第37話 短編part3 リリア・ティア・F・ティトニアについて
これはクラリオンから足軽一兵卒と呼ばれるリリアことリリア・ティア・F・ティトニアとその友人エリアスの話である。
『トウバツクエスト計画』の実行でリリアは不意を突かれて捕まってしまう。しかし何とか無事に至るもさらにリリアに苦難が襲うのである・・・。
「お目覚めになりましたかリリア様!」
「・・ここは」
「巡洋艦アレクの船内です。現在ヴァンプ一家の掃討戦をしているところです!」
「へ?」
リリアは彼との出会いで色々あったが、その後は別々になる。と言うのも賊討伐自体はまだ継続中であり、リリアの身柄は賊討伐の編成を担当している軍の部署関係のところに送られることになったのである。それで巡洋艦アレクに乗っているわけだ。が、何故か巡洋艦アレクは戦闘中の真っ最中であった。
「いやぁ~リリア様を乗せてた賊の空船からヴァンプ一家の拠点を記した情報がありまして、包囲網を形成して掃討戦に移ってる最中なんですよ」
「そ、そうなんですの・・」
そう、リリアとクラリオンが乗っていた賊の空船から、拠点に関する地図が見つかり、リリアの無事と同時に地図の情報も部署に至急報告されたのだ。その結果、巡洋艦アレクにも包囲網形成の為に急遽支援部隊して前線へと向けられたのである。
「そうなんですよ。あ。こちらの窓を見て下されば分かると思いますよ」
「・・・めっちゃ燃えていますわね」
「掃討戦ですから」
場所は分からないが船の外では戦闘の真っ最中。その光景を見てから爆発音やら怒涛の雄たけびがはっきり聞こえ始めた。
そしてリリアに話しかけた人は申し訳なさそうに言った。
「あの~それでですね・・。目覚めていきなりで申し訳ないのですが・・ちょっと加勢してもらっていいですかね?」
「へ?」
「いや~、思いの外手こずっておりまして、このアレクも被弾してしまい・・・」
「・・・・」
ゴロゴロゴロゴロ・・・。
床に落ちてる瓶が結構な勢いで転がっていくのを目にすると、船の状態も理解し始めた。
「って!傾いているんじゃありませんのっ!!」
「ええ。でも艦長が言うには簡単には落ちないって言っていたからまだ大丈夫かと」
話してる人は転がらないように実は踏ん張って今まで話していたのだ。
「ああもうっ!どうしてこうまたこんな事が・・」
「あと軽食ですがサンドウィッチを用意してあります。どうぞ」
「あらこれはどうも・・って渡すタイミング!!」
「どんな時でも笑顔とサービスを忘れない。例え軍艦に改装されてもそれがスマイルカンパニー魂っ!!」
「ああ。元は商船だったのですのね・・。あ。美味しい。じゃなくてっっ!!」
巡洋艦アレクもまた巡洋艦ノクスと同じ成り立ちのようだ。が、今はそれどころではない。
「では移動の準備に入りますね。ではこれを・・」
「今度は何ですの!?」
食べてるリリアの邪魔にならないように手際よくチャカチャカと何か着せる。
「あの、この繋がれたロープは・・」
「命綱です。これ切れると危ないですからもう少し待って下さいね」
「え?ちょっ、待って。本当に何しようとしているんですのっ?」
「はい。これで準備完了です。最後にこのボタン」
ポチ。
瞬間、外側の壁がパカッ開く。どうやらそこは壁ではなく扉であったようだ。そしてタイミングよく船体が傾くと座っていたベットごとリリアは外に放り投げられた。
「え?」
「当船はバンジーが売りな船でして。良い旅を」
何がどういうことか理解できず、さらに説明を求めようと思いたいが。
「バンジーー」
そう言って落ちてくリリアに手を振って見送ったのだ。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ーーーーーーー」
ビヨ~~ン。
「ウッグ・・」
そして何回かビヨンビヨンしたところで見計らったようにロープが切れ、さらに何かを積んだ落下傘と鳥の形に折られた紙がリリアの手元に落ちてきた。するとその紙が勝手に広がり、そこには文字が・・・。
『すいません。紅茶をお出しするの忘れてました。水筒にて送らせてもらいます』
「・・・・・」
リリアは水筒を拾い上げるが一体どんな感情をしているのだろうか。が、それよりも・・・。
「親方ーーー!!空からバンジーしてきた奴がいやしたぜーーーーっ!!」
「ヒャッハーーーーッッ!!殺せ殺せーーー!!」
そう。空船の外では戦闘の真っ最中。しかも劣勢と言われている通り、押されていた。
「ってなんだあいつ?ガキか?やりがいねぇな~~」
「おっ。マジで子ど・・待て、あいつこの前、逃げられたガキだっ!」
「なんか王族とか野球が強いとか言われてた奴か?なんでここに?」
「んなの関係ねェ~っ!!どっちにしろ殺ザッパッッ!?!?」
言いかけてる男に回転に磨きが掛かった水筒が飛んできた。
「・・っ!敵も味方もなんで・・っ!ろくな奴がいないんですのよおおおおーーーーーー!!!」
まともな人に出会えない心からの叫びに周辺の兵士にリリアの存在に気づいた。
「あ!あれはリリア様では!?」
「あの歳で三冠王に輝いたって言う噂の・・っ」
「おい、リリア様って何だ?」
「知らないのか?盗賊の討伐に王室から勅命で動いている子どもだよ。かなりの投手って噂だ」
「ん?野球選手ってことか?」
「ああ、そうだ」
「あんたらっ!!喋ってないで加勢したらどうなのよっ!!あと野球選手でも三冠王でもないのよっっ!!!」
聞こえてくる兵士達の声にリリアが声を上げて否定する。しかしその間にもデッドボールを相手に当て続けるリリアの姿に兵士の士気が向上していく。
「俺達も行くぞーーっ!」
「三冠王に続けーーーーー!!」
「だから違うって言っているでしょうがあああーーーー!!!」
その後、野球で言う九回表辺りでリリアがヴァンプ一家のボスにビーンボールを撃ったことで勝利で終わり、巡洋艦アレクで祝勝会にビールかけ、周辺都市の凱旋して回るのであった。
おうちに帰りたいのですの・・・。
因みにこの掃討戦は実は相当規模が大きかったと付け加えておこう。と言うのもお相手であったヴァンプ一家は、この国では庶民でも名が知れる巨大犯罪組織。
それを倒したとなれば結構な出来事であり、しかも最近噂されるリリアがによって撃たれたと言うのだから庶民からは英雄視されるは、パレードの一つや二つ起きても不思議ではなかったのだ。
そして・・・。
「あのーー。私、そろそろ帰りたいのですが」
「いえいえ、まだ来て頂きたいと各都市からお願いされてまして、それだけリリア様がした事は凄いことなのですよ」
パレードを終わらせて一休憩しているところに急遽リリア宛ての連絡が入ってきた。
「失礼しますっ!軍部からリリア様宛てに呼び出しの連絡が」
「今度は一体何ですの・・」
「はい。内容は『拝啓リリア・ティア・F・ティトニア様。この度大規模な賊の討伐に致しまして多大な貢献に・・」
「冒頭は言わなくていいのよ」
「え、あ、はい。ではリリア様が賊から救出された際にあった巡洋艦ノクスの損壊罪で事情聴取をお願いしたいと」
賊討伐が終わり、落ち着いた頃合いに今度は巡洋艦ノクスに起こった事件についてお呼び出しされる。
「あーー。あいつですのね。正直どうでもいいのですけど・・」
とりあえずパレード地獄からは抜けれそうですし、行くとして・・エリアス様に会わないと。
エリアスには無事であることを軍部を通して連絡はされているらしいが、今のところエリアスから連絡が来てないのだ。
「まあこんなパレード騒ぎになってるんですから、色々と後手に回っているんでしょうけど・・・」
一方そのエリアスには意外な協力者が現れていた。
「姫様~。リリアちゃんの大活躍はもう隠しようがないので、これ公にして適当にまとめますね。とりあえずしばらく凱旋させますかね~。まあこれで辻褄を合わせられる時間が出来たとして・・・」
「そんな事したら私達の計画が進まなくなりそうですが?そこはどうお考えで?」
その協力者と言うのがエヴァンであった。
「いやもう色々計画は破綻してますからね?もう秘密に活動なんて無理ですよ~。お父様にバレますよ?」
「なら、こことこの内容も考えてくれるかしら?秘密裏にできなければ、大胆にいくしかありませんし」
「え~この内容、特務の管轄外すぎて無理ですよ~」
今は2人でエリアス達が考えた計画の修正と調整をしてもらっているところだ(スキルによる未来関連のことは話していない)。
因みに調整の一環で情報漏洩防止の為にリリアと連絡をしないように注意され、しばらくお互いに直接の連絡が出来ずにいた理由でもあった。
「可能な限りやってくださいな」
「う~ん、とんだ暴君だな~・・」
「何か?」
「いえ、子どもの我儘は愛嬌あるなって言っただけです」
ボソッと呟いた言葉につかさず聞き返すエリアスであるが、そんな事よりもやはり一番気になるのが・・・。
「ですがどうして本当に特務情報機関が協力してくれるんですか?私と取り持つことができても何か優位になれる事はないでしょうに」
何故エヴァンもとい特務情報機関がエリアスに協力しているのか?利権やコネを作るのに協力してくるのは分かるが、あまりそう言った意図が見えてこないからエリアスからすれば不自然にしか思えないのだ。
と言うのもある日の特務情報機関部署・・・。
「う~~ん、エリアス様、何かやっているんだろうけど、何やりたいんですかね?」
「いちよ秘密裏に行動をしてるっぽいけど、何とか言うか・・まあよくここまでボロが出ずに進んでいるのが凄いよな」
最近軍部の方で積極的な活動をしている動きが報告された。不信とまでいかないまでも特務情報機関が調査をするとエリアスとリリアの2人の存在が浮上したのだ。更にそれが計画的な行動でもあることも分かった。
「目的が不明瞭すぎるんですよね~。王室からも施設の訪問予定は組まれていないし、普通に売名活動?」
「まだ子どもでそこまでするか?しかも秘密裏に。行動矛盾してるだろ」
「王位に就く為に軍を味方につける・・まあそれなら行動理由は分かるけど、ん~~」
「姉妹関係は良好だったと思うんだけどね~。あの歳で継承権争いとか考えるもん?」
「いちよ書類偽造してるからとっ捕まえることも出来なくはないが・・」
「とりあえずどうするの?これ王様に報告しておくの?」
行動や目的が分からず、どう扱うべきか周りは悩ましそうに話しを続ける。
「誰か会って軽く探ってみた方が良いじゃないですか?」
「行くって・・。誰が行くんだ?」
「え~、こっちまだ仕事終わってないし、パス」
「あ。適任いるじゃん。まだ仕事に余裕あって、エリアス様と仲良くなれそうな奴が」
「え~、そんな余裕ある子いた?仕事回したいんだけど」
「・・・ああ。あいつか」
「エヴァン君ね。見た目子どもにもなれるし、何か喋ってくれるかもね」
「じゃあエヴァン来させるか~。誰か連絡入れておけ~」
「う~っす。うちが入れておきま~す」
そしてエヴァンに『とりあえずエリアス様に会って何か情報探ってきて』と雑な命令が下される。詳細内容も『分かんないことが多いから、とりあえず会ってさ、ね?』と書いてある有り様。
「これが命令書なんだからな~。間者が見たら暗号内容か偽電だと思うだろうね~。はあ・・・」
それからして、とりあえずエリアスに会ってみたエヴァンだったが・・・。
「どうだったエヴァン?」
「会って何か収穫あった?」
「賊の討伐が目的ではなさそうだったかな~。あくまで手段って感じ?」
「無駄足だったか・・」
「つまり目的は他と・・」
得れるものは無かった。
「あとまあ結構友達だったよ。『私達は未来を良くするって約束したの!だから絶対大丈夫』ってね~。いや~あれは青春だね。個人的にお友達助けてあげたくなる胸熱な熱弁だったよ~」
※エヴァンがエリアスと接触した時にはリリアは捕まっていた。
するとそこに新たな情報が入ってくる。
「皆~。新しいエリアス様に関する情報を仕入れ入りました~。正確には報告があったのが正しいですけど」
「ん?そりゃどういう意味で?」
「いやね~、エリアス様関係で過去の報告書調べたら面白い内容がありまして」
サラッ一枚の報告書を出すとそこに書かれていたのは、エリアスが誕生した際に執り行われた式典に関することであった。
「ここの文、見てもらっていいですか?内容が内容だけにこの報告書が出来た理由のところ」
そこには式典で行われた行事の中に祈禱した人物が残したある書簡についてだった。
『御姉妹のどちらかに因果の変調が起きるだろう。先を見ることを叶わず、知る由もできず、その時でなければ分からず。例え知り得ても、もがいても、決して変わらず。せめてその変調が御姉妹の幸福の形である事を心から願いたい』
祈禱した人物が客室に置いた宛て先の無い手紙。当初、魔法の類で意味合いがあるのではと警戒して、祈禱人物の調査と捜索を行うも既に消息不明。真意も不明のままで最終的にただの妄言の記載となったことが記されていた。
「この式典って元々未来系スキルで相手の見るのが始まりだったらしいんすよ。ですけど未来系スキルって色々いわく付きがあるって言うじゃないですか」
「まあそう言ったことは聞くが・・」
「んで今は祈禱と言う形になったんですけど。この手紙、用は未来に良くないことが起こるって書いてますやん?しかも今エヴァン君の報告にも未来って言葉がありましたやん?」
「つまりなんだ?」
「もしかしてだけど・・エリアス様、未来が見えるスキルでもお持ちなのかな~っと。それでどうにか未来を変えようと軍使って何かしようとしている、かな~って」
彼は結構良い線を引いていた。
「はあ。確証も無ければ、憶測すぎるだろ」
「え~有りだと思うんですけど~」
「直に会ったエヴァンは今のどう思う?」
「え?自分ですか?う~~ん、まあ何か目的あって動いているんだから未来の為に動いているとも言えなくはないんですかね~?あ。それよりもう仕事に戻っていいですか?」
だがこの話しの内容に上司陣達は思いの外悩む姿があった。上司陣達も無知ではもない。未来系に関するスキルがいわく付きと言われる由来ぐらいは知っているのだ。
だからこそ悩ましい問題なのである。本当に未来系のスキルが関係するなら、どう対応すべきか、それともしないべきなのか、憶測すらも難しい。
「あれ?自分で言ってあれっすけど今の自分の話しにマジ路線ですか?」
「え?本気で今の悩むんですか?」
上司以外の人達はその悩む姿に疑問視する。
「あの~もう戻っていいですか?他にも子どもの面倒見ることになりそうな事案があるので」
結果。上司陣はお互いに相槌を打つと・・・。
「エヴァンく~ん。しばらくエリアス様担当ね?はいこれ、こっちでまとめたエリアス様関係の情報~」
「え?」
「誰か手が空いた奴はエヴァンの補佐に回せるようにしとけ」
「え?あの~どういうことですか?」
「エヴァン。しばらくエリアス様の補佐だ。今回の行動に『特務』が協力すると伝えておけ。訳は適当にお前が決めろ」
「え?あのまだ残ってる仕事が・・」
「おめでとう。今日から貴方もトリプルワーク~」
「マジですか・・」
「まだマシだよ?クアドルプル持ちやクインの奴もいるんだし」
特務情報機関は慢性的な人手不足。エヴァンに更なる負担が伸し掛かる。しかも彼ことクラリオンの面倒も見るのだから心労が絶えない日々が続くのである。
話しはエリアスとエヴァンに辺りに戻って・・・。
「どうして本当に特務情報機関が協力してくれるんですか・・・?」
そんなエリアスの疑問に「さてどうしようか?」とエヴァンは考える。
う~ん、未来関連が報告があがっていたけど、この辺り本人達に言わないように言われてるしね~・・。
「まあ、こっちも色々あるんですよ。王室とコネは築けますし、スター選手と友達になれそうですし、何よりこっちで働いてくれるかもしれませんしね」
「・・そうですか」
エリアスもそれが本心ではないのは分かっている。しかし今はどうあれリリア救出の為にも特務情報機関の協力は必要な以上は追及はしなかった。
「しかしよくここまでの計画を姫様とリリアちゃんだけでやろうと思いましたね?誘拐が起きるまで上手くいっていたのが驚きなんですけど」
「私達が未来先まで考えた計画です。無理があってもできると確信してましたから」
自信に満ちた返答に「流石王族、普通の人とは違うな~」と苦笑いして場を流す。
う~~ん凄い自信だな~。クラリオン君といい、最近の子どもってこんな行動力に溢れるもん?
そしてその後、クラリオンの裁判事件の云々が終わり、リリアも含めてエヴァンが王城まで連れて来て・・・。
「エリアス様っ!ただいま戻りましたわ!」
「リリア!」
久しぶりの再開に2人はお互いの手を握り合うのである。その後はご存知の通り2人がやってきた作戦について近況報告と思い出話をしてたのだった。
「まあお話しはここまでにして・・。それでエリアス様、私が捕まってる間何がありましたの?」
「・・そうね。色々あったのだけど。ごめんなさいっ、計画がバレました」
「な!え?い、いえエリアス様が謝すことでも何でもありませんわっっ!とりあえずお聞きになりますわ」
それからお互いに何があったかを話すと・・・。
「う~ん、確かに有り難い申し出ですけど、どうして協力してくれたのか謎ですわね」
「私達の本当の目的やスキルについても話してないし、それでも協力してくるのが不思議で・・」
「私も先ほどエヴァンに会いしましたがそんな事話してくれませんでしたわね。初対面のふりされましたし」
「多分、クラリオンさん?がいたからバレないようにしたんじゃない?」
「あ~それもそうですわね。もしあいつにバレたら、どういう理由で破綻することになるか・・」
「そ、そんなに危ないの?」
「話した通りですわよエリアス様!あいつには本当に常識がないのよっ!」
「あ、あと今の計画なんだけど・・」
興奮するリリアを抑えようとエリアスはどう計画が変わったのか話し出した。
「リリアにはね、もう戦うような事はない計画にしたの。これ以上リリアに何がある訳にもいかないからって特務の人もからも・・」
「それは・・ゔ・・ま、まあ確かに色々と危なかったから言い返しも出来ないのよ」
いくら未来を変えれるスキルであっても今回の事を考えるとやはりリスクは大きすぎる。色々と酷い目にあったリリア自身も懲り懲りという具合だ。
「だからね、リリア。私、思い切って計画を大幅変更しようと思っているの!」
名案が浮かんだとばかりにエリアスは言うのだが、リリアはその様子を苦笑する。
「その様子からして、もう計画を始めていますわね」
「ごめんなさい。もっと早く伝えるべきだったと思っていたんですけど、特務も協力してくれるとあってタイミングを逃すといけないと思ったら・・」
「いえ、行動が早いに越したことはありませんわ。それでどんな計画ですの?」
それにエリアスは満面の笑顔。
あ~~こんな笑顔になられると言うことは・・・せめて無理のない話しであったほしいのよ。
嫌な予感にリリアの顔に雲行きが曇る。
「この前、リリアには凱旋パレードをしてもらったわよね?」
「え?ええ。色々と誤魔化す為にアリバイ作りで必要だったとか」
「それでピンッ!と閃いたの!これは計画に活かせるかもしれないと!」
あ~。やっぱダメな感じなのよ・・。
エリアスは続けざまに話す。
「これからはリリアをもっと有名にさせようと思うの。今より有名になれば色んな人と会う機会も増えるし、その人を通して未来が変わる分岐があるかもしれないじゃないっ!何も『未来分岐』は危険な目に合わないと発動するわけじゃないのでしょう?」
「た、確かにそうですが、有名人になるのは・・」
これ以上変に有名になりたくないリリアからすれば願い下げの内容である。が、もう計画が進行されているのだ。
「別に吟遊詩人になるわけじゃないわ。知名度が上がればいいのよ。トウバツクエスト改めプロデュース計画よっっ!」
RPGから育成シュミレーションゲームに企画変更するぐらいの発言である。
「エリアス様・・。私は一体何をやらされますの?」
「引き続き凱旋パレードとか握手会をやるのよ。あとどこかの始球式に出てもらうとかかしら?」
「待っ・・」
しかしエリアスを話しは熱を帯びる。
「あとトレーニングも必要になるかな?ボイトレとか走り込みとか」
「エリアス様っ!私をどこに目指そうとさせてますのっ!?」
「え?歌って走れて野球もできる・・人?」
「混ぜすぎですわっ!!ゲームジャンルでも吟遊詩人は吟遊詩人、レースはレース、野球は野球で分けていますわよっ!?もっとこう一つにっ!!あと私の体力が持ちませんわっ!」
「で、でもリリアなら出来るって信じて・・」
「そんな信頼のされ方されても困りますわっ!ジャンルを一つにまとめて下さいませっ!」
「え~~~」
焦るリリアと笑うエリアス。これから先の事を考えるとお互いにあれこれ言うが、久しぶりの再開だからか楽しそうに話し合う。
まったくエリアス様はかないませんわね。ああも色々と・・。私にはそこまで考えられませんわよ、ふふ・・・。
さて、フェレストリア国は謎の空賊で埋め尽くされるという未来は回避できるのか。2人の先は長そうである。
あ。忘れていましたけど、どうしてあいつがが船に近づいただけでなんで『未来分岐』が動いたのかしらね?
リリアが賊の空船に捕まっていた時に彼が近くにいたせいか『未来分岐』が異様に反応していたのだ。
私は動けなかったわけだし、歴史が変わる分岐があったようにも思えないし・・。
「もしかして何かできる事があったのかしら?」
そうすればあんな酷い目には会わなかったのではないかと思い出すが、これもまた近い未来で分かることである。
勝てない・・。いや、1勝2勝は出来るんだよ。今回のチャンピオンズミーティングはマイルだから、スピードとパワー重視でスタミナは入れない構成で作ってみたけど厳しい。
・・これって後書きに書く内容だろうか?いや、書く内容ではないだろうけどさ、それなら活動報告に書くべきでは思うけどさ、何だろう、もう最近の近況報告の場と化していることに違和感が無いんだよね。
ところで何でターボはまだ実装されないん?




