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ツユクサ

作者: ナイン
掲載日:2020/10/13

花言葉短編其ノ弐「ツユクサ」


駅のホームで、懐かしい人を見かけた。


少し猫背で、癖の強い髪。視力が悪いとは聞いていたけど、コンタクトにしたんだね。


線路を跨いだ先に、私の憧れたあなたがいる。


あなたは気付かない。私とは反対のホームにあなたはいる。


遠くからでも、あなたの事を見つけられる。


集合写真でも、真っ先にあなたの事を見つける。どれだけ人が多くても、あなただけは必ず最初に見つけられるよ。


あなたは私を見つけてくれる?


遠くから眺めていただけだから、私のことは知らないかもしれない。同じ高校に通っていたことすら知らないかも。


あなたの頑張る姿。とても格好良かったのを今でも思い出す。


私は、あなたに話しかけることはせず、改札へ向かう。


この片思いは、胸の奥にしまっておこう。まだ忘れられないかもしれないけれど、いつか新しい出会いがあるかもしれない。


駅を出た先には、白い花が咲いていた。


白い花は、既にしぼんできている。もうすぐ枯れてしまうのだろうか。


まるで、私みたい。別に失恋した訳ではないし、ただの一方通行。あなたには一切気付かれずに、ただただ思っていただけ。


それでも、名前の知らない白い花は、私を表しているかのようにしぼんでいる。


伝えたい。でも、伝えられない。この思いは胸にしまおう。


伝えられなくても、密かにあなたの事を思うのだけは、許してね。


あなたの幸せを、願っています。



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