限界を超えてゆけ
「ワシの飲み込んだ丸薬には魔法士100人分の魔力が圧縮されおる。そして、その魔力を利用して……ワシもお前と同様に体内の魔力を身体能力の強化に使っとるのだ!」
「へぇ~~。そんな便利な薬があるんだ」
「いえ、便利なはずがありますか! そんなもの使ったら身体の中が魔力に耐えられるはずありませんわ!」
どうやらバルバトスはヤバい薬を飲んで魔力が爆上がりしたらしい。
そんなお手軽に精霊魔術っぽいのが使えるもんなんだと思っていたら、ティナはそれを否定する。
そんなの身体が保つはずがないと――。
「如何にも! 通常なら過剰な魔力の摂取で身体が崩壊するからな。だが、エルロン家の――ぐはっ……! ゲホッ、ゲホッ、ふははははははっ! 吐血くらいは大丈夫! エルロン家の血を引く者は代々高い魔力適性を持っており、高魔力の負荷に耐えうる強靭な身体を持っているのだ!」
口から血をダラダラ流しながらバルバトスは大丈夫だと断言してるけど全然大丈夫に見えない。
でも、100人分の魔力って凄い。そんな大量の魔力で強化してるから私の真・精霊強化術の攻撃も耐えたのか……。
「100人分が何なんですか! リアナお姉様の魔力は無限! 自然界の精霊から無限に魔力を吸収してるのです! 力負けする道理がありません!」
そーいえば、エルヴィンも私の魔力が無限だとか言ってたな。
あれ、実感としてよく分かんないんだよね。魔力が無くならないから無限ってことなんだろうけど……。
「まさにリアナの弱点はそこだ! 確かに精霊から際限無く魔力を受け取れるという点では、お前の魔力は実質無限だと言えるだろう」
「…………」
「だが、体内に閉じ込められる量には限界がある! そして、その総量はまだ身体が出来上がっとらんお前はワシよりも少ないのだ! つまりィィィィ! ワシの方が強い――!!」
「「――っ!?」」
私の弱点を長々と喋っていたバルバトスは一瞬で私の前に移動すると、自らの拳を振り上げてパンチを放つ。
私もティナも、ジャンプしてかろうじてそれを躱すが地面は地割れを起こして底が見えないほどの大穴が空いた。
「ゲホッ、ゲホッ……! ちょーっと手元が狂ったわい! くっくっく! 次は当てるぞ! 最上級獄炎魔術ッ!」
「ティナ危ないっ!」
「お、お姉様……!?」
思った以上に広範囲に渡って最大級の火炎系魔法をバルバトスが放つものだから、私はティナの前に出て彼女の盾となる。
マナバーストなら、どんなにも魔法や特殊能力に対して圧倒的な防御力を誇るから……平気なはずなんだけど……。
端的に言って、めちゃめちゃ熱かった。沼地の帝王以上の火力かもしれない。
ここまで防御が貫かれるとは思わなかったけど――それ以上にムカついたのは……。
「バルバトス、お前……ティナを殺そうとしたな」
「はぁ? アホか? 甘いお前が盾になろうとするぐらい読んでおったわい! お前らを殺すと20億がパァになるんだからな」
「20億……?」
「そうだ。お前らはワシの金の卵になるはずだった。まぁ、そんなことはどうでも良い。リアナ、お前のもう一つの弱点は近距離戦しか出来んことだ。熟練の魔法士たるワシと違ってな……」
勝ち誇るバルバトスは私が盾になると読んであんな大火力をティナにも向けたと答えた。
そして、自分と違って私が近距離戦しか出来ない弱点を口にする。
確かに超圧縮魔力砲という切り札はあるけれど、アレは加減を間違えればバルバトスは死ぬし、倒しきれなきゃ私が負けるのでギャンブルすぎるから使えない。
だから、私が近距離戦しか出来ないっていうのは間違いがない事だ。
でも、だからといって私は――
「バルバトス、確かに私は近くでしか戦えない。でも、だからといって負ける気はない。ティナもこれ以上は傷付けさせない!!」
「何をイキっとるか。身体能力も技もワシが上、それでワシに敵うわけ――。――っ!?」
「お前を泣くまでぶん殴り続ける!」
「へぶおっ――――ッッッッ!!!」
バルバトスは私のマナバーストを勘違いしてる。
マナバーストは完全に魔力が体外に出るのを止めた状態。だから、時間が経てば経つほど体内に魔力が吸収され続けて強くなるのだ。
もう既にいつもよりも身体の中が熱くて、火傷しそうだけど――
「これ以上、私の妹を攻撃することは許さないぞぉぉぉぉ!! バルバトス!!」
「親には敬語を使え! リアナァァァァァ!!」
「うらららららららららッ!!」
「ぐらららららららららッッ! ぐはっ……! ゲホッ、ゲホッ……!」
私はノーガードでとにかくバルバトスとの距離を詰めて戦いに臨む。殴り、蹴り、更に殴りまくる。
バルバトスも応戦してくるが、徐々に私の拳のほうがヒットするようになり大量の血を吐血した。
「くそっ! 動きを止めてやる! 最上級氷竜魔術ッッ!!」
「な、何て冷気……!! あ、足が凍って……!?」
至近距離で足元に最大級の氷系魔術を受けた私はダメージはそれほど無いものの足が凍って動けなくなる。
こ、このままだと――
「切り札は最後まで取っておくものなのだァァァァ! 喰らえ! ワシの最大の切り札! 魔刃闇鴉ッッッ!!」
すべてを塗りつぶすような巨大な漆黒の刃。
アレを受けたら確かにヤバいかも……。
「これがワシ流の躾だァァァァァ!!」
切り札は最後まで取っておくもの、か……。だったら私も――
「――精霊憑依・炎の右腕……」
「はぁ……? ぐぎゃああああああ――! 熱っぢぃぃぃぃぃぃっ!!」
精霊の力をそのまま借り受ける精霊魔術士の高等術の一つ――精霊憑依。
紅蓮の炎で燃え盛る右腕を振るうと足元の氷は蒸発して、漆黒の刃は燃えて崩れ落ち、バルバトスの鬱陶しい長髪は発火してメラメラと燃える。
エルヴィンにはまだ魔力の大きさに耐えられないだろうから使うなと言われてたけど……。
――限界を超えないといけないって思ったから。
私は最後の最後でまた命をベットして無茶をする――。
◆最新話まで読んで頂いてありがとうございます◆
次回でバルバトス戦は決着。
第二章はもうちょっとだけ。
もしも、少しでも楽しめたという方は
↓にある広告下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援いただけると嬉しいです!
※最後に皆様にお願いがあります!
先日に投稿した短編の評判が良かったので新しく連載を開始しました。
『【連載版】平凡すぎると追放されたオールAランクの秀才聖女〜勇者様、もう戻れと仰るのですか?まだ諦めるには早いです。数回全滅したくらいで頼らないで下さい』
https://ncode.syosetu.com/n4591gs/
追放聖女モノで早いざまぁ展開が特徴的な作品で短編版を発展させて更に面白く出来るように頑張っていますので、お時間がありましたら是非ともご覧になってください。
↓の広告下のリンクからも飛べます!




