絶滅危惧モンスターの白スライム
とある冒険者が街道を歩いていた。
そしたら、何かの争いの跡を見つけた。
目をこらすと、他のモンスターに襲われている珍しいモンスターを発見した。
それは白いスライムだった。
他のモンスターはみんな水色だ。
一般的には、水色のスライムが普通だった。
しかし襲われている方は、めったに見ない白。
だから他のスライムから異物とみなされて、排除されかけているのだろう。
冒険者は急いで、その白いスライムを保護した。
白スライムは絶滅危惧モンスターだ。
各地で急速に数が減っていって、絶滅してしまうかもしれないと言われている。
だから、見かけたら保護する事が理想とされていた。
冒険者はその白スライムをすぐ、モンスターの病院へ運び込んだ。
手当てをうけた白スライムは、すぐに回復。
冒険者は絶滅危惧モンスターを保護した功績で、お金をもらって、冒険者ランクもワンランク上げる事ができた。
白スライムは、絶滅危惧モンスターセンターに運ばれ、そこでおだやかな余生を過ごす事になった。
とは、ならない。
「はなはだ遺憾であるっ!」
保護された白スライムは憤慨していた。
それは、絶滅危惧モンスターセンターに運ばれたスライムである。
白スライムは、恥をさらして生き延びる事をよしとしていなかった。
襲う対象である人間に助けられ、情けをかけられ、手厚く保護をされるなど言語道断だった。
弱い生き物が強い生き物に負けて死んでいくのは、生命の自然なありかた。
白スライムは、誇りをもって、その考え方を貫いていた。
しかし、これまでかと言う時に冒険者がやってきて、白スライムを助けてしまったのだ。
「遺憾の意を表明するのである!」
白いスライムは勢いよくはずみながら、たまに健康管理でやってくる者達に抗議をするのだが。
「まあ、あんなに嬉しそうに弾んで。きっと安心できるここの場所が気に入っているのね」
何一つ相手には伝わっていなかった。




