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第9話 前編 英雄と騎士団長

第9話前編です。


周りと違うことっていやですよねっていうお話です。

「執行官は人間じゃないんですよね。

 あのパネル以外に何か特別な能力とかあるんですか?」

「……そうねえ。

 私たちは疲れ知らずで食事も不要、あと死なないってだけだから~……」

「いや、十分特別ですよそれは」

「そうなの~?

 私たちにとってはこれが当たり前だから特別っていう感じがしないのよ~。

 そういう意味ではこのハザマの世界ではサトウちゃんの方が特別なのよ?」


 エゥブさんの執行の助手を終えて「第三係」に帰る途中、ある日のティータイムに交わされた雑談をふと思い出す。

 なぜ今この雑談を思い出すのか。

 ……いや、答えの分かり切っている自問はやめよう。

 今回の転生者が言っていたことが頭から離れない。ただそれだけだ。




「ガ―ティ=ベクディエントさん、あなたはお亡くなりになりました」

「……そうか」


 今回の転生者、ガ―ティさんは自身の死を告げられても落ち着いていた。

 享年76歳。

 自身の死というものについても覚悟していたのかもしれない。


「私はエゥブ。

 君のこれからを担当する執行官よ~。

 さて、まず君に質問。転生か消滅、どちらを選ぶ?」

「……」

「といってもいきなりは決められないわよね~。

 だから、まずは説明から始めるわね~」

「……ああ、頼む」


 ガ―ティさんの印象は「何処にでもいそうなおじいさん」という感じだ。

 ……もっとギラギラした人だと思ってた。


 だって、この人は世界を救った英雄を殺してその後何年も世界を裏から支配していたのだから。


 【世界座標:q@0qnendz.v;】

 悪の帝国がその領域を広げつつあり、周辺国がその対応に追われていた世界。

 そんな中ガ―ティさんの所属する王国は異世界の英雄の転移召喚を実行。

 絶大な力を持つ英雄は王国、そして結婚を約束した姫のために悪の帝国と戦い、長年の戦いを経て遂に悪の帝国を打ち破った。


 ここまで聞けばよくある英雄譚かもしれない。

 だがガ―ティさんが関わることでその内容は一変する。


 ガ―ティさんは英雄を召喚した王国で騎士団長を務めていた。

 ガ―ティさんは英雄が戦場で奮戦する中王国で騎士団を率いてクーデターを起こした。

 クーデターは成功し、ガーティさんはその国を掌握、王族、そして戦場から帰還した英雄を捕えて処刑した。


 なぜ、こんなことをしたのか。

 それは資料には記載されていない。


「……説明は以上よ~。

 何か質問、ある?」

「私は何故死んだのかね?」

「えっと~、暗殺ね~」

「そうか」


 英雄を捕え、排除した騎士団。

 それを率いていたガーティさんは各国から恐れられていた。

 そんなガーティさんを排除するために暗殺という手段が取られるのも納得できるものだった。


「……ふふ」


 ガ―ティさんは静かに笑っている。

 まるで今のこの結果に満足するように。

 その笑みの理由は私にはわからない。


「さて、転生か消滅だけど、どっちがいい?」

「ふむ、そうだな……。

 転生でお願いしたいが、構わないかね?」

「ええ、大丈夫よ~。

 転生について希望とかある?」

「英雄でなければなんでもいいとも」


 なぜそこまで英雄を拒絶するのか。

 その理由は私にはわからない。


「サトウちゃん、何かガ―ティ君に聞きたいことない?」

「……いいんですか?」

「いいのよ~。

 だってサトウちゃん、真剣に向き合うって決めたんでしょ?」

「……はい」


 前回ちょっと色々あったけど。

 いや、あれを色々の一言で片づけていいかどうかわからないけど……。

 とにかく1つ1つの転生に対して真剣に。

 私はそう決めたのだ。


「ガ―ティさん、私は助手のサトウです。

 1つだけ質問してもいいですか?」

「もちろん構わないとも。

 この老骨に何を聞きたいのかね?」


「なぜクーデターを起こしたんですか?」


 ふむ、と考え込むガーティさん。


「1つ確認したいのだが、ここでの答え次第で私の転生先が変わったりする、などということはあるかな?」


 そんなに言いにくい内容なのか……。


「そんなことはないわ〜。

 ついでに言うと別に答えなくちゃいけないってことでもないわよ〜」

「了解した」


 さて、と改めて私に向き合うガーティさん。


「私がクーデターを起こした理由、それは一言で言ってしまえば、王が私たちを裏切ったからだ」

「……失礼ですが王を裏切ったのはあなたたちでは?」


 仕えるべき王族を捕らえ処刑する。

 裏切り以外の何物でもないだろう。


「では、話をしよう。

 私がなぜあのようなことをしたのかという話を。

 そして特別ということが何を意味するのか、という話を」

 

 

 

  

 

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