初代チャンピオン・オブ・モンスターズ参上!
古代怪獣 ティアマト
天空の怪獣女神の子供 リトルファルラ
南極怪獣 ペギザラス
大鋏怪獣 カンケラー
蝸牛怪獣 カルゴエス
有毒怪獣 トキシニオス
ラーメン怪獣 インスタンドン
青竹怪獣 チクリーン
火山怪鳥 ポエニクス
レフェリーロボット ジャガーアローン
登場
謎の女性の正体
判明
「み………認めませんわぁ!!」
「………えっ?」
絹を裂くような叫び声によって、一寸前までグラウンドに響き渡っていた歓声はどよめきへと変わる。
見れば、たった今優助とティアマトに敗北し、地面に膝を付いていたエミリアが、まるで幽鬼のようにゆらりと立ち上がり、
血走った両目を大きく見開いて、優助とティアマトを睨み付けていたのだ。
「わたくしが……このエミリア神宮司が……『パシリ怪獣使い』ごときに負けるなど……例え!地球が滅ぼうと!!絶対に!!!認めませんわぁぁぁぁぁ!!!!」
「……ヒィィィィィッ!?」
「グガァァァァァッ!?」
地獄の鬼神のような……いや、地獄の鬼神も赤ん坊のように泣き出してしまいそうな程に怒り狂うエミリアの姿に、
優助は男としては情けない悲鳴を挙げ、
ティアマトもまた、
哺乳類ではないにも関わらず、額から冷や汗を流しながら後退りする。
「ちょ、ちょっと待ってよ会長さん!」
「す、少し落ち着きましょうよ!?」
「キュピィー!!」
優助とティアマトを庇うように、笑子と秀一、リトルファルラが前に出る。
2人と一匹に遅れて、カナエがエミリアに話しかけた。
「か、会長さん……怪獣バトルに負けて、悔しいのは分かるよ?でも、『バトルの勝敗は恨みっこ無し』がルールなんだから、ここは穏便に……」
「黙りなさい!!」
「ひぃっ!?」
怒り狂うエミリアからの一喝に、カナエは優助と同じく情けない悲鳴を挙げたのだった。
「……副会長!『プランB』を実行ですわ!」
「か、会長……しかし……」
「『しかし』も『案山子』も『お菓子』もありません!『やれっ』と言ったら、ヤりなさい!!」
「……」
副会長以下の生徒会メンバー達は、一瞬優助に対して申し訳なさそうな視線を送り……
「くそっ……悪く思うなよ、芹沢君!!」
「私達は、『会長の指示に従っただけ』だからね!?」
「恨むなら会長を恨んでくれよな!?」
捨て台詞とも言い訳ともつかない言葉を叫びながら、副会長を初めとする生徒会メンバーはジャケットの内側やズボンもしくはスカートのポケットから、各々のアドウェンテスを取り出す。
そして……
『サモン・モンスター!』×6
……躊躇なくアドウェンテスの画面上に表示された『SUMMON』アイコンをタップしたのだ。
生徒会メンバーが持つアドウェンテスから光球が放たれ、それが地面に着くと………
「ピギェェェェ!!」
象牙のような牙を生やしたアザラシのような頭部とペンギンのようなヒレを備えた胴体が特徴の『南極怪獣 ペギザラス』……
「ブクブクブクブクゥッ!!」
タラバガニを直立させたような姿をしており、シオマネキのように片方のハサミが大きい蟹型怪獣『大鋏怪獣 カンケラー』……
「エカルゴォォォォッ!!」
背中にアンモナイトのような殻を持った紫色のカタツムリのような姿をしている『蝸牛怪獣 カルゴエス』……
「ウボアァァァァッ!!」
目は紫色に輝き、口はだらしなく開いている全身が黄緑色に輝く人型怪獣『有毒怪獣 トキシニオス』……
「ラァァァァメェェェン!!」
体が何千万本ものラーメンの麺で構成されている『ラーメン怪獣 インスタンドン』……
「タァァァケタケタケタケタケタケェェェッ!!」
48mサイズの巨大な青竹に手足が生えているかのような姿をした『青竹怪獣 チクリーン』……。
合計6体の怪獣が一斉に実体化し、バトルを終えて疲れきっているティアマトを囲い込むように並び立ったのだ。
『おぉっと!ここでハプニング!敗北を認めない生徒会が、芹沢君とティアマトを袋叩きにせんと、6体の怪獣達を一斉に召喚した!『男』らしく無いですよ?エミリア生徒会長!?』
『いや…………生徒会長は『女子』ですよ?』
「あわわわわわ……」
「グ、グガァ……」
呑気に漫才染みた掛け合いをしている実況席とは対称的に、6体の怪獣に囲まれている優助当人は突然の事態に顔を青ざめており、ティアマトもまた疲れきった体を押して自身を取り囲む6体の怪獣達を睨み付けていた。
「待ちたまえ!」
そこに、クドイ顔をした怪獣バトル公式レフェリーロボットであるジャガーアローンが、エミリア率いる生徒会に待ったをかけた。
「怪獣バトル公式ルール第6条!『怪獣バトルは一対一、もしくは2対2で行うこと。それ以上の数で戦うのはただの乱闘や喧嘩である』!同じく第8条!『バトルの勝敗は恨みっこ無し!どちらが勝っても素直に受け入れること!』!君は既に公式ルールを2個も違反している!これ以上は反則負け確定だ!!」
「……黙りなさい!この鉄屑!!」
エミリアは公式レフェリーであるジャガーアローンからの警告を一蹴りして、顔を青ざめている優助とティアマトを血走った目で睨み付ける。
「芹沢君……覚悟しなさい!やりなさい!!」
『行けぇー!』
『ウブペエタブガァ!!!』
エミリアの叫びと副会長以下の生徒会メンバーの指示を受け、6体の怪獣達が一斉にティアマトに襲いかかっていく。
「ヒィィィィ!!?」
優助は腰を抜かして情けない悲鳴を上げ……
「グガァァァァ!?」
ティアマトもまた、目を白黒させながら固まり、ろくに反応もできない。
「優助ぇっ!逃げろ!早く逃げるぞぉっ!?」
秀一は腰が抜けている優助の体を抱えて逃げようとし……
「ファルファル!ティアを守って!」
「キュピピィッ!」
笑子は自身のパートナーであるリトルファルラにティアマトへの援護を指示し、その指示を受けたリトルファルラはティアマトを庇うように前に出る。
「……あぁ!もうっ!こうなったら私も!」
カナエも慌ててアドウェンテスを取り出し、パートナーのナマグラン召喚の構えを取った。
「止めろ!皆、冷静になるんだ!!」
ジャガーアローンはクドイ顔で生徒会メンバーを必死な口調で制止しようとする。
『さぁ!芹沢君の運命や如何に!?』
『ちょっと!立花さん!呑気に実況してないで、止めようよ!?ねぇったら!?』
まさに万事休す………。
その時だった。
突然空の一点が赤く輝いたかと思うと、燃えたぎるマグマのような真紅の熱線がグラウンドに降り注ぎ、ティアマトに襲いかかろうとしていた6体の怪獣達を包み込んだのだ。
『ウブペエタブガァァァァ!!!???』
真紅の熱線に包まれた6体は悲鳴とも断末魔ともつかぬ叫びをあげ……
『………』
……熱線がおさまると、6体はこんがりとベリーウェルダンに焼かれた姿を観衆全員に晒した。
『………ガハァッ』
そして、口から黒い煙を吹き出すと、地響きと土埃をグラウンドどころか大戸島高校の敷地全体に轟かせながら、前のめりに倒れ伏したのだった。
6体とも目を×の形にさせて、こんがり焼けた全身からは白い煙と食欲を誘う香ばしい匂いを放ってはいたが、小さくうめき声を上げつつピクピクと手足を痙攣させているので、かろうじて生きてはいるらしかった。
『………えっ?』
『………えっ??』
「あ………」
余りに突然過ぎる展開に、優助を初めとする怪獣研究部メンバーとエミリア率いる生徒会メンバーのみならず、ジャガーアローンや周囲の観衆までもが呆然となった。
「………グエエエェェェェェッ!!」
そこに、1体の怪獣の鳴き声が響き渡った。
ティアマトの物ではない。
リトルファルラの物でもない。
満身創痍のまま放置されているヨルムンガンドの物でも、こんがり焼かれて倒れ伏している6体の内のどれかの物でもない。
「グエエエェェェェェッ!!」
そこに大きな影と共に、空から新たな怪獣が飛来してきた。
全身が炎に包まれているかのように赤いMレベル7相当の巨体、その体の2倍は大きな翼を包む羽毛の一本一本からは赤い光が放たれ、胸部には青い宝石状の器官が存在する鳥類型怪獣………
『なんと!あれは『火山怪鳥 ポエニクス』だぁ!!』
『な、なんでこんなところに?野生怪獣でしょうか?』
突然の鳥類型型怪獣……火山怪鳥 ポエニクスの登場に、実況席や観衆達も混乱の極みだ。
「グエェェェェェッ!」
ポエニクスは大戸島高校グラウンド上空を軽く旋回すると、赤く輝く翼を羽ばたかせながらグラウンドに着陸する。
「グエェッ!グエエェッ!」
「グ、グガァ……?」
「キュピィ?」
ポエニクスはティアマトの隣に並び立つと、疲労困憊気味なティアマトを労うようにその肩をポンポンと叩いた。
突然見知らぬ怪獣に労われてティアマトは困惑し、すぐそばではリトルファルラが首を傾げていた。
『…………』
それは人間側も同じであり、優助も笑子も秀一もカナエもエミリアも目を白黒させるばかりだ。
「ハァ~……やれやれ」
呆然となっている優助の下に、鍔広帽子を目深に被って顔を隠した一人の人物が歩みよって来る。
それは……あの川原で優助に5つのアドバイスを送った謎の女性だった。
「あ、あなたは……あの時の……」
「やぁ~♪一週間ぶりだね、少年。私のアドバイスは役に立ったかな?」
女性は呆然としている優助に声を掛けつつ、自身の肩にぶら下げている水筒をらっぱ飲みする。
「全く……今日は見物だけのつもりだったのになぁ……ニックもお疲れ様」
「グエェェェェェッ!!」
謎の女性から労いの言葉を掛けられて、ポエニクスは嬉しそうに翼をパタパタと動かす。
その姿はタカやワシ等の猛禽類を思わせる獰猛そうな見た目には似合わない、まるでヒバリやスズメ等の小鳥を連想させる可愛らしい振る舞いだった。
「えっと……どういう事だ、優助?」
「あ、あの人って、優助君の知り合いなの?」
「いや……知り合いって言うか、何て言うか……」
困惑気味な秀一やカナエに問いかけられたものの、優助も何が何やらさっぱり分からなかった。
「ん~……あの人、どっかで見た、ような?」
一方、笑子は謎の女性に心当たりがあるのか、謎の女性を眺めながら頭を傾げて記憶を掘り返そうとしていた。
『なんと!突然現れた火山怪鳥 ポエニクスのパートナーと思われる謎の人物がグラウンドに登場した!一体彼女は何者なのか!?』
『……いやだから、いつまで呑気に実況している気だよ?あんたは!?』
実況席や観客も、突然現れた乱入者に驚きを隠せないでいる。
「ち……ちょっと!そこの貴女!!」
その時、呆然としていたエミリアが謎の女性に声をかけた。
「いきなり現れて、何なんですの貴女は!?神聖なバトルに横槍を、入れる…なん……て……」
エミリアの言葉は最後まで続かなかった。
謎の女性が発する『圧』というか、『怒気』のようなものに遮られたからだ。
謎の女性は鍔広帽子を目深に被ったまま、エミリアに微笑みを向けている……ただそれだけの筈なのに。
エミリアはまるで、マリアナ海溝の底で深海の水圧に押し潰されているような、尋常ではないプレッシャーを感じていたのだ。
「『神聖なバトル』……?よくそんな事が言えるね。自分の負けを認めず、仲間に相手を袋叩きにさせて、負けを帳消しにしようとした癖に、私が『神聖なバトルに横槍』?ハッ、笑わせるね」
「うぅ……」
謎の女性は優しい口調で微笑みを浮かべていたが、目は全く笑っていなかった。
エミリアはぐうの音も出せずに、女性から説教を受けるしかなかった。
「いいかい?怪獣バトルを『神聖な物』だと思うのなら、勝負の結果は潔く認めるのがアトレテスとしての正しい姿だよ。真剣勝負の結果に納得がいかないのなら、また別の日にもう一度バトルをするべきなんだよ。怪獣一匹を2体以上で袋叩きにするのはもう怪獣バトルとは言えない……ただの『私刑』だよ。それはアトレテスとして……いや、『人間として』、絶対にしてはいけない事だよ」
「………」
「そこの生徒会長だけじゃない、後ろにいる役員達も役員達だ。独裁政権下の役人じゃああるまいし、『生徒会長の指示』だからと言って、私刑に加担して良い理由になんかならないだろう?生徒会の一員として、会長の暴走を止めるのが、役員の務めじゃないのかい?」
『………』
謎の女性から正論で諭され、エミリアのみならず副会長以下の生徒会メンバーも申し訳なさげに顔を伏せたのだった。
「……まっ、私はこの学校の先生じゃないし、お説教はこの位にしておくけど、よぉぉ……く!反省しておくことだね」
謎の女性はエミリアを初めとする生徒会への説教を切り上げると、今度はクドイ顔のまま一部始終を見ていたジャガーアローンへと近寄っていく。
ジャガーアローンにパーソナルスペースギリギリまで近寄ると……女性はおもむろに被っていた帽子を外した。
「………えっ?」
「あれ?」
「ま、まさか……」
「あの人って………」
「あぁ~♪そっかそっか~」
優助達の反応を気にすることなく、謎の女性はジャガーアローンに『指示』を出していく。
「ジャガーアローン、この場の始末は私がつけたよ。今回のバトルはあの少年の『勝ち』、最後の乱入騒ぎは『相手側サポーターの暴走』……って事にしといて」
「了解いたしました!Ms.三枝!!」
「うん、よろしく」
将軍クラスの上官に相対する二等兵のように恭しく敬礼をするジャガーアローンに、謎の女性は自然で柔らかい微笑みを返したのだった。
「よぉ~し、これにて一件……ん?」
そこで謎の女性は、優助や秀一にカナエ、エミリアを初めとする生徒会メンバー……のみならず、実況席の立花ゆりねや真城、そして観客達まで、周囲のあらゆる人間が自分に注目している事に気がついた。
「くくく………」
いや、正確には笑子一人だけが女性から顔を背けており、口元に手を当ててプルプルと震えつつ、必死で笑いをこらえようとしていた。
「な、なんだよ?私の顔になんか付いてる?」
謎の女性はスカートのポケットからコンパクトを取り出した。
表面に女性のパートナー怪獣であるポエニクスを抽象化したエンブレムの描かれた、手のひらに収まるサイズの赤いコンパクトだ。
女性はコンパクトを開けて、中の鏡に写った自身の顔を見る。
二重まぶたのタレ目、
高過ぎず低すぎない鼻、
腰まで伸ばした白い髪、
健康的なピンク色の唇、
白過ぎず黒過ぎない日本人らしい色をした肌……。
一言で言えば、『優しそうな大人のお姉さん』といった風貌だ。
だが……女性の素顔を目にした優助は目を丸くし、エミリアは口元に手を当て驚愕していた。
「あ、ああ、貴女は………」
「さ、さえ……三枝……」
エミリアは顔を青ざめ、優助はワナワナと震え出す。
そして……
「三枝 真希さんだぁぁぁ!」
「初代『チャンピオン・オブ・モンスターズ』だぁぁぁ!!」
『ワアァァァ!!』
……それまで黙っていた観衆から一気に歓声が沸き上がったのだ。
「……あ、やべ」
自分の正体がバレた事に気付き、女性は額から冷や汗を流した。
そう、この女性は……
『な、ななななぬわぁぁぁんと!突然現れた謎の女性の正体はぁ!かの『怪獣大戦』の平和的終結を成し遂げた『共存派』結成のきっかけにして、『第一回全宇宙大怪獣トーナメント』の優勝者!『地球人初の怪獣使い』にして、初代チャンピオン・オブ・モンスターズである三枝 真希女史だぁぁぁ!!』
『う、嘘でしょ!?なんでうちの学校に!?』
「あ~……あ~……」
観衆衆目の中で正体がバレてしまい、謎の女性改め三枝真希は目を泳がせる。
そして、「……オッホン」とわざとらしい咳払いをすると……
「じ、じゃあ私はこれで……」
……鍔広帽子を被り直して何事も無かったかのようにグラウンドから去っていった。しかし……
『わぁ~!!』
『サイン下さい!』
『一緒に写真撮っても良いですか!?』
「い、いやあの……その……」
……あっという間に観客達……正確には、大半が大戸島高校の生徒達……に取り囲まれてしまい、サインや写真をねだられて、たじたじになってしまったのだった。
「……ふぁ~」
一方、衝撃的過ぎる展開に疲れたのか、優助は深いため息を漏らしながらグラウンドの上に大の字に寝そべったのだった。
「えっと……大丈夫か優助?」
「……実はちょっと漏らしちゃった」
秀一からの問いかけに、優助は完全に疲れきっている声で答えた。
見れば、優助のズボンの股間部分は湿り気を帯びていた。
「………」
一方、三枝真希から直々に説教を受けたエミリアは、地面に膝を着けながら青ざめた顔をうつむかせていた。
「……会長ちゃん」
「キュピィ」
顔をうつむかせるエミリアに、笑子とリトルファルラが声をかける。
その隣にはカナエが神妙な顔で腕組みをしながら立ち並んでいた。
「約束だよ会長ちゃん。ユーくんが勝ったから、『怪獣研の廃部は取り止め』だよ。それとも……もう一回ルール違反する?」
「………」
笑子からの問いかけに、エミリアは悔しげに顔を歪ませるが……
「し、仕方ありませんわね……分かりましたわ。怪獣研究部の存続を、許可しますわ……」
……ついに、自身の敗北を認めたのだった。
エミリアが『負け』を認めるのを確認すると、笑子の隣に立つカナエはニンマリと少しイヤらしさが感じられる笑みを浮かべる。
「………それじゃあ、『怪獣研の新入部員募集の手配』と『部費の増量』もお願いねぇ~♪」
「分かりましたわ………って、待ちなさい!『怪獣バトルの勝者が敗者にできる命令は一つだけ』ですわよ!?」
カナエの図々しさにエミリアは間髪入れずにツッコミを入れる。
しかし、カナエは余裕のよっちゃんだ。
「あっるぇ~?一番最初にルール違反したのは、どこの誰だったかなぁ~?」
「うぐっ………」
痛いところを突かれて、エミリアはぐうの音も出せず、悔しげに唇を噛み締めた。
その姿を見ながら、笑子とリトルファルラは口と腹を抑えながらプルプルと震え、必死に笑いをこらえていた。
「し、仕方ありませんわね……こ、今回は『特例』として!聞いてあげますわ」
「ヤッター♪︎あぁそれと、『部室のリフォーム』と『新しい備品の購入』もしたいんだけど……」
「……調子に乗らないでいただけませんこと!!?」
「プッハハハハハッ!!」
「キュッピピピィィッ!!」
カナエとエミリアのコントのような掛け合いに、笑子とリトルファルラは腹を抱えて大笑いしたのだった…………。
そんなこんなではあったが………。
芹沢優助&古代怪獣ティアマト
VS
エミリア神宮司&深海龍ヨルムンガンド
**優助&ティアマトの勝利**
という結果に終わり、怪獣研究部は存続することになったのだった。まる。
<三枝真希についての概略>
イメージCV:沢城みゆき
半世紀続いた『怪獣大戦』を平和的に終結させた『共存派』結成のきっかけ(詳しくはプロローグ・『これまでの世界、これからの世界』を参照)として歴史や社会の教科書や試験問題に名前と顔写真が載っており、
『地球人初の怪獣使い』として日本のみならず、地球人で知らない者はほぼ存在しない程の超有名人。
更に、『怪獣大戦』終結からしばらくして開催された『全宇宙大怪獣トーナメント』第一回大会に『地球人代表』として出場。
宇宙各地から集まった並み居るライバル達に勝利して優勝し、初代『チャンピオン・オブ・モンスターズ』の栄冠に輝いた。
若きアトレテス達にとって、『憧れ』であり『目標』でもあるカリスマのような人物。
ただし本人は、他者から特別扱いされる事が未だに苦手。
※作者コメント
イメージとしては、『ハイパーヨーヨー』の中村名人や『ファミコン』の高橋名人、『ミニ四駆』のミニ四ファイターといったホビー系メディアミックス作品に登場する(実在人物がモデルの)カリスマと、ゲーム『ポケットモンスター』シリーズに登場する『してんのう』を合体させて2で割ったような感じ。
作品本編における彼女のポジションを簡単に説明すると……『スタープラチナではなく、マジシャンズ・レッドを操る『ジョジョの奇妙な冒険』第四部の空条承太郎』である。




