ツユクサ
花言葉短編其ノ弐「ツユクサ」
駅のホームで、懐かしい人を見かけた。
少し猫背で、癖の強い髪。視力が悪いとは聞いていたけど、コンタクトにしたんだね。
線路を跨いだ先に、私の憧れたあなたがいる。
あなたは気付かない。私とは反対のホームにあなたはいる。
遠くからでも、あなたの事を見つけられる。
集合写真でも、真っ先にあなたの事を見つける。どれだけ人が多くても、あなただけは必ず最初に見つけられるよ。
あなたは私を見つけてくれる?
遠くから眺めていただけだから、私のことは知らないかもしれない。同じ高校に通っていたことすら知らないかも。
あなたの頑張る姿。とても格好良かったのを今でも思い出す。
私は、あなたに話しかけることはせず、改札へ向かう。
この片思いは、胸の奥にしまっておこう。まだ忘れられないかもしれないけれど、いつか新しい出会いがあるかもしれない。
駅を出た先には、白い花が咲いていた。
白い花は、既にしぼんできている。もうすぐ枯れてしまうのだろうか。
まるで、私みたい。別に失恋した訳ではないし、ただの一方通行。あなたには一切気付かれずに、ただただ思っていただけ。
それでも、名前の知らない白い花は、私を表しているかのようにしぼんでいる。
伝えたい。でも、伝えられない。この思いは胸にしまおう。
伝えられなくても、密かにあなたの事を思うのだけは、許してね。
あなたの幸せを、願っています。




