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自由に気ままに異世界大陸指名犯 ー空賊ライフー  作者: クラ108
エピソード0 まだ最初の時
57/82

第38話 来るもの拒まず、襲う者拒まず、触る神に祟りなし

 前回のお話。空船建造を以下略、工国で謎のコアがゴーレムの部品なのか調べる為に聞き込みの結果、地下迷宮と称される新宿駅モドキに行けば分かるかもしれないと次の向かう場所を決める。



 地下迷宮。かつてそこは駅だった場所。しかし駅の建設は途中で頓挫して廃駅となった。そして今はスラム街となり、訳あり、ならず者、犯罪者も入り混じり、犯罪、違法取引が堂々と行われる温床となっていた。

  


 そんな訳でゴーレムに関する物を入手する為に彼は駅に行くのだが・・・。


「あ。ナレーション・・。工国に着いた時はちゃんとやっていたのに」


 地下迷宮がどんな場所か話しを聞いたのに凄い気楽に駅の中に入っていた。

 しかしまあ乱雑に物が建っていたり置いてあったりしてないな。

 意外にもイメージにあるようなスラム街とは違い、それなりに整理されて物が建てられていた。と言うもの駅の中だからスペースに限りがあったり、通路も確保しなければならないので、自然とそうなっただけだが。



 それから彼はうろうろと駅の中を進む。するとある物を見つけて「ん~?」と首をかしげた。


「・・あれ?実際の新宿駅の地下って何階までだったけ?」


 チチィ~~。


「まあ与吉は知らないよな~」


 彼が見つけた物。それはこの駅の完成予定の全体図の案内板だった。軽く見ただけでも新宿駅に似ている構造であったが、恐ろしいのはコピぺでもしたかのような何百近くのホームと路線に通路と描かれているのだ。もはや迷宮と同等、否、人工迷宮と言っても差支えない圧巻の全体図。


「本当に列車が通っていたなら一日の平均乗降者数一千万人は余裕だろ、これ・・」


 しかも廃駅になってからは違法な地下拡張がされていることもあって、後から手描きで全体図に付け加えられている個所もある。特に一番下である最下層と言うべき場所には『?』と未確認で進行形で地下拡張が続いてると意味が読み取れる。

 まあ、地下何階だろうが、いざとなればぶち抜けばいいか。


「あるのかな~。ここにゴーレムの部品が。まあ、あとこれがゴーレムの部品なのか分かればいいけど」


 今まで調べてみた謎のコアに軽く握る。

 そして彼は再び歩き、階段も降りてどんどん深くに足を進めていく。

 浮浪者が住居としている場所、集団で虚空を見つめる者達、うわ言を吐き続ける人、死んだ澄んだ目で得体の知れない物を売る人達の商店街・・・。

 


「はいは~い。こちら最新版の地下地図だよ。どうだいお兄さん買わないかい?そこの兄ちゃんもどうだい?これがあれば迷わずいけるよ~」


「新鮮な肉だぜ。さっき捌いたばかりだからな~。今なら2人分の目玉も付けるぜ」


「なあ。誰か・・俺の左手を見てないか・・?無いんだよ、誰か左手を・・・」


「アカイ朱い紅イ空。A、aa・・ダレ、モ居て?ゐてイナ、クテ逝テ?Ite・・。トン?チカカラ?シチナミ?ミr、カ・・・」


「お前さん、言ったよなあ?この賭けに命掛けてもいいって?なあ?お前らも聞いたろう?逃げるなってぇ、なあ・・?あ~行っちまった・・。約束は守らないといけないって言うのに、なあ?」


 逃げた人は突然倒れると泡を吹いて死んだ。その様子を賭けの相手は、仲間に指示して血跡が残る物影の奥へと運ばせる。そんな一面を目の当たりにする。



「凄いな~」


 危ないところとは聞いてたけど危ないとかそう言うのじゃないよ、ここ。危ないの分類が違うぜ武具屋のおっちゃん・・。

 如何に危ないところなのか思い知る。だがそれでもゴーレムについて彼は地下へと向かうのである。



 そして地下何階になるのか、階段を降りていくとやけに静かな場所に来た。



「・・・・静か~。人の気配は・・しないようなするような」


 息を殺すかのように静けさを保つここは恐らくホーム。路線は埋められ、周囲を広くしようとした形跡があった。ただそれ以上にホームを照らす灯りがここでは一切無かった。唯一の光源は人が住んでいるのか小屋のような建物から僅かに漏れる光だけ。そのせいで周囲の様子が見渡せない。


 チチ。


「・・・どの辺り?」


 与吉は何かを感じ取る。それに彼も目を向けるも暗くて見えない。なので視覚代わりになるスキルで周囲の状況を把握しようとするが・・・。


「・・え、本当に何かいる?」


 特に視界に映るような物は無かった。


 チチチ・・・。


「音?」


 これと言って聞こえないけど・・。

 この際、魔弾フレアモドキで周辺を照らそうと構えるが・・・。


 サク・・。サク・・。サク・・。


 確かに音が聞こえた。

 ん~~・・確かに音が・・だけどスキルでその方角に反応するものがない。

 スキルを使っても音の正体が探れず、周辺も不明瞭のまま。なのでやっぱりフレアモドキを周辺に放つ。


 パアアーーー・・。


「ッッ!!!?」


 ヂッ!?!?


 周辺を照らした瞬間、今度こそはっきりと見えた。光を遮る人がいないのに大勢の人影が立つ姿が。しかも彼の周りにも無数の人影が囲んでいた。

 臨戦態勢で再度周囲をスキルで見渡すもやはり捉えられるものが何一つない。見えるのはただの人影だけ。


「ッ!」


 明らかに異常と何も喋らず魔弾と魔弾式スタングレネードをばら撒きながら、このホームに来た階段に向かって逃げると何とか脱出する。



「ファンタジー世界から突然ホラーに寄せてくるのは良くない、ジャンル変えは良くない・・・」


 脱出に成功したもののそこらの浮浪者と一緒に隣でうずくまる。

 あれはミヤちゃんとは違うホラー枠すぎる・・。

 比較対象がミヤちゃんなのが彼らしいが今まで常識や知識不足からくる死の恐怖は、知っていけばその内無くなる。しかしある程度の常識と知識を知って、対策や対応が出来るようになっても、それでも理解出来ない“何か”の存在は、久しぶりに彼に死の恐怖を与えた。


 チッチ・・・。


 一方の与吉は弱肉強食の世界の迷宮育ち。驚くことはあっても死の恐れはなく、むしろ浮浪者の一団になりつつある彼を心配して頭をさすってあげている。


「なるほどな~・・虚空を見ている奴とかいたけど。これ正気削られた末路の人達だったか・・・」


 そんなボソボソ喋る彼にその様子を見た一部の人は、事情を理解していたのか近寄って身ぐるみを剝がそうと手を伸ばしにやって来る。が・・・。


「おい。分かっていたんなら教えろよ。こっちはまだ子どもだぞ。お前ら、あの階段の下に落としてやろか?」


 別に正気を失っているわけではないので、逆に彼は伸ばす手を捕まえる。そして阿吽の呼吸で与吉は糸で寄って来た連中を拘束する。


「っ!?なんだこれ!?」

「は、離せっ!」

「動けねぇ!!」


 そして捕まえたところで彼は・・・。


「なめんなよ。正気を削られてもこっちは邪教の教会で毎日拷問を受けていたんだぞ。分かるか?折れた指を治癒スキルで治してもらいながら、隣指からポキポキ折られる毎日が。否応でもメンタルが鍛えられるわっっ!!!」


 ミヤちゃんのおかげで立ち直りは、早い時は早い。あとミヤちゃんが相手では無ければそう簡単に精神は折れたりはしないのである。


「こいつ頭逝かれてねえのかよ!?」

「くそ!さっさと離せっ!!」


 捕まった奴らは騒ぐも意に介さず彼はあの階段へと引きずりはじめる。


「お前らも連れて行ってあげよう。お前らを置いてあの影がどんな動きをするのか見れば正体が分かるかもしれないし、それに・・お前らが死んでも誰も悲しまないだろ?」


 ニヤッと鬼畜な事をしようとする彼に捕まった連中は理解する。こいつ本当にやるつもりだ。と。


「やめろこのガキ!!どうなってもいいのか!?ただじゃ済まねえぞっ!!」

「悪かった!うちらが悪かったからあの下はっ!!あそこだけはやめてくれっ!!」

「金なら出すから!なあ、頼むっ!頼むからっっ!!」


 おうおう、騒ぐ騒ぐ。

 しかし彼は冷やか。目には目を歯には歯をの精神で当たる。


「金はいらない。欲しいのは情報。とりあえずお前達の処遇はここの迷宮攻略の人柱となれ」


 あの階段に入り込もうとすると。更に騒ぎだす。


「あああ゛あ゛!!殺すぞクソガキがああああーーーー!!!」

「分かった!!知ってる事全部話すから!!」

「俺らこの駅で知らないことはないっ!本当だ!本当だからっ!!」


 ん~、人柱か現地の人の情報・・。どっちがいいかな?あの下の階段は犠牲がいないと分かりもしないし、殺しても文句は言われないだろうし、現地の人は別にそこら辺の人からも聞けるし・・・。んーーーー。

 と、数秒悩むと・・。

 まあ交渉成立でいいか。

 

 シュル・・・。


「このガッ!ッッ!?」


どうしようか決めた時、罵倒を続けていた1人が何かに引っ張れらるように階段に下に落ちていった。

 するとそこでもやはり異様な光景。落ちた人に何かが覆いかぶさるような動きをする透明な何かがいた。しかも透明なら透明越しに落ちた人が見えるはずだが、落ちた人の姿だけが見えないのだ。

 それで魔弾で周囲照らすと落ちた人がいた場所には無数の人影が覆いかぶさっているようにいた。


「・・・はい、君達。この光景について知ってることは?」


 残った人に聞くもその人達は必死に首を振る。


「お、俺達もあれが何なのか、く、詳しくは知らねえんだっ」

「ここの下は異界って言わ言われててっ・・昔誰かがこの世界とは違う世界を繋げようとしたら失敗したんだよ!」

「は~ん、それであんな光景が・・」

「それで異界の世界がその階だけ定着しちまったんだ。あそこにいるのはモンスターとかそんなのじゃあねぇ。俺達も分からねぇんだよ。調べようとした連中もいたがあんな有り様だ」


 なるほど・・。ガチであそこだけホラー世界だったのね。


「ここ、普通の迷宮より危険度が断然違いすぎない?」


 人が取り締まれるレベルではない。国も放置する無法地帯である理由を察した。


 因みにその異界は入ってから一定の時間いると二度と出られなくなるらしい。更に入って来た場所以外の階段や通路はどこも異界と化した光景が広がっているのこと。と言うことも彼は捕まえた人から教えてもらった。



「・・え?マジで自分、危ない所だったじゃん」

「すぐに引き返せば戻ってはこれるんだよ」

「だけど影に捕まったり、戻って来れても頭がイカれてたり、身体の一部を無くして戻ってくる奴もいるから、俺達はてっきりそうだと思って・・」

「あーー。それで襲ったのね」


 階段から戻って早々に浮浪者の隣でうずくまれば、そう思われても仕方ない光景だと彼自身も納得する。


「まあそれで襲っていい訳でもないが・・。とりあえずお前ら、ここでの用事済むまで道案内係な。自分が子どもだから適当な嘘や騙そうとしたら、道ずれ覚悟で異界に落とすから」

「わ、分かった」

「騙すことはしない。絶対だ、約束する」


 これで彼はこの地下迷宮の案内人を手にした。


「だけどさ、こんな異界があるなら、通路とか階段塞げばいいのに」

「ああ、それりゃあまあそうだが、棄てるには持ってこいの場所だからな。そこに棄てれば勝手に消えるし色々活用はできているんだ」

「あー。証拠隠滅には持ってこいか。仮に探しに行こうものならすぐ戻ってこないといけないし、影もいるし、なるほど・・確かにただ塞ぐには勿体無い」

「あ、ああ・・そうだな」

「お、おう、その通りだ・・」


 案内係に任命された人は自分達が言ってあれだが、それを普通に納得できる彼に引き気味。

 更に因みに普通ゴミも異界に入れれば消える(稀に残ることもある)ので、ゴミ処理施設の役割も担っているのだ。


「それで、あんたさんは俺らに何処に案内して欲しいんだ?」

「異界のような場所は勘弁してほしいんだが・・」

「まあ案内と言うか・・こんなの見たことある?と言うかゴーレムについて何か知っていたりする?」


 この地下迷宮に来た理由と探し物のことを案内係に話す。ただやはりと言うかゴーレムについては流石に知りはしなかったようだった。


「やっぱ知らんか~」


 やはり簡単にはいきそうではない。


「流石に売ってる物の把握はな・・・」

「次の日には売ってたり売ってなかったり、全く違う得体の知れない物が売られていることもザラにあるしな」

「略奪や殺しで無くなっているもの珍しくもねえ」

「確かにここだと色んな御禁制のが売られてはいるが目的な物が見つかるかどうかは別だな」


 分かってはいたけど、ここでの物探しは困難を極めそうだな~・・。

 こうなると愚直に各階の場所をしらみつぶしに探すしかなさそうと彼は諦めてそうするしかないか思った。


「まあ後は情報屋(ブローカー)に聞いてみるとかか?」

「あそこかー。ただガセは多いし、金は必要だしよ、正直あそこらの連中は俺は信用出来ないんだよな~」

「ん?なんか面白いワードが聞こえたけど?金の支払いさえ良ければ信頼できる情報を教えてくれるヒントキャラの存在みたいのが聞こえたけど?」


 金なら彼にはあるのだ。多少高値でもヒントになるなら払う気満々である。


「言うがなあんたさん、あそこは最近の階情勢とかどこに何が売られてるとか教えてはくれるが基本タレコミからだ」

「まあ厄介な奴の目撃情報とかどの階にいるか目安になる程度ぐらいだな。鵜吞みに信じる馬鹿はいねえ」

「なるほどね~。まあしらみつぶしに行くよりはいいし・・会ってみるか。よし、案内せい」


 と言うことで情報屋(ブローカー)の元へ案内係に案内させる。


 そして・・・。


「ん?なんだお前らさん?買いに来たのか?売りに来たのか?」


 見た目案内係と変わらない小汚さで背が小さいおっさんが小屋の中から話す。どうもその人が情報屋らしい。


「ん~?見ないガキがいるな。それにいつもの連れの一人はどこ行ったんだ?」

「ん、さっき死んだ」

「しかもその子どもにな」

「そりゃご愁傷様で」


 向こうは案内係の人のことを知ってる口ぶりに話す。しかも殺人をした張本人が前にいても気にも止めない様子で、さらに案内係も仲間が殺されたのにもう気にしてなかった。だが誰もそんな事に気に留めず話しを続ける。


「何?君達知り合いだったの?」

「いいや、長いこといればここいらの顔ぐらいは覚えるさ」

「ただ親しい訳でもないがな」

「そう言うなよ寂しいじゃあねえか~。んで、何しに来たんだ?まさか観光案内でもしてあげているのか?」


 そんな情報屋の言葉に案内係は嫌そうに答える。


「半分そうだよ」

「あいつ・・と言うかあいつ頭に乗ってる蜘蛛が強くてな。逆らえば殺される」


 それに与吉は「チ」と脚を上げて答える。


「はっはっはっ、何だい?脅らされてるのか!情けねえな。こんなん酒のつまみにもならねえ話しだなっ!あっはっはっ!」


 情報屋は笑う。


「なるほどなるほど。大体分かったぞ。お前らが来た理由が」


 そして情報屋は彼を見ると。


「よ~しガキンチョ。お前がここに用があるんだな?そんなしょうもねえ奴らを脅してここに来たってことは、大してこの駅の事を知らないからだろ?知ってる奴はこんな奴らをわざわざ脅してまで案内なんてさせようとは思うわねえからなっ!どうだ?そうだろう?」


 ニヤついた顔で彼にここに来た真相を当ててみせると彼も嫌そうに答える。


「はいはい。ご名答ですよ」

「はっはっ、そうだろうなっ!んで・・何が知りたいんだ?」



 そして情報屋にもゴーレムの事について話すも・・・。



「なるほどね~。しかし何だ?ゴーレム?は知らねえな。その部品見ても売れるかすら分からねえ。どっからそんなの拾ったんだ?」

「ミシャロ商会から」

「あそこか・・・また判断に困るところから買ったもんだな」

「とりあえずアンティークな物が売られている場所全部教えて。金は1ハク」

「10ハクだ」

「交渉成立」


 握手を交わしてお金とアンティークが売られている場所を書いた紙を交換する。


「ああそれと。別料金になるが情報屋で古物について詳しい奴がいてな。そいつを紹介してやろか?もしかしたらゴーレムの事知っているんじゃないか?」

「おい。それ先に言うべき内容だろ」

「そりゃ、こっちも商売だからな!50ハクでどうだ?」


 そんなぼったくりのような価格なら普通は払いはしないが、彼が普通に10ハクを出すところを見ると恐らく結構の額の金を持ってると見越して高値で交渉しようとしてきた。


「ほう・・」


 が、彼も彼。支払えるが手の上で躍らされるのは嫌いな性格。なので・・・。


 チャリ・・。


「ならその情報1オウカで買おうか!」


 現物の1オウカを声を大にして自慢げに出すと情報屋も案内係も目を大きく見開いた。


「おま、そ、それ本物か!?」

「ああ、本物だとも」

「マジかよ。俺ら初めて見たぜ」

「あれがオウカ硬貨」


 ひとしきり驚いてもらったところで彼は交渉を再開しだす。


「んで、オウカで取引するの?」

「・・・・・・・」


 それに情報屋は考え出す。お金の額は悪くない。むしろ飛びついてもいいところ。しかしあまりに虫が良すぎる。

 なんだこのガキ?高値で振ったらその倍で出してきやがった。オウカは初めて見るが、ちげぇねえ、あれは本物だ。だがなんだ?あいつ何を考えてやがる?

 そんな情報屋の様子に彼はやはりと分かったようにほくそ笑む。


「情報屋。今なら古物についての奴の情報を1オウカじゃなくて1ハクで買ってあげてもいいぞ?」

「はあ?」


 どんだ脅ししてるんだ、このガキは?

 全く意味の分からない交渉に首を傾げたくなるが、彼はそろそろどうしてそんな交渉を言い出したのか教え始めた。


「まだ分かってないのか~。はい、周りの音を聞いてみようね」

「音・・?」


 そう言われて黙ると分かった。さっきから異様に静かになっている。いつもなら人のガヤつく声がするのに一切聞こえてこないのだ。

 いつからこんな静かに・・?

 そんな心を声を読んだかように彼は答える。


「自分が高らかに声を出してオウカ出したところから」

「・・・・・」

「いや~ね?大体の人ってオウカ硬貨出した時や見た時って、騒いだりして群れを成すんだけど、中には黙る人もいるんだよ。どうしてだと思う?」

「・・・・・・」

「こいつから金取れねえかな~って狙ってるの。まあ自分、それなりに強いから盗られることは無かったけど・・。さて、情報屋。あんたがオウカ硬貨持っていたら周りはどう思うだろうか?」


 割とオウカ硬貨あるあるで、普段からオウカを使ってないと分からない周りの様子。

 情報屋は改めて見渡すと分かった。静かだがこっちをジッと見る多くの視線を。


「お前、まさか・・」

「金額の桁が一つ違うだけでも時に人を狂わせるもんよ?さあ。どうする?ここに1オウカがあるのは誰もが周知の事実。情報屋に渡るか渡らないか今や虎視眈々と注目の的!1オウカか1ハクか?これ如何に!!」


 が、これにまず声を上げたのが案内係。


「なあ、もしお前さんが持ったままなら、俺らが襲われないか?」

「俺もそれ思った」


 それに彼は。


「来るもの拒まず、襲う者拒まず、触る神に祟りなし。襲ってきたらこっちのもん、身ぐるみ、情報、全部剥ぐ。あ。でも身ぐるみはいらないからお前らにやる」


 襲って来ることを逆に良しとする心の持ち様は余程の強者か狂人か。周りの目にどう映ったかは分からないが、ただ案内係にされた人は「「ああ、とんでもないのに捕まってしまった」」と後悔に嘆く。


「お~い本人目の前で堂々と嘆かないでくれる?第一ね、実際の迷宮のモンスターと比べたら楽な相手よ?」


 そんな彼の言葉に情報屋はハッ!と気づいた。


「・・待て。子ども、蜘蛛、迷宮・・。聞いたことあるぞ。フェレストリアの迷宮で狂人の噂・・常に戦闘で迷宮内を爆発させながら進む人災の象徴と言われる子どもがいると」


 さっきまで静かだったはずなのに周囲からざわつく声がこだまする。


「ねえ。噂に尾びれはつくもんだけど。悪意入ってない?あと誰がそんな噂を風潮してたのか詳しく教えてくれない?マジで1オウカで払ってもいい情報なんだけど?」

「い、いらねえよ!あいつの場所はただで教えてやるからささっとこの場からいなくなってくれ!!」

「わーー。ありがとう。やさしい人だいすき」


 彼の存在を知って関わり合いをこれ以上持ちたくないと、古物に詳しい人物の情報屋について教えてもらった。


「あ。それと自分の噂については、清く優しい素直な子どもで、何事にも平等に接することが出来る子。悪意には悪意を持って返すから変な噂を流す奴はいつか粛清されると思え。って噂を流してほしいな。本当に1オウカ出してもいいお願いなんだけど」

「さっさと消えろ!!」

「ひどいなー」


 そんなかんやで教えてもらった場所に彼らは向かうことにした・・・。

 いや~また投稿するの遅くなってしまった。

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