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自由に気ままに異世界大陸指名犯 ー空賊ライフー  作者: クラ108
エピソード0 まだ最初の時
48/82

第30話 くらえっ!迷宮禁止技にされた・・一撃必殺魔力レーーーーザァァァアアアアーーーーーー!!!!!

 前回のお話。空船建造を一旦保留にして以下略、未だに遭難している彼らの前に正体不明の空船。それに彼は反航戦を唱えるのであった。



「もっと他の逃げる方法ないのかしらっ!?」

「いやいや。距離詰められる速度差があるなら逃げ回っても駄目だし、仮に逃げられても食糧の問題もあるじゃん。森にいる生き物と虫を食べるのとどっちがいいんだよ?」

「そうかもだけどっ!危ないじゃない!私、戦えるわけでもないのよ!?普通に死にますわっ!!こんなボロ船じゃあ一発で散りますわよっっ!!」


 彼が後を追う空船とやり合う提案してからリリアと彼は言い争っていた。

 正体不明の空船に自分達が乗ってるまともな操縦もできていない船で一戦交えるなんて普通の人からすれば危険でしかない。


「言っておくが自分は強い。与吉も強い。船体に風穴を空けることぐらいできるんだよ。ただ命中精度が悪いから接近してだな・・」

「どちらかと言えば頭狂ってる方ですわよ!そもそも船で工国に行こうと思って密輸船襲って行こうと思って実行してる時点で相当イカれてますけどねっ!!」

「いや~『お前ら、このこと表沙汰されたくなければ』って感じでやってさ、工国まで行ければ何でも良かったんだけど、なんかこうなちゃっただけなんだよ。不思議なことがあったもんだ」


 本当にこいつの頭はどうなっているのかしらっ!

 

 そしてそうこうしてると・・・。


 シュイーーーーーン!!


 独特の音と風を切る音が空船の近くで響いた。


「何だ今のっ!?今ビームぽっいのが見えたんだけど!?」

「魔砲ですわ!」

「魔法!?」

「魔の砲ですわよ!空船に使う砲ですわ!」

「まさかファンタジーでビームが出るとは珍し・・いや、珍しくはないか」


 魔砲。空船の武装には主砲として置かれている物で、言葉通りの魔力を込めて撃つ砲である。彼が撃ってる魔弾とは違い、記号を用いたりするなど属性の付属も出来たりと撃つ組み合わせが多彩である。


「と言うかあの攻撃、射程距離いくつだよ!?こっから結構距離あるはずだろ!?」

「流石に今の距離で狙い撃つなんて無理ですわよ!多分威嚇射撃ですわ!」

「それでも射程圏内!!くっ!作戦変更、あの船は撃沈させる!」

「さっきから言っている作戦が無茶なのよ!!私死にたくないのですけど!?」

「ええいっ!戦火は切られた!こっちも一発威嚇射撃じゃこらぁぁぁぁーーーー!!!」

「ってそんなことやめ・・って!舵切るなぁぁぁあああああーーーーーーっっ!!!」


 船体を急旋回させると彼は正面の向こういる空船にお返しと魔砲と大差ない魔弾で威嚇射撃をした。


「くっ。遠くて見えん。与吉、足軽、向こうどんな感だ?」


 チチ(見えない)。


「落ちるかと思ったわよ!本当バカかしらっっっ!!??」

「安心しろ。落ちそうになったら与吉が拾うから」


 シュイーーーーン!シュイーーーーン!


 そしてまた再び向こうから魔砲が発射された。


「っっ!まぐれ弾でもし当たったらどうするつもりかしら!?」

「今度ははっきり見えた。この程度なら障壁で防げ・・」


 魔砲の威力を確認した彼だったが、早速魔力障壁を周囲に展開するも展開範囲が若干広すぎて、外して撃ってる魔砲の一発が障壁に当たってしまう。

聞きなれない魔力同士の衝突異音が起きるも障壁は、彼の言う通り抜かれることはなかった。


「今、揺れましたけどどっか当たりましたのっ!?!?」

「ちょっと障壁範囲広すぎて当たっただけ!被害なし」


 だけど衝撃までは防げなかったな。範囲縮小と多重障壁構築にして・・これで数枚破られるけど、衝撃もある程度吸収できる・・はず。


「ああ!もう!それってあんたの防御スキルか何かで?この船を覆っているってことかしら?」

「え?まあそんな感じ」

「魔砲を防げるって・・並みの人じゃないわよ!あんた本当に何者なのっ!?」

「だからさっき自分と与吉は強いって言っただろ!あ。またあいつら撃って・・!ちょっと舵重めに切るからどっかつかまっておけ!」

「だからそんな乱暴に舵を・・・っっ!!!」


 船体を一気に急降下で駆けるとフワッと落ちると言う浮遊感がリリアの身体を包み込む。そして心臓の鼓動が耳にしなくても体中に鳴り響き、一気に恐怖感も後から追ってきた。しかしそれは束の間。今度は船体が急上昇してGが襲う。

 ッッッ!!!???


「お~。思っていたより舵効くじゃんこの船。機動力いいな」


 水平位置に戻ると彼は呑気に感想を述べていた。

 普段からボードに乗ってることあって、彼はその程度は慣れているかもしれないが、リリアにとっては誘拐に慣れていてもそんな経験は今まで無かったようだ。


「私・・・一瞬死にました?」

「生きている生きている。スリルはジェットコースター以上あっても勢いはそこまで無いやつ系だから生きてるよ」

「言ってる意味が・・・分かりませんわ」


 お~。意気消沈してるな。


「あ。与吉~。安全バー・・じゃなくて足軽に命綱つけてあげて。これで少しは安心できるだろ」

「・・・・・・」


 気休め程度に命綱をつけてあげるも立ち直るにはまだ時間が掛かりそうであった。

 そしてそうこうしているとやっと彼の目線の先に相手の空船が見えてみた。


「お。あ。あれは・・ギリギリ小粒程度には相手の船が見えてきたな」


 しかしそれでもまだ点にしか見えず。

 だけどこの距離から射撃って・・やっぱえぐい射程圏内だな。


「まあ攻撃は防げる。接近してこっちの魔弾を当ててれば勝ち確なんだか・・」


 そもそも魔力自体は応用力高いからな~。魔砲と言う道具であれ兵器であれ、絶対記号式は使っているだろ。と、なると~自分の魔弾同様に色々調整の幅はあってもおかしくないし、一点集中火力なら障壁突き破られてもおかしくもないわけで~・・。


「可能なら射線の死角に入りたい。となると・・今度は砲塔?まあ砲の配置は知っておきたい・・」


 う~ん。ファンタジーなら中世ような船の側面配置?いや、でも空船の構造学んだけど、結構適切に考えているだよな。風の抵抗とか考えてマストや帆が無かったり折り畳みであったり、四方に張れるタイプのもあったり。意外にドレットノート革命がもう起きたりしていたりも・・・。


「あれ?だったら威嚇射撃の魔砲は主砲じゃなくて副砲もあり得るか・・。わざわざぼろ船に主砲で撃つのは勿体な・・あ。でも魔力だから導石でもあれば魔力の補充も可能か。なら主砲でぶっ飛ばしても問題ないわけで・・・」


 彼、無駄に考え込む深読モードに入りはじめる。

 そして落ち着きを少し取り戻したのか頑張ってリリアは顔を上げる。

 はあ。今は攻撃がやんでいるわね。そろそろ本格的な砲撃でも始めるのかしら・・。


「もし私達がやられて生き残ってもきっと碌なことにならないでしょうね」


 リリアのスキルで相手の船のからの音がうっすらと聞こえる辺りまで来て、ため息がこぼれた。何を言っているかは聞き取れないながらも騒いでいるのは分かるし、恐らく声の数から100人はいると分かる。


 チチィ。チッチチ。


「あんたはあんたで何を言っているか分からないわよ」


 はあ。お腹も空いて、敵に突っ込んで・・もう何か疲れて動きたくも・・。

 そして彼は何かに気づいて声を上げる。


「あ。敵、旋回・・してる?」


 目を細めて眺めてみるもよく分からず、一旦威嚇射撃が止まれば、複数の発光の数が10から20の魔砲の光が見えたからだ。


「せめて死ぬなら痛みなく静かに死にたいわね」

「砲配置は側面配置ぽっいかもな。あとこの数、全部は捌けないかも・・」


 再び船体を急旋回と急降下と急上昇で回避運動を行う。しかしどちらかと言うと空中戦闘機動に近い動きで、小型船であっても戦闘機とは大きさも質量も違うわけで、船体が非常に軋む。


「これ攻撃当たるよりバラバラになりそうなんだけど大丈夫かしら?」

「無問題。それよりさっきから非常に大人しくなっているのが・・悟りでも開いた?」

「ええ。死を直前にすると人は冷静になるってこういうことなんでしょうね」


 その間にも何発か魔力障壁に当たるも最初に射撃が当たった時より衝撃はなく、比較的安定?して飛べていた。


「第二波くるぞ」

「今の私はもう恐れはないわ」

「本当に悟りを開いて・・。顔が穏やかだ」

「誰のせいかしらね?」

「ああ。全て敵が悪い。懲らしめないと」

「あんた。死んだら呪うわ」


 穏やか顔から凄く睨まれる。

 本当にそう言うスキルってありそうだから洒落にならない言葉なんだよな~。


 シュイーーン!シュイーーン!シュイーーン!シュイーーン・・・・!


「にしてもさっきより敵の攻撃が激しくなってきたな。これもう威嚇射撃じゃないな。本気で沈めるつもりだよ」

「ええ。だけどあんたって本当に凄いのね。何発も魔砲の攻撃を防いでいるんですもの。頭はバカでイカれているのに本当に凄いわ」

「ここで今ロールでもしようか?できるか分からないけど」


 恐らく無理そうであるが、スキル込みならば強引にエルロンロールはできそうであった。

 まあ流石に船が空中分解しそうだからやらないけど。


「だけど向こうはヴァンプ一家なのか空賊かは分からないけど。結構な装備をしてるわね。軍艦並みじゃないかしら?」

「とんでもない奴らだな。けど米粒程度には動く人間が見えてきたけど、なんか敵の声とか聞こえない?相手の行動とか分かればいいんだけどさ」

「疲れて聞き分ける気力も無いのよ。それに今は余計な雑音を入れたくないの」


 ようやく相手の空船の形状が見える距離まで接近するも向こうの敵は、まさかここまで距離を詰めて来たことに速度を落として精密射撃に切り替えようとしていた。


「敵艦。減速。攻撃も停止。あ~これ確実に狙い撃つつもりだな~。絶対次一斉射くるよこれ」

「変に状況把握するのが上手いわね」

「リアル海戦ゲームでやってたからな。止まってる戦艦なんてゲームなら魚雷のカモだぜ」

「また意味が分からないこと言わないでくれる?だけど不思議とあんたなら本当に相手の船を沈められそうね」

「いや、魔砲を防ぐ実力あるなら船沈める実力もあると思ってもいいんじゃない?」

「それより相手の声が静かになったわよ。多分射撃合図を聞こえるように待っているんじゃないかしら?」

「さっき聞き分ける気力も無いとか言ってなかった?」

「少しだけ生きる希望が見えたから聞いてあげたのよ。私も少し相手の顔でも拝もうかしら」


 リリアが立ち上がる姿に生きる気力がちょっと戻ってきたなと彼は少し安心する。が・・・。


「ねえ、あんた。あれを防げる自信・・あります?」


 側面を向いた相手の船から全ての砲門から魔砲の光が見えるのだが、それが今までの光より眩しく放っていた。明らかに高出力かつ圧縮された魔砲攻撃の疑いようがない。

 これ回避運動をしても避けれないな。しかもこれ。自分の魔弾に近い感じが・・・。


「・・・魔力障壁正面斜め展開、障壁厚めで『空間装甲』『避弾経始』『摩擦調整』『空間指定域』のスキルセットの三重魔力障壁。これ、今まで張った防御の中で一番装甲厚だぞ。抜かれたら泣くぞ自分!」


 かつてフェリカと戦った時に使った防御スキルの組み合わせ。これが彼最大の防御である。しかもそれを三重に展開とかなりの警戒ぶり。

 だってさ、もし自分の魔弾(APCR弾)並みの貫通力ビームだったら絶対抜かれるよ。あのパンバリアと同等の結晶硬度並みの防御力じゃないと安心できないからね?


「ちょっとあんた!?あれ大丈夫なの!?」

「あ。いつもの調子に戻った」

「そりゃあんな光を見たら戻るわよっ!」

「まあ抜かれたらすまん。けどあれは連続で撃てないだろ。撃ち終われば魔力使い果たすだろうし、継続攻撃力は皆無!だから向こうが撃ってこなかったら、もうこっちの勝ちだ!あとは悠々と接近して船体に風穴開けるだけ」

「本当に大丈夫なのでしょうねっ!?」

「分からん。けどそろそろ衝撃に備えた方がいいぞ」


 彼の言葉に「え?」とリリアが前を振り向くと。


 ゴオ。


 一瞬聞こえた鈍い風を切る音。魔砲による高出力の一斉射撃。同時に辺りが光に包まれて船体が揺れ、それが数十秒か一分を切ったのか長い攻撃が続く。

 リリアは悲鳴を上げるも周り音で聞こえず、それでいて彼は怯えることなく不適に笑う。


「ふっ。1層は抜かれたか。だが・・」


 薄れる光と揺れから確信を持って前を向き、自信満々で腕組しながら声を上げる。


「1層までしか抜けなかったようだな!!我が防御は鉄壁!!未だに健在!」


 目に見えるのは魔砲の残滓の光と敵艦の姿。そして魔力障壁が2層。最大出力で放った攻撃を圧倒的な防御力で防ぎ切った姿を相手に見せつけたのだった。しかも彼の読み通り攻撃をする気配も無いことから絶好の攻撃チャンスであった。


「もう少し近づきたいところだが今が好機!この距離なら6割命中できる自信がある!覚悟しろ!!」


 そして狙いを定めて。


「くらえっ!迷宮禁止技にされた・・一撃必殺魔力レーーーーザァァァアアアアーーーーーー(威力10分の1)!!!!!」


 シュインと一瞬で相手の船体の横に魔力レーザが走る。当たった場所は爆発と衝撃で船体は傾き、側面の全てが吹き飛んだ。


「っっ!ゃっっあああ!!当たったああ!!見たか!我が魔力レーザ!お前ら木造船なんて本気出せば吹っ飛ばせるが、生憎こっちは食糧不足だから生かしてやったんだ、感謝しろよ!」


 勝ち誇る彼。だがこの状況で目をつぶって手を握り合わせながら何かブツブツ呟いている人が一人・・・。


「私、・・今度こそ死んだわ。どうやればあいつを呪い殺してやろうかしら・・」


 と言ってもこの船にいる人は彼以外でリリアしかいないわけだが。


 チチ。


「お。与吉も無事そうだな」


 与吉も彼の所に様子。


「お~い足軽よ。生きるからな~。お前はあと90年は生きれると思うから。口から魂と呪詛の言葉を出すのおやめ」


 指を突き出してリリアの額に『空砲』を軽く撃つ。 


「アイタ・・ッ!?え?い、生きてますの?」

「生きてるから。それより相手の船見てみろ。船の断面図ぽっい感じになってるぞ」


 そう言って「ほら」と自慢げに無惨になった相手の船が見えるようにさらに近寄って行くと、その光景にリリアは驚いた様子で目を開き、声が出ないようだった。


「ふっ。驚くのも無理もない。まあこれから食糧略奪しに行くから運転よろしく」


 彼は艦橋から出て行こうとするとそれを止めるようにリリアは無言で彼の服を掴んで行くのを阻止した。


「え?ちょっ、食糧取りに行かないと流石に餓死するぞ?もう限界だろ?」

「・・・・・」


 しかしリリアは離さず、まだ無言のままである。


「どうした?何かあったか?」


 それにリリアは手を震わせて凄い大声でこう言い放つのだった。


「あんたああああーーーー!!!旗見なさいよっっ!!!あれはフェレストリアの軍艦よっっっ!!!!このバカァァァァアアアアアアアーーーーーーーーーー!!!!!!」


 えぇ~~~。いや、流石に気づけって言われても無理だぜ足軽よ。流石にあんな攻撃されたら軍艦だと分かっても正当防衛するからな?


 彼ことクラリオン。理由はどうあれ国の軍艦を半壊させる。

 誤字脱字があれば指摘よろしく。

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