第24話 ゴーレムはギルドにあるわけじゃないか~
前回の話。空船建造計画は一旦保留にして、謎のコアのことについて調べていく内にどんどん謎が増えていく。そんな中で与吉はコアが何か意味を発していることに気づき、ミヤちゃんも何も教えてないのに与吉と同じことを言い当てたのだ。
「・・与吉さんや。ミヤちゃんに何か教えたりした?」
チ?チチ。
与吉は何も教えてないと前脚を振る。
ピピピピピピピピピ。ピピピ。ピー。ピー。
ピピピピピピピピ。ピー。ピー。ピー。
「あとこれ、うるさい」
「ミヤちゃん。その手の角度と構えはやめよう。ミヤちゃんだとチョップじゃなくてプッシュだから。この発電装置は我ながらスムーズに作れた良い出来だから壊すのだけはやめて」
ピーピー音が鳴る発電装置に手刀の如く向けるミヤちゃんに彼は止めに入る。
でもなんでミヤちゃんこの音が分かったんだろうか?与吉も分かってミヤちゃんも分かる・・種族的なそれで分かったとか?
「それでミヤちゃん。何でこの音が身体のこと言ってると思うの?」
与吉とミヤちゃんにはこの音が分かる接点を考えてみるも全く思いつかない。なので彼は率直に聞いてみた。が・・・。
「・・直感」
彼はそれに「ん~」と悩ましい声をあげる。
これ本能とか野性的なアレかな?そういう系だから分かったタイプかな?
「因みに与吉さんは、この音はどういう感じで分かったタイプですか?」
そう言えば与吉からコアの音を聞いてもらったが、どのような感じで音を感じ取っているのかは聞いていなかった。そして与吉の返答は・・・。
チィーー。チチ・・。チ!(んーー。何言ってるか分からない赤ちゃんだけど何言ってるか分かるアレ!)
「なるほど。与吉もそっち側か」
どうやら普通に聞いて分かるもんじゃないのは確かなようだ。
「クラくーーん!ミヤちゃんが来たの見えたから来たけどまた扉・・。何?この音?え?ん?これ何言ってるの?」
そして今度はアスラが襲来してきた。
最近大人しくなってるな~と思ってたんだけど、これだよ。
「・・いちよ聞くけどアスラお姉様よ。まさかこの音が何か言葉を発しているかのように聞こえているのですかね?あと扉の弁償はそろそろミヤちゃん一家にしてくれない?いちよ自分も被害者側だよ?」
アスラもまたこの音に対して何か意味を捉えている風な言葉回しに彼はアスラに聞くがアスラもまた・・・。
「え?何か目とか足とか手とかそんなこと言ってる感じがする」
「なるほど。お前達はむしろニュータイプか」
まさかこうも自分の周りに常識人がいなかったとは。
「まあいいさ。とりあえず非常識人共よ。この音が何を言っているのか知りたいので、ちょっと色々聞いてもらってもいいですか?」
「クラ君。いきなり人を非常識呼ばわりするのは駄目だよ。ほら、ミヤちゃんも不穏な動きで今にも襲い掛かりそうになってるし。と言うより一番非常識なのはクラ君だからね?」
「安心しろ。この場合は褒め言葉だから誇っていいぞ」
それからミヤちゃんにリバース・ボディスラムをくらうも2人からこの音に対して色々聞いて教えて貰った。
ピピピピピピピピ。ピー。ピピピピピ。ピー。
ピピピピピピピピ。ピピ。ピー。ピー。
ピピピピピピピピピ。ピピピ。ピピピピピピ。ピピピピ。
ピピピピピピピピ。ピー。ピー。ピピピピピピピピピ。
「これも所々分からないけど・・。うーーん、これも雷?みたいなこと言ってると思う」
「ふむ。雷か。ミヤちゃんと与吉もどんな感じに聞こえる?」
「雷」
チィ~。チチィ・・。
「なるほど。与吉は雷自体知らないから、今まで何を言ってるか分からなかったと。まあ迷宮育ちじゃあ雷なんて見る機会なんてないわな」
とりあえずこの音が分かる人が増えたおかげで色々分かってきたな。特にアスラお姉さまが良かった。与吉とミヤちゃんだけだと曖昧だし、ざっくりだったし。
そして紙に書いてまとめると結果こうなった。
まずこの音は最初に数字、次に身体の一部を言っている。これが計10パターンあった。
一。目。
?。手。
三。足。
四。?。
五。?ち。最後の言葉に「ち」が付く?
?。?。
?。?。
?。?。
?。雷?。
?。雷?。
?は何を言ってるか聞き取れない所だ。これを繰り返し言っている。しかし一定の規則性から、大よその分からない部分も予測はできた。
おそらく最初の数字の箇所は1から10を言っている・・と思う。それで目やら手やら身体の事を言ってるからおそらく分からない所も身体の何処かを言っている・・はず。だ、が、最後の恐らく9と10と思う場所のところに雷の言葉・・。んで、10パターンある。
「9と10の場所。10パターン・・・」
そこに彼は何か引っ掛かるところがあった。
コアの4ヶ所に接続口にある端子の数はどこも10ピン・・。そして今、電気を流しているピンの箇所。そう言えば通電確認できたの・・いちよ2ヶ所あったんだよな。
そして導き出した答えが。
おそらく・・端子接続について何か言って・・いる?
遂に音の関係性が見えてきた。
数日して・・・。
「何かロボット?ゴーレム?オートマタ?とかそんなのに類義する物ありませんかっ!情報だけでも構わん。くれ!」
「・・・久しぶりに訪ねに来たと思ったら、これか。いい加減私用で呼び出さないでほしいんだが?」
「いやもう、いつものミシャロを頼っても駄目だったし、もう頼れる宛がトクガワさんしかいなくって。あと最近ミヤちゃん変な動きをするようになったんだけど、よく見るとあれ人の関節を無理矢理外すイメージトレーニングしてるんじゃないかって思えて。あ。何かこんな動きです」
困った時はトクガワさん。久しぶりに呼び出し、最近のパーティーの悩みについても相談を持ち掛けてお茶とお菓子を頂く。
あれから彼はあの音から関係しそうな事を色々と調べあげた。そしたら一番関連ありそうな単語を発見をした。それは『ゴーレム』と呼ばれているものであった。
この異世界ではゴーレムはロボット(どことなくASIM〇-P2似)に近い存在のようで、パーツの分類に足とか手とかそんな言葉が出てきたのだ。そして彼は色んな店にゴーレムがあるかどうか聞いて回ったが、どこも首を横に振られた。
「絶版物はそう簡単に手に入らない、か・・」
と言うのはゴーレムは当の昔、数百年前に廃れた技術であったことが調べると同時に出てきたのだ。どうも希少物であったり、CPU、演算装置等の役割と持つ記号式が超複雑過ぎる問題で、後継者や後継機の開発が難航したのが原因らしい。
それでも店に聞き込みしたり、いつものミシャロ商会なら大丈夫だろと頼るも、あのミシャロ商会ですら取り扱ってないときたのだから、そう簡単に入手できるものではないと彼は思い知らされた。
しかし世の中には例外はいる。ゴーレムは取り扱ってなかったが、ミシャロ商会からある有力な情報を頂いたのだ。
「もしかしたらギルドだったら・・んー・・。あるかもしれないな」
「ギルドに?」
冒険者ギルド。彼曰く複合ハローワークは依頼や仲介、買取をしたり幅広く行っていたり、規模は大陸全体に及ぶ超組織。故に国と共同、連携、委託を頼まれたりしている。
そんな彼が今いる国もギルドに委託している案件があった。それは迷宮から得た資源管理(魔石やモンスターの部位と言ったもの)である。
ここから少し話が本題から離れるがそこはご容赦して頂けたい。
そもそも彼が今いるこの国は予算が少ない。というのも小国だからだ。
未開拓の地でこの迷宮の発見をしたこの国は、迷宮までの距離を領土編入して、領土の広さは大国並みとなった(小国であることは変わらない)。そしてそれに伴い迷宮までの移動や運搬に大量の空船の保有と確保、迷宮の管理、制圧、警備の為の人員や兵員の増員が急務となった。更に迷宮資源の盗難や略奪の防止対策は勿論のこと、魔石の魔力に反応するモンスターや環境の影響も目を向ける必要すらあるわけで、他にもやる事が多いのだ。
第一に迷宮の運営知識すらこの国は持っていなかった。つまり円滑に対応するのは困難であり、何かあれば全て後手に回り、対応や立て直しが厳しいのだ。そこで冒険者ギルドの出番である。
説明はしたが冒険者ギルドは依頼、仲介、買取を大陸全体で行っている超組織。この国に限らず、他の国の迷宮を管理の委託も任されてたり、そこらの国家より知識や経験が揃っているのだ。
そこでこの国は迷宮の資源管理の委託を頼んだのである。勿論それ以外の委託もお願いしている。
例えば迷宮中層のアラクニードにある共同塔。そこは国の新参兵にギルドが教員がとして迷宮での戦闘や資源管理の指南をしていたりとか。と、まあそんな具合に任せてもらっているわけだ。
本題に戻ろう。彼はゴーレムを探しに行き、彼がギルドマスターであるトクガワの元へやってきた理由だ。
「なんかギルドではさぁ、迷宮の魔石とかモンスターの部位を扱うじゃん。でも危険物とかも扱う場合をあるじゃん。だから人手使わないでゴーレムを使ったりとかして管理している。と、噂で聞いたもので。そして今!自分!ゴーレムについて知りたいものでっ!だからくれっ!」
とのことである。資源管理は簡単のようで難しい。実話でこんな話がある。とあるギルドで無駄に高純度の魔導石が取引されたことがあった。当然それは価値は高く、警備や周囲への魔力影響とか色々と考慮することが多いが、別段珍しい事ではなかった。しかし毎日のように売りに来られると話は別だ。
増え続ける膨大な魔力に周りがどんな誘発をさせられるか、空間魔力消費だけさせる記号式をフルに活用しても空間魔力許容量の限界とか、セカンドインパクトでも起こるんじゃないかとそこを管理していた職員は毎日恐怖することになったそうだ。
そこで人手に負えないような時や人手が足りない時にゴーレムを使って仕事をさせることがあるらしい。人より重い物は持てるし、簡単な計算もそれなりにできると結構便利な存在のようだ。
そしてその事をミシャロ商会の人から聞いた彼は、早速トクガワに会いに来たというわけである。が・・・。
「はあ。確かに支店や支部にゴーレムを持っているところはあるらしいが、ここのギルドにそんな物は無い」
「なぬ?」
「そもそもゴーレムをギルドが持っているというのも、ギルドに売られた物で、使えそうならそこのギルドが買い取って使ってるだけだ。常時置かれてる存在じゃない」
トクガワは淡々と無いと言われた。
「え~~。じゃあゴーレム置いてるギルドの場所とか知ってる?手持ちのお金で叩くか、手持ちの超高品質魔導石を毎日売りつけに行きたいんだけど」
「ギルドに悪質な嫌がらせはやめてくれないか。それと流石にゴーレムを置いてる他の支店までは知らん」
「え~~」
「だがまあゴーレムを置いてるところは、おそらくギルドマスターが個人で買い取ったもののはずだ。ギルド所有ではなく個人所有であろうな」
「ふむ。なら本当にお金で叩けば簡単に譲ってくれそうだな」
「いちよ言っておくが、ゴーレム買収しようとギルド回りするなら、絶っっっっ・・・・対にっっっ!うちの支店の名前だけは出すなよ!あとこのオヴェスト・トレンボで活動してるのも言うな。他のところの名前を出せ。これ以上目立つと・・胃が痛い」
「お、おう・・」
ただでさえ高品質な魔導石の取引額だけで周辺国家の予算並みを叩き出し、これにはギルド本部も目を見張り、それを不快に思う連中も目を見張り、違法ではないがお金の貸し借りがあったりと表立って目立つことは避けてほしいのだ。なので普段から声を上げるようなことをしないトクガワが声を上げるんだから彼は少しどもり、ギルドから立ち去ったのであった。
これ以上話すと本当に胃に穴開けそうな顔してたからね。ギルドマスターって多忙なんだな~~。
「ゴーレムはギルドにあるわけじゃないか~。ふ~~む・・」
ギルドからゴーレムを入手できると思ったが当てが外れた彼は少し思い悩む。
「こうなるとあともう一か所だけか・・」
彼はまた思い悩んだ。というものミシャロ商会からゴーレムがある話を聞いたのは、ギルドだけではなかった。まだミシャロ商会との話には続きがあったのである。
「もしかしたらギルドだったら・・んー・・。あるかもしれないな」
「ギルドに?」
「ああ冒険者ギルドにはゴーレムを置いてると聞くからね。あとはあそこぐらいか?あそこなら骨董品も多いし、間違いなく部品ぐらいは見つかるだろうし」
「あそこ?」
「おや?知らないのかい?工国だよ。好事家が集う物欲の国さ」
誤字脱字あったら教えてください。
しかし自分ながら話が全く進まないな。あと2ヶ月経つと投稿して1年ぐらい・・。1年経っても話が進んでいない・・。これはヤバい!っと思ってるんだが・・。うん、多分どうにもならないなってここ最近悟りました。




