表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/95

立ちはだかる悪意!吠えろ怒りの龍鉄拳!! 3-A


 この下郎共はただ因縁つけて小銭稼ぎでもするつもりなのか、鬱陶しい絡み方をしてきた。


 モリーがいくら正当性を主張したところで聞く耳をもつ素振りもない。

 ましてや不当に見下しているドワーフ種の言うことなんか一顧だにしないだろう。


 こういう奴らが「チンピラ」という部類の人間なのだろう。

 えーと、このテの手合にはどうしろって師匠は言ってたのだったかしら……?



「ちょっと人の荷物に勝手に触らないで。これ以上の狼藉は商会ギルドに報告するわよ!」


「はっ……好きにしな。ギルドごとき、帝国様に文句をつけてくる気概があるものか」


 モリーも負けじと頑張っているが、本人も言うだけ無駄なのは百も承知なのだろう。

 馬車に乗り込み酒樽をナイフの先でこじ開け始めた兵を諫めようと御者台から身を乗り出したモリーに、先ほどから暴言を吐いていた男が抜身の剣を突き付ける。


「大人しくしないなら憲兵に対する不敬罪で今ここで処罰してもいいんだぞ?」


「何が不敬罪よ! こんなの野盗と変わらないじゃない!!」


「モグラ風情が我らを賊呼ばわりか? 不敬罪成立だ。ここで死ぬ覚悟が出来てるんだろうな?」




 ……この下郎はまたも彼女をモグラと呼んだ。


 もうアウトよ。

 私のイライラはとっくの昔に限界突破。


 よし。

 ぶっとばす!!


 一挙足でモリーの頭上を飛び越え、そのまま勢いを乗せた両足蹴り(ドロップキック)をその下卑た顔面へと思いっきり叩き込んでやった。


 ぐしゃりと私の足裏の感触と共に。


「うげ」だか「ぐげ」だかの短い悲鳴をあげて吹き飛ぶ兵士。

 数メートル後ろに飛ばされ、地面と接しても勢いのままごろごろごろごろと転がっていき、糸の切れた操り人形じみた変なポーズで地面にキスしたままぴくりともしなくなる。


 その場にいた残りの帝国兵全員が、お仲間がまるでボールのように吹き飛んでいく様にあんぐりと口を開け、ぴくりともせずに固まっていた。

 モリーさえも「え!?」と転がっていった兵士を呆然と見て、呆けた表情のまま固まっている。



「きっ……貴様っ! 何してやがるっ!!」


 我に返った別の兵士が慌てて剣の柄に手をかけたところで、その男の喉を狙って伸ばした右腕の肘窩(ちゅうか)を叩きつけ、思い切り腕ごと振り抜いてやる(ラリアット)

「キュゥ」とネズミみたいな悲鳴をあげて、後方宙返りするかのように縦一回転半した兵士さんはそのまま頭から地面へと着地。

 間を置いてどさりと倒れ込むと、最初の下郎同様にぴくりともしなくなった。


「なぁ……っっ!!」


「何をしてるか判らない? ……ムカついたから黙らせただけよ」


 ゆらり……と。

 腕を振りかぶった体勢から身を起こし、残る帝国兵へと向き直る。


 ぽきぽきと指を鳴らし、一旦脱力。

 ゆっくりと相手3人に左掌を向け、右の拳を顔の高さで振りかぶって構える。

 これが師匠に教わった唯一にして無二の構え。

 その銘を「龍鉄」


 私の前に立つのであれば只じゃ済まさない。

 モリーに、いやさドワーフに対するその不遜な態度は、もはや看過できるレベルにない。

 この拳を以って教えてあげる。




 ああ……思い出した。


 師曰く、「一の言葉で不通ならば一の拳で黙らせろ」だったわね。

 一で伝わらないなら十重二十重と言葉を重ねたところで時間の無駄だから、まず殴って大人しくさせてから話をせよとの有難いお言葉でしたね。


 うーん蛮族理論。



 まぁでも野蛮には野蛮で返すくらいで丁度いいでしょ?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ