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自由に気ままに異世界大陸指名犯 ー空賊ライフー  作者: クラ108
エピソード0 まだ最初の時
60/82

第41話 はいはい。んじゃ自分らも帰るか与吉

 前回のお話。空船建造を以下略、地下迷宮と称される新宿駅モドキの最下層辺りまでたどり着く・・・。



「ゴーレム?人形のことか?」

「人形?ああ、うん、多分それかな?それを買いに交渉に来たわけで」

「はっ!人形があったとして誰だが知らねえ奴に売る奴がいるかっ!それにあんな便利な物、易々売るのもあり得ねえ話しだ」


 ほう。やはりここにゴーレムはあるのか。しかも口ぶりからゴーレムを知っているときた。

 彼は男の反応から色々と読み取る。

 あと(ファミリー)とかも言っていたよな?あ~あれか、ヤバい組織が協力してるとか案内係が言ってたやつ。


「まあ自分も易々売ってくれるとは思ってないんだけどね。とりあえず君達の家にゴーレムがあるなら、お偉いさんとお話ししたいから場所教えてくれる?ほら、少なくても1オウカはあるよ?」


 オウカ硬貨をチャリッと見せると男は目の色を変えた。


「マジでそれオウカじゃねえか!?」

「あらま、一目でオウカ硬貨を分かるとは。そこらの人だと本物かどうか半信半疑なのに」


 まあ本物と分かるなら話しは進みやすくなるかな?

 そして男の方は少し考え込む。

 普通のガキじゃなさそうだな。ここまで来たんなら最低でもあのミシャロの所を通ったってことだ。しかもスキルといい、持ってる金といい、わざわざこんなところ来るはずもねえ・・。今は大人しいが下手に刺激したらどう動くか・・チッ、変なのに捕まっちまったぜ。


「・・・なああんた、やっぱりどっかの家に雇われたもんじゃねえのか?」

「いやだからゴーレムが欲しいだけで、それ以外の何でもないんだけど」


 あ~、こいつ本気で言ってるのか全く読めねえ。

 こんな場所に来てまでのその発言は怪しい以外にない。しかし自分だけの判断だけではやはりどうしようもなく、ため息を吐いた。


「・・はあ~。分かった。上に聞いてみてやる」

「おお~。こじれるって思っていたけどあっさりと話しがつくとは・・」

「だがな、このホームから勝手に出るんじゃあねえぞ。お前が俺らの担当場所から他の家に行って揉め事起こしたら、たまったもんじゃあねえからなっ!」


 そう言って上の人にこの事を話しに階段へ向かって行った。そしてそれを彼は見送り、数十分したら男が戻ってきた。



「聞いてみていいだとよ。まさかボスから直で話し通じて、許しを得るとは思ってもいなかったがな」

「マジか。ここまでスムーズに話しがついたのはいつ振りだ?」


 そんな訳で彼は案内されながら通路を幾つか進んで行くと、扉で封鎖されている通路の前に連れて行かれた。


「ここだ」

「事務所的な?」

「まあそうだな。普通はどこぞのもんでも入れねえがな」


 すると扉が開き、彼と男は中に入る。


「はー。これまた・・まあまあ、うん整えてる」


 すると中は小部屋大部屋と分かれた部屋が作られており、そこに荷物置き場や休憩室とか割り振られて、随分小奇麗にまとめられた感じであった。

 そんな通路をまた奥に案内されると応接室なのか綺麗内装された部屋に案内される。


「よし、ここで待っておけ。ボスが直接話したいそうだからよ」


 そう言って男が出て行くと違う男が入って来た。素振りからここのボスで間違いないない態度で、その男は彼と与吉を見ると口を開く。


「すまねえな。軽く飲み物でも出したいところだが何せこんな場所でね。んで、お宅、いや、クラ・・リオンさんでいいんだったか?何か取引したいとかで」


 まさかの名前当てにちょっとだけ彼は驚く。


「お~。さっきの人に名前なんて教えてもないのに随分確信持って当てにきたね~」

「上の情報は逐一知らせるようにしてるからな。オウカを見せびらかし、そいつの身なりが子どもで蜘蛛を連れているとなりゃ、この最下層の連中なら想像は・・まあ付くな。しかしゴミ置きからここに来るとは思ってもいなかったがね」


 どうやら彼の動きはこの最下層でも伝わっていた様子だった。


「なるほど。それなりに知っているんであれば、単刀直入に聞いてもいいかな?さっきの男からどの程度聞いたか知らないけど、あんたさんのところにゴーレムがあれば買取たい。情報通り最低1オウカはある」


 それを聞いたボスは少し息を吐いて聞き返した。


「ふぅ~。クラリオンさん、もう一度聞くが・・本当に、それだけか?それだけでここに来たと?」


 疑い深く圧を掛けにきたが、彼は臆することなく普通に喋る。


「うん。本当にそれだけ。ちょっとゴーレムについて知りたいことがあってね。現物で動いているのが一体だけでもいいから欲しいんだ。勿論希少であることも承知してるし1オウカで足りるとも思ってないから、交渉しに来たわけ。まあ駄目だったら他のところに行くつもりだけど」

「・・・・・・・」


 探り合いをするかのようにお互いに見つめ合う。


「クラリオンさん、はっきり言ってあんたさんの目的が本当に、それだけなのか今一つ要所が得ない。ここに呼んだのもあんたさんがあんたさんだからだ。噂に聞く爆発魔、とんでもない魔石、魔導石を発掘する。ちょっとした戦略級の物をゴロゴロゴロゴロと」

「爆発魔は余計」

「それがここを通して幾つか密輸で回ってくる」

「こいつも無視か」

「あんなもんを発掘しているのが偶然か実力か。実際のあんたを見てもピンとこねえときた」

「信用出来ないなら契約記号紙あるよ。裁判所でも使われてたやつ」


 いちよ記号紙を見せる。


「そんなもん、誤魔化そうと思えば誤魔化せる」


 ビリ。


「ちょっとそれ貴重なんだけど」

「俺は見て相手を判断する。直感とも言っていい。スキルなんて無くても分かる。クラリオンさん、あんたは嘘はついてねえ。だが力が強いのか弱いのか、どうも不釣り合いに見えるんだよ」

「・・そんなの言われたのは初めてだな」

「弱い、とまでではないか。脅すよりも取引相手として扱った方がマシなのは確かな相手だ」

「おっ。なら」

「得体は知れんが額によってだな」


 交渉が大丈夫なことに彼は早速と言わんばかりに交渉に入る。


「よし。じぁあ5オウカでどう?」

「全く足りんな。100オウカじゃなきゃ話しにならん」

「100っ!?流石にぼったくり過ぎない?」

「はあ。クラリオンさん、ゴーレムは壊れない限り永遠に動き続ける。無限の労働力だ。それを考慮すれば100オウカでも安いもんだ」

「っ~~。流石に現金で100オウカは無いな~」


 なので今度は財布袋とは別の袋を取り出した。


「じゃあこれは?小さいけどどれも高質。売り捌き次第で100オウカ以上は稼げるんいけるんじゃない?」


 それは道具の製作、現物売買にも兼用した小さく纏めて圧縮した魔導石で、今手持ちの全てである。

 見た目以上に魔力を秘めているのを確かめる為に手にしたボスも「ほお」と少し驚く。


「凄いな。しかし加工して削ってるな・・。原石のままでいいだろうに。魔力がもったいない」

「別に何でもいいでしょ?んで、どう?悪くないと思うけど」


 ボスは少しの間沈黙する。

 さてと、この魔導石全部どう見ても相当な魔力量だ。こんなの異常な魔力で気づけるはず・・。なぜ気づけなかった?この魔力量をコントロールしてるのか?

 じろりと彼を見る。

 いいや・・違うな。吞み込まれているんだ。あいつ自身の魔力で・・この魔力量を

。爆発魔、人災、諸々言われる理由が今分かった。こりゃバケモンだ。


「あの~そろそろ口開いてもらっていいですか?」


 因みに彼は、魔力のコントロールなんて意識してなければ分かってもいない。

迷宮やミヤちゃんといった危険なところには、気が引き締まって無意識にコントロール出来ているだけなのだ。

 そして今回の新宿駅モドキのこの迷宮で、危険な目に合ってるから無意識にコントロールできているだけなのである。


「ああ、すまねえな。少し考え事してしまってな。確かにこの魔導石なら貰い手が多い。間違いなく100オウカ以上は稼げるだろうな」

「おっ、じゃあ」

「だが、それでも最低ラインの額だ。割に合わねえ」


 その言葉に彼は少しだけ睨む。


「・・言うけど足元見てるなら、他のところに行くけど?」

「足元は見てないさ。嫌なら他のところに行こうが構わない。あんたを怒らせても得はねえしな。だがどこも同じ額くらいは要求するだろうし、紳士に聞いてくれるとは思わない方がいいぞ」

「自分の名前を出しても?」

「相手の実力を測れない馬鹿な連中なら、カモるか、強奪するかだな。それでもし揉め事になったらゴーレムは諦めろ。俺らも含めてここらの(ファミリー)は全員結託してる。一つの(ファミリー)でも敵に回せば全員を敵に回す。話しをする連中を見極めねえと無理な話しだ」


 ああ~。それか~。それは少し面倒だな~・・。

 それに彼は嫌な予想をする。


「それってもしかして脅し?あんた達が噓言って、騒いでいる奴がいるとか周辺に言いふらすとか?」


 だがそれにボスは笑う。


「これは失礼。善意で言ったつもりが・・。しかし今のはそう捉えても仕方ないか」


 そして今後は真面目になって言葉を続けた。


「だがこれだけははっきり言おう。俺らはクラリオンさんを敵に回すつもりはまず無い。さっきも言ったがあんたを怒らせても得は無いしな」

「う~ん、あんま信用無いんだけど」

「まあ他で揉め事を起こしたら・・面子があるからな、顔を出さないわけにもいかない。。そこは堪忍してくれると有り難いが」

「全く堪忍できないんだが。けど言いたいことは分かった」


 確かに変に騒がれるもな~。だからと言ってこの人信じたら手のひらだった~。と言うのも嫌だしな~。

 そして彼はう~んと声に出しながら悩むと仕方ないといった様子でゴソゴソすると・・・。


「・・しゃあない。これも出すか」


 本当は売りたくなかったけど・・仕方ない。


 ゴトッ・・。


 今度は薄い金属カバーに閉じられていた延棒状の魔導石を取り出す。これは彼自身の魔力が尽きた場合の緊急時の魔力バッテリーとして身に付けてる魔導石なのである。


「っっっ!!!!せ、戦略級!?」


 それにボスは驚愕して立ち上がる。それもそうだ。彼が切れる程の魔力消費に見合う最低限の魔力が必要となると、それなりの魔導石物でないといけない。つまるところ国家戦略級規模の魔導石になるのだ。


 待て待て待て!!??戦略級魔導石だと!?噓だろ!?あり得ねえっ!それを持っ・・てっ!こいつまだ腰に似た物付けてないか!?まさかあれにも同じのが入っている訳じゃあねえよなっ!?!?

 

「戦略級?どっかでそんな単語聞いたような・・。まあさっきの魔導石より高値にはなるでしょ、これ?」

「・・・待てくれ。あーー高値にはなるが、なるがな・・。少し待ってくれ」


 ボスは冷静なろうと椅子に座り込む。

 はぁーー・・。高値にはなるがよ。高値過ぎる。しかも・・。

 チラリとまた彼を見る。

 もし他に行かせてどっかの馬鹿がやらかせば・・。

 ただ魔力を放つだけでも恐ろしい。なんせこの階の上にはミシャロエリアやら異界があるのだ。どんな連鎖反応を起きて、どんな影響が自分達に受けるのか予想も出来ない。


「どっちが脅しているんだか」


 前回もここに来たこいつの魔導石の魔力で周囲に反応しないように厳重に扱ったがそれでも魔力が溢れはどうしようもなかった。流石戦略級だと思ったさ。だが、今ここにある戦略級は裸のまま・・・。

 薬も過ぎれば毒となる。特に戦略級となれば取り扱いは劇物と同じなのだ。


「ん?何か言った?」

「いいや、独り言だ」

「それで?返事はどんな感じ?」

「・・取引は悪くない。だが物が物すぎる。他の(ファミリー)にも影響を受けるもんがあるからな、色々協力と準備もしないといけねえ。すぐに取引はできないな」

「え~~、時間はどんくらい掛かる?」

「まあ3日は欲しいところか」


 ふ~む、3日か・・。


「・・・よし、交渉成立で」

「そうか。分かった」


 何とも肝が冷える取引であったが、無事に交渉は成立したのだった。

 その後は簡単な話しを済ませ、準備期間の数日は彼は(危険すぎるから)上の階か駅から出ることになった。取引当日に魔導石とゴーレムの物々交換で行なうのこと。


「よ~し、じゃあ一旦自分は上に戻るか。案内係も残しているし」

「ああ。そうしてくれると助かる。しかし爆発魔と言われる理由が分かった。なるほど。こんなの相手に出来ないし、したくもないな」

「お~い、本人の前で言うセリフかな?あと自分の噂は清く優しい素直な子どもと流してほしいんだけど」



 そんなかんやで話しを終わらせて、彼は一旦上に戻る為に最初に来たゴミが溢れたホームに戻ってきた。



「おお~。さっきの人」

「あ?なんだお前か。ボスとは話しがついたのか?」

「まあね。一旦上に戻って数日したらまた来るけど」

「しかしお前本当に何者だ?なんで直接ボスと話しが出来たんだ?意味分かんねえぞ」

「まあここでは有名人だからね~。ん~ボブが無い。やっぱあの時一緒に巻き込んじゃったか」


 そして彼がここでゴミを押し込んだ場所を見て・・・。


 ガチャガチャガチャ!!!

 

 再度スキルで押し込めたゴミをホームに元に戻した。


「おいいいい!!!」

「あったあったボブ発見。んじゃ、また来た時にゴミは戻すから」


 そしてボブに乗ると来た道へと何事もないように帰って行った。


「あいつマジでなんだよっ!!」



 そして。



 ・・チャ。ガチャ。ガガ・・。ガガアアアーーーーーーー!!!!


「ただいまー」


 派手な音とゴミをまき散らしてながらシルクハットの片メガネと案内係2人がいる場所へと戻ってきた。


「おやおや、ずいぶんお早いお帰りだ。どこかで詰まって戻って来たのかね?」

「やっと寝床のスペース整理出来たのに・・またゴミが」

「はあ・・早く上に戻りたい・・・」


 どうやら案内係2人は、しばらく彼はここに戻らないことを考えて寝床を用意していたらしいが、またゴミで埋まってしまったようだ。

 

「そんな項垂れるな案内係。そんな君達に朗報だ。今日中に案内係終了宣言しよう」

「え!?俺達解放されるのか!?」


 そして彼は最下層での出来事を話すと・・・。


「いやいや、まさか買取が着くとは。意外だ。意外か?そう金を積んでもあいつらは売るもの何もないと思っていたんだが。もしや君、世間上手なのかい?」

「何でもいいさ。早く俺らを解放してくれるならよ」

「つまり、ここまでの道分かったから、俺らはもう必要ない。それで帰してもらえるでいいんだよな?」


 やっと元の場所に帰してもらえると安堵の息を吐いた。


「そう言うこと。まあ最後はミシャロのところで荷物持ちはしてもらうけど」

「あんな所に留まるのも嫌なんだけどな・・」

「ミシャロエリアは通らないといけないのは分かっていたけどよ・・。はあ」


 とりあえず彼はミシャロエリアで買物して、駅を出たらエヴァンに合流しようと考えていた。


「んじゃ、戻るか。行くぞ案内係」

「はあ~~。今日だけでもう数日過ぎた気分だぜ」

「俺もだ。と言うか本当に数日経ったんじゃないか?」


 そんな帰る仕草に3人にシルクハットの男性はある事を聞いた。


「そうそう。君達が私の元に案内させた情報屋。私が古物に詳しいのを知ってるとなると・・確か名前は・・忘れてしまったが、あ~あの子だ。あの青年は元気にしてるかな?ここに来てから5年は会ってないからね~」


 そんな言葉に3人は顔を傾げる。


「俺達に教えたのは普通のおっさんだぞ」

「5年前だとしても、いいおっさんだな」

「・・ん?待て、あのじじい、もしかして5年前の情報を売ってきたのか?」


 シルクハットの男はそれを聞くと「いやいや、すまない。大したことじゃなかった」と彼らの引き止めた。そして彼らが出て行った後・・・。


「さてさて。時間の流れは残酷だね~。ここに拠点を構えにミシャロの場所を通った際に時間が狂ってたか。私が長命の種族だからか。ん~~彼がここに戻ってくる時は数日か数年か。まあまたしばらく睡眠と瞑想にふけるかね~?」



 んで彼らは・・・。



「よし!これも買うぞ。ん?こんな通路あったけ?」

「待って!勝手に変な通路に進むなっ!」

「なんでさっきまで無かった通路を臆さず行くんだよ・・」


 やっぱり普通にミシャロエリアで買物するのであった。


「ヤスイヨ。ヤスイヨ。今ナラ80センだヨ」

「何これ。食べ物?与吉これどう思う?大丈夫そう?」


 チチ。


「おいい!もう人じゃない奴らから何か買うなっ!」

「大丈夫。普通に買える」

「マイド」

「荷物持たされるこっちの身になってくれ!」

「あ。あとすいません、この近くで本とか売ってる店あります?」

「アッチ」

「どうも丁寧に、ありがとうございます」

「お願いだからそれ以上奥に進まないでくれ!」

「ん~君達、ここだと何か生き生き喋ってない?」


「「命が危ないからだよっっ!!」」


 何とか彼の衝動を抑えて、早く買物を終わらせようと無理矢理にでも階段を上がらせる案内係であった。


 そして・・・。


「あ~久しぶりに日の光~っと思っていたけど・・夜だな。夕方だと思っていたけど」


 やっと新宿駅モドキの外に出たが、もう時間は夜。しかし屋台などはオヴェスト・トレンボ同様に夜でも賑わっており、昼のように明るかった。


「いつもの場所に帰って来れたな俺達・・」

「絶対踏みこんじゃいけないところに踏み込んでよく俺ら生還したよ」

「だってメイドカフェの看板があればね~。そりゃ覗いてみたくなるよ。魑魅魍魎で冥土だったのはちょっと駄洒落過ぎて笑ったけど。しかし思えばあれも異界関係だったのかな?」


「「・・・・・・」」


 本当によく生還したと無言で2人は身に染みる。


「さて、んじゃ自分もそろそろ宿に帰るか。ほれ、荷物プリーズ。名残惜しいがここでお別れだ」

「全くもって名残惜しくもねえ」

「これで縁が切れるんだから清々するぜ」

「照れなくていいのに。それに結構役に・・まあ、うん、立ったよ。あ。それに荷物持ち分のお駄賃ぐらいは出すよ?」


 憎まれ口を叩くも荷物を彼に受け渡し、彼は適当な時給換算でお一人50バレル出した。


「はあ。50バレルって。金持ってて、こっちは命掛けていたのに随分安い金だな」

「全く割に合わねえ額だよ」

「お~い君達?別に自分はお金支払わなくてもいいんだけど?案内とは別の荷物持ちさせたから、特別料金と深夜料金を払おうかなって思っただけで。あと命掛ける場面には遭遇してないからな?」


 悪態付くならお金は返してもらおうか?


「はっ。もう貰った金だ。誰か返すか」

「もう俺らの金だ。絶対返さん」

「はあ。最初は大人しかったのにずいぶん威勢よくなって・・。まあこれでお別れか。機会があれば今度は荷物持ちで雇ってもいいぞ?」

「頼まれても誰か行くかよ。もう会うことはないだろうからな」

「ああ。俺らももう帰るぜ。あばよ」

「はいはい。んじゃ自分らも帰るか与吉」


 チ。

 

 こうして新宿駅モドキでの長いような短いような迷宮探索は終わったのだった。

 まあ終わったと言ってもゴーレムの取引は終わった訳じゃないからまた来るけどね。

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