パワースポットの真価
「まったく、よりによってアリシアと同じパーティーか」
「あら、才能の差を見せつけられるのがそんなに嫌なのかしら? 人間レベルならまぁまぁなんだから、それで満足しなさいよ」
「ふっ、またそれか。人間のシオンに負けている癖に……」
「なんですって!?」
あーあ、さっそく喧嘩しているよ。
エルヴィンからアムルスターのクローンとやらが率いているという獣化騎士たちがアジトにしている古城までの地図を受け取って、二分後にこの有様。
エルヴィン、人選間違ってない? 神眼は何でも見通すんでしょ。
この二人が喧嘩になるって予想出来なかったのかな……? 私でも出来たのに。
「ティナ、どうしてこの二人を同じパーティーにしたんだろうね?」
「もちろん、それはお姉様がいるからですわ!」
「えっ? えーーっと、わ、私? なんで?」
私は傍らで共に二人の喧嘩を見物しているティナの答えに驚いた。
いやいや私にあの二人の喧嘩の仲裁は無理だよ。一緒にパーティー組んで戦ったことはあるけど、だからこそ二人の我の強さは承知している。
特にアリシアは協調性という言葉とは無縁だと言っていい。
「それはもちろん、お姉様が――」
「で、あなたはいつまでボケーッと突っ立っているのよ?」
「お前がパーティーにいる理由なんて、僕らの魔力を強化して、無限に回復させるのが目的に決まっているだろ? バカでもわかる理屈だが」
「へっ?」
ああ、そういえば。ティナは聖女、アリシアは魔剣士、レイスは大賢者――つまり、全員が魔力を扱って戦うタイプだった。
じゃあ私の役割はほとんどあのときと同じか。沼地の帝王との戦いのとき、ティナやレイスをサポートしていたときに近い感じになりそうだ。
「魔力増幅術……!」
役割が分かったら話は早い。私はティナたちの魔力を増幅させる魔法を使う。
そういえば、エルヴィンが言っていたな。精霊魔術士の強さはパーティーでの戦闘で真価を発揮すると。
自分だけじゃなくって、味方の力をも無限大に増幅させることこそ精霊魔術の強みだって。
「痛たたた、やっぱりちょっと手を動かすだけでまだかなり痛いや。こりゃ、ぶん殴るのは無理だなー」
みんなの手に触れてマナプラウスを使うことくらいなら何とか出来たけど、まだやっぱり拳が痛い。
エルヴィンは明日の朝には治癒魔法を受け付ける状態になるって言っていたけど本当かな。
「さすがはお姉様ですわ。この力さえあればわたくしは誰にも負けませんの。お姉様の出るまでもなく決着をつけて差し上げます」
「あんたはそれだけ使っていれば良いのよ。立ちはだかる敵はあたしが全部蹂躙してあげるんだから」
「君が前線に出られないからって、何の問題もないのだが? 下がって僕らに魔力を渡す専念をすればいい」
頼もしすぎる……!
ただでさえ、Sランクの査定を受けて魔法においては頂点だと言われている三人。
自信に満ち溢れたその表情は私に出る幕はないと思わせるのに十分だった。
「うん。じゃあ、みんな頑張って。私はいつでも魔力を渡せるように準備しているから」
「頼りにしていますわ」
「レイスもこのくらい素直ならいいんだけど」
「ふん。僕は下手な挑発には乗らないよ。パーティーメンバーを丸焦げにする趣味はない」
こうして私たちは揃って古城へと向かった。
レイスとアリシア、ティナはそれぞれ瞬間移動を連発して一瞬で付いちゃったんだよなー。涼しい顔をして、敵のアジトを見据える三人は対峙する相手が気の毒に思えるほどの威圧感を放っていた。
えっ? 私はどうやって付いていったのかって? 私は足を精霊強化術で強化してめちゃめちゃ頑張って走った。
格好悪いけど、これしか付いていく方法はなかったし。
「テレポートに余裕で付いてこられる、お姉様の駆け足。格好いいですわ〜」
「いやいや、それはないって」
「君たちはいつも遠足気分だな。少しは真剣さを出せないのか?」
呑気そうな会話をしているとレイスは冷ややかな視線を送ってくる。
別にふざけているつもりはないんだけどな。でも緊張感がないと言われれば否定は出来ないかも。
「別に遠足気分で良いじゃない。あたしが居れば――」
「「貴様ら! まさか、エルトナのSランカー! 我ら獣化騎士が……」」
「雷神剣!」
「「ぎゃああああああッ!」」
「誰もが前座になるんだから」
真正面から古城へと侵入していたから、当たり前のように見張りに見つかった私たち。
気付いたら、見張りの虎顔の男たちは丸焦げになっていたけどね。
剣と魔力の融合技――魔剣。
アリシアは実に八十八種類の魔剣が使えるとのことだ。その破壊力と応用力はシオンをも凌ぎ、エルトナ王国随一だと言われている。
「さぁ、さっさと先に進むわよ」
「レイス、よくあんな人に喧嘩が売れるね」
「ふん。君には分からないだろう。その理由はプライドさ」
「プライド?」
「ああ、そうだ。最上級獄炎魔術ッ!」
「「ぎゃああああああ!」」
会話の途中で獄炎を放つレイス。
びっくりした。なんせ、丸焦げにされていた虎男たち、また立ち上がるんだもん。
レイスの無慈悲な炎によって二度も焼かれたのは気の毒に見える。
「僕の前座をご苦労、アリシア」
「あら、虫の息の相手にトドメを刺して随分とご満悦じゃない。レイス」
うわぁ……。最初の懸念がそのまんま形になっているよー。
このパーティー、確かに最強かもしれないけど、すんごくギスギスしている。
何事も起きなきゃいいんだけど、やっぱり心配だよ〜。
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