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プロローグ

書き殴ってみただけで小説と呼べるかわかりませんが、読んでくれたら嬉しいです。


 カーテンの間から陽の光が差し込んでくる事で、徐々に意識を覚醒させていく。ゆっくりと起き上がり、少し怠いと感じる体を軽く動かして慣らす。

 そしてこの光を差し込み具合で俺は確信した。


「あ〜あ、また遅刻だ」


 アラームをセットしろよと思うかもしれないが、俺はあのアラームのうるさい音が嫌いなのでアラームはセットしない。起こす為にうるさい音なのは分かるが、耳に響いてくる音が取り敢えず嫌いなのだ。

 おそらく今から準備して走って学校に向かいでもすれば間に合うのだろうが、夜遅くまでライトノベルやアニメを見ていた俺にそんな体力は残されていない。

 

「取り敢えず準備するか」


 制服に着替えて一階に降りる。俺の両親は仕事の長期出張によって居ない。 

 長期出張なのは父さんの方なのだが、母さんは生活力が無い父さんの為に長期出張について行っている。兄弟もいない俺は一軒家に一人ぼっちと言うことだ。

 

 俺は洗面台に向かい、顔を洗って歯を磨く。遅刻はするのだが、ダラダラして遅くなるのはまずいので、少し急いで歯を磨く。

 歯を磨き終われば、俺、安田(やすだ)拓海(たくみ)は遅刻が確定している時間に鞄を持って学校に向かう。

 今は5月なので、まだ完全には夏になっていないが、今日は雲一つない快晴な為、暑いと感じる人もいるだろう。俺は暑がりでも寒がりでもないので、今はまだ耐えられる気温だ。


 歩いて20分程、ようやく俺が通う高校にたどり着いた。おそらく今はHRの時間で、当然下駄箱や廊下には誰一人いない。

 正直HRの時間に教室に入るのは、すでに教室内にいる人達の視線が刺さる為、チャイムが鳴るまで待つ事にする。


 すぐにチャイムは鳴った。おそらく生徒達は散り散りに友達のところにでも行って喋ったりしている事だろう。

 俺は意を決して教室に入った。何故そんな身構える必要があるかって? それはこの人がいるからだ。


「さあ安田、言い訳を聞こうか」


 今こうして俺の前に立ち塞がる人は、担任の女教師の山崎(やまさき)友香(ともか)。普通は山崎先生と呼ぶが、仲のいい生徒は友ちゃんやら色々な呼び方をしている。俺も友ちゃんが気に入っているので、たまに友ちゃんと呼んだりする。

 ショートカットの黒髪に、女性にしては高身長で抜群のスタイルの美人女教師。スーツを着ている姿はとても凛々しく見える。割とがさつな山崎先生は、男勝りな性格だが、面倒見はいいので生徒からは信頼されている。ノリも良かったりするので先生として申し分ない。

 しかし今は遅刻してきた俺を睨みつけている。面倒見がいい分、遅刻などにも結構厳しい。

 俺は適当な言い訳を頭の中で考えるが、いい言い訳が見つからず、


「……ほら、あれですよ……寝坊です、はい」


 結局言い訳できずに寝坊した事を白状した。


「はぁ……全く」


 そう言って山崎先生は学級日誌で俺の頭を叩いてきた。普段から結構遅刻したりするので、叩かれても仕方ないとは俺も思っている。


「痛っ!」


「君は本当に遅刻が多いな。そんな事だと社会に出ても遅刻だらけになるぞ」


 それは後々何とかしようとは思っているが、対策をするとなるとライトノベルとアニメがこの世から消える必要がある。


「それは……何とかしようとは思ってます」


「次遅刻したら両親呼び出して説教だ」


「えっ……」


 それは流石に困る。一人でも多分大丈夫だろうという事で、母さんも父さんについて行っているのに、ここで呼び出されてしまえば雷が落ちる事は避けられない。


「ははっ、冗談だ。君の反応が面白くてな」


「まじで勘弁してください」


 本当に心臓に悪いからやめてほしい。まあ俺の心臓はガラスよりは頑丈だから問題ないけどな!

 

「まあそう言う事だ、あんまり遅刻しないようにしろよ? 進級できなくなるぞ?」


 流石にそれは困るので、


「……頑張ります」


 そう言うと山崎先生は職員室に戻って行った。

 席につくと、ある男子が声をかけてくる。


「拓海、また遅刻かよ」


 今話しかけてきた男子は、俺の前の席にいる村本(むらもと)康介(こうすけ)。端正な顔立ちで雰囲気もよく、クラスでも友達の多い奴だ。サッカー部に所属していて、下級生からも人気がある。

 一年生の時からクラスが一緒で、席替えをしてもいつも席が近かったので、よく話しているうち自然に友達になり、2年生になってからもよく話している。

 対して俺は野暮ったい黒の髪の毛をした平凡な男子高校生で、友達としては釣り合っていない気もするが、いちいち友達関係に口を挟まれる筋合いは無い。康介もこうして話しかけてきてくれるので、俺の高校での唯一の友達になっている。


「……朝弱いんだよ」


「お前そればっかじゃん」


 そうは言っても仕方がない。なんせ小さい頃に見たアニメにハマってから、ラノベを買ったり色んなアニメを見漁る事が趣味になってしまったのだから。

 朝が弱い上に夜ふかししてアニメを見たりする事が多い為、授業中でも寝てしまう事が多くなってしまった。


「そんな事だと成績落ちるぞ」


 痛いところをつけたと言わんばかりに、康介はニヤリとして忠告する訳だが、こんな時には康介にこう言い返す。


「康介より成績いいから」


「それ言うなよ! お前それほんとにせこい。授業中寝てる事多い癖に」


「予習はしてるからな」


 確かに俺は授業中に寝る事が多い。だがその分家では復習や予習をしている為、それほど問題ではない。成績も上と中の間ぐらい。康介は中ぐらいの成績なので、俺は康介より成績がいい事になる。

 正直もう少し頑張れば10位以内は取れそうな気もするが、面倒くさいので要領良く過ごせればそれで良い。


「まあいいや、次移動教室だから行こうぜ」


「ああ」


 移動教室か……取り敢えず眠たいので次の授業はおそらく寝てしまうだろう。




 ―――――――――――――――




 4時間の授業が終わり、昼休みになった。4時間目の授業は寝てしまっていたので、起きた頃には康介はいなくなっていた。学食でも食べに行ったのだろう。

 

 俺が通う高校はH型の校舎の形になっており、校舎と校舎の間は中庭となっていてベンチも設置されている為、そこで昼食を取る奴もいる。公園にある休憩所のようなスペースもあり、教室でイチャイチャするのが恥ずかしいカップル達が日陰で暑さを凌ぐ為に、そこで昼食をイチャイチャと食べている事が多い。

 色恋沙汰が無かった俺はそんなところで昼食を取るのはストレスに繋がるので、俺は中庭では食べない。

 だから俺は一人になれる場所に行く。それは屋上だ。この高校は屋上の鍵は開けられていて、自由に使っていいことになっている。屋上にはベンチも設置されていて、ここで昼食を食べる奴もいる。

 屋上となると陽の光が近いからか結構暑く、春や秋ならまだいいが、夏に近くなってくると生徒は屋上にやって来ない。

 友達がほとんどいない俺にとっては屋上は最高の場所。一人でゆっくりご飯が食べられる。

 なので俺は屋上に向かうまでに購買でパンを3つ買って、一人寂しく屋上に向かう。


 屋上の扉を開けると、


「……誰もいないな」


 もしカップルがいたとしたらそんな甘々の雰囲気の中、気まずく飯を食べる事になるのでそれは避けたい。ところが今は誰もいないので静かに飯を食べることができる。


「……うん、購買の焼きそばパン最高」


 なんて独り言を言っていると、屋上の扉が開いた。


「……あれは」


 扉を開けて入ってきたのは、隣の席の雪野(ゆきの)彩音(あやね)。セミロングの黒髪はとても艷やかで、身長は俺より10センチほど低い。胸はそこまで大きくは無いが、モデル顔負けのスタイルをしている美少女。普段はとてもクールに振舞っていて、あまり話しているところを見たことがない。

 そんな美少女が、少し風の吹いた屋上に一人でやってきた。そんな姿を見て思わず見惚れてしまったが、俺は切り替えてパンを食べる。

 そもそもこんな美少女がいたところで俺には関係ない。どうせ関わる事も無いだろうから。期待しては駄目、どうせ期待は無駄に終わる。ソースは俺。

 

 中学の時、席が近かった事からそれなりに喋ったりしていた男子がいた。そしてバレンタインデーの日、女の子に呼び出されて勘違いした俺は指定された場所に向かった。するとその女子は、俺が喋っていた男子にチョコを代わりに渡してほしいと言われた。

 そこでは分かったと言ってチョコを受け取ったが内心では、「お前が自分で渡せよ!期待を返せ!」と叫んでいた。


 こんな事があるから女子にあまり期待してはならない。

 それでも同じベンチに座っている雪野さんを見ていると、やはり可愛いと思ってしまう。

 そんな煩悩をさっさと消したい俺は、パンを口の中に詰め込んで屋上を出た。


 結局残りの2時間も殆ど寝て過ごした俺は、HRが終わるのをぼーっと待っていた。

 チャイムが鳴れば生徒達はぞろぞろと帰っていく。俺もそれに付いて行くように教室を出ようとすると、


「おい安田、明日は遅刻するなよ?次遅刻したら何か手伝ってもらうぞ」


 具体的に何を手伝うかを言っていないので、少し恐ろしい。ここはふざけて返事をしておけばなんとかなる。


「わかってますよ、友ちゃん」


「友ちゃんと呼ぶな……ったく。また明日な」


「はい」


 遅刻する生徒には普通こうして気にかける事も面倒くさいはずなのだが、山崎先生は誰にでも優しいので、ふざけた感じで返事をしているが、俺みたいなやつも気にかけてくれる優しい先生の言われた事は、守ろうと努力しようと思う。


 学校が終われば真っ直ぐに家に帰るだけ。友達が康介しかいないうえにサッカー部で練習があるが為に、友達と何処かに寄り道する事も無い。

 家に帰ると、父さんの血を受け継いだ俺による散らかりパラダイスが広がる。


「……片付けようとは思うんだけどな」


 いかんせん俺は生活力が無い。料理だけはまあそれなりにできるのだが、掃除に関してはとてもじゃ無いが上手くいかない。何をどう片付けたらいいか分からなくなるのだ。使ったら使いっぱなし、脱いだら脱ぎっぱなしの繰り返しで、服や物が散乱している。それでもなんとか生活できているのだから逆に凄いと思う。


「まあなんとかなるだろ……」


 取り敢えず疲れたのでソファーに座って少し休憩する。気が済むまで休憩したら部屋に戻って予習をする。それが終われば風呂に入って適当に夕食を作ってアニメやライトノベルを読んで寝る。これが俺の日常である。


 明日は遅刻せずに学校に行けるのだろうか。予知能力があるわけでは無いので分からないが、起きる努力はするとしよう。

 

 

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