかなかったら、射った回数だけお前を殴る。どうだ?」

立ちあがりながらニヒルに笑うその姿は自分が負けるとは微塵も思っていないようで、それが優実をイラつかせる。

「言いましたね?後で後悔しても知りませんからね。手加減も期待しないでください!」

そう言って矢を放つ。

殺すなという命令が出ていたので急所は外してあるが当たれば確実に重傷だろう。

矢は真っ直ぐに海の左肩に飛んでいき、矢は肩を貫通………しなかった。

「は?」

おかしい、絶対におかしい。ありえない。

矢は肩にぶつかると勢いを失い地面に落ちる。

「こんなことあるはずがない!確かに当たったのに!」

二本三本と次々に矢を放つがそれも全て触れた瞬間に地面に落ちる。

「ばかな!こんなことが起きて堪るか!」

「ひい、ふう、みい。ふーん。七発か、まぁいいや!終わりかな?最初の取り決めどうりこっからは私のターンだ。七発ぶん殴らせてもらうよ?」

「ひっ!」

「言っとくが…手加減なんか期待するなよ?本気で殴らせてもらう!」

そう言って引き倒し馬乗り、所謂マウントポジションを取り迷わず顔面を思いっきり殴った。

凄まじい音と共にコンクリートが砕け、血が飛び散る。

「おっと、いっけね。七発もいらなかったな。まぁぎりぎり死んじゃいないだろうし、とりあえず救急車呼んでおくか。それにしてもいかんな、火力の調整を間違った。」

そう言って彼女は原稿を片づける為に自宅へと帰って行った…



                   犬飼家近辺路上

              〇犬飼 海    床苗 優実✕

              マウントパンチによる頭蓋骨陥没



喫茶店「アバチャ」は街の十字路にある喫茶店で飲み物はありえないぐらい不味いのだが料理がそこらの店よりも美味しいということでなかなか評判のいい店である。

店の名前の由来は店主が漫画好きで学生時代にハマっていた漫画から取ったのだという。

朝早くから開店し夕方には閉店しているので今はもう周りには誰もいない。

「いい加減にしてください!私は早く帰って今後のわんこさんの攻略のために色々しなきゃいけないことがあるんです!」

怒っている姿もとても可愛いものなのだが彼の性別を知って尚可愛いと言える人物はなかなかいないだろう。

「んなことこっちゃ興味ねぇんだよ!さっさと来いっつってんだろうが!それとも痛い目見なきゃわかんねーのか?あん?」

どこからどうみてもチンピラにしか見えない男がメンチを切りながら脅してくる。

「どうしても私の恋の邪魔をするんですね!分かりました!あなたには身も凍るような不幸を差し上げましょう!今から少しでも私に近づいたら下手したら死にますよ?それじゃあ私は家に帰りますんで!」

男を無視して横断歩道を渡っていく瑠歌。

「俺を無視するとは…もう我慢ならねぇ!命令なんか知ったこっちゃねぇ!殺してやる!!」

殺気を出しながら横断歩道を渡り切った瑠歌を追って駆け出す公則。

そこで彼は気を失った。

「だから忠告したのに!人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死ぬんですよ?まぁ現代の街中に馬なんかいないですから鉄の馬に蹴ってもらいましたけど!死んだら目覚めが悪いので少しだけ幸運をあげましょう!」

…………完璧にとばっちりを食らった軽自動車の運転手三十八歳妻子持ち二児の父は泣いていた。



                喫茶店「アバチャ」前交差点

               〇恋結 瑠歌  菰斑 公則✕

              軽自動車に轢かれ全治二カ月の重傷



「ふぅふぅ、こ、ここまで逃げれば、もう大丈夫だよね?適当に逃げてたら学校まで来ちゃったよ。何だったんだろうあの人。仕事の都合で僕が必要になるなんて事があるはずないのに…わんこくん絡みだよなぁ、やっぱり。」

一息つきながら校庭の真ん中に仰向けで寝転び空を見上げる。

「ふーん、ここが君たちの通っている学校かい?なかなかいいところじゃないか!こんなに大きな学校に来たのは初めてだよ。私の通っていた学校は割と小さな所でね?クラスも二つしかなかったんだ。田舎の方だったせいかな?」

空を見上げている僕の顔を覗き込む形でいつのまにかこちらをじっと見ている女性。

「うわぁ!?そ、そんな!?周りには誰もいなかったのに!なんで!?」

「ふっふーん。驚いたかな?あぁ!人を驚かせるのはなんて気持ちがいいんだろう!そんな君に特別に種明かしをしてあげよう!私は序列六十二番のバラムなんだ。能力は人や物を見えなくする力なんだよ。昔はこの力を使ってマジシャンをしていたんだ。」

そう言って手を差し伸べてくる。

仕方なくその手を取り立ちあがる。

そして聞こえるガチャンという鍵をかける音。

「え?」

「君は少し人を信じすぎるな。言っただろう?三日程私と行動を共にしてもらうと。」

気付くと僕の手と彼女の手が繋がれていた。…手錠で。

「さぁ!一緒に組織の隠れ家に行こうか。大丈夫、三日間おとなしくしているだけでいいんだから。」

「あの…組織ってなんですか?」

「ん?なんだ聞いてないのか。ならば教えてあげよう!私たちは世界征服をするために秘密裏に結成された特殊部隊みたいなものなんだよ。みんなそれぞれ理由があってそこに属している。」

そう言って切なそうな顔をする嬰螺。

なぜかそれがすごく嫌だった。

あんなに楽しそうにしていた人が、あんなに楽しそうに笑える人が、こんな顔をするのが嫌だった。

「よっよければですが、その、聞かせてもらえませんか?あなたがそこにいる理由を。」

聞かない方がいいのかもしれない。

何の意味もないかもしれない。

それでもなんとかしてあげたかった。

「いいよ、教えてあげよう。…実はね、私には幼馴染の男の子が居たんだ。何をするにも一緒だった。高校生になったとき付き合った。大学を卒業して結婚する日まで決まった。…なのに。」

その場の雰囲気が一気に重いものに変わっていく。

言葉が見つからずに沈黙するしかなかった。

「なのに…………あいつ他の女と駆け落ちしやがった!!」

「はい?」

その場のシリアスな雰囲気が一気にコメディに染まっていった。

「信じられるか!?結婚式前日に駆け落ちだぞ?しかも相手は私の親友だった!その瞬間私の中の何かが壊れたんだ!あいつをぶっ殺すってね!」

「うわぁ…なんというか、そんな理由で?」

「そんな!?そんなって言ったか今?もうあんな男には興味は無くなった。世界に絶望したよ。そんな時に女の子が私の所に来てね?一緒に来れば理想の男を見つけてくれるって言ったんだ。」

「……ちなみに理想の男の人って?」

「絶対に私を裏切らない人。絶対に私に嘘をつかない人。私に優しくしてくれる人。」

理想が高いのか低いのかまったくわからないけど一つ分かることがある。

この人絶対に騙されてる・・・

「あの、組織を抜ける事ってできないんですか?」

「できるよ?できるけど抜ける気はないね。」

「分かりました。僕は絶対にあなたに着いていかない!」

相手の目を真っ直ぐに見て力強くそう言い放つ。

「どうしたんだい?いきなり。正義の味方のつもりかな?」

「ふふっ、正義の味方かぁ。そんなのに憧れていたことが昔あったなぁ…じゃ、今この時だけ僕は昔幼馴染にした時みたいにヒーローになってみようかな。」

自嘲気味に笑う翔。

「手錠で手を繋がれてる状態で何ができるっていうんだい?片手も使えない状態で逃げられるとでも思っているわけじゃないだろうね?」

強く翔をにらみ返す嬰螺。

「目を合わせるだけで僕の勝ちだよ。」

そう言った瞬間に嬰螺の動きが止まる。

「はい!僕の勝ちだね。意識はあるでしょ?動けないだろうけど。あっ!手錠はどうしよう?まぁいいや!愛に電話して迎えに来てもらおう。ついでに星も見れるしね。」



                  聖アニマル学園校庭

                〇大空 翔  観遣 嬰螺✕

                 全身麻痺により行動不能



私は教会が好きだ。

身寄りがなくただ街をふらついていた時に救いの手を差し伸べてくれた教会が好きだ。

夜にあまりの寒さに凍死しそうになるなんて事がなく温かいベッドで眠れる教会が好きだ。

食べ物も無く餓死寸前まで追い詰められる事も無くパンとスープを出してくれる教会が好きだ。

ゴミを見るような目で見られることも無く優しい声で名前を呼んでくれる教会が好きだ。

神父様が、牧師様が、シスターが、同じ孤児の子が、悩める人たちが、この教会に集まるすべての人たちが好きだ。

私を救ってくれた人たちみたいになりたくて、私はシスターになった。

少しでも困っている人たちを救って見せる。

だから、私は絶対にこの教会から離れない。

「いったいどこまで着いていけばいいんだ?もう大分教会から離れてしまったんだが…」

煙草を吸いながら疲れた声で問いかけてくる章とかいう男。

「ここらでいいだろう。教会を壊してしまったり傷つけてしまったりしたら死んでも死にきれんからな。それよりもあんたの…章だっけか?章の守護を教えて欲しいんだが。そうじゃないとどれだけ力を使っていいか分からん。」

腰に両手をあて悩むように言う。

「ああ、俺の守護はダンピールだ。なんでもこの日お前の為だけに雇ったらしい。俺の就職していた会社を潰してまでな。」

そう言って煙草の火を消している彼の目は涙目だった。

「ダンピールか。なるほど吸血鬼退治の専門家じゃないか。それに章もなかなか苦労してるな?よし!賭けをしよう!もし私が勝ったら改宗してうちの教会と私に仕え続けろ。私が負けたら章の言うとおりにしよう。」

「ちょっと待て!!俺が負けた時のリスクでかくないか!?それに何でお前に仕えなきゃいけないんだ!」

「私が予想するにお前はかなり不幸な人生を送ってきたな?」

「…そうでもないさ。確かに人に比べると少しは不幸だったかもしれないがそれなりに楽しんできた。女と付き合った事はないし嫌われることの方が多かったし友達もこれといっていない。高校は家族がまとめて逝っちまったから中退もしたし就職先は潰されて無職になったが俺はそれで満足して生きてる。」

かなり寂しい人生を送っておいてどの口がほざくのだろうか。

「いいか?お前が不幸だったのは信じる神がいなかったからだ。」

それが本当なら世界中の人間が同じ宗教を信仰しているはずなのだが・・・

「教会にくれば飯は食えるしベッドで眠れるし私のような美人を一生かけて幸せにできるんだ。な?今までの人生が一気に薔薇色じゃないか!」

「俺の主観での幸せとは大分違うんだが…」

「幸せなんて人によって違うんだ。ガタガタ抜かすな。それに不幸な人を幸せにしてやるのが私たちの仕事だ。さ、始めようか。今日の私は凄いぞ?夕飯はパンとワインだったし今日は満月だ。勝てると思うなよ?」

そう言って体を霧にし始めるローラ。

「いきなりか!?くそ!こっちはまだ武器も出してないってのに!」

慌てて笛を取り出す。

「遅いねぇ。あくびが出るよ、その程度で吸血鬼を相手にするなんて馬鹿らしい。」

その言葉と共に章の体が内側から爆ぜた。

                    数十分後

心地よい温かさと柔らかい感触に包まれる中俺は目覚めた。

「……何をされたんだ?」

「体を霧にしてあんたの体に入って体内で狼に変えて食い破った。」

「ここは何処なんだ?」

「教会のベッドの上。」

「なんで俺は生きてるんだ?」

「ん?知らなかったのか?ダンピールっていうのは死ぬと吸血鬼に生まれ変わるんだぞ?嘘だと思うならそこにある鏡見てみろ。今日は満月でお前は生まれ変わったばかりだから鏡に映らないぞ?」

言われたとうりに鏡を見てみるとそこにはベッドの上にいるはずの自分が映っておらず、自分が居るであろう場所に覆いかぶさる形でローラが映っている。

「本当だ。………ん?ローラ?貴様何をしている?」

「何って。そんなこと女に言わせるな。」

「頬を染めるな!お前神に仕えてるんだろうが!」

「確かにそうだが別にこれから生涯一緒になる相手だ。主も許してくださるさ。」

「落ち着け!?知り合ったばかりの男とそういうことをいきなりするもんじゃない!だから落ち着いてやめろ変な所を触るなほんと勘弁してください何でもしますんで、あぁああああああああああああ!?」



                    教会内寝室

             〇ローラ=カルンスタイン  源 章✕

         章、一度死んで吸血鬼になり今後の人生を全てローラに握られる



まず最初に驚いたことは街のみんなが気味悪がって入ろうとしないこの屋敷に人が入ってきたことだ。

普通の街にありえないような豪邸が建っていてネコが常に徘徊しているような所に来るやつは余程のネコ好きか馬鹿くらいだからな。

次に驚いたのはどうやってこの屋敷に入ってこれたかだった。

監視カメラが常に正門にあるし警備員がわりにネコを配置してあるはずなのに。

「おい、今更だがどうやってこの屋敷内に入ってきたんだ?監視カメラがあったはずだ。それに俺のネコが見張りをしていたはずなんだが?」

取りだしたナイフを弄りながら相手の様子を見るついでに、頭に浮かんでいた疑問を尋ねる。

美玖とかいう女はまだ周囲にガラスの破片をばら撒いている。

「監視カメラは全部壊してきましたしネコちゃんならマタタビをあげたらとても喜んでくれましたよ?」

門番をしていた猫はしばらく飯抜きにすることを心の中で誓う。

「なるほどね、で?いつまでガラスばら撒いてんだ?ちゃんと掃除してくれるんだろうな。それと壊した監視カメラ弁償しろよ?」

「お金無いんで弁償は無理ですね!ガラスは…まぁこれくらいでいいでしょう!さて、智和さん。あなたは鏡の中の世界を信じますか?」

「鏡の中の世界だぁ?おいおいそんなもん信じてんのか?こりゃハローワークよりも精神病院の方が先みてぇだな。それともそれがあんたの能力なのか?」

相手を小馬鹿にしたように口元を歪めて笑う。

「そんなもの信じてるわけないじゃないですか!ファンタジーやメルヘンじゃあるまいし!と、こんなこと言ったらもし鏡の中に入れる能力の人がいたら怒られますね!そうですね…マンインザミラーなんてぴったりな名前じゃないですか?」

「お前は一度ファンの人たちに怒られろ!知ってて言ってるだろお前!」

「まぁそれは置いといて。私の能力はポルターガイストですよ!」

「は?なんだ、くだらねぇ能力だな。」

「くだるくだらないなんて用は使い方ですよ?例えばですね。こんなことができます!」

美玖が腕を振った瞬間にガラスの破片が一気に赤井目掛けて飛んできた。

「んな!?」

回避行動が一瞬遅れてしまったため背中にいくらか破片が刺さる。

「ね?便利な能力でしょ?重すぎるものは駄目ですけど軽いものならいくらでもできますよ?」

そう言って次の破片を浮かせる。

「駄目だな。こりゃ勝てないわ。降参だよ、好きにしてくれ。」

ナイフを地面に捨てて両手を頭の脇に挙げる。

「あっけないですね。それじゃ拘束させてもらいます!」

赤井の体をロープで縛っていく美玖。

「ところで一つ聞きたいんだが、何でこんなことしてんだ?」

「……お給料がいいからです!月給二十万も貰えるんですよ?高卒だとありえないほど高いんです!」

「そうか。ところで今うちの屋敷で使用人を雇う話しが出てるんだが…二十一万でどうだ?」

「……二十五万。」

「よし、それでいい。雇おうじゃないか!明日から仕事できるな?」

「本当に二十五万でいいんですか!?ひゃっほう!転職します!働きます!これで弟にニートと蔑まれることも無くなります!それじゃ今日は帰りますんで明日からお願いします!!」

風のように早く消えていった。

「………馬鹿でよかったな。それにしても、このガラス片全部俺が片づけるのか。はぁ。」



                  ネコ屋敷敷地内

              ✕赤井 智和  恋結 美玖〇

             買収成功。試合に負けて勝負に勝つ



「どうすればいいんだろうね?この状況は。さすがに勝てるとは思ってなかったけどこれは予想してなかったよ。多勢に無勢じゃないか。」

そう呟く僕の周りには鎧と剣を装備している黒い影のようなのがたくさんいる。

「たった一人の人間にこんなことするかな?大人げないったらありゃしない。」

「仕方ないだろう?命令は確実に遂行しなければならない。それにこれが俺の能力なんだよ。俺に出来るのは悪魔の軍団を指揮することと失せ物探しくらいだ。おい!そいつを拘束してさっさと帰るぞ!御主人様がお待ちだ。」

瞬く間に拘束されて身動きが取れなくなる僕。

いや、一応抵抗ぐらいはしたんだけどね?さすがに鎧があったら火はあまり効かないし剣持ってるから下手したら斬られるし…

「もしかして、負けたの僕だけじゃないだろうな…」

そこで僕の視界がブラックアウトした。


                 住宅街道路

                ✕僕 超渓 京〇

              開始五秒で取り押さえられる



これでようやく帰れる。

帰ったら風呂に入ろう、適当に夕飯を作って食べて、テレビでも見てから寝よう。

「そこの人、少しいいかな?息子を返して欲しいんだけどさ。いいかな?」

そう声をかけてきたのは身長はあるのにやたら細い体をした眼鏡を掛けた男だった。

「あ~、わんこくんのお父様かな?すまないがそれはできない。主がどうしても会いたいらしくてな。連れて行かなければならないんだ。安心して欲しい、危害は加えない。主が満足したらちゃんと返すさ。」

「ふ~ん、会いたいねぇ?そんなに会いたいなら自分で会いに来ればいいのに、それとどうしても今日息子が必要なんだよ。そいつの為にわざわざ好物を作ったんだ。息子がいなきゃ意味がないしね。」

いつの間にかその男は眼鏡をはずしていて、すぐ傍まで来ていた。

「っ!?いつのまに!?くそ!軍団よ!そいつをねじ伏せろ!」

すかさず距離を取りながら部下を出す。

「へぇ~軍団か!懐かしいなぁ。そんなことをしていた時期が僕にもあったよ。でも少し僕が居た軍隊よりも練度が低いかな?」

信じられなかった。

俺が召喚した軍隊は当然のごとく普通の人間が勝てるものじゃない。

倒すのならば対戦車ライフルくらいは必要になるし、一体や二体じゃなく軍隊で出している。

出しているのに。

その男は右ストレート一発で軍団を粉砕してのけた。

「な!?え?そんな馬鹿な事があるか!?一個師団相手に拳一振りなんてありえない!貴様何をしたんだ!!」

「ん?いや見てたでしょ?右ストレート。」

驚いたような顔をして答える化物。

「そうじゃない!なんの能力を使ったんだ!貴様のそんな細い腕じゃ大した力を出せないはずだ!」

「僕の奥さんはリヴァイアサンなんだよ。その事を知った時運命を感じたね。僕はこの女性の為に生まれてきたんだって。僕の守護はベヒーモス。うーん、バハムートって言った方が子供には分かりやすいのかな?能力は筋力強化だよ。」

「ひっひぃ!?神が作った正真正銘の化物じゃないか!?」

「安心して欲しいなぁ。息子を返してくれれば暴力は振るわないよ?守護のせいで無意味な殺生ができないんだよ。」

言われたとおりに担いでいた少年を返す。

いくら俺でも命はまだ惜しい。

「ありがとう。でさ、その主とやらに伝えてくれない?」

「なっなにを?」

「会いたいのなら自分から会いに来い。近づきたいなら自分から近づいて来い。その勇気がないのならうちの息子にちょっかいだすな!今度こんなことをしたら徹底的に海ちゃんと一緒に潰しに行くってさ。」



                 住宅街道路

             〇犬飼 誠治 超渓 京✕

             誠治の説得により京の降伏

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