ありさま
小鳥を飼うのと
うみにいくのと
メロンソーダをのむのと
蜂がとんでいるのと
畳にすわるのと
お仏壇を拝むのと
蛍をみるのと
扇風機をつけるのと……
風が たぶん夏の熱が
家屋のすきまから忍び込んで
生活の有様をかえていく
たくさんの暮らしを
いっしょくたにして熱する
夏がはじまるのと
夏がおわるのと
それすらいっしょくたにして
宇宙のひろがりと
昨日の恋も帳消し
小鳥を飼うのがささいなゆめで
ねこを飼いたいともたまにおもう
うみにいくのは
メロンソーダをのむのは
蜂がとぶのは
畳にすわるのは
お仏壇を拝むのは
蛍をみるのは
扇風機をつけるのは……
ささいなゆめで
ねこを飼いたいともたまにおもう
わたしは夏の息吹につつまれ
あおいうみを抱きながらねむるわ
だれのためにもならない
わたしのねむりの底で
すべて帳消しになる