第十一話 僕らのウォーゲーム
放課後、いつものように御主人様のお屋敷にいつものメンバー+ローラさんで遊びに来ていた。御主人様の部屋にはいろんな機種のゲームが置いてあって飽きが来ないのと、とても広いので大人数で遊ぶときは大体このお屋敷に世話になっている。
「バッカ!だからそこは鎌より斧の方が楽にクリアできるってさっきから何度も言ってんだろうが!学習しろや!」
「いやです!私は鎌を極めるって誓ったんです!大体斧なんか敵に当たりにくいし緑の鎧とか金の鎧になっても軌道がトリッキーすぎて使いにくいんですよ!」
「だ~からそのステージだけって言ってんだろうが!人の話しを聞け!」
「ああ!?余計なこと言うからアリーマーにやられたじゃないですか!」
「ざまぁみやがれ!死んだから交代な。」
「翔!人様を銃で撃つとは何事だ!そんなことじゃ天国に行けないぞ!?」
「え?いっいやあれ見た目普通の人だけどゾンビだよ?」
「そんなみっともない言い訳をするんじゃない!たとえ敵だったとしても主はこう言っておられる!汝自らの敵を愛せよ、と!」
「ええ!?それじゃ殺されちゃうよ!」
「大丈夫だ!死んでも天国に行けるんだ。これ以上何を望むというんだ?」
「こっこれそういうゲームじゃないから!」
少しトイレに行ってきた数分間でそこにはとてもカオスな空間が広がっていた…高校生にもなってなんでたかがゲームでここまで険悪な空気になれるのだろうか
「お?戻ってきたかわんこ。それじゃ皆でできるゲームをしよう。何がやりたいんだ?大体そろってるぞ。」
「とりあえずテレビゲームをやめましょう!テレビゲーム以外だったら何でもいいですよ。」
「う~ん、ゲーム以外か。難しいな、チェスは無理だし…」
ぶつぶつ言いながら押入れを漁る御主人様、出てくるボードゲームの山。将棋、囲碁、人生ゲーム、鷲巣麻雀牌、限定ジャンケン、etc、etc…
「この中でUNO分からない奴いるか?」
「すまないが私はUNOはよく分からないんだ、すまないな。」
「ローラが駄目か、じゃあゲームの王様トランプでもするか。」
押入れからトランプを持ってくる御主人様。ん?なんかすごく嫌な予感がするんだけど…
「ただやるのもつまらんからな。ビリの奴は罰ゲームってのはどうだ?内容はトップの人が決めるってことで。」
「面白いですね!受けて立ちます!さっきのアーサーの恨みを晴らしてやります!」
「お手柔らかに頼むよみんな。」
「ビリになりませんようにビリになりませんように。」
「やっぱりこうなるのか。」
そうして始まったデスゲーム。種目はババ抜き。そう、ババ抜きである。トランプでできる遊びのほとんどは知恵と勇気で決まるものばかりなのにその中でもよりによって運に頼るしかないババ抜き。この瞬間に僕は勝負を投げた。
「ほらほらわんこさん!早く言ってくださいよ!」
「くっ!?こんな…こんなことを言えというのか!」
「あれあれ?わんこさんは約束も守れないんですか?」
くそっ調子に乗りやがって!言ってやるよ!
「らっらめぇ~瑠歌様っこれ以上はおかしくなっちゃいます~。」
・・・すごく死にたい。
恍惚の表情を浮かべている瑠歌、大爆笑している御主人様、憐れむように僕を見る翔、養豚所の豚を見るような目で僕と瑠歌を見るローラさん。
「あぁ、いい!私は今日このときの為に生まれてきたのでしょう!夢の一つが叶った今この時!間違いなく絶頂期に到達しています!祝福しろお前ら!」
「つーかおかしくないか?さっきから配られた時点でダブってるのが一枚も無いうえに僕しかビリになってないって。瑠歌、お前なんかしてるだろ。」
「能力は有効活用するためにあるんですよ?悔しいんだったらわんこさんも使えばいいじゃないですか!」
「よぉし!いい度胸だ。今すぐ燃やしつくしてやる!!」
「はいはいストップ。わんこ命令だ、やめろ。それと瑠歌、次不正をしたら強制で罰ゲームだからな。わんこがビリばっかじゃつまらん。」
「む~!わかりましたよぅ。」
それからは本当に阿鼻叫喚の渦だった。具体的にどんな感じだったかというと…
「瑠歌、今度から私の視界に入ったら手首を切れ。」
「死を宣告された!?罰ゲームのレベルじゃないですよ!?」
「罰ゲームではない。神罰だ。私の信じる神は同性愛者を決して許さないのでな。今すぐ速やかに実行に移してくれたら神も私もとても満足できる。」
「でも自殺した人ってたしか天国に行けないんですよね?」
「当たり前だろう?人は誰もが生まれてきたときに主より役目が与えられているんだ。それを放棄しておいて天国に行けるとでも思っているのか?」
「敬虔なクリスチャンが人に自殺を強制しないでくださいよ!?」
「黙ってろ。異教のサルが!いいか?この世で私が傷つけていいものは二つだけだ。主に敵対する化物と異教徒だ!」
とか
「翔ちょっと妹の部屋に行って色々漁ってこい。」
「そっそんな!?僕殺されちゃうよ?」
「大丈夫だ。妹は今友達の家に遊びに行っていてまだ帰ってきていない。万が一部屋に侵入したことがばれたとしても死にはしない。と思う・・・」
「ちなみにどんなことをされるかわかる?」
「そうだなぁ、この前から機嫌が悪いし俺がされてることを踏まえると…よくて五体不満足だな。」
「いっ嫌に決まってるじゃないかぁ!」
「人の嫌がることだからこその罰ゲームだろ?」
とか
「瑠歌、今度から僕の視界に入ったら首を吊れ。」
「わんこさんまで!?ひどいですよ!…待てよ、つまり私の最後を看取ってくれる人がわんこさんになるってことですよね?どうしよう、すごく捨てがたい!」
「前言撤回だ。二度と僕の前に姿を現すな。」
とか普通だったら友情がぶち壊れるようなこと盛りだくさんだった。
「む?少し熱中しすぎたな。もう七時を過ぎちまった。次で最後だな。」
やった!これでこの地獄から解放される!
結果発表
1位 赤井 智和
最下位 僕
・・・やっちまった。
「さてそれじゃあ罰ゲームだ、わんこ。」
「できるだけ楽なやつお願いしますよ?」
「大丈夫大丈夫今から俺の質問に正直に答えるだけでいい。」
よかった、本当に簡単な罰ゲームだった。
「この前のラブレターは結局どうなったんだ?」
今ここでそんなヘビーな話しが来るとはこの僕の経験をもってしても分からなかった。
「わんこさん?正直に答えてくださいね?」
「瑠歌?いつものしゃべり方じゃないよ?ビックリマークはどうしたんだい?」
「わっわんこくんラブレターなんかもらったの?うわぁ、すごいな~。」
「翔こういう話しに興味がある人だったんだね。知らなかったよ。」
「さっさと話してくれ。教会の仕事があるんだ。」
「ローラさん冷たいね?」
「いいからさっさと話して楽になれ。どうせお前の事だからホイホイOKしたんだろ?」
「そんな誰でもいいみたいな言い方しないでください。・・・断りましたよ。」
「よかった!さすがわんこさんです!」
こいつ、いつ燃やそう・・・
「なんでだ?別に好きな奴がいないんだったらよかったんじゃないか?」
「顔見知りだったんですよ。・・・元御主人様でした。戻ってこいと言われたんですが断りました。」
「なるほどなるほど?それでだ。そいつはどうするって?」
「手段を選ばないとか言ってましたけどさすがに実力行使はしてこないと思います。」
「ふむ、まぁ俺たちに迷惑がかからないならいいけどよ。」
「元御主人様ってどんな人なんですか?」
「サディストなのに寂しがり屋で一人じゃ何もできない人だったよ…あと頭のネジが数本飛んでるかな。それなのに人望と財力は溢れんばかりにある人間だよ。」
その後も色々聞かれたけど適当にはぐらかしてその場は解散となった・・・
帰り道、すっかり日が暮れて完璧に夜になってしまい電柱の蛍光灯を頼りに帰っているといつから居たのか、目の前に知らない男性が立っていた。
「やぁ、こんばんは。今夜は月がとっても綺麗だよ。見て御覧わんこくん。」
言いながらこちらに近づいてくる。それに合わせて距離を取りながら聞く。
「お前は誰だ?どうして僕のことを知っている。少なくとも僕はお前みたいなゴツイおっさん記憶にないんだけど…」
「これは失礼したな、初めまして。俺の名前は超渓 京。君も御存じソロモン血盟軍の序列66位でキマリスの役を貰っている者だよ。いきなりで悪いんだが一緒に来てもらいたい。」
本当に実力行使してきやがったあのアマ・・・