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自由に気ままに異世界大陸指名犯 ー空賊ライフー  作者: クラ108
エピソード0 まだ最初の時
59/82

第40話 結局このコアは使えそうにないのか

 前回のお話。空船建造を以下略、地下迷宮と称される新宿駅モドキに入った彼は、情報屋から教えてもらったらしき人と遂に出会ったのだった。



「んで?そろそろ黙ってないで何者さんよ?」


 壮年の男性は黙り続ける彼に再度言葉を掛けた。それに彼は悩みながら案内係に視線を移して・・・。


「臨時会議タ~イム。おいお前ら、お前らから見てあれは正常な方?」


 案内係に相談してみる。


「まあ、話しが通じれば良い方・・か?」

「案外、お前さんといい勝負かもな」


 が、大して相談にもならなかった。

 まあ分かってはいたけどさ・・・。


「あ~~。えっと、ここに古物に詳しい情報屋がいるって聞いたんだけど~・・・」


 なので普段通りにここまで来た経緯を話してみる。すると話しを聞いた壮年の男性は・・・。



「あ~はいはい。はいはいはい。如何にもどうにもそれは私ですかな?ですけど?まあ詳しいだろうね~。だろうともさ。だって私には過去も今も同じこと。ただの点さ。まあその点見ているだけだけど。で~?何を知りたいんだ?それとも、あれか?あれですかい?売りに・・来たのか?」


 やはり今まで人に会った中で個性的過ぎて、もう一度彼は案内係に視線を向ける。


「もう一回聞いていい?これ、正常な方?逝ってる方?」

「まあこんなところにいる連中だ。色んな奴がいるってことだな。俺は今まで会ったことはないが」

「とりあえずそのまま会話続けたらどうだ?」


 やはりこの駅の中でも珍しいのようだ。ともあれ視線を戻して、もう一度男性に向ける。


「いや、売りに来たわけでは・・。あ~、この部品何だか分かるります?個人的にはゴーレムの部品だと思うんですけど、あとでどこかにゴーレム売ってる場所知りませんか?」


 そう言って謎のコアを見せてみる。


「・・ほうほう。なるほど。ん~・・。少し拝借」


 指でクイクイっと貸すように言われ、貸すとまた珍妙そうにコアを覗く。


「・・・・はあはあ、ふむふむ。これは・・あ~~~なるほど。これは意外だ。総点すら違う。となると・・あれか?はてしかし・・」

「あの~何か分かったんでしょうか?」


 彼の言葉にハッっと我に返る。


「ああ。すまないすまない。いやいや、久しぶりに考えさせられた、られてしまった。実にそれは・・・ユニークだ」

「ど、どうも」

「結論から言おう。どうもそれは()()()()()。いやあ~、何せ点が見えなくてね。分かるかい?点が無いってことは過去も今も未来すらも無い。しかしだ。それなのにそれはここにある。摩訶不思議と言っていい」

「・・なるほど」


 若干遅れて棒読みで返す。


「そうなると考えられるのは一つ!私達の認識とは別の理でそれがあるって言うことだ」

「・・なる」


 更に目を細めて言葉を返す。


「つまりこれはこの世界とは()()()()で作られたもの。なら、納得できる。できるんだよ。ここと関わりの無い世界なら点が見えなくて当然さっ!まあ点が無いの幾つか持ってるから手に持たなくても分かってはいたが」


 別の世界・・。

 その言葉に少し引っ掛かる。

 別世界って自分がいたところだよな?でもあんなコアみたいな物はな~。まあコーティング剤で再現出来なくてもないよ?でもひし形にする意味は・・アートやオシャレアイテム目的?または電子玩具の付属品?あ。そう思うと一番ありえそうな答えに今更ながら導いてしまったような・・・。

 改めて謎のコアについて自問自答で疑心暗鬼になる。


「おや?また黙ってしまって悩み事かい?それとも当てが外れたって感じかい?まあまあ落ち着きたまえよ。確かにそれはユニークで希少だが検討はつく。つくか?まあついてる訳だが」

「あ~うん、あんさ、出来ればはっきり言って。点やら過去とか未来とか言い回しは・・まあいいとして・・つまり?」


 コアを返してもらい改めて聞く。


「君の言葉通り恐らくそれはゴーレムの部品か何か、だ」


 良かった。ゴーレムの部品だった。

 その答えに少し安堵する。だが。


「しかもそれはゴーレムにおける初期・・いいや、原点に当たる・・当たる?当たるか?まあ当たるか。それと似たような物をチラっとジーっと見たことがあってね~。まあゴーレムのどこの部品に当たるか分からないが」


 ゴーレムの部品であってもそれが何の部品かは分からないとのこと。しかも原点と言われる物らしく、恐らくそこらのゴーレムより希少性は高い物でありそうだった。


「結局このコアは使えそうにないのか」

「さあ?でも原点ならどのゴーレムに付けても問題はないはず?初期にしろ今にしろ原点を元にして作られた基礎の基礎、大元の大元。グラボの二枚差し、人間に骨や臓器が一つ増えてもすぐに死んだりはしないだろ?それと同じだ」


 う~ん、例え・・。


「非常に参考になる会話で・・。あとこの駅でゴーレムを売ってる場所とかは・・。出来れば動けるのがあれば・・」


 工国にしろ、この駅にしろ全てはゴーレムを求めてここまで来たのだ。部品はあっても稼働するゴーレムは無く、せめて動けるゴーレムは欲しいところである。


「ああ。動くゴーレムね~。勿論、あるとも、あるとも?まあ買うのは難しいと思うが。それよりそのゴーレム部品、売ってはくれないかい?ユニークな物があればきっと運も上がると思うんだ。今なら人骨混入の魚の骨標本をあげよう」

「売らんし、いらんはっ!」

「そうか。まあ無理強いはしないさ」


 しかしそんな事よりも・・・。


「だけど買うのは難しいって」

「それは簡単な理由さ。何しろ動くゴーレムがあるのは最下層。今も下の階を掘って作っての作業に使われているからね」


 それに案内係は慌てて彼に言う。


「待て待て。大人しく話しを聞いちゃあいたが、最下層は流石に行きたくねえよ」

「いいか、ミシャロの場所もそうだが、最下層で掘ってる奴らも奴らでやべえのしかいない」

「ああ、国境を抜けるトンネルを幾つものヤバい組織がお互いに協力して掘ってる、おまけにどっかの国が後ろで援助しているなんて噂もあるし、あってもおかしくない話しだ」

「そんな連中に目ぇ付けられたら、駅だろうが外だろうが生きちゃあいけね」


 つまりゴーレムはヤバい組織が使っていると言うことだ。そうなると買うのが難しいと言うのも交渉が難しいと言うことだろう。

 そしてついでに壮年の男性は最下層への近道を教えてくれた。


「あ。そうそう。最下層に行くならこの下から行けばいい。この木、ただの幹の木とかアルキメデスの木なんか呼ばれていてね。ユニークな木さ。枝も葉も根も生えない幹だけの部分だけが生えて成長する。そんでもって木の中は螺旋状。面白いだろ?」


 それって木と言うのだろうか?そんな疑問が彼に浮かぶ。

 因みに彼はアルキメデスの言葉から何か意味するのは分かっていたが、意味は分かっていない。

 

「それが今の最下層に続いている、続いているのか?まあ最下層への近道だろうね」

「え?どこから下に・・」

「あそこから」


 部屋の端っこに洞穴のような入り口があった。しかもそこも地面がゴミで埋もれていた。

 

「これ普通に駅の階段から行ってもいいんじゃない?」

「それもありだろうね。だが色々と面倒な奴らも多い・・。ここからなら、そんなの遭わずにすぐ行ける、いい道さ」

「え~~。仮に行くとしてもこれ行けるの?と言うかこれ道なの?」

「大丈夫大丈夫。理論上行ける、はず?はずさ」


 さ~て、不安なこと色々教えてもらったな~。

 ここで少し彼は自問自答気味で考える。

 ゴーレムはヤバい組織が持っているぽっい。そこに行って大丈夫かどうか。まあでもお金はあるから交渉の余地はあると・・・しよう。

そんで次は道中。近道・・かは分からないが、まあ変な人に遭わず最下層付近まで行けるのは良い。ただ帰りの時、ゴーレムを連れて考えるとこの道はちょい狭い、となると帰りは駅の階段で戻るとしたら、行きはよいよい帰りは怖い、と・・・。


「ん~~・・・・駅の階段で何事も無く最下層までたどり着ける時間ってどんくらいだろうか」

「さあ?僕は時間を気にしたことは無いし、行く用事はもう無いからね~。まあ何事も無く行けるなら半日する?しないかな?まあそんぐらい時間を使うかな?」

「大雑把な目安をどうも・・」


 まあどちらにしろゴーレムの為に来たんだから行くには行くけどさ・・。

 結局のところ彼は行かないという選択は無かった。


「んじゃ、この洞穴なのか道なのか分からないけど行くか」

「お、おい。俺らはどうするんだ?」

「まさか着いて行かないと駄目なのか?」

「え?まあここで待つのも良いけど、来る?」


 それに案内係は。


「「待ちます!」」


 いい返事で言い返した。


「息ぴったり・・。んじゃ1日か2日ぐらいでここに来るから、それまでおっさん同士で仲良くしてなー」


 そんな訳で彼は洞穴のような道に与吉と一緒に声を漏らしながら入って行く。


「あ~暗っ。電気・・じゃなくて明かりが、明かりが。与吉ストップ。ちょっと待って。光る魔球出すからちょっとこれ持って・・そうそう。あ。あ~、螺旋状になって降りる形・・。でも待って、想像以上にゴミが。え?これ進める?本当に道これ?」


 そしてガサガサと音を立てながら彼の声が遠ざかっていった。


「本当に行ったな」

「あいつ戻って来れると思うか?」

「戻って来てもらわないとこっちが困る。あれでもミシャロについて本当に詳しいからな、知ってるか知らないかでミシャロエリアをどう抜けれるか変わってくるしな。1日2日ぐらいだったら待っても問題はねぇだろ」

「まあそんぐらいならな。だけどここで待つって。つまりあいつと一緒にいるってことだろ」


 案内係は横目であいつを見る。


「ん~~、さてどうしようか?特にやることないし・・寝るのもいいが。創作も浮かばない。ん~、あ~、そうだ。確か服を逆に着ると何か起こるって聞いたことあった、ような?」


 そしてふと案内係を見て。


「ん?あ、あ~。君らね、はいはい。いいよ、しばらく君達がここにいても。何もないが、いやあるか?あ、それと服を逆に着てみてくれないかい?比較対象がいると言うのも中々、ここでは珍しいからね~」


 俺ら、ここにいて本当に大丈夫なのだろうか・・・?

 


 それから・・・。



「なんか結構グルグルしながら下に降りているけど、これ本当に着くのかな?」


 チィ~~。


「しかもまだ自分は子どもの背丈だから辛うじて通れてるけど、これ絶対人が通る為に道じゃないだろ」


 埋もれてる金属のゴミも相当な量で、どこに足を置いても埋もるは引っ掛かるはするし、刃物状の物だって散乱している。しかし彼には『万物追及』のスキルがある。物質なら操れるので、ゴミを退かしながら楽に進めている方であった。


「このままちまちま進んでも意味ないな・・。よしボードを作ろう。ボード解禁だ、解禁」


 だが移動しにくいことに変わりなく、流石にここはボードを作ることにした。

 

「と言うことで、はい完成。ボブスレー型廃材ボード、通称ボブ」


 そして作ったのがいつもの鉄板型ボードではなくボブスレー型。ゴミが当たって怪我しないように考慮した安全設計である。


「あとここに魔球をはめて、はいライトも完成」


 ついでに光る魔球もはめてライトも完備。しかも反射板が取り付けられて、ちょっといい自転車ライトぐらいに奥を照らせるように一工夫もしていた。


「よ~しこれで強引に進んでも大丈夫だろ」


 チチィ・・・。


 しかし与吉にはどこか不安そう。ボードに道具や装備をして行った迷宮道中で、あまり良い思い出がないのだ。だが心配したところで何か変われることも無く、仕方なく彼に掴まって大人しくする。


「よし行くぞ!与吉っ」


 再度スキルで周囲を操作しながらボブも浮かして、前へと進みさせる。


 ガガ、ギギ・・。


 金属同士が擦れ響きながら、どんどん進む速度を上げていく。


 ガガガッ、ギィーーーー!!!


 更に速度を上げていき、ボブに何か当たる度に揺れがドンドン激しくなっていく。


 ドンッ!!ガッ!


「ああ、これ昔のジェットコースターの揺れより酷い揺れ、がっ!うおっ!?」


 強引に進んで行けば、激しく物に当たってボブがひっくり返しそうになる。それでも速度を緩めずに強引に進んで行く・・・。


 チィ、チチィ・・(あ。これ、あれだ・・)。


 そして与吉は直感する。過去にマグマから逃げる迷宮道中と重なる光景だと・・・。


 ガシャシャーーーーーーッッッ!!!!


「あ!あかん、やっぱり強引過ぎたかっ!」


 案の定と言うか土砂崩れを起こす。

 このままだと吞み込まれると彼が考えた案は二つ。一つ、土砂崩れが落ち着くまで待つ。結果吞み込まれてしまうがスキルで脱出は容易。二つ目、呑み込まれるよりも速く逃げる。


「よしここはバクシ・・爆走だ!逃げに徹するが吉とみたっ!!」


 んで、ここはスピードに割り振って逃げるにした。無論土砂崩れが酷くなるが、そんな事は考えていなかった。


 チィ・・。


 結局そうなるかと、与吉は無事を祈るのであった。


 

 そして・・・。



 ガッッシャァァァーーーーーン!!!



「脱出!!」


 一体何時間だったかそれとも数十分だったか、遂に広い場所に出た。そして彼らが出てきたすぐ後ろからは土砂崩れでゴミが溢れて出る。


「最後まで雪崩れに追いかけられたな~」


 安全になったところで彼は周りを見渡した。

 ふむ、それでここは・・。

 よく見れば恐らくホームの中なのだろうが、ここでも金属のゴミが溢れかえっていたのだ。


「ん~、このホーム自体がゴミ捨て場・・?いや、でもここもまた金属のゴミの量が尋常じゃないな。むしろどっからそんなゴミが・・」


 よくよく考えたら金属のゴミの量もおかしいが、生ゴミのように見えて全部何かしらの金属でできているのもおかしな話しである。

 色々と考察を働かせていたら、ホームのどっからか人の声が響いてきた。


「あ゛ぁ~なんだ?ゴミが逆流でもしたか?勘弁してくれよ、人手がいねえし、人形もいねえで、まったく・・」


 どうやらこのホームで何かの担当をされている男性らしい。とりあえず彼は乗っていたボブをそこらに捨てて、その男性に挨拶でもしてみるこにした。


「Hi」

「な、なんだ、おめえ!?どっから来やがった!?」

「あそこ、埋もれちゃっているけど、あの道・・道?なのか分からないけど、うん、そっこから来た」

「はあ?あそこって、まさかお前螺旋木から来たのか!?」


 男性はそれを聞いたら呆れた様子になった。


「なんかそこから行けば最下層まで行けると上にいる情報屋から」

「あの変人か。それでそこから来たって、そもそも道でも何でもないだろ」

「うん。入って序盤から思っていたけど、とりあえず突っ切って進んで来た」

「正気じゃねえ進み方だな。だかなおかげでまたゴミが溢れ戻ってきたわけだ。どうやって落とし前付けてくれるんだ?」


 それに彼は自分のせいで溢れ返ってしまったゴミを・・・。


 ガシャ・・。ガチャ。ガチャガチャガチャ・・・・!!!


 スキルで来た場所に無理矢理ゴミを詰め込むように押し込んでいった。


「なっ!?」


 それを見た男性は驚きの声を上げる。


「はい、これでいい?ついでに周りのゴミも一緒に詰めたけど」


 ついでに周辺のゴミも一緒に押し込んで、ホームの床が見えるようになった。

か?」

「いいや、不本意で有名なった子どもさ。ここに来たのは買い物でね。どこでもいいからゴーレムを使ってるところ知らない?」


 そんな言葉に男性は・・・。

「・・お前何者だ?どっかの(ファミリー)か?」

「いいや、不本意で有名なった子どもさ。ここに来たのは買い物でね。どこでもいいからゴーレムを使ってるところ知らない?」


 そんな言葉に男性は・・・。

 誤字脱字あったら優しく指摘してください。

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