悪魔のささやき
3話の中の1話目です。とりあえずはこれを読んで世界観を掴んでいただいたらなと思っています。1話目が面白くないな、つまらないな、と思ってもぜひ2話以降も見ていただきたいです。
「全然わかんないーー!!」
甲高い声が夜の静寂の中、部屋で響き渡る。
「うるさいって!何時だと思ってんだ!」
「だってわかんないしー、そもそもこんな面積なんて求めてなんの役に立つんだよ!!ほんとに意味わかんない...だいたいこんな宿題出す先生が悪いんだ!あの先生前だって...」
ぐちぐちと文句をつけているのは小学4年生の僕の弟だ。彼は算数が大の苦手だ。だから毎晩算数の宿題に大苦戦している。
「ほら、最後の1問だろ、早く終わらせろ。」
「兄ちゃん知らないのか?!最後が一番ムズいんだよ!」
「良かったじゃないか、お前の大好きなゲームと同じだw」
「こんなとこ同じにしなくていいよ!!」
「しょうがないなぁ...いいか?ここはこうしてだな?それで...」
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「はっ...!」
目の前には、さっきまで思い浮かべていた弟がいた。
「...はぁ、、いってきます!」
...写真の中に___
僕の名前は如月良太。高校2年生だ。父親は僕が小学生の頃に離婚していなく、母親も交通事故で死んで、今は祖父母に助けてもらいながらの一人暮らしだ。でも、寂しくはなかった、なぜなら弟が“いた”からだ。
そう、いたんだ...
「いたんだ...」
「おーい!一緒にかえろーぜー!!」
そうか、もう下校の時間か。考え事をしながら過ごしてると、あっという間に過ぎていくものだな...
「あー、悪い!一人で帰りたい気分なんだ。」
「最近そうやって一人で帰ること多いなー、まっ、それならまた明日な!」
「うん!また明日!」
僕の弟は、1ヶ月前に自殺した。原因は分かっていない。しかし、心当たりはある。それは、“いじめ”だ。弟は最近怪我が多かった。毎回聞いてみても転んだだけだと言い返してくるが、明らかに多すぎる。それに僕が授業参観で弟の学校に行った時もなんだか弟は無理に明るくしてる感じがした。これは僕が感じただけだからなんとも言えないが、僕といるときと比べると、やっぱりなにか違う気がした。一体何が原因で...
「おい、お前の家通りすぎてるぞ」
「え?あ、ほんとだ...」
「気を付けろよな」
「ありがとう...?」
「ん?」
「...???」
「どうした?」
「お前...誰?」
「悪魔だけど」
「...」
「無言はやめてほしいな...」
「わぁ、あくまだぁ」
「いや、無理しなくていいから」
僕は危険を感じて、スマホを取り出した。
「まぁいいや、通報しますね」
「は?」
ピポパポ、プルルルル、プルルルル
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____
「おい、お前の家通りすぎてるぞ」
「え?あ、ほんとだ...」
「気を付けろよな」
「ありがとう...?」
「また通報されそうだから説明するぞ、俺は悪魔だ。お前、何か悩みみたいなの持ってるだろ?」
僕は危険を感じて、スマホを(ry
「怪しい商売人ですか?通報しますね」
ピポパポ、プルルルル、プルルルル
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「おい、お前の家通りすぎてるぞ。俺は悪魔だ。お前の恨みを晴らすためにやってきたんだ。」
僕は危険を(ry
「通報しますね」
「お前いい加減にしろ!何回もやり直させんじゃねえ!!」
「...??」
「まぁいい...お前、弟に何かあったんじゃないのか?」
「あったけど...それが...?」
「俺がそのお前の恨みを晴らしてやるってんだ。」
「いや、僕はひとまず犯人を知りたいだけなんだ。」
「俺、知ってるぜ?」
何を知っているのかは検討がついていたが、僕はとっさに聞いた。
「なにをだ...?」
「弟が自殺した原因だよ」
「誰だ?誰なんだ?!」
僕は驚きを隠せなかったが、それよりも早く知りたかった。原因を...
「なんでだよ。」
「は?!」
「教えたらなんかくれるのか?」
「お前が求めてるのはどうせ僕の命を渡すとかだろ?」
「んー...」
「なんだ?」
「俺はその自殺の原因の犯人の命が欲しいな。」
「いくらなんでもそれは...」
「いや、犯人の命だぞ?別にいいだろ。」
「犯人が死んでも弟は嬉しく思うとは思わないんだ。」
「ふーん...俺は喜ぶと思うけどねぇ...それならいいや、お前には教えねーよ。」
「別にいいよ、僕は自分で見つけてみせる。」
「あっそ、つまんねーなぁ...」
___翌日
「行ってきます!」
なんだか昨日の出来事で自分で見つけてみせるっていう決意が固くなった気がした。そのお陰か弟との昔の風景が強く脳裏に浮かぶことが今日はなかった。いつまでも過去を羡ましがってちゃ仕方ない!弟のためにも、必ず...!!
「今日は授業に集中できそうだな...!」
「お前、今日土曜日だぞ。」
「え?まじで?...おい。」
「どーもw」
「なんでいるんだよ。」
そこには昨出会った悪魔がいた。
「お前が昨日のことを改め直してくれないかなーって。」
「考えは変わんねーよ。」
「俺、弟に会ったんだよ。」
「そんなわけないだろ。」
「俺、天国に行けるんだ。」
「で、仮に本当ならなにをしたんだ?」
「自殺の原因となった犯人が死んだら嬉しいか?って聞いたんだ。そしたら...」
なぜだか急に緊張してきた。たしかに悪魔なら天国に行けるかもしれない。
「そしたら...?」
「嬉しいってさ」
「嘘だな」
僕はがっかりした。やっぱり嘘だ。弟はそんなことを言うわけがない。弟はあんなに優しいんだ。言うとしたら、犯人には反省をしてほしいだとかそのくらいだ。
「...なんでわかるんだよ。」
「兄だからだ。」
「なんだそれ。」
「それより、どっか行ってくれ、僕は今日やることがある。」
「おっ、犯人探しか?」
「犯人候補に会いに行くんだ。」
「意外とそこまで行ってたのか。ちなみに誰なんだ?」
「弟をいじめていたやつだ。」
「あー...そっちかぁ。」
「なにがだ?」
「犯人、そいつじゃないよ。」
一瞬信じかけたが、こいつは悪魔だ。ほんとかどうかもわからない。そうだよ、さっきだってあいつは嘘をついたじゃないか。
「お前の言うことは信用できない。とりあえず会いに行く。」
「ふーん。」
___いじめっ子の家
ピンポーン
「すみませーん、けいすけくんいますかー?」
「はい、ちょっと待ってて!けいすけーー!誰か来たわよー!」
ダッダッダッダッ...ガチャッ
「誰ですかー?」
「僕、如月大地くんのお兄ちゃんなんけどね、聞きたいことがあるから聞いてもいいかな?」
「それは...」
「ちょっとでいいからさ。」
「...わかった。」
少し乗り気そうでは無かったが、話してくれることになった。
「君ってさ、大地くんとよく遊んでたの?」
「んー、まぁ...」
「ほんとに?」
「...うぅ...ごめんなさい...」
彼は突然泣き出した。やっぱりいじめていたのだろうか。いざ犯人を目の前にすると怒りが沸いてきたが、ひとまず素直に話してくれるのを待つことにした。
「僕が...大人に言ってれば...」
「え?」
なにをいっているのかわからなく、思わず声が出てしまった。
「...いじめてたんです...先生が...」
「先生...が...?」
どういうことだ、いじめていたのはこの子じゃないのか?とりあえず今は彼の話を聞こう...僕は心を落ち着かせた。
「...はい、大地くんにだけ明らかに暴力をしてたり、差別したりしてたんです...でも...怖くて誰にも言えなくて...」
「そう...なんだ...それは辛かったよね...こんな話させちゃってごめんね...」
「うぅ...」
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「どういうことだよ一体...!!」
「だからいっただろ?違うって。」
「でも、いや...先生って...」
先生となれば話は別だ。子供のいじめなら百歩譲ってまだしょうがないとして、大の大人がいじめをしていいわけがない。
「ちなみに犯人は先生なのか?」
「もう教えねーよ。」
「はぁ...さすがに教えてはくれないか...」
「さっきのは最初だったから教えただけだ。全部教えたらさすがに面白くない。」
「こんなのを面白がんなよ...」
「俺、悪魔だからな?」
「そういやそうだっな。」
「にしても人間って怖いなー、大人が子供をいじめるだなんて、あー怖い。」
「はぁ...もっと弟と話してればよかったな...」
「なんだ、後悔してるのか?」
「高校生になってから勉強にずっと集中してたんだよ。でもこんなことになるんだったら、もっと話してればなって。もっとみてあげてればいじめにも早く気づけたかもしれないし。」
「なるほどなぁ...」
「とりあえず、新たな犯人候補が出来たとなれば、また会いに行くだけだ。」
「まぁ、俺はお前の考えが変わることを願うよ。」
「だから変わらねーよ。」
「だよな...」
1話 終わり
どうでしたか?一体誰が犯人なんでしょうか?3話完結なのでぜひ次も見ていただけたらなと思います!